風にも負けず!シングルス2人、ダブルス3組が8強入り

庭球男子

 本戦3日目を迎えた関東学生選手権(夏関)。この日は明け方にかけて台風が接近した影響で、さらにコートの立地も相まって強風の中で試合が行われた。早大からは男女シングルス3回戦に計5人、男女ダブルス2回戦に計4組の選手が登場。強風の影響で思うようなプレーができない選手が多い中で、このコンディションに冷静に対応した選手たちが勝ち上がり、シングルスでは2人、ダブルスでは3組がベスト8入りを果たした。明日は各種目準々決勝が行われる予定だ。

(記事 松澤勇人)

★我慢比べのシングルス。小林雅と森川がベスト8へ・・・男女シングルス

この日の試合は相手だけでなく風との戦いでもあった

 この日の試合で一番のポイントとなったのが、強風。思うようなプレーができない中で、いかにフラストレーションを溜めずに冷静にラリーを続けられるか、我慢比べの戦いが相次いだ。第2シードの田中優之介(スポ2=埼玉・秀明英光)の試合では、しぶとくスライスでラリーをつなげてくる相手に自分からミスをする場面が多く見られ、3-6,2-6で完敗。安上昂志(スポ3=福岡・柳川)は強風で得意のサーブのトスが定まらず、不安定なプレーが続いた。セカンドセットでは粘りを見せたが、タイブレークではネットプレーでミスが続き、ベスト8進出はならず。辻紘子(教4=東京・早実)もここまで1,2回戦と早大選手を下してきた相手に粘り負け。最後の個人戦をベスト16で終えることとなったが、「これまで飛び抜けた成績も残してなくて、とにかくシードは守るみたいな。最後まで自分らしいなと思った」(辻)と試合後は晴れやかな表情を浮かべた。今後は最上級生として、団体戦シーズンに向けチームを引っ張る姿を見せてくれるだろう。

 一方でこの我慢比べを制したのが小林雅哉(スポ3=千葉・東京学館浦安)だ。二度の同士打ちで後輩を破って勝ち上がってきた小林雅は、3回戦で中大の主将・田中凛(4年)と対戦。しぶとくラリーをつなげてくるタイプの選手で、昨年の関東大学リーグでは敗れた相手だ。試合は序盤から予想通り両者がスライスでラリーをつなげる長期戦となる。お互いが相手のミスを待つまさに我慢比べとなったが、ファーストセットはタイブレークまで集中を切らさなかった小林雅が奪った。セカンドセットでも同様の展開が続く。その中でも風上側コートでのゲームをしっかりと取り切った小林雅が最後はブレークに成功し、接戦をものにした。今大会男子シングルスで唯一準々決勝まで勝ち上がった小林雅。本命不在の夏関で、一昨年8月の全日本学生選手権以来のタイトル獲得に期待がかかる。

 女子部で唯一ベスト8に名を連ねたのが森川菜花(社3-山口・野田学園)だ。立ち上がりいきなりブレークに成功すると、そのままリードを保ち6-4でファーストセットを奪う。セカンドセットでも強風に負けずしっかりとストロークを振り切った森川がポイントを重ね、ストレート勝ちで準々決勝進出を決めた。夏関ベスト8はシングルスでは自己最高の成績だが、ここで満足しない。女子シングルスで唯一勝ち上がってる森川が快進撃を果たし、厳しい戦いが続いているチームを勢いづけてほしい。

(記事 松澤勇人、写真 森田和磨)

★2ペアがベスト8進出・・・男子ダブルス

惜しくも8強入りを逃した佐藤(右)・武藤組

 佐藤・武藤組は序盤から自分たちのミスで流れをつかめない。ファーストセットを3-6で献上し、セカンドセットに入っても悪い流れは続いた。終盤に修正しタイブレークに持ち込む粘りを見せ、セットポイントも握ったが、最後はミスが響きタイブレーク10-12で敗戦。ベスト16で大会を終えた。

木元・田中組は初めてのペアリングながら圧巻の強さを見せた。ファーストセット、セカンドセットをまたぎ、なんと10ゲームを連続で奪取。相手に付け入る隙をほとんど与えず、ストレート勝ちを収めた。

きょう男子ダブルスの中で一番の熱戦を繰り広げたのが古賀・安上組。ファーストセットから法大ペアとの打ち合いとなった。接戦の末、ファーストセットを6-4でものにする。その後、相手の反撃を受け、6-3で失セット。ファイナルセットへともつれ込んだ。スーパータイブレークの立ち上がりは相手にペースを握られるも、2-5の状況から早大ペアが猛反撃を開始する。5連続でポイントを獲得すると、その流れのまま見事逆転勝利。「今度こそ優勝したい」(古賀)と悲願の初タイトルへ意気込む古賀・安上組にとって、大きな一勝となった。

(記事 小田真史、写真 松澤勇人)

★剱持・森川組が苦しみながらもベスト8入り!・・・女子ダブルス

終盤は剱持(左)のサーブが光った

 早大女子ダブルスで唯一ベスト16に勝ち残っている剱持・森川組だったが、序盤は相手の勢いに押されてしまう。最初のサービスゲームをブレークされるとその後はミスも目立ち、あっという間に1−4まで持っていかれてしまった。このゲームを終えて、剱持・森川組はギアを上げる。「前と後ろを徹底的に分けて戦えたのがよかった」と森川が話してくれたように、チャンスが来るまでは森川の安定したストロークで耐え、できた隙を剱持が逃さない。5ゲームを連取しファーストセットをものにした。流れそのままに行きたい早大ペアだったが、セカンドセットはシーソーゲームに。尻上がりに調子を上げていった剱持のボレーやサービスエースも光ったが決着はタイブレークへ。最後は早大ペアのネットプレーでポイントを重ね、終始リードを保ったまま最終スコア6−4、7−6(4)で勝利を収めた。昨年は悔しいベスト4敗退に終わった夏関。今年こそは悲願の初優勝へ、「ぶちかまします」(剱持)と気合十分だ。

(記事 森田和磨、写真 松澤勇人)

結果

▽男子シングルス3回戦

〇小林雅哉7-6(1)、7-5田中凛(中大)

●安上昂志5-7、6(2)7岡垣光祐(法大)

●田中優之介3-6、2-6熊坂拓哉(亜大)


▽男子ダブルス2回戦

〇古賀大貴・安上昂志6-4、3-6、10-8前﨑直哉・柚木武(法大)

●佐藤祥次・武藤洸希3-6、6(10)7中村彰宏・市川雄大(明大)

〇木元風哉・田中優之介6-0、6-2佐々木健吾・成耀韓(慶大)


▽女子シングルス3回戦

●辻紘子2-6、5―7吉田明日香(明大)

〇森川菜花6-3、6-1日暮春香(駒大)


▽女子ダブルス2回戦

〇剱持梓・森川菜花6-4、7-6(4)河村美咲・小田育歩(山学大)


コメント

辻紘子(教4=東京・早実)

――試合を終えて率直なお気持ちは

自分らしいなとは思いました。これまで飛び抜けた成績も残してなくて、シードを守る、みたいな。言ってしまえば平凡な成績が多かったので、最後も平凡な結果に終わっちゃって、悔しいなとも思います。でも最低限シードは守れたので、最後も自分らしかったかなと思います。

――1回戦では慶大の黒須万里奈選手(1年)に快勝しましたが、振り返っていかがですか

相手のミスが多くて、モチベーションも高くなかったので、自分の得意なラリー戦に持ち込んでしっかり戦えました。

――きょうの相手は早大勢を倒してきた相手でした

相手は早稲田を二人倒して上がってきていて、きょう私が止めたかったんですけど、相手が強かったですね。

――セカンドセットは5-2までリードしていただけに取り切りたかったですね

そうですね。ファイナルまで行ってれば流れも違ったのかなとは思います。

――風も強い中でのテニスでした

とにかく風が強すぎて、もう今日は楽しんだもん勝ちだねって話してたんですけど、途中勝ちたい気持ちが強くなってしまって、楽しめなくなってましたね。

――最後の個人戦が終わりましたが、4年間を振り返ってどんな思いですか

正直最後の個人戦終わったらもっと悔しいのかなと思ってたんですけど、意外とあっさりしてるというか、4年間長かったなと思いましたね。いい結果は残せなかったですけど、自分らしく戦えたと思うし、昔はダブルス嫌いだったんですけど最後の方はダブルスも楽しめるようになったので、その楽しさを同期や後輩と味わえて引退できるのは良かったなと思います。

――今後の団体戦シーズンへの意気込みをお願いします

インカレ、夏関と結果がよくない中で、でもどこかのチームが秀でて結果を残しているわけでもないので、実際インカレでは森崎さんも負けてますし、どの大学も危機感を持ってやってると思います。これからチームで練習していくんですけど、できるだけの時間を使ってチーム力を上げていきたいと思います。

剱持梓(社3=東京・早実)・森川菜花(社3=山口・野田学園)

――今大会第1シードとしてのプレッシャーはありましたか

剱持・森川特になかったです。

――風が強く苦戦している選手も多かった中で勝ち切れた要因はなんだと思いますか

森川後ろと前を徹底して分けて戦えたのが良かったと思います。

剱持1−4になってから森川がシングルで風の使い方が上手くて勝っていたというのがあったので、後ろは森川に任せて風と仲良くやってもらって、私はチャンスが来たら前で決めるってパターンが出来てから良くなったと思います。

――ファーストセットの1−4の場面までは流れが相手にあったと思いますが、どのように自分たちの流れに持って行きましたか

森川ボレーで決めれるようになって、強気で前に行けるようになったのでそこだと思います。

――自身が思うきょう上手くいったプレーは

森川フォアのストロークがよかったかなと思います。

剱持上手くいったかはわからないんですけど、意識してやったのは風があるのでスライスでツーアップするってことで。森川もボレーうまいしキャッチもできるので積極的にツーアップしたのがよかったかなと思います。

――最後に次戦への意気込みをお願いします

剱持 ぶちかまします

森川私はもう少しボレー頑張ります(笑)。