第2回には広報とトーナメントデスクを兼任する藤井竣介(商2=愛知・昭和)とボーラーのチーフを務める西原優輝(スポ1=神奈川・湘南工大付)のお二人にお話を伺った。それぞれの立場で大会の運営を支える彼らから見た三菱電機・早稲田大学インターナショナルオープン(早稲田オープン)の魅力や、早大庭球部が今大会を主催することの意義とは。
※この取材は3月1日に行われたものです。
『応援してもらえる庭球部』
主務としての仕事もこなしながら2つの役職を兼任する藤井竣。まさしく『Mr.仕事人』だ
――藤井竣選手が担当している広報とトーナメントデスクの仕事内容というのは主にどういった内容なのでしょうか
藤井竣 まず広報というのは東伏見の部室の近辺の飲食店であったり、お店に大会の案内をして協賛金を一口5,000円いただくというのが主な仕事内容ですね。協賛金をいただいた店舗にはパンフレットやポスターをでき次第配布して会場に足を運んでいただけるように案内をするというないようですね。トーナメントデスクは主に大会中の総合窓口みたいな感じで、何かトラブルがあったり、選手やスタッフの要求があった時に対応するという内容になっています。例えば選手がボールを買いたいだとか、この近くにテニスショップを案内して欲しいとかを外国人の選手に言われることもあります。
――外国人選手とのやりとりとなりますと英語をお話することになると思いますが、その点はいかがでしょうか
藤井竣 ほとんど喋ったことがないので・・・。まあチュートリアルイングリッシュで培った英語力でなんとか(笑)。1年のブランクがあるので心配ですね。外国人選手がたくさん来るということはわかっているんですけど、なかなか特別に準備できることってあまりないので。会話できなかったとかそういうことも含めて今後につながればいいと思いますので、その場で最善の対応をするということを意識していきます。
――西原選手が担当しているボーラーの内容はどういったものですか
西原 当日に中高生にボーラーを依頼していて、その子たちの管理だったりお世話というのが主な仕事で。具体的に言うと、顧問の先生に依頼をして、実際にボーラーというのはどのようにやるのかを中学、高校に直接教えに行って、当日どこに誰を配置したりするかを決めたり、試合当日に困ったことがあったら対応するという内容ですね。
――昨年のチーフだった今村選手(南、社3=大阪・城南学園)は中高生と仲良くなったとおっしゃっていましたが、西原選手はどうですか
西原 そうですね、まだ2校しか講習会に行っていないんですけれど、その中では結構コミュニケーションを取ったりしていて、徐々に仲は近づけているのかなと思います。
――役職が決まった経緯というのは
藤井竣 基本的に去年やったことがある人や、なんとなくの適正で、統括の二人が振り分けてくれたってかたちで決まりました。
西原 僕はいきなり知らされましたね(笑)。役職の表みたいなのが張り出された時に、「あ、ボーラーのチーフになった・・・」みたいな。事前に「やってくれない?」みたいなことはなかったですね(笑)。
藤井竣 結構適当ですね、やり方は‘(笑)。王座(全日本大学対抗王座決定試合)が終わってすぐぐらいには決まっていて。決まるのは早かったんですけど、そこからはあんまり進んでいないですね(笑)。
――それぞれ担当の仕事をしていて大変だったことはありますか
藤井竣 広報に関しては経済状況とかも去年に比べて芳しくない部分もあって、ちょっと実績が昨年よりも下がってしまって。去年協賛金をいただいていたところからも今年はお断りをされてしまったっていうところもあって。それはこちらの宣伝不足というか、うまく大会の魅力を伝えることができなかったかなというのが反省材料ではありますね。
西原 講習会に行った時とかに、思うように伝わらなかったりだとか、やっぱりそういう部分が一番大変ではありましたね。
藤井竣 去年トーナメントデスクで、外国人選手とうまく疎通が図れなくて、ボールを無料で持って行かれてしまって(笑)。本当は2、3球で1000円とか、借りるんだとしたらデポジットみたいなかたちなんですけど、それをいつのまにか持って行かれてしまったみたいなことがあったので、今年はないようにしたいですね。文化も違いますしね。しっかりと徴収して、管理していきたいと思います。
西原 去年だったら審判だったので、とにかくミスジャッジをしないようにっていうので苦労しましたね。やっぱり選手も人生かかっているので、感情に出ちゃうというか。それを僕のジャッジでやってしまうと、すごく複雑な思いですね。それ一つで選手の人生を変えてしまったりもするので、苦労しましたね。
――逆に役職をやっていて良かったと感じることはありますか
藤井竣 広報だと行って挨拶するまでもなく、「あ、また今年もね」みたいなところもいくつかあって。そういうところは協賛を何年も続けてお願いしていくことで地域の方の認知度が上がってきているのかなという実感はあります。
西原 ボーラーは中高生と関わるということで、早大庭球部の宣伝と言ってはあれですけど、近づいてもらえるいい機会なのかなと思います。中高生がプロの試合を生で、仕事をしながらですけどコートの中で見られるっていうのはすごくいい機会だと思うので、そこからテニスにもっと興味を持ってもらったりしてくれるジュニアの選手が増えてくれば嬉しいかなと思います。
――今大会は中高生だったり、地域の方だったり、外国人選手だったりと幅広い人たちが関わっていますが、大会を運営することで早大の庭球部にプラスにはたらく部分というのはありますか
藤井竣 普段の活動だとどうしても内向きというか、外との関わりを絶っていってしまう可能性もある中で、こういう機会もあると、なかなか部活動などでは関われないような方々と関わる機会が各役職あると思うので、すごく貴重だと思います。
西原 この庭球部はやっぱり『応援してもらえる庭球部』っていうのが理想だと思うので、そのためにも外部との交流というのは盛んに行っていくことがプラスになっていくのかなと思います。
――それぞれの立場で今大会に向けてなにか変えた点はございますか
藤井竣 広報としては大会の名称が変わったので、それをうまく説明するのに一苦労したかなという感じですね。エントリーしている選手の内訳もだいぶ変わってくると思うので、その点でも今後の対応がもしかしたら難しくなる可能性もありますけど、頑張っていきたいなと思います。
西原 僕は特に変えた点というのはないですね。ボーラーというのはどの試合でも変わらないですし、レベルが変わっても変わらないので、去年どういう感じだったかを今村さんから聞いて、それ通りにやるという感じですね。僕も去年ボーラーがどういうふうにやっていたか知らないので、とにかく忠実に言われたことをやるという感じですね。
――他にも国際大会を開いている大学がありますが、早大ならではのポイントなどはありますか
藤井竣 インドアコートで毎年ウェルカムパーティをやっているのは早稲田だけだと思います。他の大会でもやっていると思うんですけど、試合会場ではなく別のホテルとかなので。インドアの6番コートはトーナメントデスクと選手の控え室みたいにしていて、インドアで試合ができるっていうのも天候に左右されないということで持ち味だと思いますし、そのあたりは他と違いが出せていると思います。
西原 新宿から近いことですかね。アクセスの良さっていうのはアピールポイントになると思います。
「全員が収穫のある大会に」(西原)
1年生ながら今大会の成功と庭球部の発展に対する熱い思いをのぞかせた西原
――お互いの仕事ぶりは見ていていかがですか
藤井竣 西原はエクセルの表をつくるのがすごく好きらしくて(笑)。多分今村さんと管理の仕方も全然違うと思うんですけど、表もしっかり作っていて、誰一人としてカウントこぼしをしたくないんだなっていうのが伝わってきます。
西原 藤井さんはもう完璧ですよね。すごいですよね、単純に。主務もやって、今回も、2つも役職をやっていらっしゃって。いやーもう僕には到底無理な領域の方ですね。
藤井竣 まあね(笑)。恐縮です。
――主務としてのお仕事も大変ですよね
藤井竣 そうですね、結構忙しくさせてもらっています。外部からいつも何かしら降りかかってきているので、気が抜けないですね。結構板挟みになったりもするので(笑)。トーナメントデスクの仕事も急遽決まったかたちですが、与えてもらったからにはしっかりと。あと会計の方の仕事にもなったので・・・(笑)。大会後の収支決算も頑張って担当していきます。
――なぜそんなに多く仕事を抱えていらっしゃるのですか
藤井竣 会計は毎年時期が遅れちゃうことが多いらしくて、会計を普段から少しやっている人の方がいいということになって。去年がめちゃくちゃずれてしまって、大会が終わってから何ヶ月も戦っていたんですよ。収支決算表と。という流れがありまして、一応主務で庭球部の会計を担当しているので、その流れで今大会の会計も担当させていただくことになりました。
――本当に忙しなく色々とお仕事をなさっているのですね
藤井竣 そうですね(笑)。広報は大会前で仕事が全部終わるので、大会の直前にポスターとパンフレットを配りに行って終わりなので、大会期間中はトーナメントデスクと会計になると思います。
――ボーラーは大会期間中はどういったことをするのですか
西原 ボーラーは大会期間中は子供たちをちゃんと見てあげることが重要だと前任の今村先輩から言われているので。やっぱり見てあげて、褒めてあげることが子供たちのやる気にもつながりますし。正直子供たちってアルバイトではないのでお金ももらっていないですし、交通費もかけて遠いところからだと時間もかけて来てくれるので、しっかり見て褒めてあげることっていうのはとても大事だと思います。
――全体の運営の働きぶりとしてはいかがでしょうか
藤井竣 役職にフォーカスを当てると、パンフレットとかは毎年すごく頑張ってくれていますね。先方との締め切りの戦いが常にあるので、そこは去年も今年もしっかりファンクチュアルにやってくれている印象ですね。イベントとかもSNSとかも活用して、順調に進んでいて。そのほかはちょっと「なんとかなるっしょ」という感じでやっているところが(笑)。僕もそういうタイプなんですけど、全体的に多いかなとは思いますね(笑)。ただ大会期間中にはしっかり合わせて来てくれる人たちだと思っています。
――昨年の今大会と比較していかがですか
藤井竣 僕は昨年チーフはやっていなかったんですけど、ボーラーと、広報をやっていたので今年は広報のチーフを任されるかたちになりましたね。西原は何やってたっけ?
西原 僕は入学前だったんですけど、一応来ていて、審判をやっていましたね。
藤井竣 僕は同期がメインになって動かしているので、大会との距離はより近くなったかなと思います。各役職がどのように大会を動かしているのかを見ることができているので。統括の2人も色々苦労はあると思うんですけど、毎日Gmailと戦いながら頑張ってくれています。
西原 僕はとにかく言われた時間に行って、言われた通りに審判をして、言ってしまえばアルバイトみたいな感じだったんですけど。今年は役職のチーフとして、準備段階から全部やっているので、今年はとにかく責任を感じています。各高校の顧問の先生だったりとか、外部とのやりとりになるので、そう言った人たちに対してミスがあっては許されないですし、責任がどっと増したなという印象です。
藤井竣 かっけえな・・・。
西原 (笑)。
――ボーラーは例年同じ中学、高校に依頼をしているのでしょうか
西原 そうですね、去年と全く同じに今年はしましたね。昨年はちょっと色々と苦労話もあって・・・(笑)。難しいところは難しいのでね。
藤井竣 大変そうでしたね。中高生は乗り気な子もいれば乗り気じゃない子もいるので、難しいと思います。早大本庄から来る子なんてすごく遠いですし。
西原 そんな中交通費も負担して来てくれるので、やる気は・・・そりゃ出せっていう方が怖いですよね(笑)。ボランティアですよね。
藤井竣 早大庭球部の学生だけではまかなえない人数なので本当に毎年助かっております。
西原 最初の方の日程だと1日30人とかに来てもらうので。すごい人数なんですよね。周りの協力なくてはやっていけないので、ありがたいですね。本当に。
――それぞれの立場から、今大会はどういったものにしていきたいと考えていますか
藤井竣 長倉(謙伸、スポ3=静岡)が色紙にも書いていたと思うんですけど、『記録にも、記憶にも残る大会』ですかね(笑)。今回は名称やシステムも変わって第1回という扱いになるので、新たなスタートとしていいスタートを切って、来年以降の後輩につなげていくのが僕たちの代の使命だと思うので、各役職頑張っていきます。
西原 僕は全員が何か収穫のある大会にしていきたいなと思っています。特にボーラーの子たちなんかは会場に来てボーラーをするだけかもしれないですけど、その中でも例えばコート中で試合が見られるという部分で得ることがあったりだとか、プロの選手とお話することもやろうと思えばできると思うので、そういうことも含めて何かしら得て帰ってくれればいいかなと思います。
――今大会の一番の見どころというのはなんでしょうか
藤井竣 今年は選手のレベルが多分上がってくるので、よりレベルの高い試合が、入場料無料で見られるということですね。あとこの大会に出た選手がグランドスラムに近づいたっていう例もあると思うので、そういった選手を「俺何年も前から見てたから」って、何年後かに先見の明があったって自慢できる可能性があるっていうのもウリだと思います(笑)。
西原 僕が思うのは学生が運営している大会であるということですね。実際に統括のお二人が中心になって、大人がそこまで口出しをするわけでもなく、基本的に学生が全部やっていますし。ボーラーも僕が全部やって、大人は関わっていないので。そういう意味では学生が手作りで運営している大会というのはなかなかないので、そういう部分は大きい魅力なのかなと思いますね。ミーティングでも「今年は何も言わないぞ」っていうこともおっしゃっていたので、今年は特に学生主体の色が強いと思います。
――では最後に、この記事を読んでいる方へのメッセージをお願いします
藤井竣 早稲田オープンは観覧料無料で全部の試合がご覧になれますので、ぜひ足を運んでいただきたいなと思っています。あと、こうやって早大の庭球部が苦労しながら運営をしているということで、この大会をきっかけに少しでも庭球部の認知度、知名度が上がれば大会は意義のあるものだったと言えると思うので、頑張っていきたいと思います。
西原 新宿からも一本で来れて、入場料も無料で。イベントもやっているので、そういうのの参加も含めて、試合も見てもらって、よりテニスを身近なものにしていただければ嬉しいです。それがテニスの普及につながって、日本のテニス界が盛り上がっていけば理想だと思うので、ぜひ足を運んでいただければ嬉しいかなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 石﨑開、林大貴)
大会成功へ向け熱のこもったお話をしていただきました!
◆藤井竣介(ふじい・しゅんすけ)(※写真右)
1999(平11)年3月9日生まれ。愛知・昭和高出身。商学部2年。主務を務めながら今大会の広報とトーナメントデスク、加えて大会後の会計も任されている藤井竣選手。色紙には「Mr.仕事人目指します」としたためていただきましたが、隣で見ていた西原選手からは「もうなってますよ・・・」と思わずツッコミが入っていました。
◆西原優輝(にしはら・ゆうき)(※写真左)
1999(平11)年12月12日生まれ。神奈川・湘南工大付属高出身。スポーツ科学部1年。1年生ながらハキハキとした受け答えが印象的だった西原選手。今大会の成功と庭球部の発展に対する熱い思いが伝わりました!