島袋がATPツアーに挑戦!早慶エースペアで元世界ランク1位を撃破

庭球男子

 日本で行われる最もランクの高い大会、楽天ジャパンオープン。ATPツアー500の国際大会であり、ことしも本戦に世界ランキング7位のマリン・チリッチ(クロアチア)を始め豪華なメンバーが出場する。そんなハイレベルな大会の予選ワイルドカードを、島袋将(スポ2=三重・四日市工)が単複でゲットした。シングルスでは敗れたが、上杉海斗(慶大)とのダブルスでは元世界ランキング1位の相手にストレート勝利を収め、予選決勝へ駒を進めた。

 シングルスでは138位のヤニック・ハンフマン(ドイツ)に挑んだ島袋。初めてのツアー大会に「とても緊張していた」と硬くなり、1ゲーム目からブレークを許してしまう。リターンゲームでも長身から繰り出されるサーブに歯が立たず、自分のサービスをキープすることで精いっぱいだ。第6ゲームで相手のセカンドサーブからラリーに持ち込み一矢報いたが、すぐにブレークバックされてリードは奪えず。簡単なミスも多く、このセットを3-6で落とした。続くセカンドセットはキープキープの展開に。次第に相手に対応し、ストロークで追い詰めたりサービスエースを奪ったりと観客を湧かせるプレーも増えてくる。しかし、「自分サーブも大事な場面で自信を持ってプレーできなかった」と島袋。4-5で迎えたサービスゲームで痛恨のブレークを許し、勝利はならなかった。それでも、武器であるサーブやフォアハンドショットからポイントを重ねるなど、ランキングほどの差はなかった印象だ。試合後には「手応えとしてはすごくやり合えたというのは一番」と振り返り、初めて対戦するレベルの相手にも良い感触を得た様子。また一つ経験を重ね、今後の成長の糧にしていくだろう。

格上選手を相手に食らい付く島袋

 シングルスから時間を空け、ダブルスにも出場した島袋。慶大の上杉海斗(4年)と早慶エースペアを結成し、予選1回戦に臨んだ。対する相手はマックス・ミルネイ(ベラルーシ)・フィリップ・オズワルド(オーストリア)組。ミルネイは元ダブルス世界ランク1位の選手で、四大大会でも6度の優勝を誇る世界トッププレーヤーの一人だ。格上の相手に、「とにかく試合を楽しもう」(上杉)と臨んだ上杉・島袋組だったが、序盤は相手の長身から繰り出される強烈なサーブに苦しめられる。それでも自分たちのサービスゲームではブレークを許さず、互いにキープキープの展開のまま迎えた第12ゲーム、ついにチャンスを迎えた。相手のダブルフォルトでこのゲーム最初のポイントを得ると、その後も徐々に合ってきたリターンから攻撃に転じ、ついに相手のサービスゲームをブレーク。ファーストセットを奪った。セカンドセットも序盤は互いにサービスキープが続いたが、またしても上杉・島袋組が先にブレークに成功。このまま流れに乗りたいところだったが、相手も粘りを見せ、すぐにブレークバックされてしまう。その後は一進一退の攻防が続き、そのままタイブレークに突入した。迎えたタイブレークも手に汗握る接戦となるが、先にセットポイントを迎えたのはミルネイ・オズワルド組。勝負の行方は最終セットへ持ち越しかと思われたが、ここから日本ペアが奮起する。熱い応援を受けて勢いに乗った上杉・島袋組は4-6から4ポイントを連取。勝利の瞬間、1番コートは拍手と大歓声に包まれた。「勢いよく自信を持って自分たちのプレーができた」(島袋)。この勢いそのままに、金星を挙げた学生ペアはあす、本選出場を懸けた戦いに挑む。

有力ペアを相手に金星を挙げた瞬間の上杉(右)・島袋組

 予選とはいえ出場者は世界レベルの実力を持った選手ばかり。その中で、即席ペアながら有力選手を相手に勝利を収めたことは、大学テニス界のレベルを示すことにもつながったはずだ。「緊張するとは思うが、学生の力、元気の良さを見せつけていきたい」(島袋)――このまま予選2回戦でも持てる実力を存分に発揮し、本戦出場を果たしてほしい。

(記事 熊木玲佳、松澤勇人、写真 熊木玲佳)

結果

シングルス予選1回戦

●島袋将3-6、4-6Yannick HANFMANN(GER)


ダブルス予選1回戦

○島袋将・上杉海斗(慶大)7-5、7-6(6)Max MIRNYI(BLR)・Philipp OSWALD(AUT)

コメント

島袋将(スポ2=三重・四日市工)・上杉海斗(慶大4年)

――まずダブルスの試合を振り返っていただけますか

上杉 試合に入る前に二人とも「とにかく試合を楽しもう」と、相手が強いということは分かっていたので「思い切ってこちらが勢いを出してやるしかない」と話し合っていました。いざ試合に入ってみると僕自身はちょうどいい緊張で、すごく調子も良くて。向こうがすごくサーブもいい中で、何とかリターンゲームで糸口を見つけ出してやっていこうとしてファースト6-5、セカンドも2回(ブレークできて)、タイブレークもリターンがしっかり合ってきて、終始勢いに乗れたかなと。お互い組み始めてそんなに日にちは経っていないのですが、すごく組みやすかったですし、試合しながら二人のダブルスのかたちを見つけることができたので、そこはすごくかみ合って良かったかなと思います。

島袋 上杉さんが言われたように、組み始めてそんなに日が経っていないのですがすごく合っていて、自信を持ってやっていいなとこの試合に臨んで。その結果ファーストセットの最後にブレークできましたし、セカンドセットも最後に2回ブレークできて、最終的にタイブレークを取れたということで、勢いよく自信を持って自分たちのプレーができたかなと思います。

――シングルスの試合はどう振り返りますか

上杉 シングルスは正直最初入場した時に会場が初めての雰囲気で、すごく緊張しました。試合自体は楽しんでできたかなと思っていますが、ファーストセットはついていけなくて。セカンドセットで徐々に慣れ始めてからは自分のテニスができるようになったのですが、結局それが最後まで続かなくて、要所で相手にサーブでしのがれたりとかちょっとした凡ミスがあったりとか隙があって、セカンドも結局4-3からぽろっと負けてしまって・・・。正直いい経験はできたのですが悔しい気持ちの方が強いです。最初から互角にしっかり戦えるようにどんどん上を目指してやっていきたいなと思います。

島袋 こういう初めての大舞台で戦えるということにまず感謝して。最初めっちゃ緊張していて、プレー自体も硬かったのですが、最終的にはサーブリターンの差かなと強く思いました。向こうは長身でサーブも良くて、その中でどう向こうのサービスゲームをブレークしていくか、そこをクリアしないと勝てないと思いましたし、自分のサーブも大事な場面で自信を持ってプレーできなかったのはこれからの課題になっていくなと思いました。手応え的にはすごくやり合えたというのは一番で、自分は今800位台なのですが、100番台の相手にも互角に戦えるというのは自信にして、これからどんどん相手に対して挑戦して頑張りたいと思います。

――あすに向けて

上杉 とにかくここまできたら勝ちにいく姿勢、勢いを二人でしっかり出して、本戦に上がればデ杯のペアと当たれるので、そことやるためにしっかりあした勝てるように準備して。また緊張するとは思うのですが、それを楽しんで勝ちにいきたいなと思います。

島袋 上杉さんの言ったように緊張すると思うのですが、学生の力、元気の良さを見せつけていきたいなと思います。