最終回に迎えるのは小倉孝介主将(スポ4=神奈川・湘南工大付)、細沼千紗女子主将(スポ4=東京・富士見丘)だ。今年度の男女両主将は、ここまでのチームの成績をどう捉えているのか。そして一人のプレーヤーとして、どのような覚悟で最後の全日本学生選手権(インカレ)に臨むのか。
※この取材は7月2日に行われたものです。
「主将として、勝ってチームを引っ張りたい」(小倉)
自分自身とチームの半年を振り返る小倉
――まずここまでのシーズンを振り返っていかがですか
小倉 春関(関東学生トーナメント)ではワセダがシングルスのタイトルを獲得できて、早慶戦(早慶対抗試合)もシングルスで上位者が多かったので慶大にしっかりと勝ち切れて良かったです。毎年そうなのですが、ことしは特にダブルスに課題が残っていて、それをインカレ、リーグ(関東大学リーグ)、王座(全日本大学対抗王座決定試合)に向けてやっていくということが明確になっているところなので、今後の練習ではそれがメインになるかなと思います。まあ全体的に見て早慶戦もそうですし、いい流れがきているのかなと思っていてこれからも頑張りたいと思います。
――小倉選手個人としては春関を振り返っていかがですか
小倉 両方(単複)とも同士打ちで負けてしまったので、なかなかテニスって難しいなと思いました。インカレでは勝たなければいけませんし、主将としても勝ってチームを引っ張りたいというのもあるので正直かなり悔しかったのですが、それをバネにして頑張っていきたいなと思います。
――細沼選手はいかがですか
細沼 春関ではシングルスのタイトルが取れず、上位に選手を残せなかったんですけど、ダブルスではタイトルが取れてチームとしては良かったです。早慶戦では7-0を目標にしていたんですけど、私がその一本を落としてしまってふがいない結果に終わってしまって。でも、チーム全体としてはかなりいいかたちになっているかなと思います。
――今のところこのシーズンを一言で表すとどんなシーズンですか
細沼 『挑む』ですね(笑)。
一同 (笑)
細沼 最終的に王座12連覇というのがあるじゃないですか。それに『挑む』のと、インカレタイトルにみんなで『挑む』ということですね。
小倉 『気持ち』ですね。実力的にも早大のトップの選手は実力をつけていて、フューチャーズでもダブルスで優勝できたんですけど、それがリーグで勝ちにつながるわけではないので、気を引き締めてやっていきたいなと。さらに向上心を持って、この結果に満足してはいけないということで、このチームが今後成長していくのに気持ちがすごく関わってくると思います。
――ダブルスの話になりますが、小倉選手は森山颯太選手(商4=埼玉・川越東)と、細沼さんは上唯希選手(スポ3=兵庫・園田学園)と組んでこれまでいかがでしたか
小倉 小倉・森山はすごくいいです(笑)。
一同 (笑)
小倉 森山は本当にしつこくていやらしいタイプなので僕にはないものを持っていて、彼にないパワーを僕が持っているので。性格的にも合っていてすごくいいかなと思います。お互いの長所を生かしてやっています。
細沼 私は上と組むと緊張しちゃって。上は後輩なのですが、戦績をすごく持っていて全然私より上なので、いつもミスった時に「やばい、どうしよう」って思ってずっと緊張してたんですね。でも最近組むたびに段々緊張しなくなってって、良くなっているのかなと思います。私も緊張がほぐれてきたので、いい意味で緊張がほぐれていくといいのかなと思います。上はのびのびやってくれればいいペアなのかなと思います。
――これまでで見つかっている課題はありますか
小倉 ミスが多いことですね。自分の武器は足と言われているのにミスが多くてもったいないなと。苦手なところがあるというわけではないので、性格的にも雑な部分があるので丁寧にしたいです。あとは、勝ちたいという気持ちですね。気持ちの面で足りてないのかなと思っていて。最近K1にはまっているんですけど、試合前にトークバトルするんですよ。ああいう自信満々なところが自分に足りないところかなと思っています。試合前に見たりしています。
――球に追いつけているけれど取れないということでしょうか
小倉 そうですね。
――細沼選手はいかがですか
細沼 去年のインカレでは体力勝負で勝っていった感じで、相手より一球でも多く返して返して粘って決めるという感じだったんですけど、今はそういうテニスから遠ざかっていて一発屋のようになっていてすごくミスが多いテニスになっているということは自分でも自覚しています。インカレは遅いコートでもあるし、相手が嫌がるいやらしさを出していければいいのかなと思っています。
――ダブルスではいかがですか
細沼 ダブルスは最近結構調子が良くて。あんまり気にしないようにしています。
小倉 ダブルスはインカレのペアが不在なので、僕がその分練習してカバーできるように頑張っています。夏関もあって、ダブルスの上手な主務の丹波谷(克志、法4=東京・早実)と組むので足を引っ張らないように頑張ります。
――主将になってから半年ほど経ちましたが、練習や意識に変化などはありましたか
小倉 やはり自分がちゃんとやらないとみんなもちゃんとやらないのはもちろんそうで、自分を見てみんなが動くので。技術的に自分が苦手な練習でもどれだけ必死に取り組めるか、自分がどれだけやれるかっていうのを意識して、自分が苦手な部分で練習していないとみんなも克服しようと思わないのでそういう部分で引っ張っていこうと思っています。あとは各試合が終わってからどんな課題があったかをみんなに確認して、その都度練習に取り入れて次の試合に向けて課題を克服しようと頑張っています。
細沼 やはり小倉と一緒で、練習態度だったりトレーニングの態度だったりは意識していて、いつどんなときに見られても後輩に主将として頑張ってるなって思ってもらえるようにはしています。あと、後輩とのコミュニケーションを取るようにしていて、個人的に会って話したりもしているので。女子部は25人いるので一人ひとりと時間取って話すというのは難しいと思うんですけど、でも一対一で話すことは大事だと思うのでそこは意識してやっています。
男女主将の私生活
同じ責務を担う二人の対談は和気あいあいとしたものに
――テニスの話からはそれますが、他の部活の試合を見ることはありますか
小倉 試合を見るとかではないのですが、水泳の坂井聖人(スポ4=福岡・柳川)と授業が同じで仲が良くて、注目していたらオリンピックでメダルを取って。他は・・・見たりはしないですね。自分はテニスでいっぱいいっぱいなので(笑)。
細沼 この前野球の早慶戦に行って。初めて他の部活の試合を見て、テニスってしけてるなぁと思って(笑)。野球ってこんなに盛り上がるんだと、テニスってまだまだマイナーだなと思って。友達とかが頑張っている姿を見ると私も頑張らなきゃなとかなり思いました。
――他の部員にこれだけは負けないという部分はありますか
小倉 シャトルランですね。負けられないですね。
細沼 健太(三好、スポ4=埼玉・秀明栄光)に負けてなかった?
小倉 あれはちょっと(笑)。
細沼 言い訳してますよ(笑)。
――負けたのはそれだけですか
小倉 負けたと思ってないです(笑)。体力系と、テニスを好きという気持ちですね。
――細沼さんは何かありますか
小倉 色?
細沼 色はまだですね(笑)。何だろう・・・(居合わせた部員からの「かわいさ」という声に対して)かわいさですかね(笑)。
小倉 下から(笑)。
細沼 ああ、アンダーサーブの多さです(笑)。
――男子部と女子部は普段から一緒にいるのですか
小倉 はい。ごくたまに練習も一緒にします。他の部活よりは関わりはあるんじゃないかと。
――では、小倉さんから見て女子部の印象はありますか
小倉 もうちょっと女子力がほしいです(笑)。ちょっとうるさい人とか声が大きい人とか下品な人とか(笑)。
細沼 全部私ですよ(笑)。ひどい(笑)。
小倉 もうちょっと女子を見たいです(笑)。
細沼 男子部室が臭いんですよ。夏とかは通るたびに「うっ」て鼻にくるので。
小倉 あれは歴史だよ。
細沼 あとは・・・何だろうね。
小倉 イケメンが多い。
細沼 ああ・・・多いです。イケメン・・・。
小倉 島袋(将、スポ2=三重・四日市工)とか。
細沼 あんまりタイプの顔じゃない。かっこいいけど。 おとといくらいから髙村(佑樹、スポ2=千葉・東京学館浦安)がきてます(笑)。
――急に何かあったんでしょうか
細沼 顔が小さいって気づいて、よく見たらイケメンだって思って。昨日はずっと女子部室からずっとブラインドの隙間から見てました(笑)。
小倉 ちょっとやめてほしいです。
一同 (笑)
小倉 確かに髙村はかっこいいのですが、同期の島袋の陰に隠れている感はあります。
細沼 島袋は顔が大きいですよね。
小倉 髙村は足が短い。
一同 (笑)
――誰が一番スタイルがいいとお考えですか
細沼 木元くん(風哉、社1=埼玉・早大本庄)とか。
小倉 それは違くない?スタイル?俺が言うことじゃないけど。そういう目で見たことがない(笑)。
――それぞれ、男女の垣根を越えて仲のいい方はいらっしゃいますか
細沼 ここの二人は仲がいいですよ。
小倉 まあ、仕方なく(笑)。
細沼 今度ホルモン行こうって話してます。けど、私がドタキャンしてしまってて。今週は水、木曜日と行こうとしてて(笑)、行けなかったですね。
小倉 やっぱ無理って。
細沼 一方通行らしいです。
「ワセダの中で一番に」(細沼)
強い覚悟を以て岐阜へ向かう細沼
――ではインカレの話に移ります。昨年のインカレを振り返っていかがですか
小倉 昨年は単複予選負けで、もちろん満足してないですし、実力不足で。新進(関東学生新進選手権)で優勝してからうまくいかない部分が多くてと。シングルスはことし初めて本選からなので、思い切ってやるだけなのかなと思っています。4年生、主将とか関係なく自分のテニスをしようと、それだけ考えています。
細沼 去年はシングルスで準優勝できて、すごくうれしかったんですけど、ことしのインカレは初めて(ダブルスは)予選からでちょっと情けない部分とか、上に申し訳ない気持ちが大きいです。でも私は主将だからとか最後の年だからとか勝手に自分にプレッシャーをかけてしまうので、そういうのはなくして楽しくプレーできたらいいなと思います。
――先ほどあまり考えないようにとおっしゃっていましたが、やはり主将や最後の学年という面で思いはありますか
細沼 優勝ですね(笑)、やっぱり。
小倉 優勝です。
――インカレは1カ月後に迫っていますが、調子はいかがですか
小倉 調子は特に変わりなく、自分に何が必要なのか突き止めてやるだけかなと思っています。
細沼 いいです。・・・いいです(笑)。
――重点的に練習していることはありますか
小倉 特には・・・。練習中は周りを見てチームのことを考えないといけないので。
細沼 私は小倉みたいに全部いいわけではないので。
小倉 いいわけじゃないよ。
細沼 苦手はないって言ってたじゃん(笑)。
小倉 苦手がないことがイコール全部いいってわけではないよ(笑)。
――他の大学で意識している選手はいますか
小倉 中大の望月(勇希)が海外のフューチャーズで優勝して、かなり上げてきているなと思いました。大和田(秀俊、中大)も国内の大会で準優勝していて、中大はかなり強敵になるかなと思います。
細沼 筑波大の森崎(可南子)ですかね。最近すごく良くて、この前JOPで単複優勝していて。この前のITFで一緒に組んで優勝したんですけど、そのときに「最近テニス楽しい」って言っていたので。高校で一緒だったんですけど、そういうときの彼女ってものすごく強いので、怖いなと女子部では話しています。
――個人的に早大内で意識している選手はいますか
小倉 自分です(笑)。自分自身だと思います、あとは。周りは誰を見ても強いし、そういう集まりなので、その中で自分がどれだけ集中してやれているかでおのずと力がついてくると思うので。島袋とかは結果も出してきて主力になってチームにもいい影響が出ているので、それを自分にもいいかたちで取り込んで刺激にして頑張っていきたいと思います。
細沼 結構みんな意識していて・・・。ノンレギュラーとかも意識していて、頑張っていたら自分ももっと頑張らなきゃなと思うので、みんな意識していますね。
――ライバルかなと思うような選手はいますか
細沼 誰とかではなく、ワセダの中で一番にならなきゃなとは思っていますね。
小倉 みんなライバルです。みんな強いので(笑)。
――ダブルスではお二人とも予選からということで、期間が長くなり体力面ではいかがですか
細沼 でも最後のインカレなので存分に長くいようと思っています。プラスに考えています(笑)。
小倉 体力的には問題はないので。むしろ最後までいた方が僕にとっては有利かなとは思っています。残れるかは分からないですが、期間的には問題ないです。
――ことしのインカレはどのようなインカレにしたいですか
細沼 記憶に残るようなインカレにしたいです。嫌な記憶ではなくいい記憶で終わりたいですね。
小倉 やっと出てきたなと思わせたいです。それだけですね。
――技術面でのアピールポイントやダブルスでは強みなどありますか
細沼 結構体が大きいので、その中でダブルスではプレッシャーをかけられるかことがかなりあると思うので存在感を出していくことと、シングルスでは高身長を生かしたサーブとストロークを武器にしていきたいと思います。
――サーブの調子はいかがでしょうか
細沼 いいよね。いいんですよ、きのう小林雅哉(スポ2=千葉・東京学館浦安)にも「いいじゃん最近」って言われました(笑)。すごくうれしかった。
小倉 僕は足だけですね。それしかないので。生かせれば勝てると思っています。
――ダブルスではいかがですか
小倉 なんだろう・・・。ペアの手汗がすごいです(笑)、森山の手汗がすごいです。ハイタッチはしたくない。
細沼 上がすごく器用なんですよね、ぱっぱっぱって。私はすごく不器用で。上の動きを後ろから見ていて、すごいなと思って私が上の動きを真似してやるととんでもないミスをしてしまうので、上は几帳面で私は不器用というのを頭に置いてないとやらかしてしまうので。上は几帳面なのですごいなと思っています。
――では最後にインカレへの意気込みをお願いします
小倉 自分のテニスをするだけ。あとはひたすら勝ちを目指して1ポイント1ポイント集中して優勝できるように頑張ります。
細沼 ダブルスは上と楽しくやろうと言っているので楽しくやって、シングルスは自分の持っているテニスが最大限発揮できるように頑張りたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 平松史帆)
力強くインカレへの抱負を書いていただきました!
◆小倉孝介(おぐら・こうすけ)(※写真右)
1996年(平8)2月9日生まれ。身長173センチ、体重64キロ。神奈川・湘南工大付高出身。スポーツ科学部4年。全日本学生ランキングシングルス37位(2017年6月付)。ダブルスでペアを組む森山選手とは真逆のタイプだという小倉選手。毛深さや手汗の量まで違うそうです。プレー面ではお互いに補い合いながら勝ち進んでほしいですね!
◆細沼千紗(ほそぬま・ちさ)
1996年(平8)3月26日生まれ。身長168センチ。東京・富士見丘高出身。スポーツ科学部4年。今季の主な実績は、関東学生トーナメント女子シングルスベスト16。全日本学生ランキングシングルス2位、ダブルス5位(2017年6月付)。春に野球の早慶戦を見て、応援などテニスとの規模の違いに驚いたという細沼選手。早大がインカレを盛り上げて、まずは学内でのテニスの知名度を上げられたら素敵ですね!