日本一の座を懸け、熱戦が繰り広げられている三菱全日本選手権(全日本)。この日早大からは男子シングルス2回戦に古田伊蕗(スポ4=静岡・浜松市立)、島袋将(スポ3=三重・四日市工)、千頭昇平(スポ2=愛知・誉)、田中優之介(スポ2=埼玉・秀明英光)がの4人が出場したが、いずれも強敵を前に屈した。この結果、男子シングルスからは早大勢は全員敗退となり、残すはこの日の1回戦を突破した混合ダブルスの島袋のみとなった。
島袋、田中はかつての早大のエースの前に屈するかたちとなった。1回戦の白石光(SYSテニスクラブ)との対戦をストレートで突破した島袋は2回戦で吉備雄也(平21スポ卒=現ノア・インドアステージ)と対戦。ファーストセットは両者サービスキープをしあう展開が続いたが、3−3からブレークを許すとそこから3連取されてしまい、ファーストセットを落とした。セカンドセットでも吉備のライン際へ正確に打ち分けるショットに対応しきれず。島袋も力強いストロークを武器に応戦したが及ばず、3−6、3−6のストレート負けとなった。「確実にポイント取れる展開を生み出すことができずに終わってしまったのが悔しい」と島袋。「上のレベルに行くためには強い相手に対しても勝っていかないといけない」。さらなる高みを目指し、島袋は挑戦を続ける。
全日本学生選手権優勝など、早大で華々しい実績を残してきた今井慎太郎(平28スポ卒=現イカイ)と2回戦で対戦した田中。試合は第1ゲームにブレークされると、今井の強烈なサーブに苦戦しペースをつかめずファーストセットセットを落とす。セカンドセットもいきなりブレークを奪われる苦しい展開となったが、田中も負けじと鋭いサーブを軸に3つのブレークを奪うなど接戦をものにし、試合を振り出しに戻した。そして迎えたファイナルセット。互いにサービスキープをしあう一進一退の展開となったが、2−2で迎えた第5ゲームにブレークされると、そのままワンブレークアップでの惜敗となった。壮絶な打ち合いの末、かつての大エースの前に屈した田中。それでも、フルセットまでもつれる互角の戦いを繰り広げたこの全日本での戦いは今後へ向けて確かな糧となるだろう。
かつてのエース・今井と壮絶な打ち合いを演じた田中
古田は1回戦でフルセットの接戦を制し、2回戦に進出。この日は慶大のエース羽澤慎治(1年)と対戦した。ファーストセットは立ち上がりから相手のボールに対応できず2-6で奪われる。しかし、セカンドセットからは徐々に対応し、古田らしい長いラリーからポイントを奪う場面がみられるように。第2、4ゲームでブレークに成功し、そのままリードを保ってこのセットをものにした。続くファイナルセットでも古田はしぶとくラリーを続けるが、勝負所で相手のスーパーショットも決まりなかなかサービスゲームをキープできない。最後は立て続けに3ゲームを連取され、惜しくも勝利とはならなかった。早大の一員として臨む最後の大会はベスト32という結果で終了。それでも、昨年は一方的な展開でストレート負けを喫した相手に今年は接戦を演じ、確かな成長を示した大会となった。今後は本格的な競技からは身を置くこととなる古田。最後の試合を終え、晴れやかな表情でコートを去っていった。
早大での最後の試合を戦い抜いた古田
千頭はセンターコートで第2シードの徳田廉大(フリー)と対戦。ジュニア時代から名を馳せた同世代対決に観客席には多くの人が集まった。試合は序盤から千頭のペースで進む。ファーストセットは千頭が安定したストロークを見せる中で、相手にミスが目立ちいきなり4ゲームを連取。そのまま6-1と一方的な展開でこのセットを奪った。セカンドセットでも千頭が先にブレーク成功。千頭のしぶといラリーに相手もかなり嫌がっており、このまま勝負は決まるかに思われた。しかし、次第に徳田が持ち前の鋭いストロークを取り戻し、勝負所でエースが決まるように。千頭が前に出たところを抜かれる場面も増え、4-4からゲームを連取され、勝負の行方はファイナルセットまでもつれ込んだ。ここでも先にブレークに成功したのは千頭だったが、すぐにブレークバックされ流れをつかめない。相手がメディカルタイムアウトを取って以降調子をさらに上げ、1-4までリードを広げられた。ここから千頭も粘りを見せたが、1ゲームブレークするのが精一杯。3時間超えの試合を制することはできず、千頭はがっくりと肩を落とした。セカンドセット中盤までは相手も本調子ではなかっただけに、そこで一気に勝負を懸けられなかったことが相手を復調させてしまった要因だろう。全日本という大舞台で強敵相手に善戦するも、昨年に続きベスト16入りとはならなかった。この悔しさを糧に、千頭はさらなる成長を期す。
(記事、写真 林大貴、松澤勇人)
結果
▽男子シングルス
1回戦
◯古田 6−7(2)、6−4 松尾友貴(橋本綜合ホールディングス)
◯島袋 6−1、7−6(3) 白石
◯田中 6−2、6−0 弓立祐生(伊予銀行)
◯千頭 4−6、6−3、6−1 菊池玄吾(福井県スポーツ協会)
2回戦
●古田 2−6、6−3、2−6 羽澤
●島袋 3−6、3−6 吉備
●田中 4−6、6−4、4−6 今井
●千頭 6−1、4−6、3−6 徳田
▽混合ダブルス
1回戦
◯島袋・澤柳璃子(リンクス・エステート) 7−5、6−4 望月勇希(中大)・森崎可南子(筑波大)
コメント
島袋将(スポ3=三重・四日市工)
――きょうの吉備選手との対戦を振り返っていかがですか
試合では、どんなかたちでもいいから1ポイント1ポイント積み重ねて声だして元気出して戦おうと思っていたんですけど。それが逆に力みになってしまっていつものプレーができなくて、悔しい試合となってしまいました。
――吉備選手の印象としてはいかがでしたか
吉備選手は攻撃型のプレーヤーで、コートを広くうまく使うのが得意な選手で。それはわかっていたので、もうちょっと自分から先にラリーをつくり出せるような展開で行きたかったですけど、それができずに、一気に打たれてちょっと引いてしまってそのあとも打たれ続けてっていうのが続いちゃったので、そこは苦しかったですね。
――リターンミスが目立ちました
リターンミスも多かったですね。体が浮いてしまって、なかなか思うように行かなかったですね・
――力強いストロークが決まる場面もありましたが
でもやっていて、このパターンだったらいけるっていうのが全然見つからなくて。ただラリーして相手がミスしてくれてればラッキー。自分のショットでエースが取れたらラッキー。それ以外で確実にポイント取れる展開を生み出すことができずに終わってしまったのが悔しいですね。
――シングルスでは敗退となりましたが、振り返っていかがですか
ドローが出たときに、すごいタフなドローだなと思ったんですけど、これから上のレベルに行くためには強い相手に対しても勝っていかないといけないなと思っていたので、吉備さんにストレートで負けてしまって、力不足っていうのはすごく感じましたね。