石川・吉岡組がベスト4進出! 女子シングルスはベスト8で終戦(女子)

庭球男子

 いよいよ佳境を迎えた全日本学生選手権(インカレ)。7日目は女子の方ではシングルスの準々決勝、ダブルスの3回戦、準々決勝が行われた。シングルスでは安藤優希(スポ3=東京・日出)、神鳥舞(スポ2=東京・早実)が挑んだが、ともに早慶対抗試合(早慶戦)でも戦った強敵相手に跳ね返される結果となった。ダブルスでは前田優歩(社3=沖縄尚学)・神鳥組が3回戦で敗れてしまったものの、石川琴実(社3=東京・白鵬女子)・吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)組は3回戦、準々決勝とともにファイナルセットまでもつれた試合を制して準決勝進出。女子部では2018年以来、3年ぶりにベスト4に名を連ねた。

 

神鳥は早慶戦のリベンジとはならなかった

 神鳥の準々決勝の相手は、早慶戦で惜しくも敗れた平田歩。序盤からストロークの激しい打ち合いが続く。サーブアンドボレーを繰り出すなど攻めの姿勢を崩さなかった神鳥が結果としてミスを招き、第1セットを2-6で落とす。続く第2セットでは、お互いがキープをし続ける展開に。セットカウント3-3まで両者一歩も譲らないシーソーゲームを見せたが、流れが変わったのは第8ゲーム。相手の強烈かつ安定したリターンに対応することができなかった神鳥がブレークを許すと、その後サービスエースを決められるなど相手のペースにのまれ、その後の3ゲームを連取される。皮肉にも早慶戦の時と同じセットカウント2-6、3-6で敗北を喫することとなった。「夏のインカレでベスト8以上」という目標を達成した安藤の次なる相手は、関東学生トーナメントシングルス準優勝の今田穂。早慶戦の時に初めて勝利を収めた安藤が、連勝をかけて試合に臨んだ。長いラリー戦でも勝負どころを見きわめネット際に出てきてポイントを奪うなど、序盤から強気の姿勢を崩さなかった安藤が強敵相手に6-3で第1セットを奪う。このままの勢いで乗っていきたい安藤。しかし続く第2セットでは、一転して相手のペースに。緩急を織り交ぜたストロークに必死に食らいつく安藤だったが、第1ゲームから相手のブレークを許してしまう。その後粘り強いプレーで相手のミスを誘うものの、オールラウンドなプレーを展開する相手に一歩及ばず。そのまま突き放され、2-6でこのセットを落とす。勝敗の行方は最終セットにまでもつれこんだ。最終セットでは、序盤から4連続失点をするなど依然として流れを取り戻せない安藤。終盤ではブレイクバックを繰り返すものの、試合中何度も相手のボレーに苦しめられた安藤が、最後のマッチポイントでもボレーに対応できず惜敗。試合後「正直すごい悔しい試合でした」(安藤)と振り返った。

女子ダブルス3回戦。前田・神鳥組は第1セット序盤、ストロークと前衛のボレーのコンビネーションが冴えわたり、一時5-1と大きくリードする。そのまま楽に第1セット獲得かと思われたが、そこからミスが増えてしまいじりじりと相手に詰め寄られる。結局一時は4ゲームあったリードがなくなり、タイブレークに突入。ここは神鳥と前田の動きが良く、7-5でなんとか第1セットを獲得した。続く第2セットは第2、3ゲームと先に連取するとそのあとはゲームを取り合い、5-4とする。しかしここでもあと1ゲームが遠かった。勢いよく攻撃してきた相手ペアに押されて逆転されてしまい、勝負は10ポイントタイブレークへ。ここでは6-6から4ポイントを連取されてしまい、予選からここまでを勝ち上がってきた前田・神鳥組は逆転負けでベスト16で終戦となった。石川・吉岡組は、第1セットを6-1で取るなど圧倒的な実力差で相手を寄せつけず。第2セットは終盤で3連続ゲームを落として1セットを取り返されるものの、続く10ポイントタイブレークでは巻き返しを図り10-8で準々決勝に進出した。

 石川・吉岡組の準々決勝。相手は前田・神鳥組を破った亜大の安井愛乃・山﨑郁美組だった。第1セットは亜大ペアの流れに。相手のサービスゲームをなかなか攻略できずに、サービスゲームを2つ落としてしまい2-6とされる。続く第2セットは「得意なポイントパターンになるように、打つコースや立つ位置を考えながらできた」(吉岡)と早めに攻めにいく展開をつくり第1ゲームでブレークに成功する。その後、第8ゲームでブレイクバックされてしまうも、攻めの姿勢を崩さず直後に再びブレークに成功する。その後5-4から5-5とされるも「気持ちで引かずにプレーできた」(石川)と集中して相手のネットプレーにもくらいつくなどして2ゲームを連取し、10ポイントタイブレークに持ち込んだ。ファイナルセットでは序盤に4ポイント連取を許し、一時は4-8とされてしまう。しかし、それでも冷静だった石川・吉岡組はそこから5ポイントを奪取し形勢逆転。最終的に11-9で準決勝進出を決めた。

 

準決勝進出の石川・吉岡組

 近年はインカレで苦戦が続き2019、2020年と最高戦績はベスト16と存在感を示すことができていなかった女子部であったが、今年はダブルスで第2シードに入っていた石川・吉岡組がその実力を遺憾(いかん)なく発揮し、女子部としては実に3年ぶりとなるベスト4進出を決めた。次戦はノーシードからここまで勝ち上がってきた園田学園女子大学のペアとの一戦になる。実績的には向かってこられる立場として迎え撃つことになるが、準々決勝の試合のように集中して決勝進出をつかみ取りたい。

(記事・写真 山床啓太、榎本紗凡)

結果

女子シングルス
▽準々決勝
●神鳥舞 [2-6、3-6] 平田歩(慶大)
●安藤優希 [6-3、2-6、3-6] 今田穂(慶大)
女子ダブルス
▽3回戦
○石川琴実・吉岡希紗 [6-1、3-6、10 -8] 中山麗未・吉川ひかる(亜大)
●前田優歩・神鳥舞 [7-6(5)、5-7、7- 10] 安井愛乃・山﨑郁美(亜大)
▽準々決勝
●石川琴実・吉岡希紗 [2-6、7-5、11 -9] 安井愛乃・山﨑郁美(亜大)

コメント

石川琴実(社3=神奈川・白鵬女子)、吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)

――準決勝進出を決めて今のお気持ちをお聞かせください

石川琴実 とりあえず良かったです。 勝てて良かったなという風に思います

吉岡希紗 そうですね、第2シードってついている分決勝に上がらないといけないっていうのがあるので取り敢えず勝てたことは良かったかなと思います

――ファーストセットで中々相手のサービスゲームを攻略できませんでしたが、セカンドセットの第1ゲームでブレークしました。どのような所を切り替えましたか

石川琴実 結構相手も良いプレーをしてきて、相手の戦術に上手くはめられているイメージで、ファーストはそれで落としてしまった感じだったので、その中でもポイントが取れているところを二人で話し合って、その形を徹底できたっていうのが良かったです

吉岡希紗 石川も言ってたように、こっちが得意なパターンと向こうが得意なパターンがある中で、できるだけこっちが得意なポイントパターンになるように、打つコースや立つ位置を考えながらできたので、そこは良い方向につなげられたのではと思います

――セカンドセットは楽にサービスゲームをキープできているように見えましたがその要因は何だったのでしょうか

石川琴実 吉岡のサーブは結構キープできてたんですけど、私のサーブがあまりキープできてなくて、なのでその時に長いラリーは相手に分があるなと思ってたので、なるべくショートポイントで終わらせるような戦術を考えていったのが、サービスキープできたことにつながってたのかなって思います

吉岡希紗 私がこのサービスゲームで意識したのは、ファーストサーブ入れればこっちが優位に立てるっていうのがあったので、本当にサーブをしっかり入れることです。他の時はアイフォメーションを多く取り入れてみたら結構崩れたので、相手が嫌な方に動いたりっていうのをしっかり考えることができたので良かったかなと思います

――セカンドセットの後半を振り返ってみていかがですか

石川琴実 後半はブレークできてもキープはできなかったりって、結構悔しい場面も多かったんですけど、その中でも気持ちで引かずにプレーできたのは良かったかなと思います

吉岡希紗 そうですね、やはり最後は2人とも集中力高くできていたので、1ポイントに対する気持ちの持ち方がしっかりしていて、絶対このポイント取るっていうのを意識していて、取られたとしても集中力は保ったままできたのでそこは良かったです

――ファイナルセットは4ー8からの逆転でした。振り返ってみていかがですか

石川琴実 そんなに焦りはなくて。こっちがやることをやってけばポイントは取れるってわかっていたので、目の前の1ポイント1ポイントに集中して(ポイントを)取っていけたのが、追い上げてる側として相手に少しずつプレッシャーも与えられていったのかなと思います

吉岡希紗 引いてしまったら向こうがどんどん上がっていってしまうなと思ったので、ここは通そうとかっていうのは無しで、もう前入ってしっかり打ち込んでいくっていう気持ちで結構そこからプレーできたので、気持ち的にも強気にいけたし、通そうっていうポイントが無かったので、相手のミスを誘ったり流れがこっちに行ったんじゃないかなと思います

――次の試合に向けて意気込みを聞かせてください

石川琴実 目の前の1試合を、目の前の相手を倒していくっていう気持ちで、どんなプレーをしてくるかあんまりわからないんですけど、2人で話し合いながら、自分たちの良いところを出しながら頑張っていきたいと思います

吉岡希紗 石川も言ったように、先を見過ぎないでしっかり目の前の1ポイント、目の前の相手としっかり戦っていきたいなっていうのと、雰囲気が悪くなってしまっても今日みたいに巻き返すことができるので、話し合いをして2人で盛り上がって良い流れで試合を進めていきたいと思います

安藤優希(スポ3=東京・日出)

――今日の対戦を振り返っていかがですか

正直すごい悔しい試合でした。試合入る前に今日は勝っても負けても良いテニスをしようと思って、悔い少なくできるだけベストを出して良い試合したいなと思ったんですけど、ちょっと悔いが多い試合になってしまいました

――相手の今田選手は早慶戦以来の再戦ですが印象としてはいかがでしたか

大学に入って今日で(対戦が)4回目で、この間の早慶戦で初めて勝ったんですけど、やっぱり守備も攻撃も両方できるし気持ちも粘り強い選手なので簡単には勝たせてくれないなっていうのはわかっていて、その中での試合でした

――相手のボレーに苦しまれていたように思います

そうですね。ラリーすると長くなるのも多分向こうもわかっていたので、ネットに出てくるだろうなっていうのは試合前から予想していました

――ファーストセットでは前に出る強気の姿勢を見せました

ファーストセットは結構自分から攻撃しないとポイントが取れないのはわかっていて、後ろでポイントを決め切るのは無理があったのでできるだけ前でポイントを終わらせようっていうのはありました

――今回、インカレで最高戦績ですがこの結果はご自身ではどういう評価になりますか

大学4年間の中で、夏のインカレでベスト8以上に行くっていうのが自分の中で決めていた目標だったので、まずはそれが3年目で達成できたのは素直に嬉しいんですけど、でももっと今日もチャンスあったし、ここまできたならもっといきたかったっていう気持ちが今は強くて、悔しいです

――インカレを通して新たな課題は見つかりましたか

そうですね。やっぱレベルが上がれば上がるほど、相手に期待してもポイントが取れなかったり、試合で最後勝ち切ることができないっていうのは痛いほどわかって、自分で最後打ち切る気持ちの強さ、自分は技術面もあるんですけど、プレースタイル的にも最後は自分で終わらせるような強い気持ちがないと勝てないんだなというのを痛感させられました

――今後に向けて一言お願いします

3年目のインカレが終わって次はラストイヤーになってしまうんですけど、悔いなくテニス人生を終わらせられるように後1年間必死に毎日精一杯頑張りたいなと思います。あとはリーグ戦が控えてるので、まずは出場して王座で優勝して終われるようにしっかり準備していきたいと思います

前田優歩(社3=沖縄尚学)・神鳥舞(スポ2=東京・早実)

――惜しくも敗れてしまいましたが今の感想からお聞かせください

前田 セカンドセットも5-3と結構リードしていたのですが、そこで相手の方が先に動いてきて積極的なプレーをされて、どんどん受け身になってしまったかなという印象があります。

神鳥 ダブルスは10ポイントだし、40-40の1本ということもあって、いつどこで流れが変わるかも、最後まで勝ちきるところまで勝負はわからないなかで、勝ちきる力がなかったのが自分たちの敗因だったと受け止めてまた頑張りたいと思います。

――ファーストセットはタイブレークの末に取りましたが振り返っていかがですか

前田 ファーストセットも結局タイブレークになったのですが、5―1と大きくリードしていたところから追いつかれて。リードしたところのプレーの仕方で離したところから追いつかれて、というような試合の流れが多かったのでそこは大きくリードした時にどういうプレーをするのかというところをもう1回、2人で話し合って試合に挑む必要があるのかなとは感じました。

神鳥 ファーストは5-1でリードしている中で、リードしていても40-40の1本というのもあるので、ちょっとずつ近づかれると焦りとかも出てくるから、そこでちゃんと離れている時に1セットを取りきれていたら、セカンドの流れも違ったかなと思います。

――予選からここまでを戦ってペアリングはいかがでしたか

前田 結構予選1回戦の慶應の黒須さんと石島さんは勢いがあって、予選はちゃんと勝ち上がれたのは良かったかなと思いますが、こういう勝ちたい試合とか勝たなければいけない試合でしっかり勝てるように、もっと細かい技術を私は詰めていかなければいけないし、戦い方ももっと考えていかなければいけないかなと思いました。

神鳥 春関は不甲斐ない試合をしてしまって、そこからのインカレで春関から進歩はあったと思うし、試合内容としては、春関よりは良かったというのはあるけど、やはり本戦でベスト8、4と勝ち上がっていくためにはまだできることはあるかなと思います。

――神鳥選手はシングルスを振り返っていかがですか

神鳥 シングルスは、まず自分のシードを守ってベスト8までいけたことは、去年は16で終わったので比べたら良かったのです。それでも相手が第1シードだったというのもあって、自分より格上のなかで自分のテニスができない時にどういうテニスをしたら相手が嫌がるのかということを考えたり、もっといろいろなバリエーションを増やしていかないといけないなと思います。

――今回のダブルスのベスト16というのはどのような評価になりますか

前田 なんかどこを目指そうと話したわけでもなく、予選からですが1試合、1試合を勝とうという感じで、結果ベスト16でしたという感じです(笑)

――今後の試合に向けて意気込みをお願いします

前田 次の大会が8月30日からのリーグ戦だったのですが、それがあるかないかわからない状態で、インカレも今日で終わりということで、モチベーション的には難しいかもしれないですが、そこの判断が出るまではしっかりあると思って、みんなのために戦う準備をしたいと思います。

神鳥 ほとんど同じですが、リーグがあると思ってそこでベストなプレーをできるように、あとはリーグがあるとなると連戦でタフな戦いになってくると思いますが、そこで体と気持ちの部分で負けないようにそこの準備もしっかりしていきたいと思います。