関東学生トーナメントは大会3日目に。この日はシングルスの2回戦が行われた。選手たちにとっては試合に勝利すると全日本学生選手権(インカレ)本戦出場が決まる大事な試合。男子は10選手が、女子は11選手が出場した。男子は6選手が敗れてしまったが、女子は11選手中8選手が勝利するなど、『早稲田の女子強し』を印象づけさせる結果となった。
バックハンドを打つ池田朋
この日男子は慶大の選手との試合が3試合組まれた。その中で最も実力が拮抗していたのが、池田朋弥(スポ=愛知・誉)と藤原智也のルーキー対決。藤原は高校3年時にタイトルを総なめし、先日の早慶対抗試合でもシングルス3で出場していた実力者である。「風もありトスが乱れてしまった」と大宮けんぽ特有の風に悩まされた池田朋は、持ち味のサーブから流れを掴むことができず。自身の苦手とする展開に持ち込まれた。「大事な場面では藤原が落ち着いていました」と語る通り、勝つことに慣れている相手にゲームを通してコントロールされる格好となった。木元風哉前主将(社4=埼玉・早大本庄)、藤井颯大(スポ4=京都・同志社国際)、丹下将太(教2=東京・早実)、高畑里玖(社1=兵庫・相生学院)と団体戦シングルスでレギュラー格の選手が順当に勝ち上がった一方で、それ以外の選手は軒並み敗退した。
充実の結果となった女子シングルスは6選手がストレート勝ち。特に吉岡希紗(スポ2=三重・四日市商)は相手に1セットしか与えないなど、実力を遺憾なく発揮した。優勝候補の名に恥じぬ、見事な戦いを見せた。チームの中心になりつつある2年生代では、他にも石川琴美(社2=東京・白鵬女子)、押川千夏(社2=福井・仁愛女子)がストレート。渡邉早和子(社2=愛媛・新田)もファイナルセットまで及ぶ熱戦の末に勝利したが、安藤優希(スポ2=東京・日出)は惜しくも敗退した。実力者を相手に安藤は粘り強くラリーを展開していたが、勝負どころで相手に競り負けてしまった。明暗が分かれてしまったのは3年生。田中李佳(スポ3=兵庫・相生学院)は勝利を収めたものの、けがの影響もあり思うようなプレーを披露できなかった松本妃那(スポ3=福岡・柳川)と加藤梨々子(スポ3=山口・野田学園)は敗れてしまった。
圧巻のプレーを見せた吉岡
多くの選手がインカレ本戦出場を決めたが、2回戦で敗れてしまった選手たちにもまだインカレ出場のチャンスは残っている。男子シングルスは残り4枠、女子シングルスは残り5枠を巡って、インカレ決めコンソレーションが行われるのだ。「自分のテニスをして、なんとかインカレに行けるようにしたい」(武藤)。この日敗れた選手は気持ちを切り替えて是非とも挽回をして欲しいところだ。
(記事 大島悠希、写真 渡邉彩織)
結果
男子シングルス
▽2回戦
○木元風哉 [6-2、6-3] 川島颯(慶大)
○藤井颯大 [6-2、6-3] 保坂駿太(立大)
○丹下将太 [6-3、6-2] 赤西大樹(慶大)
○高畑里玖 [6-1、6-4] 太田空(法大)
●畠山尚 [0-6、3-6] 中川舜祐(法大)
●武藤洸希 [4-6、4-6] 荻野颯太(青学大)
●小久保蓮 [6-4、4-6、8-10] 中村悠人(日大)
●小林大修 [3-6、3-6] 田中瑛士(明大)
●池田朋弥 [1-6、4-6] 藤原智也(慶大)
●藤岡凌大 [5-7、6-4、5-10] 清水圭吾(亜大)
女子シングルス
▽2回戦
○下地奈緒 [3-6、6-1、10-6] 渡辺寧々(山学大)
○倉持美穂 [6-3、7-5] 原田真実子(山学大)
○田中李佳 [6-1、6-4] 芝田詩歩(山学大)
○石川琴実 [6-0、6-3] 猪俣莉々花(山学大)
○押川千夏 [6-0、6-2] 竹本萌乃(明大)
○吉岡希紗 [6−0、6-1] 福室有那(亜大)
○渡邉早和子 [6-1、6(3)-7、10-5] 浅野汐香(立大)
○神鳥舞 [6-1、6-4] 小松茉莉奈(法大)
●加藤梨々子 [3-6、2-6] 吉田百花(明大)
●松本妃那 [7(2)-6、2-6、7-10] 吉川ひかる(亜大)
●安藤優希 [6(4)-7、3-6] 黒須万里奈(慶大)
コメント
畠山尚主将(スポ3=神奈川・湘南工大付)
――対戦相手は格上の選手だったと思うのですが、試合の入りはどうでしたか
2次予選からシングルス1回戦まで調子は良くて、今まで本戦に上がったことがなかったので、本戦に上がれて良かったと思っていました。今日の相手は今までの相手とはレベルが違って、ラリーをさせてもらえなかったです。常に相手のペースで試合が進んでしまった感じでした。入りとしてはサーブゲームをキープできなかったのが痛かったです。
――セカンドセットを振り返ると
相手の球にも慣れてきて、少しずつラリーをすることができていました。要所要所で相手のショットが上回り、セカンドセットもサービスのキープに苦しんで、相手のサーブの時になかなか攻撃することができなかったです。
――セカンドセットはファーストセットに比べると声が出ているように感じましたが
単純にポイントを取れる確率が上がってきて、それで必然的に声が出せるようになったのと。何かしようと思って声を出してプレーをしました。
――ダブルスが残っていますがそこに向けた意気込みを
まだシングルスもコンソレーションがあり、4人だけ上がることができるので、厳しいですがシングルスも頑張ろうかなと思っています。ダブルスは第3〜4シードに入り、去年とは全く違う立場で臨むので、優勝を目指して一戦一戦頑張っていきたいです。
――主将に就任されましたが、来年度への意気込みを
来年は王座が開催されることを願って、王座16連覇に向けてテニスもですが、チーム力を上げて目標を達成できるように頑張っていきたいと思います。
武藤洸希(スポ3=東京・大成)
――今日の試合を振り返って
相手はシード選手だったのですが、ジュニアの頃から知っている相手でした。自分的にも相手はシード選手なのですが、実力的には自分の方が上なのを分かって臨んだ試合でした。最初のアップから調子が悪いことを分かっていて、調子が悪い中でもいろいろとしたのですが、結局4-6、4-6のストレート負けをしてしまい、もう少しできたのかなと思います。
――ファーストセットを振り返ると
調子が悪い状態で何をすればいいのか分かっていなくて、いきなり0-4までいってしまいました。そこから3-4までは折り返したのですが、普通に落としてしまい。セカンドは4-1までいったのですが、今度は相手が対応してきて。相手に対応された時にずっと同じことを繰り返して結局4-6になってしまいました。焦りもあったのですが、うまく自分のテニスができなかったです。
――流れを掴めなかった一番の要因は
一番得意なバックハンドが全然普段と違くて。普段通りの攻め方ができない状態で戦うのが攻め手にも欠けますし、カウンターができなかったのでずっと苦しい展開が続いていました。
――今度に向けて磨いていきたいところは
緊張した場面で普段の力が出ない場面はきっとあると思うので、その中でどんな相手にも勝てるようにしないといけないと思います。
――コンソレーションに向けた意気込みをお願いします
1個目が早稲田対決になると思い、次もそうなると思うのですが。ここまで自分のテニスができなかった分、インカレ決めの試合では自分のテニスをして、なんとかインカレに行けるようにしたいと思います。
池田朋弥(スポ1=愛知・誉)
――シングルスのドローが決まった瞬間どのようなことを感じましたか
早慶戦でも優之介(田中前副将、スポ4=埼玉・秀明英光)さんには負けていたのですが、慶應のシングルス3で出場しており。一番最近やった試合でも負けてはいたのですが楽しもうという気持ちを持ちました。
――自身のプレーを振り返ると
ファーストセットは消極的になってしまい藤原のラリー力に押されてしまったのですが、セカンドセットは自分もファーストセットよりは取っていこうという気持ちでした。自分なりに前入ってやっていたのですが、それでも大事な場面では藤原が落ち着いていましたし、そういう部分でまだまだ差があるのかなと思いました。
――試合はバックでの撃ち合いが多かったと思うのですが
僕がバックハンドの方が下手であることについては相手も知っていたと思うので、最初からそこを狙ってくると分かっていたのですが、精度や威力でも藤原の威力が上回っていたのかなと思います。
――今日は自慢のサーブがあまり見られなかったですが
風もありトスが乱れてしまったこともあり、サーブが入らなかったです。ファーストセットはダブルフォルトが多かったので、セカンドセットは風を利用して狙おうとしたのですが、それだけではサーブのフリーポイントがないので。
――シングルスはコンソレーションがありますが
シングルスではインカレ決めの試合があると思うので、3回勝ったらいけるので。3試合はかなりタフだと思うのですが、しっかり3つ勝っていきたいと思います。
――ダブルスの意気込みをお願いします
シードは付いているのですが。まだ1年生ですし、高畑(里玖、社1=兵庫・相生学院)と一緒に元気よくプレーをして。ダブルスは優勝を目指していきたいと思います。
松本妃那(スポ3=福岡・柳川)
――ダブルス、シングルスともに敗退という結果になりましたが、率直なお気持ちは
けがでいつも通りのプレーは全然できなくて、痛いなりに最後までプレーできたのかなと思います。
――ダブルスを振り返ってみていかがですか
同期の田中(李佳、スポ3=兵庫・相生学院)と組んだのですが、出だしは結構良くて、中盤くらいから相手も上げてきた中で、お互いにいいプレーをしていたと思います。あと一歩のところで相手の方が強かったのかなと思います。
――ダブルスで敗退してからの気持ちの切り替えは
ダブルスでは敗退しましたが、シングルスではインカレ(全日本学生選手権)に行くという気持ちですぐ切り替えはできました。
――シングルスでのご自身の調子はいかがでしたか
過去一悪かったです。コートに立てただけまだ良かったのかなと思います。
――やはりけがの影響が大きかったですか
そうですね。
――第1セットを振り返ってみていかがですか
痛いなりに試行錯誤して、相手のミスを誘い出すことができたのですが、やっぱりファーストセットの終わりやセカンドセットでは痛みが強くて、いいプレーが全然できなかったなと思います。
――セカンドセットを落としてしまいましたが、課題だと感じた点は
普通にプレーができていたら大丈夫だったのだと思うのですが、やっぱり今のけがを治さないとですね。
――来年度から主将に決まっていますが、そこに向けての目標や意気込みをお願いします
今年は王座(全日本大学対抗王座決定試合)奪還というチームの目標があるので、それに向かって達成できるように、主将としてチームを引っ張って、責任ある行動をしっかりととっていきたいなと思います。
安藤優希(スポ2=東京・日出)
――対戦相手は慶大の選手でしたが、ドローが決まった際の印象について
1回戦から上がってくる2人の選手は、どっちもいい選手で。黒須さんとはジュニアの頃から対戦して勝ったり負けたりだったので、厳しいドローだから頑張ろうなとは思いました。
――今日のプレーを振り返ると
全然いいプレーができなかったです。ショットの感覚は悪くなかったのですが、気持ちが引いてしまいました。
――ファーストセットは接戦でしたが、振り返えると
出だしで0−3から取られてしまい相手に離されてしまいました。風が吹いていて、相手の方が打ってくるタイプなので。自分はいつも通りにはやっていたのですが、相手がうまくプレーしてきました。セカンドセットは風上と風下でプレーを変えようと思いやったら、追い付くことができました。最後セットを取れなかったのは、相手の方が思いっきりきていて、勝負どころで相手に打たれてしまった結果負けました。
――インカレ決めに向けての意気込みをお願いします
1回負けても試合が続くことに気持ちは付いていかない部分はあります。気持ちを切り替えて、しっかりと勝ち切れるように準備をしていきたいと思います。
――ダブルスに向けた意気込みをお願いします
次の相手もすごい強いのですが、相手じゃなくて自分たちがいいプレーをして、そしたら結果が付いてくると思います。今日のように引いてプレーするのではなく、自分たちのプレーをしていきたいと思います。