4年生が意地を見せダブルスで勝ち越し!あすのシングルスへ弾みを付ける/男子

庭球男子

 早稲田と慶應の意地がぶつかり合う早慶対抗試合(早慶戦)。大正13年から続いており、今年で188回目を数える伝統の一戦が今年は早大のホームグラウンドである東伏見テニスコートで開催された。ダブルス1の木元風哉・田中優之介(スポ3=埼玉・秀明英光)組が関東学生トーナメント(春関)ファイナリストペアの今村昌倫・福田真大にストレートで敗れたものの、ダブルス2の島袋将副将(スポ4=三重・四日市工)・髙村佑樹主将(スポ4=千葉・東京学館浦安)組、ダブルス3の古賀大貴副将(スポ4=大分舞鶴)・安上昂志(スポ4=福岡・柳川)組の4年生ペアが完勝を収め、早大はダブルスで勝ち越しに成功。あす行われるシングルスへ向け大きく弾みを付けた。

 早大に初めに白星をもたらしたのは、ダブルス2として臨んだエースの島袋と主将の高村による頼もしい4年生ペアだった。昨年春の早慶戦以来約1年ぶりのペアリングとなったが、「4年間一緒にやってきて、お互いのことを知り尽くしているので組みやすかった」と島袋・髙村組。ファーストセットは先にブレークを許したが、その後2ブレークを奪い返し逆転でこのセットをものにすると、セカンドセットでは3−3から迎えた相手のサービスゲームを壮絶なデュース戦の末にブレークし、セット連取に成功する。波に乗る島袋・髙村組は島袋の強烈なサーブを軸とした抜群のコンビネーションを見せ、ワンブレークアップで第3セットも奪いゲームセット。「僕らは絶対に取らなければいけないポジションだと僕ら自身も理解していたし、チームもそれを望んでいたので、実際に勝てて良かった」(島袋)。今年のチームの核を担う主将とエースがストレート勝ちでその役割を果たしてみせた。

勝利を決め、雄たけびを上げる島袋・髙村組

 「去年負けてしまったので、今年は本当に勝ちたい」(安上)。ラストイヤーを迎えたダブルス3の古賀・安上組は並々ならぬ思いでこの早慶戦に臨んでいた。相手の慶大ペアは関東学生トーナメントの準々決勝でも顔を合わせていた佐々木健吾・成耀韓組。その際は古賀・安上組がストレートで勝利を収めていたが、「いつも通り自分たちのプレーをする」(安上)とこの日も洗練された精度の高いコンビプレーで相手を翻弄(ほんろう)。加えて、安上のサーブも冴えた。互いにゲームをキープして迎えた第10ゲームにブレークに成功するとその後のサービスゲームを手堅くキープし、7−5でファーストセットを先取。続くセカンドセットこそ3−6で落としたものの、「サードセットくらいから急に体も気持ちも楽になって、終始自分たちのペースで試合を進められていた」(古賀)と続く2セットを6−2、6−3と圧倒。「何が何でも勝って勢いをつけたいなって思っていたので、意地で勝ちました」(安上)。最終学年を迎えた古賀・安上組が執念の完勝を収め、チームはダブルス勝ち越しを決めた。

古賀・安上組は完勝でチームに貴重な1勝をもたらした

 躍動する4年生の流れに乗りたいダブルス1の木元・田中優組だったが、春関でベスト8に終わった学生王者ペアはこの日も苦しんだ。強敵の今村昌倫・福田真大組に対し、ファーストセットは先にブレークを奪ったものの、その直後に2ブレークを許し3−6でこのセットを落とすと、続くセカンド、サードセットも接戦をものにできずストレート負け。「どうして負けたかがわからない。そこが敗因です」(田中優)と春関で敗れるまで学生大会負けなしを誇っていた木元・田中優組は今、試練の時を迎えている。

ストレート負けを喫した木元・田中優組

 エースペアの木元・田中優組がストレート負けを喫したものの、4年生が要所で力を発揮しダブルスを2−1で折り返した早大。あす行われるシングルスへ向け弾みを付けたが、「まだ勝負はわからない。シングルスはシングルスでやるべきことがあると思うので、あまり気にしないようにしたい」(髙村)と気を引き締めた。早慶戦41連覇へ向け、偉大な先輩たちが紡いできた歴史を継承すべく、早大は勝負のシングルスへと挑む。

(記事 林大貴、写真 林大貴、吉田優、岡本新)

結果

▽男子ダブルス
●ダブルス1 木元風哉・田中優之介 [3-6、5-7、6(3)-7] 今村昌倫・福田真大
◯ダブルス2 島袋将・髙村佑樹 [6-3、6-3、6-3] 小清水拓生・羽澤慎治
◯ダブルス3 古賀大貴・安上昂志 [5-7、3-6、6-2、6-3] 佐々木健吾・成耀韓

コメント

古賀大貴副将(スポ4=大分舞鶴)・安上昂志(スポ4=福岡・柳川)

――ゲームを通してブレークを許したのが2回だけでしたが、振り返っていかがですか

古賀 ちょっと僕サーブが前半全然よくなくて、全然スピードが出なくて苦しかったので、それがブレークの原因ですかね。

安上 いつもは僕のサーブをブレークされるんですけど、今日は結構調子がよかったので、まあブレークはそんなに気にしてないですね。

――サービスキープできた要因はどこにあると思いますか

安上 僕のサーブは確率よく入ってくれて、あと相手が結構リターンが合ってなかったので、そんなに速いサーブじゃなくても回転系だったり相手の苦手なコースついたり、という感じでできたので良かったかなと思っていて。古賀のサーブの時は、サーブがよくて僕がネットプレーが得意なので、そこは得意としているかたちだったので、しっかりいつも通りのプレーができたのがよかったんじゃないかなと思います。

古賀 その通りですね。

――関東学生トーナメントの準々決勝でも対戦したペアでしたが、どのようなゲームプランを持って臨みましたか

古賀 今まで2回くらいやったことがあって、ある程度相手のやってくることとかは頭に入っていたので、最初はお互いたぶん固くなるだろうから無駄なミスだけはなくしてやって、サードセットくらいから急に体も気持ちも楽になって終始自分たちのペースで試合を進められていたので、まあまあかたちとしては良かったかなと思います。

安上 その通りですね。ゲームプランはまあいつも通り自分たちのプレーをすることと、できるだけ早めにブレークするっていうのを意識してやっていました。それが上手くいったときもあれば上手くいかなかったときもあったんですけど、元気出してできたんでよかったです。

――内容としては完勝でしたが、プレー面でよかったところはどこですか

古賀 リターンがセカンドの最後くらいからリズムよく合いだして、リターンゲームでもデュースとか40−30とかまで相手を苦しめることができていたので、なかなか相手をリズムに乗らせないような試合ができたのが完勝できた理由かなと思います。

安上 基本的なサーブリターンだったりリターン打った後のボールだったりサーブ打った後のファーストボレーだったりっていうのが今日は結構丁寧にできていたし、それが確率よく入っていたので、特別なプレーがあったわけじゃなかったんですけど、そういうところを一つ一つ丁寧にできたところがよかったかなと思います。

――4年生としてのラストイヤーの早慶戦で貴重な勝利を持ち帰ることができましたが、振り返っていかがですか

安上 去年負けちゃってたので本当に勝ちたかったんですよ、今年は。正直去年負けてめっちゃ悔しくて、今年出れるかなって不安だったんですけど、出るって言われたときにはもう何が何でも勝って自分に勢いをつけたいなって思っていたので、相手はまだ2年生だと思うので、そこはもう意地ですね、はい。意地で勝ちました。

古賀 ダブルス1が相手が強くて、結構ガチンコになるのが分かっていたので、ダブルス2、3の僕ら4年生でしっかり抑えたいところを抑えられたので、去年一回経験してだいぶ雰囲気にも慣れた部分はあったので、まあ4年生としてしっかり一本とれたのはよかったかなと思います。

髙村佑樹主将(スポ4=千葉・東京学館浦安)・島袋将副将(スポ4=三重・四日市工)

――最終年で迎える早慶戦ですが、どういった意気込みで臨んでいますか

髙村 僕が主将っていうことと、ペアがエースの島袋だったので、絶対に落とせないと思って臨みました。

島袋 同じですね。僕らは絶対に取らなければいけないポジションだと僕ら自身も理解していたし、チームもそれを望んでいたので、実際に勝てて良かったです。

――オーダーは春関の結果を踏まえたものでしょうか

髙村 そうですね。春関の結果もそうですし、島袋は出ていないんですけど他の大会で結果を残していたので。春関の結果や相手との相性も考えて決めました。オーダーは僕とコーチ陣で考えています。

――大事な場面でのブレークが目立ちました

髙村 今日は僕が落ちている時に島袋がすごい引っ張ってくれて。2人同時に落ちる時間帯がなかったので、大事な場面でブレークできたんじゃないかなと思います。

島袋 髙村が言った通り両方が落ちる時間がなかったので、常に強気にリターンゲームもプレーできました。相手はサーブが良かったんですけどうまく自分たちで組み立てながら崩せたと思います。

――セカンドセットの第7ゲームはどういった意識でプレーしていましたか

髙村 僕が良くなくて、全部島袋がリターンを全部取ってくれたので、自分入れよう入れようと思っていたんですけど、思いっきり、チャレンジャーの気持ちでいくことでブレークできたので、粘ってくれた島袋に感謝ですね。

島袋 僕自身相手のサーブにも慣れてきてリターンが決まり始めていたので、僕のサイドでポイントが取れるようになったので、あとは髙村が取ってくれと祈っていましたね(笑)。

髙村 祈られてたんだ俺、神頼みみたいに(笑)。

島袋 アドサイドだけサーブが入ってきたり、アグレッシブにプレーしてきたんで取りにくいポイントが多かったんですけど、最後は意地でもっていってくれました。髙村が(笑)。

――久々にペアを組んだと思いますが、コンビネーションは良かった印象でした

髙村 組むのは去年の春の早慶戦以来だったんですけど、すごい組みやすいなと思っています。前まではちょっとぎこちない部分があったんですけど、何の不安もなく、やりやすかったと思います。

島袋 僕自身もすごくやりやすかったです。それは4年間一緒にやってきて、お互いのことを知り尽くしているからかなと思います。

――ダブルスを勝ち越して折り返しました

髙村 去年の早慶戦は全部ダブルスを1−2で折り返したんで、今回2−1で折り返せたのはシングルスも楽にプレーできると思うので、すごく大きいと思います。ただまだ勝負はわからないので。シングルスはシングルスでやるべきことがあると思うので、そこはあまり気にしないようにしたいです。

島袋 一緒ですね。2−1で折り返しても去年のリーグの中大戦は追い詰められたので、油断はできないし、明日も序盤から突き放していく気持ちでプレーしていくことが大事だと思います。