三菱全日本選手権も佳境を迎えた。本戦第7日のこの日、島袋将(スポ4=三重・四日市工)は男子シングルス準々決勝に出場。また早大OB勢も多くが勝ち上がっており、今井慎太郎(平28スポ卒=現イカイ)、松﨑勇太郎(平29スポ卒=現イカイ)、片山翔(平24スポ卒=現伊予銀行)がそれぞれ男子ダブルス準決勝へ、前年度主将の坂井勇仁(平31スポ卒=現伊予銀行)は混合ダブルスの決勝へと臨んだ。
★島袋がフルセットの激闘を制しベスト4へ!
ベスト4進出を決めた島袋
3回戦でOBの片山をストレートで下していた島袋は準々決勝で田沼諒太(ワールド航空サービス)と対戦。「出だしからすごい良くて、自分のテニスができた」(島袋)と序盤から得意のサーブを軸に攻め立てる。田沼のミスもあり第6ゲームにブレークすると、その後は要所でのパッシングショットやサービスエースも光り、6−3でファーストセットを先取した。しかし、セカンドセットに入ると、「相手も意地を見せてきた。自分のプレーは悪くなかったが、相手のペースに付いていけなかった」(島袋)とカウント2−2から4ゲームを立て続けに奪われ、セットカウントをイーブンに戻された。
迎えた勝負のファイナルセット。「相手のサービスゲームから始まったので、リターンから1球でも多く返すということを意識した」(島袋)。その言葉通り、第1ゲームに0−30から粘りを見せ、ブレークに成功し主導権をにぎる。セカンドセットには確率が悪かったファーストサーブも改善を見せ、手堅くキープを続けると第7ゲームに再びブレークし突き放しに成功。その後の追い上げも振り切り、フルセットの激闘を制した島袋がベスト4進出を決めた。
この日の勝利で目標に掲げる全日本選手権優勝まであと二つと迫った島袋。「一戦一戦戦うだけなので、先を見すぎずに。次もタフな試合になると思うんですけど、しっかりと準備して万全の状態で戦いたい。学生テニスでもプロで通用するんだということを僕が証明したい」と意気込んだ。島袋は準決勝で第3シードの清水悠太(三菱電機)と対戦する。
★今井と松﨑がダブルス準決勝で激突。坂井・森崎組は混合ダブルス2位に入賞(OB編)
健闘を称え合う今井(右)と松﨑
湘南工科大付高からの戦友であり、早大時代にはともに主力として活躍した今井と松﨑が男子ダブルスベスト4で激突した。第1シードの今井・仁木拓人(三菱電機)組とノーシードからの勝ち上がった松﨑・小野田賢(プロ・フリー)組の対戦は序盤から拮抗(きっこう)した展開が続く。ハイレベルなコンビプレーが飛び交う中、セット後半にブレークアップに成功し、今井・仁木組がファーストセットを先取した。セカンドセットに入ると今井・仁木組がサーブを軸に優勢を保ち、7-5、6-2のストレート勝ちで決勝へ進出。今井と松﨑は試合後、笑顔で健闘を称え合った。
混合ダブルス決勝へと臨んだ坂井・森崎可南子(橋本総業ホールディングス)。ここまで初戦の島袋・柴原瑛菜(橋本総業ホールディングス)組、準決勝の片山・澤柳璃子(リンクス・エステート)組をそれぞれ10ポイントのスーパータイブレークの末に制し決勝へと駒を進めていた。決勝の相手は前日の準決勝で田中優之介副将(スポ3=埼玉・秀明英光)・清水映里主将(スポ3=埼玉・山村学園)をストレートで下していた清水悠太(三菱電機)・小堀桃子(橋本総業ホールディングス)組となった。
ファーストセットは一進一退の展開が続いた。坂井の磨きがかかったサーブもあり、両組にサービスキープを続けたが、カウント5-6迎えた森崎のサービスをブレークされこのセットを献上。セカンドセットは森崎のネットプレーも光り、先にブレークに成功したものの、続くゲームでブレークバックを許す。その後も二度のブレークチャンスを凌がれるなど要所を取り切れず。カウント4-5から再びブレークを奪われ、ストレートでの敗戦となった。惜しくも全日本タイトルを逃した坂井だが、早大卒業後も大舞台で躍動する姿は多くの人々の目に焼き付いたはずだ。
(記事、写真 林大貴)
混合ダブルス2位に入賞した坂井(中央)・森崎組
結果
男子シングルス
▽準々決勝
◯島袋将 [6-3、2-6、6-3] 田沼諒太(ワールド航空サービス)
男子ダブルス
▽準決勝
◯今井慎太郎・ 仁木拓人(三菱電機) [7−5、6−2] ●松﨑勇太郎・小野田賢(プロ・フリー)
●片山翔・江原泰弘(エキスパートパワーシズオカ) [4−6、7−6(4)、6(6) −7] 清水悠太(三菱電機)・羽澤慎治(慶大)
混合ダブルス
▽決勝
●坂井勇仁・森崎可南子 [5-7、4-6] 清水悠太・小堀桃子(橋本総業ホールディングス)
コメント
島袋将(スポ4=三重・四日市工)※記者会見より抜粋
――先ほどの試合を振り返って
出だしからすごい良くて、出だしから自分のテニスができたと思います。セカンドセットからは相手も意地を見せてきて、ファーストセットの流れを返されてしまったかなと。自分自身のプレーは悪くはなかったんですけど、相手のペースに付いていけませんでした。それでもファイナルセットに出だしから突き放せたのは良かったし、それが今回の勝ちにつながったのかなと思います。
――セカンドセットからファイナルセットにかけて何か変えた部分があったのでしょうか
プレー自体は悪くなかったので、一番気にしていたのは自分のサービスゲームです。ファーストサーブの確率がセカンドセットに下がり始めたので、とにかくファーストの確率を上げることと、相手のサービスゲームから始まったので、1球でも多く相手よりも多く返すことを意識しました。
――今大会目指している位置というものは
優勝するチャンスはあると思っていますし、リストを見ても絶対に勝てない相手はいないと思っているので、優勝するという気持ちを強く持って今大会は臨んでいます。
――学生最後の全日本ですが、プロにアピールしたいことというのもあるのではないでしょうか
学生テニスでもプロで通用するんだということを僕が証明したいということは思っています。
――田沼選手に対してやりにくさなどはありましたか
田沼選手が序盤はサーブの確率が悪くて、セカンドサーブから僕がプレッシャーをかけるということが多かったんですけど、セカンドセットからファーストサーブの確率も上がって、リターンゲームから勝負を仕掛けるポイントが難しかったです。でも徐々にリターンも入り始めて。リターンから1球でも多く返すということを意識して、それが実際にできたことが勝因だと思います。
――望月選手もベスト4まで勝ち上がっています。同級生で同じ学生ということで意識する部分はありますか
望月選手とは高校時代からずっとやってきて、リーグでも4年連続で当たって本当にライバルと言える関係で。勝ったり負けたりで勝ち続けるということはできない相手なので。それでも常にお互いに刺激しあって切磋琢磨(せっさたくま)して、二人でベスト4まで上がれたということは本当に嬉しいですし、お互いあと1戦勝って、最高の舞台で戦えたらなと思います。
――あと2つまで迫りました
一戦一戦戦うだけなので、先を見すぎずに。次は清水選手で、タフな試合になると思うんですけど、しっかりと準備して万全の状態で戦いたいです。