大会序盤から熱気を帯びる三菱電機・早稲田大学インターナショナルオープン(早稲田オープン)。大会2日目のこの日は男子シングルスの予選決勝と本戦1回戦が行われた。前日の試合を勝ち進み、予選決勝に臨んだ小林雅哉(スポ3=千葉・東京学館浦安)、木元風哉(社2=埼玉・早大本庄)はともにファーストセットを先取したもののセカンドセットを献上し、スーパータイブレークの末に敗戦。惜しくも本戦出場を逃す格好となった。白石光(スポーツ科学部入学予定=千葉・秀明八千代)も早大OB・岡村一成(平27スポ卒=現・橋本総業ホールディングス)の前にストレート負けを喫し、予選から本戦出場者が現れることはなかった。
本戦1回戦では島袋将(スポ3=三重・四日市工)が慶大エースの羽澤慎治と激突。互いに一歩も譲らぬ熱戦の様相を呈した早慶エース対決は、ファイナルセットを6−2でものにした島袋に軍配が上がった。
★予選から本戦出場者は現れず
予選突破を決めたい白石は早大OBの岡村との対戦に挑んだ。これまでに二度対戦しており、「ハードヒッター」と分析するように、強烈なショットで主導権を握っていく選手だ。白石は「今まで以上にディフェンシブに」(白石)、ラリーをつなげながらチャンスを待った。しかし、試合は序盤から相手の早い展開に翻弄(ほんろう)される。2ゲームを先取されると、その後は相手に主導権を握られた。相手のミスから二度のブレークを決めるも、白石自身のミスも目立ち、ファーストセットを奪われる。セカンドセットは相手の球に徐々に対応し、粘りを見せたが、サーブを中心に力強いショットを見せた岡村が一枚上手だった。デュースにもつれ込むゲームも多かったが、そのほとんどを岡村に奪われてしまうなど、流れを呼び込めず。ストレートの敗北を喫した。
「ひどい試合をしてしまった」。そう敗戦を悔やむ木元
白石の隣のコートでは木元と、昨日の試合で藤井颯太(スポ2=兵庫・同志社国際)を破った小倉孝介(平30スポ卒=現フリー)の試合が行われた。1回戦を安定したプレーで勝ち取ったように、今日も出だしから付け入る隙を与えない。相手のミスにも助けられ、6-1でファーストセットを奪取する圧巻のパフォーマンスを見せる。しかしセカンドセット以降は自分のミスに苦しめられることに。相手の調子が上がっていくのに対し、冷静に修正することが出来ない。得意のサーブでタイブレークに持ち込むものの、そこでも要所でのミスが響いてしまい、このセットを落としてしまう。続くスーパータイブレーク制のファイナルセットでも悪い流れを断ち切ることは出来ず。いきなり5連続で得点を許すなど、「メンタル的にもしんどかった」(木元)とミスが木元自身を追い詰めてしまった。悔しい敗退となった木元。「ひどい試合だった」と振り返るが、止まない雨はない。まずは明日行われるダブルスを精一杯戦うだけだ。
予選ワイルドカード大会から勝ち上がった小林の挑戦は幕を閉じた
互いにコーナーを狙った打ち合いが続く。鋭いショットがコートを走り抜け、審判がコール。その瞬間、予選ワイルドカード大会から勝ち上がった小林の早稲田オープンでの戦いが終わった。序盤は相手サーブに苦戦を強いられる。それでも中盤から徐々に対応し、自身の得意な「守りのテニス」でゲームを優位に進めていく。セカンドセットに入ると、互いに譲らぬ拮抗(きっこう)した展開に。勝負はファイナルセットへともつれることなった。しかし、スーパータイブレークのファイナルセットでは常に相手の後塵を拝する展開となる。終盤追い上げを見せたが及ばず、敗北を喫した。
敗戦後、小林は「悔しいという気持ちも強いんですけど、自分のテニスは良くなってきているというのをコーチ陣にも言われたので、これから自信を持って取り組んでいければ」と既に前を向いていた。次に出場予定の大会は関東学生トーナメント(春関)。無事インカレ出場を決めることができるか。
(記事 小原央、小田真史 写真 林大貴、小田真史)
★島袋が羽澤との早慶エース対決を制し2回戦へ!
羽澤からポイントを奪いガッツポーズをする島袋
早稲田オープンは本戦1回戦から最高潮の熱気を帯びた。それぞれ早稲田、慶応のエースとして君臨している島袋と羽澤慎治(慶大)が初戦で激突。意外にも団体戦以外では初めての顔合わせとなったこのカードだが、正真正銘の学生トッププレイヤー2人による対戦は、やはりと言うべきか、激戦の様相を呈した。
試合の主導権を握ったのは島袋だった。ファーストセット第2ゲームにブレークに成功すると、その後のゲームも手堅くキープし、幸先よく3ゲームを連取。「サーブを軸に戦っていた。そのサーブがしっかり入った」とその後はサービスキープを重ね、ファーストセットを先取した。互いにサーブが冴えわたっていたこの日の島袋と羽澤。セカンドセットは一歩も譲らぬキープ合戦となった。均衡が破れたのは5−5で迎えた第11ゲーム、島袋がこの試合2度目となるブレークを奪い、勝利に王手をかける。しかし、ここから慶大エースの羽澤が意地を見せた。羽澤は直後のゲームですぐさまブレークバックに成功し6−6とすると、タイブレークでも熾烈なラリー戦を9−7でものにし、勝負の行方はファイナルセットに委ねられた。
勝利目前でセカンドセットを落とし、流れは羽澤に傾いたように思われたが、島袋は冷静だった。この試合の生命線となったサーブはファイナルセットになっても衰えることはなく、デュース戦となった第1ゲームをキープ。その後も両者サービスキープをして迎えた第6ゲーム、「羽澤選手のサーブが入らなくなってきて、うまくプレッシャーをかけられた」とラブゲームでブレークに成功する。勢いに乗った島袋は羽澤のイージーミスにも助けられ、ここから3セットを連取。ファイナルセットを6−2とし、死闘となった早慶エース対決は島袋に軍配が上がった。
(記事 林大貴、写真 小田真史)
結果
男子シングルス
▽予選決勝
●木元 6−1、6(5)−7、4−10 小倉孝介(フリー)
●小林 6−4、5−7、6−10 菊池玄吾
●白石 2-6、3-6 岡本一成(橋本総業ホールディングス)
▽1回戦
◯島袋 6−3、6(6)–7、6−2 羽澤慎治(慶大)
関連記事
早稲田オープン開幕!ニューカマーもデビューを飾る(3/11)
田中優、千頭は強敵に屈し初戦敗退。ダブルスは木元・田中優組が同士討ちを制する(3/13)
木元・田中優組が第3シード相手に大金星!ベスト4入りを決める(3/14)
木元・田中優組は全日本王者に完敗。早大勢の挑戦は幕を閉じる (3/15)
「どの役職にも満点をあげたい」、早稲田オープンは大成功で閉幕! (3/17)
関連特集
【連載】『歴史に残る大会に!早稲田オープンの運営に密着!』(3/7-10)
コメント
小林雅哉(スポ3=千葉・東京学館浦安)
――あと一歩のところで本戦出場を逃すかたちとなりましたが、率直な心境としてはいかがでしょうか
悔しいという気持ちも強いんですけど、自分のテニスは良くなってきているというのをコーチ陣にも言われたので、これから自信を持って取り組んでいければなと思います。最後の年なので、もっと思い切ってやってもいいのかなと思いました。
――石井弥起ヘッドコーチとお話されていたのもそういった内容だったのでしょうか
そうですね。自分は正直きのうの試合と微妙だったなと思っていたんですけど、きのうきょうの試合はコーチ陣の方から見て、自分が思っている以上に良くなっていると言われたので、自信持っていいのかなと思います。
――今大会は予選ワイルドカード大会を勝ち進んでの出場でしたが、大会を振り返っていかがですか
全試合自分のやりたいテニスができましたし、(予選ワイルドカード大会)決勝は結構強い選手だったんですけど、大事なポイントでも粘り強く自分の持ち味が出せたので、タイブレークを2つとも取れたのかなと思います。
――ファーストセットは持ち味とする守りのテニスがはまっていた印象を受けましたが振り返っていかがですか
何回も戦っていたので、相手がどんどん打ち込んでくる選手だったのというのはわかっていたので、深く打ち込んだり緩急を使ったりして、プレーできていました。相手のミスを誘うプレーもうまくできていたかなと思います。
――試合終盤は力で押し込まれる場面が目立ちました
セカンドセットの大事な場面で、ブレークするチャンスが何回もあったんですけど、取りきれなくて。それを取っていれば相手も諦めていた可能性があったんですけど、結局サービスエースを何回も決められて追い上げられてしまって。正直そこはしょうがないかなと自分でも思っていたんですけど、そこで頭が真っ白になってしまって、その時にもう少し落ち着いてファイナルセットのスーパータイブレークに臨んでいれば違う結果になっていたのかなと思います。
――今大会は自信になる部分も多かった大会となったのでしょうか
そうですね。コーチ陣にそう言われて、いい感じなのかなと思います。
――今後に向けてはどう取り組んでいきたいですか
次の春関(関東学生トーナメント)はしっかりとインカレ出場を決めて。インカレ出場が決まればあとは楽しんでプレーできればいいかなと思います。
島袋将(スポ3=三重・四日市工)
――非常にタフな試合でしたが、振り返っていかがですか
個人戦で羽澤とやるのは初めてでした。春関、夏関でもやっていないし、インカレでもやっていないので。確かちっちゃい頃にやったことはあったんですけど、やったことがないようなもんなんで(笑)。試合に関しては、強い相手に対して最後まで自分のテニスを貫き通して勝つことができたっていうのは素直に嬉しいです。
――試合前のゲームプランなどはありましたか
まあ何度かやっている相手だったので、どういったやり方をしてくるかだったりはわかっていたんですけど、しっかりとその準備をするだけでしたね。
――勝因を挙げるとすれば何でしょうか
きょうはサービスキープですかね。サーブが悪い時間帯もあったんですけど、トータルで考えて振り返ってみると、サーブを軸に戦っていたので、そのサーブがしっかり入ったことですね。相手も嫌がっていたので、勝因はそこかなと思います。
――羽澤選手のサーブも非常に良くて、お互い我慢する時間帯も続いたと思いますが
お互いサーブは良かったんですけど、向こうにも悪い時間帯はあったので、そこでこっちがしっかりと取り切れたっていうのが一番かなと思います。
――それはやはりブレークを決めたファイナルセットの第6ゲームでしょうか
そうですね。1回ブレークすることによって少しは気が楽になったので、あとはキープすることに専念して。プラス、6ゲーム目ぐらいから羽澤選手のサーブが入らなくなってきて、うまくプレッシャーをかけられたのが良かったかなと思います。
――亜細亜大学国際オープンの方にも出場されて、シングルスでベスト4でしたがそちらを振り返っていかがですか
予選から本戦まで、そっちでもサーブが良かったですね。リターンやラリー戦も積極的に強気でできていたので。結果はベスト4だったんですけど、結果としても内容としても手応えは感じたので、自信にしていいかなと思います
――今後の早稲田オープンはどういった戦いをしていきたいですか
タフな戦いが続くと思うんですけど、1戦1戦全力で戦えるように準備をするだけだと思うので。またしっかりご飯を食べて、よく寝て、規則正しい生活をしていきたいと思います(笑)。
木元風哉(社2=埼玉・早大本庄)
――現在の心境をお聞かせください
本当、こんなに一言で言ったらひどい試合をしたのは何年ぶりというか、かつてのスランプ時代を連想させるものでした。落ち込みますね。
――何か意識をしていた部分はありましたか
我慢強くやることが、点に繋がるということを意識はしてました。
――ファーストセットを振り返っていただけますか
やっぱり今思うと、ファーストセットは相手がまだ完全に合ってなくて相手のミスが多かったです。自分のプレーどうこうではなく、ただそれに助けられていただけだったなと思いました。
――デュースの場面で失点をしてしまう場面が見られましたが、取りきれなかった要因はどこにあると考えていますか
デュースで、しかも僕のアドバンテージの場面が多かったんですけど、そこで仕掛けるのが早すぎました。また、それでミスをしてしまいました。さらに仕掛けない状態での凡ミスというのが原因だと思います。
――セカンドセットでプレーしていた時の心境をお聞かせください
セカンドセットは途中2-4になってまた、キープ、キープに戻すことができた状態で、タイブレークに入ったので、気持ちの面ではまだ切れてはいませんでした。
――「ひどい試合だった」とご自身が感じた部分をお聞かせください
本当にミスしかしてないというか感覚が自分の中であったので。得意のサーブもストロークミスが多過ぎて上手くいかなかったし、メンタル的にも試合中はしんどかったですね。
――最後にダブルスの意気込みをお願いします
シングルスとダブルスは違うので、ダブルスは声を出して、ファイトしていきたいと思います。
白石光(スポーツ科学部入学予定=千葉・秀明八千代)
――今日はどういう意識で試合に臨みましたか
岡村さんと今まで2度対戦してて、すごいハードヒッターで、かわしきれないところがあって。今まで以上にディフェンシブに1球でも多く返そうと思ってやっていました。2―6、3―6だったんですけど、自分の中ではスコア以上にチャンス、ブレークポイントがあったと思うんですけど、そこで一本が取れなかったなというのが敗因だと思っていて、勝つ気ではやっていたんですけど、あと一本が取りきれなかったという感じです。
――白石選手が得意としている守りのテニスが、はまらなかったということでしょうか
そうですね、自分のテニスが読まれていたというのがあって。守ってくるんだろうなっていうのを向こうも思っていただろうし、そこでボレーとかで前に出てこられてたので。そこで自分が攻めていってもよかったのかなと考えています。
――今日の試合で3度目の対決となった岡村選手とどこに差を感じると考えていますか
サーブです、やっぱり。1本で決めるのは、すごく楽なので。自分はリターンから攻めにいけなかったんですけど、向こうはリターンから攻めて来てたので、そこが違いかなと。
――今後の改善点も今挙げて頂いたところになってくるのでしょうか
そうですね、守りという土台は変えずに、そこから球種を混ぜて、攻めにも繋げていけるようにしたいと思います。
――最後に今後の意気込みをお願いします
今回ワイルドカードを頂いて、プロの選手と戦う経験をさせていただいたので、この経験を生かして、来年のこの大会で本戦で勝てるようにするのと、インカレで優勝できるように頑張っていきたいと思います。