【連載】インカレ直前特集『Let Waseda Reign Again』 第6回 坂井勇仁×古田伊蕗

庭球男子

 連載第6回を飾るのは3年生コンビだ。コンスタントに結果を残し続けている坂井勇仁(スポ3=大阪・清風)、昨年から存在感を見せている古田伊蕗(スポ3=静岡・浜松市立)。3年目で迎える全日本学生選手権(インカレ)は、彼らにとってどのような大会になるのか? 同期ならではのエピソードも伺った。

※この取材は7月15日に行われたものです。

自信、そして課題

今季を振り返る二人

――新体制になってからの試合ということで、まずは全日本室内選手権(インカレインドア)をざっくり振り返っていただけますか

古田 初めて出たのですが、1回戦で中大の望月(勇希)と当たって。向こうの方が決定力もあって、自分は後ろの方でラリーを続けることしかできないので、望月とか島袋(将、スポ2=三重・四日市工)とかみたいにもっと前に出て攻めるテニスができるようになればなと思いました。

坂井 僕は1回戦でダブルスのペアの島袋と当たって、結構きわどい試合だったのですが、セカンドセットでセットポイントを取り切れず逃げ切られたという感じで・・・。でもそんなに悪い試合ではなかったので切り替えてダブルスでもう一度決勝までいけたらなと思っていたのですが、準決勝で慶大の逸崎(凱人)・畠山(成冴)に負けてしまって。それもタイブレークで6-1から挽回されてしまったので、タイブレークを強くならないといけないなと思いました。

――ことしになってからは関東学生トーナメント(春関)がありました

坂井 僕はシングルスではベスト16までいけて3年目で初めてインカレ本戦の切符を手にしたのですが、あの大会で勢いのあった大和田くん(秀俊、中大)に負けてしまって。ワセダがとんとんとんと負けて勢いづけてしまっていたので、僕が止められていればなと思いました。ダブルスも中大のペアに負けてしまったのですが、インカレ予選は単複経験しているので、初心に返って一からやりたいなとは思いました。

――ことしこそ単複本戦から、という気持ちはあまりなかったのでしょうか

坂井 あったのですが、1年生の時は両方予選からで、2年生の時はシングルスが予選から、3年生の時はダブルスが予選からということで、進歩はしていると思います。来年こそは単複本戦から・・・。インカレには出場できるので頑張りたいと思います。

――古田選手は春関をどう振り返りますか

古田 春関はまずダブルスが本戦に上がれなくて、そこで気持ちが落ちてしまったのですが、シングルスはベスト8に入ってシードを守ることができて。準々決勝で勢いのある後輩の田中(優之介、スポ1=埼玉・秀明英光)相手にいい試合はできたと思うのですがそこで負けてしまって・・・。インカレではリベンジできるように頑張りたいと思います。

――学生大会では一番いい成績だったと思いますが、悔しい気持ちの方が大きいですか

古田 そうですね・・・。勝てたなあ(笑)。

一同 (笑)

――その次には早慶対抗試合(早慶戦)がありましたね

坂井 僕はダブルスだけだったのですが、逸崎・畠山に久しぶりに勝てて良かったなと。大学に入ってもう8回やっていていま5勝3敗で。シングルスでは今回メンバーから外れてしまって、ワセダは層が厚いので誰が出るか分からない分もっとチャレンジャーの気持ちを持ってやっていきたいと思いました。

古田 関係ない話になってしまうのですが、早慶戦のちょうど1週間前に溶連菌にかかってしまって・・・。

坂井 ちっちゃい子がかかるやつです。こんな顔して・・・。

一同 (笑)

古田 試合が土曜日からだったのですが、木曜日くらいまでテニスをしてなくて、正直出ないなと思っていたんですよ。そうしたらまさかの出ることになって、やりました(笑)。前日に隼さん(渡邊ヘッドコーチ、平元スポ卒=静岡・庵原)に「あした出るから」って言われて。相手が韓さん(成民、慶大)でタイプ的に苦手ではなかったので、体力がない中でしっかり自分のプレーができたかなと思います。

坂井 ラケットなくなったしな、相手。途中でラケットのガット全部切れて。

――何本持っていたのでしょうか

坂井 4本ぐらい持ってきていたらしいのですが、全部切れて。ポイント間は20秒なら走って取りにいってもいいらしいんですよ。だからその20秒の間でぐわっとダッシュして、誰かに借りて戻ってきました。

古田 びっくりした、何が起きたのかと思った。韓さんがすごい勢いでぶわーっと走っていって。何だと思ったらラケット持って。

坂井 笑ったわあれ。

――以前の取材で「ずっと古田、坂井、齋藤(聖真、スポ3=神奈川・湘南工大付)の同学年3人で団体戦で4、5本取りたいと話していた」とおっしゃっていました。ここ最近はコンスタントに達成できていますが、やはりうれしい気持ちはありますか

坂井 それは結構ありますね。(早慶戦では)4になっちゃったのか、僕が単複出られたら5になるのですが。

古田 何だかんだ出てるな、俺ら。坂井さんに追いつけ追い越せで齋藤、古田で頑張ってやっていたら、いつの間にか出ていました。

――学生大会以外のお話も伺いたいと思います。古田選手といえば昨年の三菱全日本選手権(全日本)での快進撃が印象に残っていますが、ブレークのきっかけなどはありますか

古田 きっかけは分からないのですが・・・楽しかったです、あの時期は。周りが応援してくれて、それに応えて、球が入ってわーってなって・・・日本語だめだ(笑)。

――3回戦は悔しい試合になりましたね

坂井 タイブレーク5までいってたな。僕が試合の控えに入っていて、「伊蕗勝つんちゃう?」ってばーって走って見に行ったところから1ポイントも取ってない(笑)。

古田 ファイナルがまず5-4自分サーブで、ずっとキープできていたのですがそこでまさかのブレークされて、タイブレークにいって5-2でサーブ2本、5-4、チキって取られて負けたんだ。

坂井 マッポ(マッチポイント)あったっけ?

古田 マッポはない、結局。

坂井 (ベスト)8か、あれ勝ってたら。

――学生大会よりやりやすい部分はありますか

坂井 僕はあまり意識しないですね。

古田 俺はやりやすいかな。向こうが常に格上の相手なので、チャレンジャーとして。ポイントとかは懸かっていますが、次がある大会ではないので。

坂井 ああ、それはあるね。

――坂井選手は6月の昭和の森オープンでダブルス優勝を果たしました。振り返っていかがですか

坂井 1回戦は去年の全日本チャンピオンの奥(大賢、エキスパートパワーシズオカ)・長尾(克己、上武大)ペアとで、ドローを見た時に結構きついかなと思っていたんですよ。コートがすごく特殊なコートだったので、それをうまく利用しながら勝ち上がれたという感じでした。

――跳ね方が特殊なのですか

坂井 すごい跳ねるんですよ。スピンサーブとかも、ハードコートとはまた違うすごい跳ね方するんですよ。レッドオムニと言って、半分クレーの半分オムニみたいな。サーブもぐいんと回転をかけて跳ねさせて、と。優之介もストロークがいいのでがんがん押してやっていましたね。コートとも相性が良かったかなと思いました。

古田 サーブが入ると誰も返らなくて。サーブ打ったら終わりみたいな。

坂井 取れないです、跳ねて。

――優勝した喜びは大きかったですか

坂井 そうですね。初めて決勝に行けて、清水くん(悠太、パブリックテニスイングランド)が手首を痛めて本調子ではなかったので、抑え込むようにできたのが良かったと思います。ポイントも入るので、これでダブルスはまた全日本選手権にも出られますし、次につながって良かったかなと思います。

――ダブルスのことについてお聞きします。坂井選手は河野優平副将(スポ4=福岡・柳川)とのコンビネーションは改めていかがですか

坂井 試合中は結構しゃべるんですけど、普段のコミュニケーションは古田が結構仲いいんですよ。古田、齋藤、俺の中だったら俺が一番からみにくいと・・・(笑)。二人で風呂行きましょうって言っても、「俺ちょっと野球見てから行く」って、きのう(笑)。やんわり断られた、お前と二人はきついって。

――河野選手と練習はできていますか

坂井 そんなにがっつりはできていないです。今夏関(関東学生選手権)の予選がまだあって、夏関は田中となので、田中との練習が多いですね。予選が終わったら河野さんにシフトチェンジします。

――以前齋藤・髙村佑樹(スポ2=千葉・東京学館浦安)組の対談取材で「(坂井選手は)ダブルスがそこまでうまくないのに勝っている、その秘訣を知りたい」との話が出ました

坂井・古田 (笑)

坂井 それはまあ自覚はあります(笑)。何かある?

古田 球が強いっていうのはあるんじゃない?

坂井 僕はペアを選ぶ時には楽しくない人とは極力組みたくなくて。栗林さん(聡真、平28スポ卒=大阪・清風)も楽しかったし、小堀さん(良太、平29スポ卒=東京・大成)とは最後の方はあまり勝てなかったのですが楽しくて。基本楽しいなと思う人としか組まないので・・・。勝つ秘訣・・・。

古田 勝つ秘訣全然言ってないよ(笑)。

坂井 楽しむことですね、ダブルスは。

――古田選手はダブルスでもう少し結果を残したいという気持ちが強いですか

古田 そうですね。まず本戦に上がりたい。で、ポイントを取って。団体戦は(レギュラーを争う時点で)厳しい戦いになりますが、個人戦は夏関が終わってしまったらあと1年しかないので、上を目指したいと思います。

坂井 でも確かに、ダブルスもシングルスも1、2年がすごく強いやつが多いので。

――下の学年が入ってきて意識に変化はありましたか

古田 ・・・いや。

一同 (笑)

古田 僕、基本的にいつも頑張っているので。

坂井 僕もそうです。いつも全力で練習には取り組んでいます。

古田 1年生が来ても来なくても、変わらずしっかり練習するだけです。

坂井 その姿を後輩が見てくれるかと思います。背中で語りたいと思います。

――単複で見つけている課題はありますか

坂井 シングルスは層が厚いのですが、中大、慶大は強い選手が集まって層の厚さなんて関係ないくらいなので、こちらもそれだけに頼ることなくもっとみんなでレベルを上げていけたらなと思います。ダブルスは慶大も中大も春関で優勝するくらいのペアがそろっていると思うので、そこをつぶせたところがリーグ(関東大学リーグ)では先にリードできるはずです。つぶせるペアをつくれるように頑張っていきたいと思います。個人としてはシングルスがやはり結果が振るっていないので・・・。ATPポイントは軽井沢(軽井沢フューチャーズ)と昭和の森で目標としていた2点を取れたのですが、そういうところをちょっとずつ自信にして、インカレでもみんな強いのでチャレンジャーの気持ちで頑張りたいと思います。

古田 シングルスはラリーはできるので、いつも言っているとは思うのですがサーブだったりボレーだったり、プレーの幅が広がるようなショットがうまくできたらいいかなと思っています。夏は去年よりもっと暑そうなので、もっと体力をつけなくてはいけないなと。去年はリーグやっていてきつかったので、今以上に頑張りたいとは思います。

「みんな一緒にいる」(坂井)

同期や寮生活について語る坂井

――まずはお互いの印象について伺おうと思います。初めて会ったのはいつですか

坂井 中3くらいですかね。僕はprinceを使っていて、彼の方が強かったので、担当の人が「古田ってやついいんだよ」って言っていて、「へー」っていうので知っていました。名前を知っていて、見たら・・・こんな顔してた。

古田 そこまで言う?

一同 (笑)

古田 初めて話したのは全日本ジュニア(選手権)じゃない?俺が覚えてるのはそれ。(アンダー)18のときに、「お前ワセダ受ける?」「受ける受ける」みたいな。

坂井 俺全然覚えてない。

古田 ・・・でしょうね。

――当時の印象から変化はありますか

古田 関わりがあまりなかった時は意外とまじめなやつなのかなと思っていたんですよ。意外にいいやつだと思っていたんですよ。僕も途中まで自己推で受ける予定だったので、小論文(指導)で10日間くらい二人でずっと一緒にいたんですよ。

坂井 10日間僕と古田で小論文合宿をここ(良游居)でやって。

古田 お互いにずっとやってたらストレスがたまるじゃないですか。僕はどちらかというと落ち込んじゃって、「はあ」ってなっていくんですけど。隣でため息ついたら、「お前次ため息ついたらぶっ殺すぞ、本当うぜえな」みたいな、関西人のすごい剣幕で。「え?」みたいな。ほぼ知り合いでもないやつにぼろくそに言われて。半泣きになっていました。話すのも怖くなっちゃって・・・。

坂井 申し訳ない(笑)。

古田 入った当初もいじめてくるんですよ、本当にただのいじめ。よく本当に今こうやってしゃべれてるなってくらい。

坂井 たぶん小論文の時とか1年目の途中くらいまではこいつ俺のことめっちゃ嫌いでした。

古田 嫌いっていうか、「何でここまでいじめてくるんだろう」っていう、単純に疑問(笑)。謎でしかなかった。

坂井 中大の望月いるじゃないですか、あいつもそういう系統なんですよ。僕とか望月とか、とりあえず清風って・・・

古田 タチ悪いんですよ。

坂井 そう(笑)。あるんですよ、清風は。僕はそのテンションのままできて、そういうのをしたことがない彼と出会って。

古田 静岡でぬくぬく育ってきた僕と。

坂井 僕はいじめているという意識よりはもっと伊蕗とコミュニケーションを取ろうとして、コミュニケーションの一環として。ね?

古田 違うじゃん。

坂井 (笑)

古田 しかも最初は齋藤、町田(亮、スポ3=福岡・柳川)とか、「やめろよ、それはちょっと言い過ぎだよ」とかかばってくれていたんですよ。みんな優しいなと思っていたらいつの間にかこっち(坂井選手)に取り込まれて、一緒にいじめてくるようになって。

――町田さんもいじめてくるのですか

古田 「まじきもい」って。「本当にお前きもいからやめた方がいいよ」とかガチトーンで言われて。だいぶ俺も明るくなったけどね。

坂井 ああ、お前も変わったし俺も変わった。たぶん僕の方が変わりましたよ。な?

古田 たぶん昔のお前だったら今の状態の俺にもキレてるよ。

――清風高校の皆さんは大学に入ると大体丸くなりますか

坂井 そうですね、なってる・・・丸くなるというよりはみんな穏やかになっていく人が多いと思います。さすがに二十歳越えてそんなことしてたら・・・(笑)。高校生の時にしかできないことですね。な?

古田 ただのおもちゃだったもんな。

坂井 ・・・友達やって。

――途中からは仲良くなっていったと

古田 あれだけ同じ寮にいて仲良くなれなかったらそれはそれでやばいっす。

坂井 何やかんや「うざい」「キモい」言いながらみんな一緒にいるんですよ、僕らは。

古田 「こいつら本当に何も考えずに言ってるんだな」っていうのが分かり出して。こいつらも「伊蕗はここらへんまで大丈夫なんだな」っていうのをふまえた上で言ってくるんですよ。でも結構ギリギリを攻めてくるんですよ。

坂井 (笑)

古田 で、たまに僕がキレるんですよ。そうすると、「あー伊蕗また怒ったー」とか「めんどくさいやつだ」とか言って、うしろで。

坂井 僕が最近マイルドになったせいか、齋藤・古田のケンカが多いんですよ。ケンカというか、更年期みたいな。

一同 (笑)

――3年生はどのような学年ですか

坂井 3年生は・・・。お前何笑ってんねん。

古田 和田くん・・・。

坂井 ああ(笑)。

古田 3年生でミーティングやっていたんですよ。最後まとめとしてスローガンをつくろうと言っていたら、和田くん(隼友副務、社3=栃木・足利工大付)がどう考えたのか、僕の方を見て「破壊と創造」って。スローガンの話ですよ、スローガンの話で「破壊と創造」って。何言ってんだろうと思って1回目は無視したんですよ。和田くんは聞こえていないと思ったのか、また「破壊と創造」って単体で言ったんですよ。僕は「何言ってんだよお前」みたいな感じで反応したんです。そうしたらもう一回「破壊と創造」って言われて、そこで僕は「おい厨二病」って。

坂井 いや、そんなオブラートに包んだ言い方じゃなかった。「黙れ厨二病」って言ったんだよお前(笑)。

一同 (笑)

古田 僕らはみんなそれ言ってます(笑)。それがここのところ一番おもしろかったです、僕の中で。

坂井 そこから「破壊と創造」っていう言葉が無駄に流行りだしました。

古田 ちょっとニヤっとしながら、「これきたな」って顔で。「破壊と創造」って言ってきて。

坂井 (爆笑)

――先ほどお話に出ましたが、紺碧寮は大浴場なのですか

坂井 そうです。結構入りますね、15人くらいは一気に。

――皆さんで誘い合って行くことが多いのですか

坂井 はい、「飯行こうぜ」、「風呂行こうぜ」みたいな感じで。勝手に一人で風呂に行ったら後でいじめられる。

古田 勝手に風呂行くとすごく言われるんですよ、「あーあ、また置いていったよ」とかって、ただ風呂行っただけなのに(笑)。一番髙村が言ってきます。「まじひどい」とかって。

坂井 髙村が一番女の子みたいです。

古田 かまちょなんですよ。

――個人戦で気合を入れたい時はどのウェアを選びますか

古田 好きな服はあります。全日本の時に着ていた、赤のやつと白のズボン履くのが好きです。あとは青の、背中はしましまの。

坂井 僕はあんまりないですけど、好きなのは水色の。全日本の時にもらった、虎みたいなやつに、上は白で。僕と島袋はよくそれやってますね。でも僕の方が先です。島袋がやったら全部島袋が先みたいになるから。

古田 かっこいいから仕方ないね。

坂井 彼はかっこいいからね。あいつが「夏が来た」ってつぶやくだけでいいねが17とか。お前何?っていう。僕も島袋が入学した時は島袋がらみのツイートしていいねを伸ばそうとして頑張ってました。(いいねが)4から15になるから。

古田 ガチファンいますからね。全日本の時も女子高生が見にきていて。

坂井 僕も(ダブルス時に)女の観客が多いので、すごく心細くなった覚えが・・・。横のビッグフェイスのせいで。

一同 (笑)

――全日本の際にはサインなどを求められましたか

坂井 ありましたありました。小さい子とか、テニスファンの方とか。大きい色紙を1枚買って、いろんな人に書いてもらうっていう。

古田 「サインなんてないよ」って一回断ったんですよ。そしたらすごい冷たい声で「何でもいいから書いてください」てちっちゃい子に言われて「わかりました・・・」って。

一同 (笑)

――部内に推しメンはいますか

古田 僕が推すのは長倉謙信(スポ1=静岡)ですね。おもしろいんですよ。知覚過敏で氷食べられないんですよ。同じ静岡なので頑張ってほしいというのもあります。勉強で(早大に)入ったので、やっていけるのかなって不安はあったんですが、1年生の時の僕より全然やっていけているので。すごいです。

坂井 推しメンか・・・後輩にしよう。でもからむ後輩がすごく限定されていて・・・田中は同じ寮なので一番からみますが、田中を推しメンにするとおもしろくないので。千頭(昇平、スポ1=愛知・誉)は最近すごく頑張ってますね。千頭にします、じゃあ。

――復活の期待も込めて、ということで

坂井 そうですね。彼はジュニアの時から強かったので。僕はお父さんのような目線で成長を見守っています。

――好きなスポ根漫画はありますか

古田 『Baby Steps』・・・。

坂井 おもんな。『Baby Steps』自体は面白いですけどね・・・。僕はスポ根じゃないですけど、『銀魂』ですかね。映画のキャンペーンで無料で読めるので。銀さんが神楽に「思考が歪んでるからそんなに歪んだ髪の毛生えてくるねん」みたいなのを言われていたのを見て、伊蕗にそれをずっと応用しています。

古田 1日に1回は言われます。

「どれだけインカレで勝てるか楽しみ」(古田)

全国規模の学生大会で初の勝利を誓う古田

――去年のインカレを振り返っていかがですか

坂井 僕はシングルスは予選からベスト16までいって、小林雅哉(スポ2=千葉・東京学館浦安)に負けたんですが、正直その前の試合で体力を使い過ぎたかなというのはあって。村上さん(彰啓、法大)がすごく粘り強くて、炎天下の中2セットで終わったのですが3時間くらいしていて。次の日雅哉とやったのですが、粘る体力というか、僕が先にしびれを切らして打ってしまったのはありました。あの暑い中でトーナメントを勝ち上がるには、体力もそうですが、僕みたいなタイプはいかに簡単に勝ち上がるかというのが大事かなと思います。体力勝負にするならするでその試合は絶対にものにしないというのもありますね。ダブルスは去年小堀さんと決勝までいけて、最後逸崎・畠山に阻まれてしまったのですが、あれを勝っていたら学生の大会は全部勝てていたのですが・・・(春関、関東学生選手権、インカレインドア)。そう簡単にはやらせてくれないのですが、あと2回チャンスがあるので狙っていきたいです。・・・でも狙っていくようなものじゃないか。

古田 何だよ、狙えよそこは(笑)。

坂井 いや、じゃあまあ狙っていきます(笑)。シングルスは僕が1年生の時に比べてレベルが上がってきていると思います。みんなATPポイントを持っているし、みんなフューチャーズで勝ったりしているので、本当にチャレンジャーの気持ちで勝ち上がれたらなと思います。

――古田選手はいかがでしょうか

古田 去年は春関でベスト16に入って、シングルスは初めてインカレに出ることができたのですが、その1回戦目で法大の寒川さん(雄太)に負けてしまって。体力を使うほどのこともなく即終わってしまったので、ことしはまず自分のテニスができればなと思います。

――インカレのイメージ、コートとの相性という点ではいかがですか

古田 僕はあのコートはあんまり・・・。ちょっとスライドがしにくくて、コートが遅いので僕がいくら打っても全然決まらないんですよ。ボールもXT8で飛ばないので、そこを相手にしっかり打たれて先に追い込まれて決められるというパターンがありました。いかに相手にやらせないかというところが大事だなと思います。

坂井 僕は結構あのコートは好きな方なのですが、暑いので、何より。熱中症にならないように、塩分チャージをして頑張りたいと思います。

――あと半月後に迫っていますが、今の調子はいかがですか

古田 悪くはないと思いますが、僕は試合をやりながら上がっていくタイプなので、1試合目が毎回競ってしまいます。試合をやりながら、しっかり勝って上げていければなと。

坂井 僕も試合をやりながら上げていくタイプなので。調子も悪くないですし。最近は追い込む系の練習と言うか、実戦的な練習は時間が少なかったので、これから2週間少しずつ形式的な練習を増やしながらいい感覚をつかんでいければなと思います。

――今重点的に練習しているところ、これから詰めていきたいところなどはありますか

坂井 重点的にやっているのはどんな場面でもラケットを振って攻めるということですね。それをしんどい中でもやり切れるように頑張りたいと思います。

古田 僕はプレースタイルがどちらかというとカウンター系なので、相手に振られた時の返し方であったり、どうやったら相手がミスするかなということを考えて練習しています。

――大学としては中大が波に乗っている印象ですが、個人として他大で意識している選手はいますか

坂井 ワセダがやはり強いのですが、清風の先輩後輩が。上杉海斗さん(慶大)と望月ですね。あの二人はやはり実力もあって、インカレインドアも決勝をやっているので、それについていけるように勝ち上がれたらなと思います。ダブルスは逸崎・畠山がやはり出てくると思うので、まずそこまでたどり着けるように一戦一戦頑張っていきたいなと思います。

古田 僕は高校の先輩である法大の太田悠介さんで。去年太田さんはインカレでベスト8に入っているので、それを超せるような結果を出せるように頑張りたいと思います。

――3年目のインカレを前に、今の心境は

坂井 やはり3回目なので、あと来年は就活もありますし、ことしが一番雑念がなく迎えられるインカレだと思います。1、2年目はまだ雑用が残っているので。ことしが一番楽しみなインカレです。

古田 僕も坂井と一緒で今の時期が一番テニスに集中できると思うので、調子も戦績も少しずつ上がってきていますし、どれだけインカレで勝てるかというのは楽しみですね。

――シングルスのアピールポイントを教えてください

坂井 僕はサーブですね。暑い中エースを取れれば楽かなと思います。リターンゲームは相手にその分プレッシャーをかけられるようにどんどん打って勝ちにいきたいと思います。

古田 僕はよく分からないのですが、河野さんによく言われるのが横の動きが速いらしくて。

――戻るのが速いということですか

坂井 そうですね、打ってから。

古田 インカレでどれだけ横の動きができているかを注目していただけたらと思います。

――ダブルスで他のペアに負けないところはありますか

坂井 楽しむことですね、やっぱり。河野さんと楽しんで勝ち上がれればと思います。

――改めて、インカレへの意気込みと目標を教えてください

坂井 単複楽しんで勝ち上がれればと思います。かつシングルスは1年目のベスト8を超えられるようにというのと、ダブルスはまず本戦に上がって、土俵に上がることです。

古田 僕はまだ(全国大会で)1回も勝てたことがないので、まず1勝、自分のプレーができるように頑張っていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 熊木玲佳)

何だかんだで仲の良いお二人の対談でした!

◆坂井勇仁(さかい・ゆうと)(※写真右)

1996年(平8)8月12日生まれ。身長175センチ、体重65キロ。大阪・清風高出身。スポーツ科学部3年。今季の主な実績は、関東学生トーナメント男子シングルスベスト16。全日本学生ランキングシングルス11位、ダブルス3位(2017年6月付)。テニス漫画『Baby Steps』を読み、コートを64分割することを試みたという坂井選手。しかし実践するのはなかなか難しく、9分割ほどが精一杯だそうです

◆古田伊蕗(ふるた・いぶき)

1996年(平8)4月25日生まれ。身長172センチ、体重67キロ。静岡・浜松市立高出身。スポーツ科学部3年。今季の主な実績は、関東学生トーナメント男子シングルスベスト8。全日本学生ランキング男子シングルス8位(2017年6月付)。細かいところにこだわりがあるという古田選手は、ドライヤーのコンセントを巻き付けない人がいると気になってしまうそうです。共同生活には苦労がつきものですね