全日本学生選手権(インカレ)2日目は男子シングルスの2回戦と女子ダブルスの1回戦が行われた。男子シングルスには17日の1回戦から勝ち上がってきた2選手とシードの4選手が、女子ダブルスには2組が出場した。男子シングルスでは6人中4人が3回戦へと駒を進め、女子ダブルスでは1組が初戦を突破。一方で、今日で敗退となった選手は全選手がファイナルセットの末に敗れる結果に。善戦するもあと1歩及ばなかった。
武藤は関西王者を相手に善戦した
武藤洸希(スポ3=東京・大成)は関西学生王者の田口涼太郎(近大)との一戦を迎えた。ファーストセットは互いにリターンゲームを取り合う展開に。ラリー中心に試合を組み立て、ミスをしないことに注力し、試合の主導権を握った。ゲームカウント5―3からタイブレークに持ち込まれたが、タイブレークを3―6の劣勢から逆転で取り、ファーストセットを獲得した。セカンドセットは徐々に相手のファーストサーブが決まるようになり、積極的に攻めてくる相手のプレーに押される展開に。2―6で落とし、試合はファイナルセットに突入した。4回戦までファイナルがスーパータイブレークで行われている今大会。流れが非常に重要となるが、この試合で先に勢いに乗ったのは相手だった。3―9とされてしまい、そこから7―9まで追い上げるも反撃及ばず、2回戦敗退となった。「100点に近いような形でできました」(武藤)と、関西学生王者に善戦した。次戦の関東学生選手権(夏関)に向けて手応えは十分だ。藤井颯大(スポ4=京都・同志社国際)は先日の関東学生トーナメント(春関)で敗れた佐々木健吾(慶大)と対戦。ファーストセットは序盤こそミスから流れに乗ることができなかったが、後半からはミスが少なくなった。7―5でファーストを奪い、続くセカンドセットは互いにサービスゲームをキープし合う。5―4で迎えたリターンゲーム。デュースの末、マッチポイントまで迫るも果敢に攻めてくる相手を前に、あと1本を決めきることができなかった。ファイナルセットに持ち込まれてしまうと、そこからは完全に相手の流れに。良いショットを打つも、それを相手が上回り、大きく差をつけられリベンジを果たすことはできなかった。春関でベスト8に入った木元(風哉前主将、社4=埼玉・早大本庄)、丹下将太(教2=東京・早実)、高畑里玖(社1=兵庫・相生学院)と、全日本選手権に出場した白石光(スポ2=千葉・秀明八千代)が順当に3回戦へと駒を進めた。
女子ダブルスでは、倉持美穂(商4=東京・早実)・松田望愛(文構2=東京・早実)組と安藤優希(スポ2=東京・日出)・押川千夏(社2=福井・仁愛女子)組が1回戦に出場。倉持・松田望組は序盤、相手の出方をうかがって引き気味になり、あまり良い動きができず、2―5とされてしまう。それでも相手の動きをつかんでから、普段の調子を取り戻していった。タイブレークでは序盤こそ引き離されてセットポイントを握られるも、そこから逆転。ファーストセットを取った。セカンドセットは中盤から決めにいった球を相手に取られてしまうなど決めきれなくなり、4―6で落とす。そしてファイナルセットは、積極的に仕掛けていくことができず。最後追い上げはしたが、差を取り戻すことはできず、5―10で敗れた。安藤・押川組はファーストセットを6―1で獲得。このまま一気にいくかと思われたが、セカンドセットは互いにキープしあう展開に。そのままタイブレークに持ち込まれ、セットポイントまでいかれてしまう。それでも「絶対このセットを取りきろうという強い気持ちがあった」(安藤)というように、そこから強気のプレーで逆転し、見事勝利した。
倉持・松田望組は不完全燃焼に終わった
今日の試合から見えてくることはスーパータイブレークの難しさだ。序盤にリードを許すと一気に流れが行ってしまい、短いポイントの中で取り戻すことが難しくなってしまう。実際、今日敗れてしまった選手たちは、ファイナルセット序盤でリードを許し、その差を取り戻せなかった。逆に言えば、序盤で流れに乗ることができれば、勝利に大きく近づく。コロナ禍の特殊なルールではあるが、うまく利用して勝利に結び付けていきたいところだ。
(記事、写真 大島悠希、山床啓太)
結果
男子シングルス
▽男子シングルス 2回戦
○木元風哉 [6-0、6-3] 伊南陽介(九大)
○白石光 [6-2、6-2] 川尻虎南(石川県立大)
○丹下将太 [6-0、6-1] 佐々木偉琉(福島大)
○高畑里玖 [6-3、6-0] 工藤颯人(亜大)
●藤井颯大 [6-4、5-7、1-10] 佐々木健吾(慶大)
●武藤洸希 [7-6(7)、2-6、7-10] 田口涼太郎(近大)
女子ダブルス
▽女子ダブルス 1回戦
○安藤優希・押川千夏 [6-1、7-6(6)] 柏倉葉月・佐藤真菜(東北学院大)
●倉持美穂・松田望愛 [7-6(7)、4-6、5-10] 今田穂・大川美佐(慶大)
コメント
武藤洸希(スポ3=東京・大成)
――今日の相手は関西学生王者でしたが、どのように試合を組み立てようと考えていましたか
戦ったことがない相手だったので、ラリーを中心に相手の弱点を見ていこうと考えていました。ラリーが良くて、主導権を握った状態でファーストゲームを進めてられて、セットを取ることができました。
――ファーストセットはブレークしあう展開が続きましたが
最初サーブの調子が悪く、悩んでいました。逆にリターンが良くて、相手のサービスゲームをブレークすることができました。サーブの精度を上げないといけないという課題を見つけることができました。
――相手のどの部分を狙っていこうと考えていましたか
相手は弱点があまりないタイプで、満遍なくできる選手でした。ミスが少ない選手だったので、相手を狙うよりも自分のプレーに気にしつつプレーしていました。自分がミスしないようにと。
――タイブレークは相手も粘り強くプレーされていましたが
ファーストセットのタイブレークは相手がいいプレーをしてきて、劣勢でした。最後3-6からまくることは良かったのですが。自分は特にプレースタイルを変えていなくて、相手が緊張した場面で堅いテニスをすることができたので、相手に助けられた部分はありました。
――セカンドセットは、相手のサーブの調子が徐々に上がっていましたが。武藤選手のプレーはどうでしたか
相手が守備型から攻撃型に変えてきて、それが相手にはハマっていました。攻撃型の方が相手は強くて、防戦一方になっていました。自分のプレースタイルを変えたかったのですが、相手の攻撃型のテニスを崩すことができなかったです。結局セカンドセットは相手のペースでいかれてしまいました。
――セカンドセットは前に出てくるプレーが相手は多かったですが、脅威に感じていましたか
そうですね。相手のバックハンドのクロスが鋭角にくるようになり、それを打たれるようになってから不利な展開が続きました。
――ファイナルセットは最後怒涛の追い上げを見せましたが、振り返ると
最後追い上げをできたのは追い付けるかなと思えるくらい勢いに乗れていたのですが、まず差を離れてしまったことが良くなかったです。少し焦りもあり、自分からのミスが多かったです。先にミスをしてしまったことが良くなかったです。最後は硬くできたのですが、気が付くのが遅かったです。
――試合を通して良かった部分については
自信が付きました。あと自分のプレースタイルが確立してきて。自分にはどのようなプレースタイルが合ってるか今回ので分かった感じなので、練習でもっと今よりも。まだミスが多いので、ミスを減らしつつチャンスで攻めることができるような。チャンスは攻めることができるようなプレースタイルにしていきたいです。
――インカレ全体を通して、自身のプレーを採点すると何点ですか
そうですね。100点に近いような形でできました。僕自身高校時代の方が今よりもテニスが強くて。全盛期のテニスに戻していきたいと考えているので、その点ではまだ8割くらいです。今できる限りのプレーはできています。
――夏関(関東学生選手権)が2月にありますが、意気込みをお願いします
夏関は優勝を狙えると思っていて。結構時間が空くので、できることをやって今よりもさらにレベルアップしていきたいです。
安藤優希(スポ2=東京・日出)
――今回のインカレではどのようなことを意識してますか
私はシングルス負けてしまったので、ダブルスしかないのでスッキリとした気持ちで集中することができています。シングルスの課題として気持ちが引いてしまう部分があるので、全体的に強く戦いたいなと。ミスを恐れずに強気のプレーをしたいなと思っていました。
――セカンドセットはお互いキープする展開となりましたが、どのようなことを考えて局面を打開しようとしましたか
取りたいゲームを取れなかったので、精神的にきつい時間が長かったです。とりあえず本当に我慢して。しんどくても付いていこうと思っていました。スコアを一気に離されることはなかったので、しぶとくじふとく。勝負どころで逆転できればいいなと思っていました。
――タイブレークを振り返ると
最初はリードできたのですが途中から巻き返されてしまいました。向こうのセットポイントが2本くらいあったのですが、その時に焦らず。絶対このセットを取りきろうと強い気持ちがあったので取りきることができました。
――明日以降の大会への意気込み
とにかく強気で臨めるように。明日1日調整日があるので、しっかりと練習して明後日勝ちたいと思います。
押川千夏(社2=福井・仁愛女子)
――初めて出場するインカレでしたが、その部分どうでしたか
私は普段から緊張するタイプなので、昨日もしっかりと緊張しました(笑)
――昨日から今日にかけて、心も体もリフレッシュすることはできましたか
そうですね。昨日負けたのは悔しかったのですが、まあしょうがないので。ダブルスに懸けようと思っていました。ケアもしていただいて、今日しっかり勝てるように準備しました。
――ファーストセット取った後はキープする展開が続きましたが、どのようなことを意識していましたか
春関の取材時にも言ったことなのですが最初から攻める意識がないと受け身になってしまうので、自分たちからいく意識でやりました。
――タイブレークではどのようなことを考えていましたか
相手のセットポイントがあって、4-6からだったのですが、そこは安藤(優希、スポ2=東京・日出)の強気に私は救われました。安藤のおかげです。
――明日以降への意気込みをお願いします
明日は試合がないのでしっかりとケアをして、体を整えて明後日に臨めるように準備していきたいです。
倉持美穂(商4=東京・早実)・松田望愛(文構2=東京・早実)
――相手は慶大のペアでしたがどのように試合に臨みましたか
倉持 自分たちのやることをやるだけだと思っていました。
――ファーストセットは2―5から追い付きましたが振り返って
倉持 そこまで相手の動きとかに離されていて、そこからだんだん分かってきたという感じでした。
松田望 最初は相手の動きが分からなかったので、こっちが様子を見てしまい。普通にやりすぎて簡単に取られてしまいました。そこからは相手があまり出てこないようなところも分かって、強気で行けたりこっちがサーブの時に抜かれていたのが、しっかりポーチに出られるようになったりして流れに乗っていけました。
――その後のタイブレークは、マッチポイントまでいかれた後に逆転することができました
倉持 一本一本流れで…。あまり覚えていないです(笑)。気付いたら取れていました。
松田望 思ったよりも考えすぎて。緊張というわけではなくて。最初の方は相手が急にポーチに出てきたりして流れがいったんですけど、自分たちのリターンが通りだしてからは良かったと思います。
――セカンドセットについてはいかがですか
倉持 セカンドの後半は流れが…。どんな感じだったっけ?
松田望 だんだんサービスゲームの時に。なんとなくストレートにしか打てなくて流れてきていたのが、向こうが割り切って体重を乗せてくるようになってからは一発では決まらなくなって、キャッチされるようになりました。3―2で一気に行きたかったんですけど、そこで自分たちよりも相手の方が変えてきました。
――ファイナルセットについては振り返えルト
倉持 10ポイントずっとリードされる形で、最後は結局5-10だったんですけど、もっと自分たちから仕掛けられたら良かったなと思います。
松田望 同じで自分たちから仕掛けるべきだったと思います。
――倉持さんはシングルスが続きます。そこに向けての意気込みをお願いします
倉持 目の前の1試合ずつ、1日ずつ頑張ります。
――松田さんは今後の大会に向けて意気込みをお願いします
松田望 今回はダブルスだけだったので、夏関(関東学生選手権)では単複どっちもできるように練習を頑張っていきたいと思います。