昨年10月の悔しい敗戦から8カ月。無観客開催などのコロナ禍による影響はあったが、今年も早慶対抗試合(早慶戦)が無事に開催された。昨年の主力が抜け、今年は苦しい戦いが予想されていた女子部。実際、関東学生トーナメント(春関)では多くの選手が実力を発揮しきれず、最高位はベスト8と物足りない結果に。対照的に慶應の選手たちは好成績を残しており、早慶戦も慶應が優勢と思われた。しかし、実際はダブルスの2勝から始まり、シングルスでも3勝と逆襲。入学以来、早慶戦の勝利がなかった2、3年生のメンバーの活躍が光り、伝統の一戦を制した。
ダブルス1で勝利した前田(左)、吉岡組
団体戦の勝敗を大きく左右する1日目のダブルス。まず先陣を切ったのは昨年の早慶戦でもペアを組んだ、ダブルス2の石川琴実(社3=東京・白鵬女子)・神鳥舞(スポ2=東京・早実)組。相手は強敵、今田穂・佐藤南帆組だった。ファーストセットは中盤から落ち着いてラリーをつなぎ、タイブレークも7-3でセットを獲得。そこから流れに乗り、セカンドセットも一気に3ゲームを連取する。その後追いつかれるも、再び集中力を発揮して見事勝利。幸先の良いスタートを切った。 続いてダブルス1の前田優歩(スポ3=沖縄尚学)・吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)組が、先日の春関で準優勝した永田杏里・平田歩組と対戦した。試合は、序盤からストロークが冴えわたり、タイブレークも勢いに乗って奪取。しかし、セカンドセットは逆転で取られてしまう。そのまま相手の流れで試合は進み、ファイナルセットで今度は相手にマッチポイントまで迫られた。それでも「引くことなく自分たちから先にポーチに出たり、先にコースを変えたりして強気なプレーができた」(吉岡)と2人は強気でラケットを振り抜き、形勢逆転。一気に流れを引き寄せ、早稲田に大きな1勝を持ち帰った。これでダブルスは2-0とし、早稲田に有利な展開で2日目のシングルスに折り返した。
あと2勝すれば早稲田の勝ちが決まる2日目。しかし、相手は実績のある強者ぞろいである。その中でシングルスの1勝目をもたらしたのはシングルス4の安藤優希(スポ3=東京・日出)であった。春関シングルス準優勝の今田に対し、序盤から果敢に攻めファーストセットを6-1で獲得。セカンドセットは相手に先にリードを許すかたちになったが、それでも粘り強くくらいつく。そして、ゲームカウント3-5から追いつくと「自分が1ポイント、1ポイントを根気強く戦っていたのが最後に出てきた」(安藤)と体力的にきつくなった相手に対して攻めきり、タイブレークを制して勝利した。 あと1勝。この重要な場面でシングルス5に起用されたルーキー・渡邉優夢(社1=兵庫・相生学院)が勝負を決めた。序盤は思いきったプレーができず、ファーストセットを落とし、セカンドセットも1-4とされてしまう。しかしそこから粘り強く戦い、逆転。ファイナルセットは「みんなで戦っていたからいつも以上に我慢できた」(渡邉優)と応援やベンチコーチの力も借り、ロングラリーが続く緊張感あふれる展開を制す。ルーキーの活躍で、早稲田の勝利が確定した。 シングルス上位陣ではシングルス1の吉岡、シングルス2の神鳥は敗れてしまったものの、3番手の押川千夏(社3=福井・仁愛女子)が春関シングルス優勝者の永田を打ち破った。「前向きに思いきりプレーすることだけ」(押川)を意識していた押川は、序盤から集中してプレーし、試合を優位に進める。ファイナルセットでは、深く鋭いストロークで相手を苦しめ、甘く入った球を逃さず強打。6ゲームを連取するという圧巻のプレーで勝利を決めた。
早稲田の勝利を確定させた渡邉優
最終的なスコアは5-2。実に2018年の秋以来となる早慶戦の勝利であった。先日の春関では自分のプレーができず、引いてしまう選手が多かった。しかし、今回の早慶戦では、選手たちが思いきってプレーし、チーム一丸となって強大な宿敵を撃破。そこにはこれまでの王者・早稲田とは違うチャレンジャーとしての姿があった。杉田栞主将(社4=埼玉・山村学園)は「自分たちの力を証明できたと思いますし、今後の自信にもつながった」と今回の勝利に手応えを感じる。今の1~3年生のメンバーは全日本大学対抗王座決定試合(王座)での連覇を経験しておらず、団体戦での成功体験もあまりなかったが、この早慶戦でそれを得ることができた。この価値ある1勝を自信に変え、チャレンジャー・早稲田が王座奪還に挑む。
チーム一丸となって勝利をつかんだ
(記事 山床啓太 写真 早稲田大学庭球部提供)
結果
〇早大 5―2 慶大
▽女子ダブルス
D1〇 前田優歩・吉岡希紗 [7-6(1)、5-7、7-5] 永田杏里・平田歩
D2○ 石川琴実・神鳥舞 [7-6(3)、6-3] 今田穂・佐藤南帆
▽女子シングルス
S1● 吉岡希紗 [4-6、1-6] 佐藤南帆
S2● 神鳥舞 [2-6、3-6] 平田歩
S3○ 押川千夏 [6-2、5-7、6-1] 永田杏里
S4○ 安藤優希 [6-1、7-6(2)] 今田穂
S5○ 渡邉優夢 [4-6、7-5、6-2] 堤華蓮
コメント
杉田栞主将(社4=埼玉・山村学園)
――チームとして試合前にどのようなことを話していましたか
やはり今年は慶應が力をつけていて、春関でも優勝、準優勝、ベスト4とかに何人も残っていて、事前の予想としてはやはり慶應に分があるという声が多かったという状況でした。その中で私たちは王座も途絶えてしまっているという現状ですし、あとは早慶戦も3連敗してしまっているという状況でした。なのでもう私たちに失うものはないというような気持ちで、出場メンバーには、「チャレンジャーの気持ちで思いきって慶應にぶつかってきてください」というような言葉をかけ続けてきました。春関とかこれまでの時期では、女子部員がそうなのですが、真面目なので悩んでしまうというか、少しうまくいかなかったり試合で自分のプレーができなかったりして、結構思い悩んでしまう子が多かったので、そういうところで本当に初心に帰ってテニスを楽しむ、試合を楽しむといったことを練習から伝え続けて。それで早慶戦では、「チャレンジャーとして思いきり試合を楽しんできてください」というふうに伝えました。
――チームの雰囲気も前向きな感じで臨めましたか
そうですね。これまでは王者としてのプレッシャーというか、早稲田が絶対に勝たなければいけないというようなプレッシャーが、私たちも1年生の時から続いていました。ですが今の早稲田は違うかなと思っていて、やはり1人、1人がせっかく大学でテニスを続けている意味といったところで、これまでは苦しみながらやっていたのかなと振り返って思って。そういうのではなく、本当に楽しまなければテニスをやっている意味がないということを伝え続けてきたので、そういうところでみんなも「あ、確かにな」と思って、試合でも悪い取られ方をしたとしても、ポジティブに考えてくれました。私がしつこく伝え続けてきたのですが、「どんな時でも常にポジティブでいてね」とか「絶対にネガティブは禁止だからね」というように伝え続けました。
――1日目はダブルスで2勝することができましたが振り返って
どちらも接戦だったのですが、ここぞという時にすごく強気で戦ってくれたかなと思います。ダブルス2の石川・神鳥については、個人戦では組んでなくて昨年の早慶戦ぶりのペアリングだったのですが、早慶戦の舞台での経験があったというのが大きかったのかなと。2人が楽しんで強気に向かっていってくれたかなと思います。特に佐藤南帆選手という大学トップの選手が相手というところで、最初は緊張したのかなと思ったのですが、強敵に対して1ポイント、1ポイントを取ることがすごくうれしそうで。そういうところで最初はリードされていたのですが、そういった時でもベンチコーチの私に「これいけます!」みたいな感じでポジティブでした。なので本当に劣勢でも自分たちを信じて戦いぬいてくれていたという印象です。ダブルス1についてはこっちのマッチポイントをしのがれたり、相手のマッチポイントを2本しのいだりと本当にどっちに転ぶか分からなかったのですが、1面展開というのもあってチーム力が試されたような試合でした。相手にマッチポイントを握られた時も、チーム全体として誰一人諦めていた部員はいなかったのではないかと思うぐらい雰囲気が落ちなかったという印象があります。それを前田と吉岡はうまく力に変えてくれてポジティブに、元気に強気で戦ってくれたかなと思います。
――2日目は3~5番手が勝つことができましたが振り返って
最初の2面に安藤と渡邉優夢がシングルス4と5で入ってくれて、その2つを勝ちきってくれたのがチームの勝利につながったかなと思います。渡邉に関しては初めての早慶戦だったのですが、そんな風には思えないぐらい自分の持ち味を発揮してくれました。ファーストを取られてセカンドも1-4だったのですが、そこでも渡邉の持ち味である粘り強さで、ラリー中のどんな状況でも粘り強く打ち返して、打ち返してというプレーを本当に最後まで諦めずに貫き通してくれて。そうしたら、相手も苦しくなってきて最後はフィジカル面で相手が少し劣ってきて、渡邉が粘り強さで勝ちました。精神面での強さももちろんですし、日頃から培ってきたフィジカル面での強さも光っていたかなと思います。安藤については春関で負けていた選手なのですが、試合の前からすごく相手の分析をして、当たる可能性のある相手を予想して、自分が春関で当たった時に早慶戦でも当たる可能性があるだろうというところで、意識してやってくれていたと思います。そういう安藤の真面目さだったり、日頃から自分の立ち位置を理解してどういうプレーをしたら慶應の強い選手に勝てるのかというところをすごく考えて、日頃から練習してくれていたというのが、本番でも見えたかなと思っています。あとは私はベンチコーチに入っていたのですが、本当に泣いてしまうぐらい緊張していたのですが、その緊張を逆にプラスに変えてくれました。安藤が1本勝ってくれたら、早稲田の勝利に王手をかけられるというのを自分でも自覚していたので、本当に緊張していたのですが、その背負っているものを全て自分の底力に変えてくれたかなと。長いラリーが続いていたのですが、そういうところでみんなの思いも背負って戦ってくれたかなと思います。押川はファーストセットの途中で(早稲田の)勝利が確定したのですが、渡邉、安藤の試合をやっている中で早稲田が勢いづいているという雰囲気を押川自身も感じてくれて。押川は日頃からネガティブなタイプの選手なのですが、試合ではそれが一切なかったです。そういうチーム全体の雰囲気をしっかり感じ取ってくれて、自分はネガティブじゃだめだというところで、この雰囲気なら絶対やれると力に変えてくれた感じがします。相手は春関の優勝者でしたが、本当に強気でラケットを振りきって、どんな状況でも押川の持ち味である攻めのプレースタイルを貫いてくれたかなと思います。
――これまで団体戦の勝利があまりなかった中で今回の早慶戦の勝利というのは今後の自信にもつながってくると思いますが、その辺りはいかがでしょうか
みんなの自信にはつながったかなと思います。新体制になってから対抗戦とかもたくさんやっていたのですが、負けてしまうことも多くて。私たちが新体制になった時に王座奪還という目標を掲げてやっていたのですが、対抗戦とかをやっていく中で「この目標を言えるぐらいのチームなの」ってコーチにも言われていましたし、目標の再設定も必要なのではないかという厳しい声も言われました。そういう声も外部から言われてしまうほどなので、部員全員も気持ちが落ちてしまうというか自信を失ってしまっていたのですが、その逆境を今回はプラスに、「もう失うものはないぞ」と開き直ってやれたかなという感じがします。そういったところで勝利というかたちで終えることができたので、それは自分たちの力を証明できたと思いますし、今後の自信にもつながったかなと思っています。
――今後のチームとしての目標と意気込みをお願いします
やはり今後のチームの目標としては王座優勝というところを目指してやっていきたいと思います。早慶戦で勝ったということは私たちにとっては収穫なのですが、慶應にとっても新たにチームを引き締めなければいけないという、そういった機会になったと思います。なので本当に油断はできないです。やはり慶應も強い選手が揃っていますし、他大学も個人戦でトップにいるような選手が揃っているので、早稲田はそういった中で個人戦でも結果を出していきたいのはもちろんですが、今回のように1ポイント、1ポイントをチーム力で取っていけるように。そんなチーム早稲田を目指していきたいと思っているので、個々の成長ももちろんですが、今後もチームとしてどうあるべきか、どういうチームにしていくかというところを課題としてやっていきたいなと思っています。
前田優歩(社3=沖縄尚学)・吉岡希紗(スポ3=三重・四日市商)
――今回、早稲田が勝利することができましたが率直な感想は
吉岡 私たちが1年生で入った時の早慶戦から勝てていないという時間が続いていたので、今回初めて勝てたのは素直にうれしいなと思います。
前田 私たちが入学してから団体戦で勝つという経験が少なかったので、今回は強い慶應に5-2というスコアで勝つことができてとてもうれしかったです。
――1日目は1面展開で試合が進む中でダブルス2で勝利してからの試合でしたがどのような考えで試合に臨みましたか
吉岡 いつもは2面で隣でやっている試合の進み具合とかを気にしながらやっているのですが、今回は勝ってつなげてくれたということもあって、すごくいい雰囲気で試合に入ることができて、気持ち的にもハンデがある状態での試合だったのですごくやりやすかったです。それと隣で男子がやっていたので、元気の良さや盛り上がり方もいい方向に私たちの気持ちを持っていってくれたので良かったなと思います。
前田 ダブルス2が先に1本を持って帰ってきてくれて、気持ち的にもリラックスではないですけど、余裕を持って試合に入れたことが大きいかなと思います。あとは男子が隣で盛り上がっているので、それでいい影響をもらいながら自分たちの試合に集中することができたかなと思います。
――ファーストセットは互いに取り合ってからのタイブレークを制して取りましたが振り返って
吉岡 ファーストセットはいい緊張感の中で試合を進められて、ゲームも離されることも離すこともなく進んでいってしまったのですが、タイブレークに入ってからしっかり自分たちから動いて自分たちから取りにいこうというようにして、タイブレークも流れを1回も向こうに渡すことなくファーストを取りきれたので、そこはすごく良かったかなと思います。
前田 慶應のダブルス1に勝つには絶対ファーストは取って向こうに余裕を持たせないようにすることが大事だなと前日の夜から思っていたので、絶対にファーストを取りたいという気持ちがありました。そんなにこっちが悪いわけではなく、ファーストセットは最初、向こうのミスもあったので取れて良かったです。
――ファイナルセットは相手のマッチポイントをしのいで、逆転して取ることができましたが振り返って
吉岡 ファイナルセットの入りが良くなくて、集中力も切れてしまった状態になってしまって、1-3と3-5で離されてしまう場面があったのですが、その時に先を見すぎることなく目の前の1ポイント、1ポイントを集中しながらできたことで勝ちにつながったのではないかなと思います。それと相手のマッチポイントになってしまった場面でもこっちが引くことなく自分たちから先にポーチに出たり、先にコースを変えたりして強気なプレーができたので、そういうことを先に積極的にできたことが勝ちにつながったと思います。
前田 ファイナルセットは結構離されることも多くて1-3になったり2-4になったりしたのですが、そこをなんとか我慢しながらこっちはくらいついていって。最後は3-5になったのですが、逆にそこから自分たちはもうやるしかなくなったので、先に強気なプレーをしていって5-5にできました。5-5からあとは本当に気持ちの勝負だなと思ったので、技術とかよりも気持ちで引かないようにしようと思いながらやっていました。
――試合全体を通してのペアリングはいかがでしたか
吉岡 今までの試合で前田と組んだことがなくて、ペアが確定したのも2日前という直前だったのですが、ペアリング的には不安もなく相手を信用して試合に臨めていたので良かったと思います。
前田 本当に2日前に急に組みだして、でも別に違和感もなく練習もできて試合でも結果的にこういう感じで勝てて良かったなと思います。吉岡の強気なプレーに助けられながら2人で勝てて良かったです。
――試合全体を通してお互いのストロークが良かったと思うのですがこの辺りについてはいかがでしょうか
吉岡 前田もストロークが良くて、私が後ろで前田が前というかたちが一番のポイントパターンだったのですが、前田のストロークが良かった分、私も前で動きやすかったりしたので、前田のストロークにはすごく助けられた部分があります。
前田 私も試合が終わってから「あんなに打てるの」とみんなに言われたぐらいで(笑)。いつもはそんなに打たないのですが、ストロークが本当に良かったです。
――今後の試合に向けての抱負をお願いします
吉岡 次の試合がインカレで個人戦になりますが、この前の春関ではみんな勝たなければという気持ちでやってしまっていてあまり結果が出なくて。今回の早慶戦ではチャレンジャーの気持ちで向かっていくという姿勢で戦って、みんないいプレーができていたので、次のインカレでもチャレンジャーの気持ちを忘れずに思いきってプレーしたいです。そのあとにリーグがあるので団体戦に向けてのチームのことも考えながら練習していきたいなと思います。
前田 私も3年間、個人戦でなかなかいい結果を出せていない中で、勝敗はもちろん大事ですが、ベストを尽くせば結果はついてくるかなと思うので、インカレでは私は神鳥とのペアになるのですが、2人で思いきったプレーをしていきたいなと思います。団体戦は卒業するまで、個人でもチームでも負けたくないので頑張ります。
安藤優希(スポ3=東京・日出)
――ダブルスで2勝して迎えた試合でしたが、どのように試合に臨みましたか
2-0で流れが早稲田に来ている状態で、慶應のシングルスの上位群はすごくレベルが高いので、頑張って私が勝ってそのまま流れを早稲田に持って、上位の選手に回したいという気持ちで試合に臨みました。ですがその分すごくプレッシャーがあって、流れをつけたい気持ちが強いのですが、自分がそれをできるのかという不安な気持ちの方が大きくて。でもやれることをやることが自分の仕事なので、それを言い聞かせて試合に入りました。自分ができることを精一杯やろうと思っていました。
――相手が今田選手ということでどういったプレーをしようと思っていましたか
早慶戦の前のインカレ予選の大会で、今田さんとやって負けたばかりだったので、試合をやった今田さんのイメージは自分の中で感覚として残っていて、相手のプレースタイルはわかっていました。相手はすごく上手い選手なので、ミスとかを期待しても絶対にミスしてくれないので、まずはしっかり自分がミスしないことと、絶対に自分から攻めにいこうというのは意識していて。相手のミス待ちではなく、不安になった時でも絶対にラケットを振り抜いて、自分から点を取りにいこうという気持ちで試合に臨みました。
――ファーストセットは大きくリードして取ることができましたが振り返って
試合に入る前はすごく緊張していたのですが、3セットマッチを考えて出だしは足を動かすことと、多少ミスをしてもラケットを振り抜いて自分から展開することを意識してプレーしていたら結構ハマって、いい状態でプレーすることができました。いくつか勝負所の大事なポイントがあったのですが、そういうポイントでしっかりと自分から打つことができて、そうしたらスコアを離してファーストセットを取ることができました。やはり強気でいくことが大事だなと感じたセットでした。
――セカンドセットは相手も粘り強い中で取りきることができましたが振り返って
セカンドセットはずっと相手についていく方になってしまって、ファーストセットの流れが良かっただけに少し焦りはありました。ファーストセットのように思うようにはいかないだろうなと思っていたのですが、セカンドセットの序盤からリードされてしまって。このセットは正直危ないのではないかと思いながらやっていて、相手のセットポイントもあったのですが、そういう時に簡単にポイントを落とさなかったので、粘り強くできたという点に関してはすごく良かったと思います。ゲームを落とす時も簡単に落とすのではなく、ゲームの中で競って落としたり、ポイントも簡単にミスをして落とすのではなく、しっかりラリーして相手に簡単に取らせないというのが良くて。それでセカンドの最後の方に相手が体力的にきつくなってつりかけていて、自分が1ポイント、1ポイントを根気強く戦っていたのが最後に出てきたので、それが結果につながったところがすごく良かったなと思いました。
――試合全体を通して思いきりよくプレーできたという点に関してはいかがでしょうか
すごく緊張していたのですが、早慶戦の前から不安になることはわかっているし、慶應は強いので簡単に勝たせてくれないのはわかっていて。それでもそうなる状況をイメージして練習に打ち込んだりして、すごく準備して早慶戦の一戦に臨んだので、それが試合に出たと思います。緊張している中でもラケットを振れるように意識して練習していたのが、緊張した場面で出たり、こういう風になるだろうなと想定していたことが、実際にそういう場面になったりしたので、いろいろなことを想定しながらいい練習ができていたのが良かったと思います。
――そういった中で早稲田が勝利を収めることができましたが率直な感想は
正直、一人一人の戦力というか実力を見た時に慶應の選手の方が戦績を残しているので、そういう状況の中で今回、早稲田が慶應に5-2というスコアで勝てたのはすごく今後の早稲田にとって大きいことだったなと思います。どの選手もダブルスから強気で楽しんでプレーしていて、サポートの選手たちも一緒に戦ってくれるような感じで本当にチームが一体になっているというのを実感できた団体戦で。本当に次につながる団体戦で私自身もチームも勝てたことがうれしかったです。
――今後の試合に向けての目標と意気込みをお願いします
次の学生大会はインカレになりますが、自分の実力以上のものは出せないし、勝ちたい気持ちはありますが、勝つか負けるかは自分で決められることではないので、自分の実力を出しきれるようにしっかり準備してインカレに臨んで。早稲田の選手たちがインカレの上位にたくさん入って、いい流れでリーグにみんなで向かっていきたいと思います。
押川千夏(社3=福井・仁愛女子)
――早慶戦で勝利しました。率直な感想を教えてください
女子は3年ぶりの団体勝利なのですが、私たちの代が入学してから団体戦で勝つということが本当になくて。あまり勝つイメージというかそういうのを描くのが難しくて、苦しい時期が長かったのですが、今回の早慶戦は1人1人がチャレンジャーとして思いきり向かっていく姿勢で強気で戦えたのが本当に良かったなと。それだけ感じています。
――その中での勝利は今後の自信につながってきますか
これを自信に変えて、でも今回勝ったからどうというわけではなく、自分たちは向かっていくという姿勢を忘れずに、今後もリーグとかを戦っていければいいのかなと思います。
――相手は永田選手でしたが、どのようなことを考えて試合に臨みましたか
私は気持ちに波が出てしまって、ミスなどで一喜一憂してしまうタイプなので、ずっとポジティブに、ポジティブにということを周りに伝えてもらいながら練習をやっていました。本当にそこだけ意識して自分でも前向きに思いきりプレーすることだけを意識して、相手がどうとかではなく、自分の気持ちをうまくコントロールしてやれるように臨みました。
――ファーストセットを振り返って
ファーストは結構自分でも集中して、出だしの1ゲーム目から、自分から攻めていくプレーができていたのではないかなと。集中力が高かったなと思います。
――セカンドセットは惜しくも取られた後、ファイナルセットは6ゲーム連取で取ることができました。この最後のセットを振り返って
出だしの1ゲームでリードしていたところから取られてしまって、出だしはちょっと流れが悪かったのですが、そこから取りたいゲームをしっかりキープすることができて、ファーストみたいな集中力でファイナルも戦えたなというのがありました。後は逃げずに自分からしっかり攻撃することを続けていけたのが良かったなと思います。
――自分から攻めていけた要因はどこにありますか
今回の早慶戦の試合に入るにあたって、自分の中で前に入って攻撃していくというのを1つ、そういうように戦っていこうと思っていて。いつもなかなか勇気が出なくてあまりそういうプレーができていなかったのですが、応援がすごく力になって、それで後押ししてもらって勇気を出して攻められていたのかなと思います。
――今後の試合に向けての意気込みをお願いします
直近の学生大会はインカレなのですが、今回の試合内容とか試合結果をしっかり自信にして、いいところはそのまま今後も継続して。個人戦でもそれをしっかり発揮してインカレでも結果を出し、そのあとのリーグ、王座とずっと継続して続けていけるように、気持ちを切らさずにチームとしても個人としても頑張っていきたいなと思います。
渡邉優夢(社1=兵庫・相生学院)
――今回が初の早慶戦出場でしたが試合前の心境は
自分の前の試合がダブルスだったのですが、そのダブルスの先輩たちがすごくいい試合をしていい流れを持ってきてくれていたので、それに続こうという思いで入りました。
――その中で勝利することができましたが率直な感想は
勝ったのですが、試合の内容は4-6、1-4でリードされて負けかけていて、個人戦だったら諦めてやっていたかもしれないのですが、団体戦で応援の人たちとかベンチコーチに入ってくれた先輩がすごいプッシュしてくれました。自分の力というより全員の力で勝たせてもらったのかなという感じです。
――セカンドセット中盤から逆転ということで、やはりその応援などが大きかったですか
応援というか最後まで私がどんなに悪い時でも「まだいける、まだいける」とプッシュしてくださって、それで自分も「あ、まだ大丈夫なのかな」と思えて、ポジティブに考えられたのが良かったのかなと思います。
――最後のセットはロングラリーが続いて緊張感もあったと思いますが振り返って
前のセットまではどっちかというと自分のミスが多くてセットを取られてしまったという感じなので、できるだけミスを減らしてしぶとくいこうとは思っていました。それでもなかなか自分の理想の展開に持っていけなくて、苦しい展開だったのですが、最後まで我慢できたのも、みんなで戦っていたからいつも以上に我慢できたのかなと思います。
――渡邉選手の勝利で早慶戦の勝ちを決めることができましたが、この部分についてはいかがでしょうか
本当に自分の力というよりかはその前のダブルスとか隣でやっていた先輩が本当に頑張ってくれて、そのおかげで自分が決められたので本当に皆さんに感謝したいです。決められた時はすごくうれしかったです。
――今後の試合に向けての意気込みをお願いします
これからインカレとかリーグが始まってくると思うので、そこでもどんな形であれ自分が早稲田の王座優勝に貢献できるように、自分ができることを頑張りたいと思います。