今回登場するのは、岩崎歩(スポ3=神奈川・湘南工大付)と三好健太(スポ3=埼玉・秀明英光)の3年生コンビだ。3年目となる今季、上級生としての自覚が芽生え始めたというお二人。ここまでのチームの戦いぶりと共に目前に控える王座への意気込み、そしてチームを率いる4年生への思いを語っていただいた。
※この取材は9月24日に行われたものです。
「チーム一丸となって気持ちを背負って戦わなければ」(三好)
「人に頼らず自分が勝つという意識が大事」と語った三好
――春からの個人戦を振り返って
三好 チームとしては関大戦の負けで始まったんですけど、そこから個人戦である春関(関東学生トーナメント)が始まって自分自身もベスト8を目指していましたが、団体戦と同じく負けてしまいました。ダブルスも2回戦で負けてしまって出だしとしては良いとは言えず、春関で勝てなかったものをこれから一個一個取り返していこうと思っていました。しかし夏関(関東学生選手権)であったりインカレ(全日本学生選手権)であったり正直なところはあまり良い結果ではなかったと思っています。終わったあとですが、もっとできたという後悔はあって。ダブルスに関しても成績が上がらず去年と同じ成績で終わってしまったので、まだ悔しさが残りますね。
岩崎 ことしの出だしからケガをして早関戦には出場できなかったので自分としては焦りの部分がありました。春関で結果を出せなければ団体戦には出させてもらえないというのは感じていて、去年以上の成績を目指していましたが、去年よりも勝てなかったというのが現状です。インカレに至っては去年よりも結果を残せていないので個人戦に関しては悔しいなというのが一番の感想です。
――直近の夏関での調子はいかがでしたか
三好 クレーコートが僕は得意なので上位を狙っていました。しかし去年のベスト4という結果を下回るベスト16で負けてしまって、1年生の後輩に負けたというのも悔しさがあります。リーグ(関東大学リーグ)が終わってすぐに夏関でしたが、いま思っているのは夏関があってよかったなと。去年もそうだったのですが夏関後に調子が上がってきて、今回もクレーコートで戦うことで初心に戻れたというのがあります。ことしもそういった点では良い夏関だったなと。ダブルスも主将の小堀さん(良太主将、スポ4=東京・大成)と組ませていただいて、そういった経験はなかったので結果を残したかったんですけど難しかったです。しかしダブルスに関しても自信がついたので良い経験になりました。
岩崎 僕は、夏関で1つテーマを決めて臨んでいました。それは勝ちにこだわりすぎず自分のテニスで思い切りやるということでした。最近は勝ちにこだわってしまって、あまりテニス自体を楽しめていなかったので。やろうと決めてはいたんですけど、やはりまだまだ思い切りが足りないというのはあって。不甲斐ない結果で終わってしまいました。もう少しできたのではないかなと思ってしまいます。
――団体戦に関しては新チーム発足してから振り返っていかがですか
三好 早関戦ですごく感じたことは、テニス云々の技術ではなくてまずはチーム力が足りないなということです。自分の試合以外での応援もそうですし、特に関大戦はサポートが来ていない分選手自身が気を配らなければならなかったんですけど少し足りない部分がありました。この人は勝つだろうということをそれぞれが思ってしまっていて、それが良くなかった点で。やはり人に頼らず自分が勝つという意識が大事だと感じた試合でした。しかしこの一年を通して早関戦の時からは変わって来たなというのは感じています。リーグも4戦出て3敗してしまったんですけど、反省すべきことがたくさんあって自分もチーム一丸となって気持ちを背負って戦わなければと思うようになりました。王座に出場する明大は4年生が主体となって戦っている分すごくチーム力が強いです。もちろんワセダも技術力では負けていませんが、チーム力でいったら明大もすごく強いので、ワセダもその部分を仕上げてサポートや選手が一体とならなければと思います。
岩崎 早関戦の時にレギュラーは関西で試合をやって、帰って来た時にチーム力が課題ということが挙げられました。対抗戦で10年ぶりくらいに負けて、本部で練習していた組はどういった状況でどういったように負けたというのは詳しくはわかっていなかったんですけど、負けた以上は僕たちにも出れるチャンスがあると思いました。ワセダは選手がたくさんいて最後まで誰が出るかわからないので、出れる準備はしておくということは自分で決めていました。最後自分がリーグで出れることになったんですけど、それは今まで自分に出場機会がなかった中でも、くさらずに練習してきたからだと思っています。しかし出るだけでは意味はなくて、しっかりチームの勝利に貢献することが重要だったのにできなかったということが自分の課題です。
――1年間、やって来た中で変化はありますか
三好 サポートにも選手にも課題はそれぞれあるんですけど、どちらも自分がしっかりするということが大事ですよね。人に言えるのは自分ができてからなので、もっと全員で戦うという意識を一人一人が持てるようになるのには自分の意識の改革が必要だと思いました。僕が1年の頃にはやはりあまりそういった部分には気づいていなかったので。2年、3年経験していく中で僕は気づいていったので1年生の中にはまだ気づけていない人もいると思います。そういった甘い考えをなくして、チャレンジャーという気持ちを持って戦うことが大切だなと。
岩崎 ことしはチームの総力戦になるということが分かっていた中で、リーグがああいったかたちで終わって、チーム全体の意識としてこのままじゃいけないというのは誰もが思っていると思います。もう短期間ですが、各持ち場で全員が全力でそれに取り組むということがチーム力に直結すると思います。だんだんチーム力が上がってはいますが、さらなるレベルアップのためにも、選手一人一人意識高く自分が引っ張っていくという気持ちを忘れずに過ごさなければいけないと思うようになりました。3年がしっかりすれば下級生も付いてくると思うので行動で示したいです。
上級生としての『変革』・『自覚』
お互いの印象について語る岩崎と三好
――お二人は学年が一緒ということですが、お互いにどういった印象を抱いていますか
三好 テニスの面に関してはすごく負けず嫌いですね。話しやすいからなんでも話すんですけど、普段は少し子どもっぽいところがあります(笑)。例えば僕がちょっかいをちょっと出すと必ずやり返さなければ気が済まなかったり。逆にちょっかい出されて僕がやり返すとさらに返して来て、最後は自分になるまでやり続けるんです。子どもっぽいですよね。
岩崎 そうだね、自覚はあります(笑)。
――そういった部分が試合にも表れることはありますか
三好 そうですね、すごく試合の時はいつもと違うことをするんですよ。それが空回りしているなというイメージはありますね。例えば試合の前になるとすごくアップをやったり前日にいろいろなことをしたり。もっと普通にした方がいいなと思います。
岩崎 最近はそれを言われて、前日でも普段通りに過ごすことは心がけているんですけどね。
――三好選手は細かいところまでよく見られているのですね
三好 僕は人間観察が結構好きで人のこと見ちゃうんですよ。歩いていても周りを気にしたり(笑)。
――三好選手の印象はいかがですか
岩崎 常にテニスの話をしています。さすがに普段は違う時もありますけど、こいつはテニス一筋です。話とかもテニスに関しては止まらないんですよ(笑)。部活中は特にその熱心さが表れていますね。
――お互いに尊敬する部分はありますか
三好 さっきも言いましたがやはり負けず嫌いなところですね。
岩崎 そんなに!?(笑)
三好 だってささいな勝負でも自分が勝つまでやるじゃん。
岩崎 それはそうだよ、同期だし負けたくないもん(笑)。僕が尊敬している部分はテニスに対するモチベーションですね。例えば「きょうだるい」とか言っていてもしっかりやるところとか。手を抜くことがないんです。
――今季のスローガン、『変革』・『自覚』に関して何か自身のエピソードはありますか
三好 下級生のころは部屋の環境などもあるんですけど、僕は体調不良が多くて。ことしからは部屋も変わって、上級生ですし部活を休まないようにしようと心がけてから全く体調を崩していないというのが自覚として表れているのかなと。変革はチームの中でいい方向に行っている部分とそうでない部分がありますね。いまチームで少し無駄な部分をなくそうということはあるんですけど、それが逆に甘くなっているような気がして。やるべきことをしっかりやるというのをテーマにしていけたらなと思います。
岩崎 僕は結構テニス以外の面で自分に甘いところがあるのですが、あと数ヶ月で僕たちの代に世代交代するわけですし気をつけていかなければと思いますね。自覚を持って行動しなければと反省しています。変革に関しては小さいことですが、ストレッチにこだわるようになりました。高校の時は一切ケガがなかったのですが大学に入ってからケガが増えたので、ストレッチにこだわろうと思って変えてみました。
――ことしはどういったチームでしょうか
岩崎 僕らの個が強いので4年生は大変だと思います。
三好 僕はそんなに強くないです(笑)。
岩崎 じゃあ、僕もそんなに(笑)。
三好 僕らが1年生の時に比べると、昔はすごく厳しくて4年生の先輩方とはうまく話せなかったんですけど、いまはカベがなくて1年生とか2年生とか関係なくわきあいあいと話しかけてくれます。良いことでもあるし、試合前などは緊張感というかスイッチを切り替えることが大切なので悪いことでもあるとは思うんですけど。厳しすぎるのもよくないとは思いますし、ほどよい感じでやっていきたいですね。
岩崎 4年生が仕切るというよりは全員で頑張ろうという感じなので、1年生であっても4年生には話しやすいだろうし何でも言い合える環境はつくれていると思います。
「ことしもみんなで笑い合いたい」(岩崎)
王座に向け「チャレンジャーとして臨むことがカギ」と語った岩崎
――リーグ全体を振り返って
三好 毎年、厳しい戦いなんですが、例年に増して厳しかったですね。1年生が上の方で起用されているというのがあって、それまでに5本取りたいなというのがあります。すごく実力がある子たちは揃っていますが、それでもまだ団体戦の経験は少ないので。やはり上級生がポイントを取るということをしないと王座ではうまくいかないと思います。リーグでは僕も含めて上級生が負ける場面が目立ったのでもっと勝ちにこだわらなければいけません。苦しい時もあったんですけど、苦しい時はチーム全体で戦えたので、もっとそういった部分を最初から出していかなければいけないなと。出だしから接戦の時のような力を出せればすごく良いチームになると思います。
岩崎 リーグが始まる前から厳しい戦いになるとは分かっていました。どの大学にも良い選手が揃っていて、ことしのリーグ戦は緊張感があって。しかし、まだまだそういった雰囲気の中でワセダが甘いというのは感じていて、1、2年生はまだそういった雰囲気に慣れていないので、僕たちが教えなくちゃいけなかったと思っています。雨で中止になり、だらけてしまうのも分かる日程だったのですが、そういった中でも僕らが背中で見せていけていればまだ雰囲気などは変わったのかなと。そこが僕たちの反省するところかなと思いました。最終戦は内容もギリギリでリーグ優勝した感じが無くて、それは周りにも伝わっていたと思います。終わってすぐに上級生でミーティングをしました。でも今はああいったリーグがあったからこそ、このままではいけないと気づけましたし、その悪い状況の中でも勝てたということは大きな収穫だと思っています。その2点はプラスに捉えて良いのかなと思います。だんだんと話し合いを重ねてチームが良くなっているので、あのリーグがあって良かったです。
――どういった課題が挙げられましたか
岩崎 チーム力ですね。観に来ていた人でもこの雰囲気はまずいなと思ったくらいです。リーグ全体を通してチーム全体がまだまだだということをコーチ陣には喝を入れられました。リーグで優勝したからといって必ずしも王座で優勝できるわけではないですし。自分たちで気づかなければいけませんでしたが、チームを変えるきっかけとなったので王座に向けてあとは頑張るしかないですね。
三好 リーグが終わってコーチ陣から話をしていただいて、危機感を与えてくれました。ただ、それを全員が理解してなくてはいけないですよね。まだまだできていない人もいますし、現状に満足せずに上に行くということを意識して王座に臨みたいです。全員がそういった気持ちを持つことを目指しています。
――やはり王座とリーグでは雰囲気も違いますね
三好 そうですね。昨年リーグで当たった慶大と王座決勝でも慶大だったんですけど、その時の雰囲気は全く違うものでした。リーグだとそこで負けても王座があるけど、王座はないので。観客なども多いですし、プレッシャーや緊張感はすごくあります。応援がすごく多い分楽しいと感じることもあるんですけどね。
――そういった雰囲気を下級生に共有することも大切になってきますね
三好 そうですね、その通りで、まだテニスをやっていれば良いというスタンス寄りになってしまう子もいます。僕自身も下級生時代はそういった気持ちもありましたが、いまはテニスをするだけ以外にもチームにとっては大事なことがたくさんあるんだなと感じています。それを僕らももう少しで4年生なので早めに気づかせなくてはいけないし、行動で示さなくてはいけないなと感じています。
岩崎 僕たちの行動を下級生は見ていると思うので、しっかりした姿を見せるということと、どういった雰囲気でどういった大会なのかということをしっかり伝えなければと思います。リーグはプレッシャーのない中でやっていると思うんですけど、王座はどの大学もワセダに向けて向かってくるので僕らもそこで受け身に回ることなく逆にチャレンジャーの精神を持つことが大切かなと。自分たちのテニスをすることとチャレンジャーの気持ちで挑むことの2点がカギになると思います。
――王座出場を決めた明大の印象を教えてください
岩崎 正直なところ、とても良いチームだと思います。4年生が絶対一本取ってくるという意識がコート外でも伝わってきて、主将を筆頭にみんながやってやるという気持ちで向かってきていたので押されそうになりました。リーグで押されそうになるということは王座ではさらにそういった部分が大きくなると思うのでしっかり準備をしたいです。
三好 リーグが始まる前から、4年生が主体のチームだと感じていました。中でも主将がチームの中心にしっかりといるなと。3人の4年生も主将にしっかりとついて行っていて、その姿をみた下級生にもそれが伝染しているなと感じました。集合や応援などの節々からことしの明大は統率が取れていて堂々としているなって。4年生が主体となっていて良いチームだと思います。しかし明大だけでなく関大や近大もいるので、一戦一戦負けられない戦いになるなと。明大だけでなく相手が誰であろうと全力で戦っていきたいですね。
――チームの今の状況は
三好 今はチーム力を磨いています。一人一人が各持ち場で力を発揮しなければと思いますし、王座に向けてもう1日も無駄にできないなと思います。
岩崎 リーグ終わってチーム力を上げるというのは目標に掲げてきて、誰1人欠けてはいけないし一人一人の気持ちが王座に直結するということを統一することが大事だと思っています。みんなが違う気持ちを抱えた上での王座優勝はあり得ないと思いますし、どんなに連覇してようが今のチームは昨年とは違うということを自覚してどの持ち場でもチームを思って動くことが大切だと思います。
――王座はお二人にとってどういったものですか
岩崎 年に一回の大切な大会ですし、そのチームで臨むのは人生で一度きりですよね。伝統もあり、プレッシャーもかかってきますが勝った時の喜びは言い表せないくらいうれしいです。その時の4年生の姿をみてやってきてよかったと思う大会です。ことしも4年生を優勝して送り出してあげたいというのがあります。どの持ち場でも僕は頑張るだけなのでことしもみんなで笑い合いたいですね。
三好 僕の中で、どの大会よりも王座が楽しみですし大事な大会です。チームでこれだけ1つになって優勝するのはすごいと毎年思いますし、岩崎の言った通りそのチームで戦えるのは人生で一度きりです。そのチームで日本一ということを味わえている人は数限られた人たちだけで、自分がそこにいるのはすごいことだなと思います。4年生のことを思って自然と涙が出てくるような大会ですし、だからこそこれ以上できないってくらい練習も気持ちも追い込んでいかないと中途半端な気持ちでやってもあのうれしさや感動というのは味わえないと思います。今はがむしゃらにただ頑張るということを僕はやっていきたいです。
――やはり王座には4年生への気持ちも入りますね
岩崎 そうですね、今の4年生は一番一緒に長くいた先輩ですし、たくさん迷惑もかけたと思うので、その分最後は優勝して送り出してあげたいです。きつい練習とか怒られることもありましたがそれは全部自分たちのことを思ってやってくれたことで感謝しかありません。その感謝を優勝というかたちで示せたらなと思います。
三好 下級生のころはすごく厳しく指導されてきつく感じたこともあって。でも今、上級生になった立場で思い返すとそうやって指導してくれたことがためになったと感じていて、逆に今では良い思い出で感謝の気持ちの方が大きいです。あと残り3週間しかありませんが共に一緒に全力で取り組んで優勝したいです。
――最後に王座への意気込みをお願いします
三好 王座のための一年だったと言えるよう、優勝しかありません!
岩崎 泣いても笑ってもチームで最後の戦いとなるので、絶対に悔いの残らないよう一人一人が取り組んで笑って終われたら良いなと思います!
――ありがとうございました!
(取材・編集 三佐川唯)
※インカレへの意気込みを書いていただきました!
◆岩崎歩(いわさき・あゆむ)(※写真左)
1995年(平7)4月13日生まれ。身長175センチ、70キロ。神奈川・湘南工大付高出身。スポーツ科学部3年。今季の主な戦績は全日本学生選手権男子シングルスベスト32、関東学生選手権男子ダブルスベスト16。全日本学生ランキング男子シングルス28位(2016年9月付)。負けず嫌いでいったら庭球部ナンバー1という岩崎選手。王座でも持ち前のその性格でチームを盛り上げて、日本一の座を手に入れてほしいです!
◆三好健太(みよし・けんた)(※写真右)
1995年(平7)5月24日生まれ。身長179センチ、63キロ。埼玉・秀明英光高出身。スポーツ科学部3年。今季の主な戦績は関東学生トーナメント男子シングルスベスト16、関東学生選手権男子ダブルスベスト8。全日本学生ランキング男子シングルス15位(2016年9月付)。趣味は人間観察という三好選手。とりわけ庭球部の中で興味深いのは村松勇紀(社4=青森山田)選手なのだとか!王座では誰よりもテニスに関してまっすぐと評判の三好選手の姿に期待です。