【連載】王座直前特集『全てはこの日のために』 第7回 小堀良太主将×松崎勇太郎副将×平尾優主務

庭球男子

 関東大学リーグ(リーグ)では12連覇を達成した一方で、課題も多く見つかったという男子部。今回は4年生としてそれぞれの立場からチームを率いる小堀良太主将(スポ4=東京・大成)、松崎勇太郎副将(スポ4=神奈川・湘南工大付)、平尾優主務(政経4=埼玉・早大本庄)の3人にお話を伺った。彼らの胸の内に秘められた、チームに対する熱い思い、そして最後の全日本大学対抗王座決定試合(王座)に懸ける思いとはいかに――。

※この取材は9月24日に行われたものです。

見えてきた課題、覚えた危機感

この1年間主将としてチームを引っ張る小堀

――まずは今シーズンの個人戦の振り返りをお願いします

小堀 4年として、どの試合も最後の試合でした。ダブルスに関しては4年間で満足のできる結果は出せなくて。最後のインカレ(全日本学生選手権)で準優勝、一歩届かずというところでした。勝ち進んだことは自信になったのですが、もう一つ上の優勝に届かず悔しい気持ちもあれば、少し満足する部分もあって。複雑な気持ちだったのですが、大学4年間の個人戦ではやり切ったのかなと感じています。

松崎 去年よりも戦績は下回っていますし、ただ何となく終わっていったという印象です。個人戦で結果を残せなかったことに悔いはないのですが、技術ではなくメンタル的なところで崩れる1年間だったので。それがすべて結果に表れていて、自分でも感じていますし、それがすべてなのかなと。不甲斐ない結果で終わってしまったなという感じですね。

平尾 全体としては、シングルスもダブルスもたくさんワセダから出場することができていましたが、同士打ちも多く、なかなか上位独占いうかたちにはなりませんでした。そういった中で1年生の活躍もありましたし、ダブルスでも上位に食い込むことができていて。ことしは総力戦ということもあり、その点ではリーグ、王座にとってアドバンテージなのかなと思います。

――ここからはリーグについて伺っていきたいと思います。慶大戦の後、長時間にわたってミーティングをされていましたが、リーグを終えてチームで出た課題はありますか

小堀 本当にいろいろあるのですが大きく一つ言うとしたら、チーム全員がチームのために動くことができていなかったというのがあって。チームのために必死に練習するリーグまでの準備期間や、選手以外のレギュラーへのサポートの部分でも万全な準備ができていたのかという点でも怪しい部分がありました。準備が不十分なままリーグを迎えて、勝つことはできましたが負けが近くまで来ていて、危機感だけを感じましたね。

平尾 小堀が言っていたことがほとんどだと思います。リーグに向けてチーム全員が頑張ってきたと思うのですが、明大や慶大に5-4で選手や選手以外も100%の力をチームのために注げていたかという点で、甘さがありました。そういったことを監督・コーチ陣が指摘してくださって。私たちもあと1ヶ月で引退となってしまう中で、何一つやり残しがないように、選手に限らず分析やベンチコーチ、ボーラーなど自分たちの役割の中でこれ以上ないくらい出し切ることが目標でありあるべき姿だと思います。そういった点でまだまだ課題はあったのですが、決してネガティヴなことではなくて。あと1ヶ月でやるべきことが見つかったという点ではチームは良い方向に向かっているのではないかなと思います。

松崎 二人が言っていたこともそうですし、自分自身準備不足でした。それは選手もそれ以外の人たちも同じことで、チームとして戦うという意味でもおごっていた部分はあったのかなと。他大が僕らを倒すためにやってくるのは毎年のことであって、毎年差は縮まっているように感じています。ことしも厳しい戦いになるということを僕らは分かっていましたが、果たして他の学年がそれを理解して取り組んでいたのかと言われれば、僕らも一人一人に浸透させることができていなかったですし、いけるでしょっていう雰囲気を出させてしまったというのも、チームの甘さであったのかなと。選手も選手で、(厳しい戦いになることを)分かったうえで練習に取り組んでいたのかとか。追われる立場としてどのような戦いをしなければいけないのか、というのを理解していたかというと、できていなかった部分もあったのではないかなと感じています。チームとしてどうしていくか、チャレンジしてくる相手を止めることができるか、が今の課題であって、そこを残りの期間で一つずつつぶすことしかできないですし、突然変化するということは絶対にないので。日々コツコツやれることを精一杯やるしかないのかなと思いました。今のチーム状況としては、リーグ前よりも日本一を取りたいという思いで向き合えているかなと。良い方向に向かっている可能性もありますが、チームというのは何かをきっかけに崩れることもあるので。毎日慎重に、見守りながらやらなければいけないかなと思います。

――リーグでのチーム、個人としての戦いを改めて振り返って

小堀 ワセダのリーグは対戦相手のレベルが徐々に上がっていくというかたちで。雨で複雑な日程変更もあって選手もコンディションを整えるのが難しかったと思うのですが、リーグの出だしは良かったのではないかなと思います。チームとしても良い方向に進んでいたのですが、相手が強くなってきて、勢いのあるチームと当たった時に勝てるでしょという甘さ、本当の意味での信頼が欠けていて。明大や慶大に対して隙を与えてしまいました。両チームとも決して甘くない相手でしたし、強いというのは心得ていたのですが、それに対して選手が真摯(しんし)に向き合えていたのかというとどうなのかというのはあったので。そこはしっかりと修正して王座に臨みたいと思います。個人としては明大戦、慶大戦で負けてしまって、最も勝たなければいけないところでチームに迷惑をかけてしまって。主将という立場もそうですし、ダブルスとして出させてもらったのにも関わらず負けてしまって。その負け方というのもあまり良くない内容で、悔いが残りましたし、情けない気持ちでいっぱいでした。

松崎 後半だけでなく、何回か取材していただいた時にも言ったと思うのですが、勢力図が変わってきているというのが印象的で。一部リーグではどのチームに対しても油断できないですし、中大だったり、法政だったりが毎年勝てないチームに勝ってそれを証明しています。初戦から中大が慶大に勝ってすぐに僕らと当たるなど、僕らにとっても毎年と違う流れで戸惑う部分もありました。毎年であれば慶大戦が優勝決定戦でしたが、その前の試合(明大戦)が優勝決定戦になるというのは初めてで。本当にいつもと違うリーグだったというのは感じていて、戦い方や気持ちの入れ方が難しい中で、雨などで崩される部分もありました。その中で勝ち切ったことは意味があると思うのですが、戦い方という部分で明大戦、慶大戦で下級生に頼ってしまったというのが拭えなくて。下級生が強いというのは分かっていましたし、そこに頼ることなく下の学年には思い切ってやらせて、下のシングルスで試合を決めるというスタンスでいなければいけないのですが。両試合とも上のシングルスに(勝敗を)かけてしまいましたし、そこは本当に良くない戦い方だなと思います。上級生が頼りないというのが、チームとしては課題だと思います。ダブルスに関しても個人戦で結果を残せていても、団体戦では戦い方も相手の勢いも全然違うので、勝つか負けるか予想できないというのはありますが、その中で勝たなきゃいけないと思っていて。ダブルスや下のシングルスに出ている上級生がどれだけ(上のシングルスに出ている)下級生にプレッシャーをかけずに思い切りやらせようという気持ちを持つことが重要だと思います。僕自身、ダブルス1として出ていて、相手と真っ向勝負、相手チームのナンバーワンとやらなければいけない部分で引いてしまった部分があったのかなと思います。僕だけでなく河野(優平、スポ3=福岡・柳川)と組む中で、良い流れが来そうなところで相手に期待しすぎてしまってプレーが消極的になってしまったのが心残りとしてあって。そこをやれていれば結果が逆になっていたかもしれないですし。1年間組んできていろいろ経験しているので、そこは二人でどうするか話し合ってやっていきたいと思います。シングルスに関しても自分が出なきゃいけないという気持ちをもう一度強く持たなければいけないのかなと思います。下級生がシングルスをしている時も、複雑な気持ちで見守りながらいて。最後出るか出ないか分からないですが、とりあえずやり切ることだけやって、出ることになればさっきも言ったように、責任を持ってチームを勝利に導けるよう、去年みたいにしっかり戦えるように準備したいなと思います。

平尾 リーグを振り返って、勝つことはできたのですが課題が多く残って。松崎が言ったように勝つべき選手が準備できていなくて、勝てなかったというのは正直問題だったかなと思います。勝たなきゃいけない選手はどんな状況でも勝たなきゃいけないというのがあって。そういった中での2戦は満足のいくものではなかったかなと思います。その一方で明大、慶大になんとか勝つことができて。負けていたら、反省を繰り返す場もなくなってしまうのですが、こうやって出場するからにはあと1ヶ月しっかりと打ち込んで挽回する機会ができたというのは良かったなと思っています。

――ことしのチームで戦っていく中で何か変化はありましたか

小堀 この1年間でいまが一番変化している時なのではないかなと感じています。平尾が言っていましたが、リーグを終えて自分たちの課題が明確になったからこそ、先につながっているのではないかなと。(勝つことができたというのは)プラスになることなので、全員が全員あの場にいて危機感を覚えて、それを肌で感じることができたと思います。いまの時期は王座に向けて個人個人が本気でいると思うので。まだまだ足りないのですが、向上心を持ってやっていかないと王座は取れないと思います。そういった意味ではこのチームが一番変化している時なのかなと思います。

松崎 このチームは最初負けから始まったのですが、そこからあまり変化もなくて。早慶戦も8-1で勝ちはしましたけど、そこにおごっていた部分もあったのかなと思います。リーグを終えた時にそのツケが回ってきたのかなと感じましたし、変化するポイントはいくらでもあった中でそこを見過ごしてきていたのかなと。小堀が言ったようにいまが一番変化しようとしている時なのかなと思います。ギリギリになって焦って、本当にやばいんだというのをリーグでも経験して。変わろうとしている人が増えたというのが、良い意味でチームの変化にもつながるのかなと思います。

平尾 去年の王座が終わってから、新しいチームでやる中で、何度も反省をして変わらなきゃいけない場面があったにも関わらず、自分たちで見過ごしてきたというか。思い切って変わろうとすることはすごくエネルギーのいることだと思うのですが、いまが一番、みんなが変わろうとしている時期だなと思います。小堀をはじめ、誰かが率先して変わろうとする姿が周りの刺激にもなっていて。それがいまチームに少しずつ雰囲気をつくりだしているのかなと感じています。過ぎてしまったことは仕方ないですし、いま自分たちにできることは後悔しないように、一瞬一瞬を大事にしていくべきだと思うので。周りからも王座で変わったと思われたらいいのかなと思います。

それぞれの個性で

「1年生の明るさや新鮮な気持ちは部の良いスパイスになっている」と語った松崎

――ここからは少し話題を変えて、お互いの印象などお聞かせいただけますか

小堀 まず松崎は、1年生の頃からレギュラーとして同じようにコートに立つことが多くて。オンとオフの切り替えがすごくはっきりしているのではないかなと思います。やる時は誰よりも走り回って、掛け声もしていて、存在感があって。練習に対してもひたむきですが、テニス以外の部分ではテニスとは一旦距離を置いて、自分の好きな趣味をやっているのではないかなと。平尾に関しては、どんなことでも真剣に向き合っているなと感じています。僕が主将になって、平尾が主務という立場でいろんな仕事を任されることが多くて。口にはしてないですが、いろいろやっているというのは知っています。仕事の大きさに関わらず、どんなことにも真剣に取り組んでいるなと。いまは高校生指導の方もしていて、コートの方でも練習をしっかりやっているので。息抜きを知らないというか、良い意味でやり続けているのかなと思います(笑)。

松崎 小堀がカッコいいことばっかり言ってたんで(笑)、不真面目に言いますね。小堀は立場的なところもありますが、もっと自分がこうしたいという欲を出せばいいのになあと。自分のやりたいことよりも他人のことを優先しているので、自分を出す部分があってもいいんじゃないかなと思います。頑張ろうとしていることが空回りしていることもあって。慣れている人なんていないですけど、必死にやっているからこそ自己表現が下手なのかなと感じています。あとはやるときはやる、やらないときはやらないという切り替えができていて。4年間で一番変わってきているからこそ、新しいことができているのかなと思います。平尾は、うーん…印象あんまないですね(笑)。コートで一緒にいることもあまりなくて、インカレも平尾だけいなくて。部活のことを頑張ってくれています。とにかく真面目すぎるんじゃないかっていうくらい真面目で、人のことをめっちゃ見ていますね。部をマネジメントしていく中でやろうとしてくれているのもあると思います。誰の意見に対しても耳を傾ける余裕のある人物かなと。

平尾 印象ないってひどいですよね(笑)。

松崎 言ったじゃん、めっちゃ(笑)。

平尾 ありがとう(笑)。毎年次の代の主将は誰がやるかという見当がついていて、なるべくしてなったという人が続いていて。僕らの代は小堀が主将という役割を担っていますけど、誰が主将かということはあまり重要ではなくて、1年生の頃からこの代は協力してやっていかなければならないというのはうすうす感じていて。それがなかなかうまくいかなくて、松崎も小堀もそれぞれこういうチームにしたいという思いがあって、二人が思っているチームのことはどっちも正しくて、欠かせないものだったなと。だからこそ二人に限ったことではなく、かみ合っていっていなかった部分もあったのですが、リーグが終わってから相手の意見を尊重して素直に受け入れていて。以前よりもひとりひとりの意見がよりチームに浸透しやすくなっていると思います。二人の考え方がどっちもチームに良い影響を与えているなというのが最近の二人の印象です。

松崎 真面目だね。

平尾 松崎もこう見えて真面目なんですよ(笑)。

――4年生はどのような学年ですか

松崎 良い意味で仲が悪いです(笑)。ひとりひとり個性が強いので。意見が一致するというよりは、みんなの意見を取り入れながらやらなきゃという感じで。「こうしたい!」という思いが強いやつもいれば、それが全くないやつもいて。ついていってやることやるだけという人と、意見をする人がいて、それを全部取り入れるのが大変ですね。年々我を出してきている印象です。

小堀 松崎が言った通りというか。8人全員が揃うことがほとんどない状況で、4年目の途中あたりからみんなが少しずつチームのために行動していて。いろんな方向を見てチームを作っていこうという思いが8人8通りあったと思うのですが、主将副将主務を軸にひとつになってきたんじゃないかなと思います。個性はあると思うのですが、いまは考えていることは同じだと思うので。逆に本気でぶつかり合えると思いますし、だからこそ衝突することもあったり、自分の意見をこらえて他の意見を尊重することもあったり。人それぞれだと思いますけど、みんな必死で考えているので、よく言えば一生懸命同じ方向に向いてやっていて、そういう意味では仲が良いのではないかなと思います。

平尾 僕も結構いろんな同期と仲が良くて、松崎とも結構仲が良いんですけど、みんなきっとどこかしらではそう思っているんじゃないかなと(笑)。一緒にいる場では盛り上がる部分もあって、みんなの方向性が一致したりひとつのものをつくりあげようとしたりしている時の結束力は、普段衝突することがある分、強いと思います。

――他の学年の印象はいかがですか

小堀 3年生は人数も多いですし、4年生以上にカラーがあって、個性があって。上級生として、3・4年生でまとまることもあって、このチームで団体戦を戦う中で徐々に上級生という自覚を持ってきていて。少し前まで下級生という立場から、上級生になって難しい時期だと思います。楽しい方向に流れたり、自分に厳しく人に厳しく言う人もいたりして、僕ら以上に人数が多いというのもあって、まとまるのが難しいのかなと思っていました。最近はチームのために必死に発信していて、本気を出せばみんな頼りになる後輩だと思います。そのカラーを消すことなく王座までしっかりやっていってほしいなと思います。

平尾 いまの2年生は、自分が2年生の頃に高校3年生だったので、リクルートで勧誘活動をしたり、そこから勉強を教えたり、長い時間一緒に過ごした代で。中には早実から上がってくる子もいるのですが、テニスの推薦で入ってきた子は特に長い時間、友だちのような感覚で過ごしてきました。今二つ下で、入ってきたときはかわいいなと思っていたのですが、チームをまとめる上で厳しくしなければいけない部分はあって。でもやっぱりかわいいですね(笑)。たださっき小堀も言っていましたが、2年生が3年生に変わる時期は本当に大事で。任されたことを一生懸命やる立場から、周りを見て発信していかなければいけない立場に変わるのでとても大変な時期ですね。まだまだ伝えていなかければいけないことも多いなと。すごく一生懸命で頑張る代ですし、やることに対しては全力で向かえている反面、子供っぽさや周りが見えていない部分もまだまだあるので。王座まで残り少ないですが、少しでも多くのことを伝えてらいねん上級生として頼りになる代になっていくとなお良いなと思います。

松崎 1年生は小林(雅哉、スポ1=千葉・東京学館浦安)、島袋(将、スポ1=三重・四日市工)、髙村(佑樹、スポ1=千葉・東京学館浦安)がいて、戦力的にも充実している代でもあるので。歳が離れれば離れるほど、子供だなと思うこともありますし、まだまだ若いんだなと思う部分もあったりしますが、その分フレッシュなのかなと。素直ですし、1年生なのにすごく明るいイメージが強くて。仕事や雑用もしていて大変なのは大変ですけど、まだ新鮮な気持ちで取り組んでいるのかなという印象です。1年生でこれだけ活躍してくれていて、歳を追うごとにどんどん今見えていないことが見えてくると思うんですけど、そうなった時にあの代がどうなるのかなというのが気になりますね。彼らの明るさや新鮮な気持ちは部の良いスパイスになっているというか、土台作りをしてくれているのかなと思います。

全力を出し切り、最高の瞬間を

主務としてチームを支える平尾

――王座が近づいてきていますが、改めて今の心境をお聞かせください

小堀 先ほども言ったのですが、ひとりひとりが変わらないといけない時期ですし、それは全員が思っていることで。国体や雨で夏関(関東学生選手権)もあったりして、全員が集まれる時期が本当に限られた時間でしかないのですが、本部にいて練習していて良い方向に進んでいるのは間違いないと思います。4年生もしっかりまとまってきていますし、上級生として3・4年生もまとまってきています。それに対して1・2年生がついてきていて、代ごとにチームのためにやっていることが少しずつ目に見えてきています。ミーティングでは「ひとりひとり役目は違うけど、全力を出し切ってやることでチームが良い方向に向かう」という話をしました。それをみんなが本気で考えているのであれば、もっといいチームになると思います。まだまだ向上心を持って、残りの期間やっていかないと王座優勝はまだまだ遠いと思うので。現状に満足せず、自分に厳しく、全員でやっていきたいなと思います。

松崎 本当にもうすぐそこなので、普通に楽しみです。人生の中でやる団体戦も最後だと思いますし。やらなければいけない練習や課題は勝ちたいと思うほど出てきますけど、それを一瞬一瞬つぶしていくことが大事なので。どれだけ毎日長い時間意識して、一球一球取り組むことができるか。それが少しでもできたチームが最終的に良い思いをすると思うので。一瞬一瞬、1日1日を大事にやっていこうと思っていますし、みんなも思ってくれているのと思うので。これを続けていって王座でどういう結果が出るか僕の中ではすごく楽しみですし、テニスという意味でも最後なので。単純に楽しみたいなと思います。

平尾 毎年王座までの道のりはすごく長くて、チームで何度もぶつかることもあり、良い時期というのはそんなになくて。どうしても僕らの目標としていることは王座優勝なので。それまで良いことがなくても、王座終わった後はすごく良いもので。きつくても本気で打ち込んで何かひとつかたちに残った時の喜びというのは、きつければきついほど、ぶつかればぶつかるほど大きくなると思います。良い意味でやってきたことが達成される瞬間が近づいてきているという途中なので、すごくワクワクしているというか。そのためにはやらなければいけなくて、本気でやればつかめる感動がすぐ近くまで来ていると思えば、自分たちが本気でやるしかないなという気持ちです。

――では最後に4年目の王座に懸ける思い、意気込みをお聞かせください

小堀 全員が王座優勝というのを掲げているんですけど、早大に入学して1年生からワセダのOBの方々であったり、先輩であったり、たくさんの人たちにお世話になっていて、王座で優勝することが目に見えるかたちでの恩返しだと思っています。僕自身、1年目から選手として出させていただいたときに、出られなかった先輩方の思いを背負って戦わなければいけないと感じていました。リーグの不甲斐ない結果を含めて、僕が試合に出させていただくとすれば必ず一本勝ち星を挙げれるようにしたいなと思います。その結果、王座の優勝につながればチームとして良いものが生まれて、全員がやってきて良かったなと本気で思えるのではないかなと。目に見えるかたちでは優勝ですが、かたちに見えない感動などをみんなが感じられれば、この時期苦労したことや全てが良かったと思えると思うので、そこまで全力でやりたいなと思っています。

松崎 僕らは4年目に入って全てが最後で。1日1日終わっていくごとに、もう引退なんだなと感じます。長々とやってきた4年間がもうすぐ終わるんだなという思いがあって、それをどういうかたちで終えるのかなと。毎年つないできている連覇というプレッシャーはありますし、早大の一員として戦うことに対するプレッシャーもあります。本当に僕たちは日本一になることだけしか意識してやってきていないし、これだけ日本一になることが大変だというのを経験してきているのは僕らしかいないので。それに関してはやれることをやって、最後までやり切ることができれば自ずと良い結果がついてくるのかなと思います。あまり優勝を意識するのではなく、目の前のことをやっていって、みんなでやってきて良かったねって思えればそれが日本一になることよりも大事なのかなと。みんなでこれだけやってきた時間をいいかたちで終えることが大切になってくると思いますし、それを僕は望んでいます。日本一というかたちで残ってくれればそれが一番良いことだと思うので。そこを目指して、選手としてみんなの力を借りて、勝ちに導くようなプレーや立ち振る舞いをできるように頑張ります!

平尾 4年目で最後の王座ではあるんですけど、早大庭球部で毎年主将が言うことがあって。学年ごとに役割が違うので、「1年生は1年生での最後の王座、2年生は2年生での最後の王座、3年生は3年生での最後の王座、4年生は4年生での最後の王座」というのを伝えられてきていて。もちろん4年間で最後の王座ではあるんですけど、何より新しいチームになってから一生懸命やってきたことをぶつけたいという思いが一番強くて。ことしのチームはすごく遠回りしたり、進めなかったりそういうチームではあるんですが、すべて王座のためにやっていることなので、その思いをぶつけることが一番大事かなと思っています。1年間やってきたことをすべてぶつけて、らいねんにつなげます!

――ありがとうございました!

(取材・編集 佐藤亜利紗)

※王座への意気込みを書いていただきました!

◆小堀良太(こぼり・りょうた)(※写真左)

1994年(平6)8月19日生まれ。身長177センチ、体重65キロ。東京・大成高出身。スポーツ科学部4年。今季の主な成績は関東学生トーナメント男子ダブルス優勝、全日本学生選手権男子ダブルス2位。全日本学生ランキング男子シングルス27位、男子ダブルス1位(2016年9月付)。記者の質問に対していつも丁寧に答えてくださる小堀主将。今回の取材でも、主将として誰よりもチームのことを考えている姿が印象的でした。ひたむきな姿勢、そしてチームを鼓舞する熱いプレーでチームを導いてくれることでしょう!

◆松崎勇太郎(まつざき・ゆうたろう)(※写真中央)

1993年(平5)8月30日生まれ。身長165センチ、体重64キロ。神奈川・湘南工大付高出身。スポーツ科学部4年。今季の主な成績は関東学生トーナメント男子ダブルス2位。全日本学生選手権男子ダブルスベスト8、男子シングルスベスト16。全日本学生ランキング男子シングルス23位、男子ダブルス9位(2016年9月付)。色紙に文字を書く際、鉛筆で一度下書きをしてからペンで清書していた松崎選手。出来栄えにあまり納得がいっていない様子でしたが、王座では納得のいくプレーを期待しています!

◆平尾優(ひらお・ゆう)(※写真右)

1994年(平6)7月2日生まれ。身長170センチ、体重60キロ。埼玉・早大本庄高出身。政治経済学部4年。松崎副将の「(平尾主務は)人のことをよく見ている」との言葉通り、普段から他の選手やチーム全体のことを見渡しているという平尾主務。部をマネジメントする立場として多岐に及ぶ仕事をこなしているそうですが、王座でもベンチコーチとしてチームを支えてくれることでしょう!