1週間にわたり行われた全日本学生室内選手権(インカレインドア)もついに最終日を迎えた。男子シングルス決勝では田中優之介(スポ1=埼玉・秀明英光)と千頭昇平(スポ1=愛知・誉)が激突。1年生同士の対決は前日のダブルスも制覇している田中に軍配が上がった。
激しいストローク戦で熱戦の火ぶたは切られた。序盤は両者の意地がぶつかり合うかのような鋭い打球を打ち合う、長いラリーが続く。「自分は粘り強いプレーをするのが持ち味」という千頭が田中のミスを誘い、ゲームカウント5-2と大きくリード。このまま千頭が第1セットをとるかと思われた。しかし、「自分のやることをやるしかない」と切り替えた田中。速い球足でのラリーが続く中で、あえてペースを落とすなど工夫を見せる。迎えた第9ゲーム。お互いポイントを取り合い3度のジュースを重ねた末、見事ブレークに成功すると、一気に流れをつかんだ。持ち味の強いサーブや、厳しいコースをついたストロークで圧倒。5ゲームを連取し、逆転で第1セットをものにした。
千頭は鋭いストロークで相手を翻弄(ほんろう)した
続く第2セットも田中のペースで試合は進む。サービスエースや、甘くなったリターンを確実に打ち切るという第1セット終盤からの攻撃パターンでポイントを重ねていく。しかし千頭も簡単には引き下がらない。再びラリー戦に持ち込むと、鋭いストロークで左右に翻弄(ほんろう)。一時は田中が5-3としたが、タイブレークまでもつれ込んだ。ここで先行したのは田中だった。「出だしにどれだけ集中して打ち切れるかという気持ちでやった」(田中)。ファイナルセットに持ち込むまいと、一気に攻め立て5ポイントを連取。優位に立つと、最後まで鋭いサーブとストロークで相手を押し切った。「自分で思っているよりいい結果が出せた」。前日のダブルスと合わせて2冠を獲得し、笑顔で大会を締めくくった。
優勝を決めた瞬間、ガッツポーズする田中
今大会を持って2017年の学生大会が終了。全日本大学対抗王座決定試合での13連覇をはじめ、個人戦でも早大勢が数々のタイトルを獲得し、学生王者としての強さを見せつけた。王座後の新体制で迎えた今大会では、男女単複4冠を達成。これは史上初の快挙だ。しかし、そこに慢心は全くない。「これがあだとなることがないように、気を引き締めてチームをまとめていきたい」(坂井勇仁主将、スポ3=大阪・清風)。来年も早大庭球部が大学テニス界を席巻する。
(記事 吉田優、写真 松澤勇人)
賞状とトロフィーを手に笑顔を見せる田中
チャンピオンスピーチ
田中 まずはじめに、今大会を主催してくださった全日本学生テニス連盟の方々をはじめ各関係者のみなさま、本当にありがとうございました。そして本日まで長い間サポートをしてくださった土橋さん(登志久監督、平元教卒=福岡・柳川)、嶋崎さん(徹夫監督代行、平元商卒=神奈川・桐蔭学園)、弥起さん(石井コーチ)をはじめ、早稲田大学庭球部のみなさま、本当にありがとうございました。個人的には、シングルス、ダブルス共に学生大会での初タイトルを獲得することができて、非常に良い大会となりました。しかしこの結果に満足せず、今後もしっかりと頑張っていきたいと思います。本当に長い間ありがとうございました。
結果
▽男子シングルス決勝
〇田中7-5、7-6(3)千頭
最終成績
▽男子シングルス
優勝
田中優之介
2位
千頭昇平
ベスト4
島袋将
2回戦敗退
小林雅哉
1回戦敗退
齋藤聖真
坂井勇仁
古田伊蕗
髙村佑樹
▽男子ダブルス
優勝
坂井・田中
2位
古賀・安上
ベスト4
島袋・髙村
1回戦敗退
齋藤・千頭
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コメント
田中優之介(スポ1=埼玉・秀明英光)
――優勝おめでとうございます。いまの率直なお気持ちをお願いします
本当にうれしいです。久々のタイトルなのでそこは素直にうれしいです。
――いつぶりになりますか
去年の全日本ジュニア室内選手権では優勝したんですけど、大学生になって初のタイトルなのでうれしいです。
――きょうの相手は同級生の千頭昇平(スポ1=愛知・誉)選手でしたが、どのような気持ちで臨みましたか
本当に緊張していました。相手が本当に強いことは分かっていたし、実力が全然上なので自分はやることをやるだけだなと思っていました。ファーストセットが2-5になったので、やることをやるしかないなと。
――いまおっしゃった場面から5ゲームを連取してファーストセットをとりましたが、あの場面の心境として何か切り替えたりしましたか
相手が少しセットをとろうと打ち急いでいるのが分かったので、そこを自分がしぶとくいけたらもしかしてと思っていてその通りになったので良かったなと思います。
――ファーストセットは終始激しいラリー戦でしたが、ある程度予想していた展開でしたか
正直自分が思っていたより向こうのフォアもバックもすごい精度が高くて、最初は全然長いラリーでとれなくてやばいと思っていました。その中で相手の単発のミスだったり自分があえてペースを落としたりして徐々にとることができて、自分のペースに持っていけたかなと思います。
――セカンドセットは一転してサーブから崩して早い段階で勝負をする展開が多かったように思います
向こうのリターンがいいっていうのは分かってて、セカンドサーブになった時に得点率が低かったと思うので、ゆっくりでもファーストサーブをしっかり入れようっていう思いでプレーしていました。
――5-3になってから4ゲーム連取されましたが、あそこで焦りなどはありませんでしたか
リターンがいいっていうのは分かっていたので、できれば5-3のゲームで仕留めたかったんですけどそこをラブゲームでキープされてしまって、ちょっと自分の中で嫌な流れになって案の定ブレークされてしまいました。やばいなとは思ってました(笑)。
――それでも直後のサービスゲームはキープできました
そうですね。そこは小さいことを気にしてて、片方のサイドはブレークされたけど逆サイドはブレークされてないっていうのを考えてて、いけるんじゃないかって勝手に思ってていけたんでよかったです(笑)。
――タイブレークでは先にリードすることができましたが、あそこはどのような心境で臨みましたか
ファイナルにいったら正直分が悪いと思っていたので出だしにどれだけ集中して打ち切れるかっていう気持ちでやっていました。
――きのうのダブルスと合わせて単複優勝となりましたが、その点についてはいかがですか
自分が思っていたよりもいい結果が出せたのでよかったなって感じです。
――これで今年の学生大会が終了となりますが、4月から振り返ってみて全体としてはいかがですか
シングルスでは夏関(関東学生選手権)は除いて春関(関東学生トーナメント)でもベスト4、インカレ(全日本学生選手権)でもベスト8に入れたのでよかったなと思うんですけど、単複で勝つっていうのが今大会でしかできていないので、来年はタフなんですけどシングルスでもダブルスでも勝てるような選手になりたいなと思います。
――冬の間に強化したいポイントはありますか
バックハンドをもう少しミスを少なくすることと、あとはネットプレーですね。すごい先輩とかにばかにされるので見返せるように(笑)頑張りたいと思います。
――来年の目標をお聞かせください
来年はインカレで単複優勝できるように頑張っていきたいと思います。
千頭昇平(スポ1=愛知・誉)
――まず大会を終えていまの気持ちはいかがですか
満足はしていないですけど、1回戦と準決勝で競った試合を勝てたのはよかったです。次につながる大会だったかなと思います。
――それはどういった部分で感じましたか
自分は粘り強いプレーをするっていうのが持ち味なんですけど、このコートは(球足が)速いので自分から攻める方が有利なんですけど僕は普段からあまり自分からは攻めなくて。でもやっぱりこれからそういう部分は自分に必要になってくることなので、無理にでも失敗してもいいからトライしていこうと思ってやりました。
――きょうの試合は田中優之介(スポ1=埼玉・秀明英光)選手との対戦ということでよく知っている相手でしたが、どういった気持ちで臨みましたか
昔から知っている仲ですけどこのコートではパワーがある相手の方が分があるなと思っていたので、その中でも自分がやることはやり切れたかなと思います。
――きょうは膝をケアする場面も多かったですが、その影響などはありましたか
それが理由っていうよりは実力で負けたと思いますね。膝は入学する前に手術をしてたまに痛くなったりするんですけど、この冬しっかりトレーニングをして体を強くしてまた来年に向けて頑張りたいです。
――今年の学生大会はこれで終了ということで、ケガから本格的に復帰したシーズンだったと思いますが、振り返ってどのような1年でしたか
1年間何もなく、テニスができなくなることがなかったのでそれはとても満足しています。でも自分がプレーしたいところはここではなくて、大学生の中が最後に目指しているところではないので、もっと自分が強くなって大学生でもプロの中で勝っていけるんだっていうのを示せる人になりたいなと思います。
――冬の間に強化したい点はありますか
自分はやはりサーブが弱くて苦手っていうのを分かっています。男子はやっぱりサーブが一番大事だと思うのでサーブをもっとよくすることができたら試合もスムーズに進むと思いますし、楽にもっと勝てるのかなと思います。
――最後に来年以降の目標をお願いします
プロの大会で勝っていけるようにしたいと思います。