【連載】令和2年度庭球部不定期連載特集『決意』/全日本学生選手権前対談 第3回 倉持美穂×松田望愛

庭球男子

 第3回は倉持美穂(商4=東京・早実)と松田望愛(文構2=東京・早実)による早実女子対談。高校時代から約5年にも及ぶ2人の関係であるが、より一層お互いの絆を深めていったのは大学に入ってからの2年間であったそうだ。ペア結成歴が短いながらも、関東学生トーナメント(春関)では随所に良いプレーを見せていた。全日本学生選手権(インカレ)での活躍が楽しみなお二人に、様々なお話を伺った!

※この取材は11月10日に行われたものです。

母校・早実

春関では息の合ったプレーを見せた

――お二人は早実の先輩と後輩という関係ですが、まずは他己紹介をしてもらっても宜しいですか

松田望 私が美穂さんの紹介をするってことですよね。え〜、そうですね〜(笑)

倉持 他己紹介って初めて(笑)

松田望 私が1年生の時に3年生で早実のエースだったので、先輩と後輩という関係よりも憧れの感情が強かったです。多分高校の時はほとんど話したことがなかったです…。3カ月くらいしか被ってなくて。

倉持 部活も週一だったしね。

松田望 ほぼ関わりがなかったから、完璧な人というイメージが高校の時はありました。大学に入ってから毎日接するようになっていい意味で身近に。意外と天然な(笑)

倉持 言われます。ボケてます(笑)

松田望 天然なところがあったりとか。もちろんストイックな部分はそのままで。高校の時は、部活として厳しかったので、今みたいな笑顔とかも見たことなく。大学に入って知る倉持さんが全て新鮮だったし、いい意味ですごい接しやすいというか。大学に入って深く関わるようになって、倉持さんのテニス以外の部分を触れて、さらに尊敬の気持ちが強くなりました。尊敬できる部分は今も昔も変わらなく、自分にとって憧れなのはずっと変わらないです。

倉持 望愛が高1の時、私は高3でインターハイ(高校総体)までの時期しかいなく。3、4カ月で引退するので本当に短く。大学に入ってからの、私が大3で望愛が大1からの2年間の方が長かったです。1個下に早実の後輩がいなかったので、望愛が庭球部に入ると決めた時にすごいうれしくて、入ってくれるんだというのが。後輩がそのまま大学の庭球部に入ってくれるのがうれしかったです。望愛は頑張り屋さんだけど、結構ドジな部分もあって望愛を見ていると和むというか(笑)。大丈夫?みたいなことが結構多くて。本当に可愛い後輩だなと思っています。

――早実、早大を選んだ決め手とは

倉持 高校の団体戦と。あと大学でも庭球部に入りたいなと思っていたので、そのまま早稲田の系列で入れると知っていたので。早実の部活の団体戦の雰囲気がすごいなと思ったのと、あとは学校の文化祭に行った時にクオリティーというか。早実生たちの作品がすごくて。すごい人たちがいっぱいいるんだなと感じ、そういう人たちと高校を過ごして、テニスも頑張りたいなと思ったのが早実を選んだ決め手です。

松田望 距離的に家から通いやすかったのもあるのですが。中学生の時に王座(全日本大学対抗王座決定試合)をコーチに連れていかれて見に行った時にすごい感動して。山学との決勝だったのですが、ジュニアの時は応援の凄さを知らなくて、初めて選手と応援が一体となって勝利を勝ち取るところを見て、それに感動して早稲田に入りたいと思ったのがきっかけです。その時は大学までテニスをやる気はなく、早稲田の精神を受け継いでる学校は早実しかないなと思い、決めました。日本一を目指す組織のすごさを実際に目の当たりにして、そこのパワーやエネルギーを自分も経験したいと思い、早実に入ることを決めました。

――早実から早稲田に進むことを決めたのは

倉持 私は入る前から決めてました。

松田望 私は3月の終わりまで決めていなく。私のイメージ的には、(早稲田の庭球部は早実で)美穂さんのようにシングルス1でやっていた人が入る場所だと思っていたので。自分は戦績も残っていなかったので、自分なんかが入れる場所じゃないという思いも強かったのですが、その時の主務だった早実出身の大石(令2文卒=東京・早実)さんから。高校の時に日本一になれなかったことは後悔として自分の中にあって、そこでどんな形でもいいから日本一の組織に貢献したい。最後もう一回そういう場所にチャレンジしたい気持ちでした。最初はマネージャー志望というか、プレーヤーとして入るつもりはなかったのですが、元監督の嶋﨑(徹夫、平元商卒=神奈川・桐蔭学園)さんからの後押しもあり、もう一回最後大学ラストチャンスで頑張ってみようかなと思ったのが3月の終わりでした。

――母校の早実が団体で去年優勝しましたが、そのニュースを聞いてどのようなことを思いましたか

倉持 おめでとうという気持ちと。後輩の皆が頑張っているのがうれしかったです。

松田望 家のパソコンを3台くらいつないで、インハイTVを見ていました。決勝の途中で用事があったので、最後のポイントとかもスマホで見ていたのですが、本当にうれしかったです。自分たちの後輩が、神鳥(舞、スポ1=東京・早実)が主将の代で素直にうれしかったですね。

「悔しさは夏関東以降にぶつける」(松田望)

――コロナで大会がなくなった期間がありましたが、自粛期間はどのように過ごしましたか

倉持 コロナで練習してはいけないとなり、家でできることというか。それこそトレーニングをしたり、部員同士でコミュニケーションを取るためにZOOMを使って話したり。オンコートでできない分、コート外でできることを探してやっていました。

松田望 美穂さんも話してくれたのですが、今の4年生の代が積極的にZOOM やLineを使ってコミュニケーションを取る場をつくってくださりました。部活はなかったけど、皆とつながっている時間はちゃんと確保されていたので、コロナでいろいろと制限された状況ではあったのですが、その部分はやれることをチーム全体としてできたのではないかと思います。

――今年、シーズン当初はどのような目標を掲げていましたか

倉持 試合がちゃんとあるか分からない中で、ある時のためにいい結果を残したいなと思っていました。団体戦でも個人戦でも勝つことを目指してやっていました。それは今もやっています!

松田望 去年単複両方ともインカレ予選で負けていて、今回はコロナのこともあって本戦だけしかない状況だったので、単複両方とも本戦に行かないといけないという状況でした。シングルスは終わってしまったので、その悔しさは夏関(関東学生選手権)以降にぶつけます。今回のインカレはダブルスでいけるとこまで。一戦一戦目の前の試合に集中して、その先にいい結果が出るのではないかと思います。

――これまでの大学で残してきた結果について、どのように感じますか

松田望 正直1年生の時はテニスを半年くらいやめ、復帰してインカレに出れたので正直自分の予想以上の結果でした。今年に関して言えば、自分の納得いく結果ではないです。ダブルスのベスト8という結果は、ここで組んでいた期間も短かったので他の組み慣れたペア相手に戦い抜けたのはすごい自信になりました。

倉持 特に去年は勝ちたいと思った試合で勝ち切れない自分がいて、勝負の世界で勝つことの難しさ、大変さを痛感した一年でした。いい時もあったし、けがや体調不良になった時もありました。いい時ばかりではなかったですけど少しずつ前進はしているかなと思います。

――コロナが少しずつ落ち着いてきた段階で早慶戦(早慶対抗試合)が設けられましたが、戦いを振り返ると

松田望 私は早慶交流試合に単複出ました。本音を言えばどちらも勝ちたかった試合ではあったのですが。4年生が相手で、向こうの方が最後勝ちたい気持ち、最後の団体戦ということで気持ちで上回れた部分が正直ありました。そこは敵ではありますが、自分も学ばないといけない部分だなと思いました。慶應はライバルの関係ということで、いい刺激にもなりました。真似をするとかではなく手本にしないといけない、いい学校だなと。上からみたいな言い方にはなってしまいましたが、そのように思いました。

倉持 早慶戦は結果として負けてはしまったのですが、あの一戦から学んだことも多くて。あの試合があって、自分に足りない部分が分かるいい経験でした。今年試合ができるか分かっていなかった中で、経験できて、まずは良かったなと。もっとこうできたら良かったなというところと。来年王座を優勝してほしいなと思いました。

――あと2年ありますが、団体戦出場への思いについて

松田望 自分が頑張っているからには選手として出たい気持ちがあるので、単複に拘らず。自分はどちらも頑張っていかないといけないと思います。今はまだメンバーに選ばれたこともないので、まずはメンバーに入る。今まで出た選手を上回ってく努力をしないといけないのかなと。私のようなポジションの選手が、もっと気持ちを出していくことで、チーム全体の雰囲気につながると思います。チームのためにも頑張らないといけないなと考えています。

「いい試合内容ですることができた」(倉持)

倉持は学生大会で初の栄冠に

――春関について、まずはシングルスのプレーを振り返ると

松田望 シングルスは技術的な部分というよりも気持ち的な部分でうまくいかないことが多かったです。最後まで自分のプレーに向き合えていなかったので、結果を出したい部分と自分のプレーのバランスがうまく取れずに勝てなかったです。次のシングルスに向け、自分で分析して向かっていきたいなと思います。

倉持 今年公式戦が少なく、久しぶりの学生大会ということもあり、どのような感じになるんだろうという部分があったのですが。大学を卒業してからもテニスを続けるので、春関もインカレも結果を残したいと思っていました。練習でやってきたことを、いろいろと試し、インカレに向けて春関でいい試合内容ですることができて良かったです。一戦一戦勝ちにこだわってプレーすることはできていたので今回このような結果が出たのかなと思います。

――春関シングルスで優勝したことによる反響はありましたか

倉持 おめでとうと言ってもらえて、すごくうれしかったです!

――松田さんもツイート上げた瞬間に反応していましたが

倉持 あはは(笑)

松田望 (笑)。広報なので、気にしていましたー!(笑)

――ダブルスでペアを組むことになったのは

倉持 コーチが最終的に決めてくださったので、私は何も関わってないです(笑)

松田望 私はいい意味でまじかと(笑)

――組むことを知らされた瞬間、どのようなこと思いましたか

松田望 憧れの先輩だったので。正直組めたことに満足ではないですがなんと言うか。高1の自分からすれば、想像が付かないことだったので、組めたことが素直にうれしかったですね。

――春関でペアを組んでどうでしたか

松田望 強い選手と組むことができ。シングルスでうまくいってない部分で引きずっていたので、倉持さんの強気のプレーを見て頑張らないといけないなと思いました。大会を通して引っ張ってもらった感じです。

倉持 ダブルスは本当に楽しいです(笑)。シングルスの後にダブルスなので。シングルスで固くなった後に、ダブルスでほぐれるみたいなことが結構多くて、楽しんでプレーできていたかなと思います。

――試合中は笑顔が結構多かったですね

倉持 楽しんでやるのが調子出るというか、体もリラックスできて。声を出しながらプレーする方が乗ってくるというか。そういう風にやろうと思っています。

松田望 最初のインカレ決めとかガチガチに緊張していたのですが、倉持さんの方が楽しんでいこうという感じで来てくださったので緊張している場合じゃないなあと(笑)。引っ張ってくれる感じで接してくれたのは分かったので、だからこそ緊張ばかりしては駄目だなという部分がありました。最後はインカレ決めの後半とかも楽しんでやろうと思っていました。そこからはダブルスが楽しかったです!

倉持 緊張するのは誰でも当たり前だし、私も緊張するのですが。楽しんでプレーしている中で試合が終わることが結構あるので、そういうのがベストかなと思います。

――負けた試合ではありますが、自分が見た中では同士討ちが一番いいプレーができているように見えましたが

倉持 試合を重ねるにつれて良くなっていき、ペアとしてここに打てばこうなるというのが分かってきました。それが増えたのが一番の印象でした。準々決勝もチャンスはあるなと思っていました。結果的に負けたことは足りなかったことで、良かった部分と足りなかった部分が最後の試合では分かりましたね。

松田望 相手の組んでいる期間が長くて、早稲田のダブルス1の選手であることは分かっていたので、コーチ陣からもリスク承知で向かっていかないといけないことは分かってました。下地(奈緒、社4=沖縄尚学)さんの取材でリスクしょいすぎってダメだしを言われましたけど(笑)。反省ではありますが、その点は自分たちの中で一つ収穫でした。そこを徹底することができていれば、もっと勝負できた感覚はありました。ダブルスっぽいダブルスではないので、そういう意味では自分たちの戦い方が見えた試合でした。

――インカレを見据えて、一番大きな収穫とは

倉持 なんだろうね、試合数できたことかな。団体戦もあったので、春関までの練習が一週間しかなく。ペアで試合することができたのは良かったです。今回はインカレが近いので、春関からインカレに短い期間でいけるのはいいなと思います。

松田望 組み慣れたのが一番の収穫です。どういうショットがペアに合ってるのを、作戦をつくれるようになったのが収穫です。

――インカレに向けて、どのような部分を詰めていきますか

倉持 単複、一戦一戦勝ちにこだわれば、結果が付いてくると思うので。学生最後の大会になるので、楽しんで頑張りたいなと思います。

松田望 1週間という短い準備期間の中ですけど。今からダブルスの技術を上げるというよりかは、二人に合ったプレーを伸ばしていく。弱点を補うよりかは、強みを伸ばしていきます。ちゃんと自分の課題を詰めて、本番で出せたらなと思います。

――インカレではどのようなプレーがしたいですか

倉持 強気なプレーです!

松田望 私も強気なプレーでいきたいです!倉持さんはラストの学生大会になると思うので、楽しかったと思える試合を。私も楽しかったし、そう思ってもらえるようなプレーを見せたと思います。

――最後に目標と意気込みをお願いします

倉持 インカレ優勝です!頑張ります!

――単複で宜しいですか

倉持 はい!

――松田さんもお願いします

松田望 早実から変わらず。早実でも優勝目指してきたので、複優勝でお願いします!

――ありがとうございました!

(取材・編集 大島悠希)

◆倉持美穂(くらもち・みほ)

1998(平10)年6月9日生まれ。東京・早実高出身。商学部4年。

◆松田望愛(まつだ・のあ)

2000(平12)年7月1日生まれのO型。東京・早実高出身。文化構想学部2年