記念すべき連載初回を飾るのは、男女庭球部期待のルーキー、名越大地(社1=兵庫・相生学院)と田中李佳(スポ1=兵庫・相生学院)の二人だ。共に全国屈指の強豪・相生学院高で団体戦の主力として全国制覇に貢献。学生大会デビュー戦となった関東学生トーナメント(春関)でもその才能の片りんを見せた。初めての全日本学生選手権(インカレ)を直前に控えたルーキーたちの思いに、迫る。
※この取材は8月5日に行われたものです。
「早稲田に拾われた感じです(笑)」(名越)
初めての対談も和やかな雰囲気で行われた
――早大に入ってから約4カ月が経ちましたが、ここまでを振り返って早大庭球部はどんな場所ですか
名越 周りの人たちがほとんど全国トップクラスで、優勝経験がある人もゴロゴロいますし、そういう環境の中でテニスができるというのは自分のモチベーションの向上にもつながりますね。選手中心で部活が成り立っているのがすごいなと思っています。
田中李 周りのレベルがすごく高くて、常に自分のダメなところというか、改善しないといけないところが発見できる場所ですね。
――お二人は同じ相生学院高出身ですが、高校時代から仲は良かったのですか
名越 いや、全然(笑)。
田中李 うん、全然だね(笑)。
名越 まあ、仲悪いわけじゃないですよ(笑)。
――相生学院は通信制の少し特殊な学校だと聞きます。詳しく説明してもらってもいいですか
名越 良く言えば、やりたことに打ち込めるっていう感じですね。僕はテニスがしたかったので、午前中授業で終わったら後はテニス、みたいな。そういう人たちが集まっていますし。でも悪く言えば、勉強は周りの学校よりできないんで、今大学で苦労してます(笑)。
――部活動中心なのですか、それともスクール中心なのでしょうか
名越 意外と部活動って感じなんですよ。監督もコーチもいますし。
――監督はすごく厳しいとの噂もよく耳にしますが
名越 やばいです(笑)。今は優しくなったらしいんですけど、僕が高3くらいまではマジで怖かったです。
田中李 女子は違うコーチで、優しかったですよ(笑)。
――そもそも地元を離れて相生学院に進学した理由とは
名越 僕は違う高校と迷っていて、中3の最後の方の試合で気づいたら相生に決まってました(笑)。でもインターハイとか見てて相生の先輩の竹元さん(佑亮、関大卒)がめっちゃカッコいいなとは思ってましたね。
田中李 私は相生がテニス強いって全然知らなくて、通信制の高校に行こうと見ていたところで友達が相生にすると聞いたので、流れで(笑)。入ってからテニス強いって知ったみたいな感じでしたね。
――高校3年間はどんな3年間でしたか
名越 僕は中3でヒザを手術して半年間テニスができない時期があって、それで高校に入って最初は県予選で負けるみたいな感じでした。でも同期がすごくテニス熱が強いメンバーで、同期にも恵まれたおかげで練習も頑張れて、最後の年は良い結果を残せた充実した高校3年間でしたね。
田中李 高校生活は気づいたら終わってましたね、いい意味で。あっという間でした。
――早大への進学を決めた理由をお聞かせください
名越 最初は全く(早大に)入ろうと思ってなくて、早稲田は強すぎてついていけないんじゃないかと。親にも勉強中心の大学生活がいいんじゃないとも言われていましたし。他の大学を目指していたんですけど、落ちちゃって。でもその後も和田さん(隼友主務、社4=栃木・足利工大付)が熱心に誘ってくださって、すごくいい対応をしていただいて、本当に感謝してます。早稲田に拾ってもらった感じですね(笑)。
田中李 早稲田はテニスも勉強もレベルが高すぎて、自分じゃ絶対ついていけないだろうなと思っていたんですけど、でも全日本ジュニアの後に「早稲田でやらないか」と声を掛けていただいて、決心しました。
――入学前は早大庭球部に対してどんなイメージを持っていましたか
名越 テニステニステニス、みたいな感じかと思ってたんですけど、結構勉強との両立もできるし、先輩方もみんな優しいし、上下関係もほどよくていい感じです。
田中李 女子も先輩方がすごく優しくて、とてもいい部活だと思います。
「私が勝てばチームが勝つんだろうなとは分かっていた」(田中李)
田中李は早慶戦でチームに貴重な白星をもたらした
――大学デビュー戦として関東学生トーナメントがあったと思います。振り返っていかがですか
名越 インカレ予選決めれるとも思っていなくて、1次予選からでしたし、でもいつの間にか淡々と勝てていて、(インカレ)予選決められたっていう感じでしたね。精神的にも体力的にも長く感じました。
――シングルス2回戦では慶大の畠山成冴選手(4年)と対戦しましたね(●1-6、0-6畠山)
名越 完全に名前負けしちゃって、ああ無理だろうなって感じで入ってしまったのはよくなかったと思います。でも大学テニスのレベルの高さを実感できたので、それはよかったと思います。
――ダブルスは古田伊蕗副将(スポ4=静岡・浜松市立)とのペアでしたが、相性などはいかがでしたか
名越 僕が緊張してたりあまりいいプレーができていないときに伊蕗さんはいつもアドバイスをくれて、それがいつもうまいことハマっていいプレーができるので、すごく頼れるというか、安心できる先輩です。
――田中李選手はいかがでしょうか
田中李 予選はいろんな会場に行ったのでメンタル的にも疲れて、本戦に上がっても「ようやく本戦か・・・」って感じで、インカレ予選を決められたんですけど、それまではすごく長く感じましたね。
――単複共に早大の先輩に敗れるかたちとなりましたが
田中李 強かったですね、率直に。
――シングルス2回戦では上唯希副将(スポ4=兵庫・園田学園)を追い詰めた印象ですが(●6-3、3-6、4-6上副将)
田中李 でも勝てるとは思ってなかったんですよね・・・リードしててもいつかは追い上げられると思いながらやっていたので、上さんが一段ギアを上げてきたときに私がついていけなくて、そこで負けてしまったかなと思います。
――春関を通して見つかった課題は
名越 僕はメンタルですね。さっきも言ったように名前負けしちゃったり、ミスが続くとマイナス思考になることが多いので、そこを改善しないといけないと分かったのは収穫ですね。
田中李 大学生は高校生と違ってミスが少なくて、我慢のテニスができないといけないと学んだので、もう少し自分からのミスを減らさないと勝てないなと思いました。
――田中李選手は早慶定期戦(早慶戦)の重要な場面でも勝利を挙げましたね(S5〇5-7、6-1、6-1平田歩(慶大1年))
田中李 早慶戦では、先輩方からは「1年生だしのびのびやって勝ち負けはきにせずプレーしてきな!」って言われたんですけど、自分の中では、正直自分が勝てばチームも勝てるんだろうなとは思っていました。でもベンチコーチの剱持さん(梓、社3=東京・早実)とか櫻山さん(和子、商4=神奈川・湘南白百合)が「勝ったら焼き肉食べに行こうね~」ってリラックスさせてくれたので、試合中も焼き肉のこと考えて頑張れました(笑)。
――名越選手はサポートの立場から早慶戦を見ていかがでしたか
名越 去年の王座を見に行って、団体戦でポイント決めて吠えるところとかすごくカッコいいなと思っていて、今回は髙村さん(佑樹、スポ3=千葉・東京学館浦安)のボーラーに入ってたんですけど、髙村さんが勝利を決める瞬間を間近にみて、そのファイトに感動しましたね。
――高校と大学の団体戦でどんな違いを感じましたか
名越 規模が大学の方がデカいのと、あとは高校は監督がベンチに入ってるんですけど大学は選手もベンチに入るので、それでより盛り上がるのかなと思いますね。
田中李 サポートと選手が一体になって勝ちに行くっていう部分が大学の方が強いなと感じました。
――ここからは少し砕けた話題に移ります。まずお二人のおススメの同期部員を教えてください
名越 武藤(洸希、スポ1=東京・大成)ですね。ノリが合うというか、ツボが一緒で、話しやすいですね。みんな面白いですけど、武藤が特に面白いですね。
――同期全員で仲良いのですか
名越 うーん・・・
一同 (笑)
田中李 仲いい仲いい(笑)。
名越 そうだね、仲はいいんじゃないかな(笑)。そういうことにしときます(笑)。
――今年は男子部の1年生は例年に比べて人数が少ないですが、仕事などで大変なことはありますか
名越 元々6人なんで、大変なんですけどこんなもんなのかなあって感じです。
――田中李選手はいかがでしょうか
田中李 加藤(梨々子、スポ1=山口・野田学園)が一番おススメです。ぶっ飛んでます。オーバーリアクションなんですよ。こっちが引いちゃうくらい(笑)。
――仲の良い先輩部員は
田中李 私が思ってるだけになっちゃいそう(笑)。
名越 たしかに(笑)。僕は寮が田中優之介さん(スポ2=埼玉・秀明英光)と一緒の部屋で、よくご飯連れてってくれますし、いろんなことは優之介さんに聞くて感じです。
田中李 私は大河真由さん(スポ3=千葉・秀明八千代)と廣川真由さん(副将、社4=埼玉・浦和学院)かな。よく遊ぶとかではないんですけど、テニスコートですごく優しくしてもらてるので。
――廣川副将とはダブルスも組んでいますよね
田中李 私が本当にダブルスめっちゃ下手で、ミスしかしてないんですけど、廣川さんがすごく盛り上げてくれるというか、ミスしても励ましてくれるので、安心してプレーができますね。
――先輩とのコミュニケーションも活発なのですね
名越 大学ってすごく堅苦しいイメージだったんですけど、1年生から4年生にも意見が言えますし、すごく風通しは良いと思います。
田中李 4年生の方とも仲よくしてもらってますし、いい意味で1年と4年って感じがしないですね。
――前期が終わって夏休みに入ったと思いますが、大学初めてのテストはいかがでしたか
名越 僕は社学(社会科学部)で、周りがめっちゃ頭よくて、スペイン語とか、語学系がやばいですね。テスト期間まじで徹夜したので、単位はきてほしいと願ってます。
――庭球部の社会科学部の先輩などに教えてもらったりもするのでしょうか
名越 同期は僕と杉田(栞、社1=埼玉・山村学園)しかいなくて、先輩が受けてた授業とかは教えてもらえるんですけど、そうじゃない授業とかは、結構、きついですね・・・難しいです。
――田中李選手はテストはいかがでしたか
田中李 私はスポ科(スポーツ科学部)で、先輩がおススメの授業を教えてくれたんですけど、それが結構人気だったらしく選外になっちゃって、変な時間割になってしまって、苦労はしましたね。単位はギリギリセーフだと思います。
――今年はスポーツ科学部の1年生が多いですよね
田中李 多いですね。授業は一緒に受けてます。
――もう8月。大学生活にも慣れてきた頃でしょうか
名越 4、5月は学校、試合、仕事と慣れないことばかりで全部中途半端になっちゃって、そこは大変でしたね。
田中李 高校時代は朝7時からテニスするとか、夜9時までテニスするとかあんまりなくて、そういう意味で練習も慣れるまでは大変でした。仕事面も覚えることが多くてきつかったんですけど、今は慣れてきたので、良い感じです。
――オフの日はどんな過ごし方をするのですか
名越 この前はお祭り行きました。でもカラオケが一番多いですね。田無のカラオケが安いんで、ずっと歌って、日頃のストレスを発散します(笑)。
田中李 一日オフだと遠出することが多いですね。練習後オフとかは映画見に行ったり、ご飯食べに行ったりとかですかね。こないだはプール行きました。
――最近ハマっていることは
名越 ハマってることもカラオケですね。RADWINPSとか、最近の曲が多いです。
田中李 花火したり水風船したりするの好きですね、公園で。
――平成最後の夏。やりたいことはありますか
名越 海行きたいですね。まあ行けなそうだなあ・・・
初めてのインカレに向けて
インカレへの意気込みを語る名越
――ここからはインカレに向けた質問に戻ります。お二人は岐阜のコートでプレーしたことはありますか
名越・田中李 ないですね。
――岐阜でなにか楽しみなことなどは
名越 ご飯?おいしのかな?ちょっと楽しみですね。
――今年の岐阜は猛暑が予想されますが、お二人は暑さには強いですか
田中李 すぐ熱中症になります。でも嫌いじゃないんですよね。
名越 暑い中遊ぶのは好きなんですけど。
田中李 わかる!(笑)
名越 暑い中テニスすると、なんかボーっとしちゃって、変なミスしたりフラフラしちゃったりします。弱い方かもしれないです。
――岐阜のコートは球の遅い特徴的なコートですが、得意不得意などはありますか
名越 決め球を返されたりしたら、あーもうムリってなっちゃうので(笑)、あんまり好きじゃないかもです。
田中李 私はテークバックが大きい方なので、多いコートは好きな方ですね。もしかしたら相性がいいかもしれないって感じですね。
――お二人はシングルスとダブルスどちらが好きですか
名越 僕はダブルスですね。高校時代ずっとダブルスしてたので。
田中李 朝起きた時はダブルスの方がテンション上がります。でも試合始まると、やっぱシングルスの方がいいかなってなりますね(笑)。ダブルスの方が気が楽なんですけど、やってるときはシングルスの方が楽しいです。
――ご自身の得意なプレーは
名越 フォアの逆クロスですね。高校の時は相手の球も速くなくてすぐ決められたんですけど、大学では逆に決められてしまうことも多くて、まだまだだなと思います。
――通用したと感じた点はありますか
名越 全くないですね(笑)。このままだと大学生にのまれちゃうなと思って、今から得意のフォアハンドを伸ばしていきたいです。
――田中李選手はいかがですか
田中李 苦手なのは、サーブです。通用したかなと思うのは、ラリーくらいですかね。全体的にレベルアップしなきゃなと思います。
――お二人は互いにどんな印象をお持ちですか
名越 いや、(田中李は)とにかく強いですよ。高校の全国選抜が一緒だったんですけど、S1は落とさないし、インターハイは足が攣って負けただけで攣ってなかったら勝ってたと思います。早慶戦も相手インターハイチャンピオンなのにしっかり勝つし、すごいなあと思ってます。
田中李 いやいや、そんなことないです(笑)。名越は、ただただダブラーのイメージですね。
名越 極力ダブルスがめっちゃ得意ってわけじゃないんですけど、高校の時はペアとの相性もよくて、結果も出たので、ダブルスの方が得意かなあという感じです。
――現在チームとしてダブルス強化に取り組んでいるとお聞きしましたが、成果は感じていますか
名越 ダブルスの細かい立ち位置とか、ボレーの面のつくり方みたいな基本的なことから、ロブを上げるコースとか応用の技術も教わって、すごく勉強になりました。
田中李 上さん、大矢さん(希女子主将、スポ4=愛知・名古屋経大高蔵)とかダブルスがうまい先輩が多いので、パターン練習みたいな感じでいろんな場面場面でのポイントの取り方を教えてもらったので、だんだんと試合でも出せているのかなと思います。
――インカレに向けて1週間を切っていますが、初めてのインカレはどんな目標で臨みますか
名越 単複予選なんですけど、高校時代の同期が本戦からなので、そいつらと再会できるように、本戦に上がることをモチベーションにしてます。
田中李 私もとりあえず単複どちらも本戦には上がりたいと思ってます。
――他大で意識している選手などはいますか
名越 高校時代の同期と当たったら負けたくないですね。
――今年は慶大の1年生に勢いがある印象です
名越 みんな強いですよね。高校時代結果出してる人が多いので。
田中李 強いですよね、でも当たったら負けたくないです。
――インカレでは俺・私のここに注目!というポイントは
名越 フォアの逆クロスで。スカっときれいに決められれば自分もノってくるので。
田中李 私はバックのストレートで。ミスもすごく多いんですけど、決まるときはすごく気持ちよく打ててるので、ミスしてもいいくらいの気持ちで打ってます。
――最後に、インカレに向けた意気込みをお聞かせください
名越 シングルスは予選1回戦から相生の先輩と当たるので、格上ですけどまずそこで勝って本戦を目指したいと思います。ダブルスは伊蕗さんと良い感じなので、本戦行ってあわよくば上位に行ければいいかなと思います。
田中李 シングルスは自分のプレーを忘れないで一試合一試合頑張ってまずは本戦に上がることを目標に頑張ります。ダブルスは廣川さんが最後のインカレなので、悔いが残らないように、本戦で勝てるくらいの気持ちでやっていきたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 松澤勇人)
フレッシュなルーキー対談でした!
◆名越大地(なごし・だいち)(※写真右)
2000(平12)年3月2日生まれ。身長176センチ。宮崎県出身。兵庫・相生学院高出身。社会科学部1年。高校時代のダブルスパートナーである山中瑠樹亜選手(関大1年)との対戦を楽しみにしているという名越選手。予選を突破してインカレ本戦の舞台で再会する、アツい展開に期待です!
◆田中李佳(たなか・りか)(※写真左)
1999(11)年12月26日生まれ。身長168センチ。東京都出身。兵庫・相生学院高出身。スポーツ科学部1年。先輩からは天然と評されていた田中李選手。対談でも時折発する不思議な発言で場を和ませてくれました!