【連載】王座直前特集『全てはこの日のために』 第2回 河野優平×齋藤聖真×坂井勇仁

庭球男子

 長い関東学生選手権(夏関)が終わり、ついに全日本大学対抗王座決定試合(王座)へ向けて団体戦一色になった男子庭球部。今回登場していただくのは、河野優平(スポ3=福岡・柳川)、齋藤聖真(スポ2=神奈川・湘南工大付)、坂井勇仁(スポ2=大阪・清風)の3人だ。2年目、3年目のシーズンも残すところあとわずか。ことしのチーム状況や、王座に懸ける思いについて伺った。

※この取材は9月28日に行われたものです。

「このスタイルがこのチーム」 (坂井)

リーグではチームの中で唯一単複出場を果たした坂井

――これまでの振り返りからお願いしたいと思います。まず個人戦においては、特に全日本学生選手権(インカレ)や夏関を終えてどのようなシーズンになりましたか

河野 インカレでは2年生の時以上の結果を出すということが目標にあったのですが、単複どちらとも2年生の時より戦績が悪くなって、ダブルスでは2位からベスト8になって、シングルスではベスト16から32になって。そこに関しては本当に納得のいく大会にはならずに、悔いの残るインカレになったというのはありました。それに対して夏関では坂井と組んだダブルスで優勝できました。シングルスはベスト4が目標だったのですが、それに届かなくても今まで関東学生でベスト8に入ったことがなかったので、ベスト8に入れたというのは、インカレの反省を生かしてできた部分があるのかなと思います。

齋藤 僕も去年の戦績を上回るというのを目標にやってきて、具体的にベストいくつというのは掲げていなかったのですが、インカレ、夏関ともに単複全部で去年を上回りました。でもシングルスにおいては、インカレではもう少し上を狙っていかないと、去年は予選で負けてしまっていて、本戦に上がってそれで満足してしまっていた自分がいたので、そういう意味では少し悔いが残る大会で。夏関においては単複共に自分の中では出せるものは出せたかなと思っていて。ダブルスはこの河野さんと坂井のペアに負けてしまったのですが、そのときの全力を尽くしたという思いはあるので、悔いというよりかはその時出せるものは出せたという意味ではいい大会にもなりましたし、いい夏のシーズンだったのかなと思います。

坂井 僕はインカレも夏関もそんなに自分の中であんまりいい結果ではなくて。(インカレでは)シングルスが2年連続予選からになってしまって、それでもベスト16までいったことは自信にしていいんじゃないかなと思っています。リーグ(関東大学リーグ)はことし初めて単複で全試合出場して、その感覚が(去年は)やはりなかったので、全部全力でいくと持たないというのも感じましたし、来年もし単複出ることができたらうまく自分の中でコントロールしながらやっていかないといけないなと思います。一応学生の大会は王座で一区切りするのですが、その後インカレインドア(全日本学生室内選手権)までこれから大きい大会がまだ続くので、そちらに照準を合わせてやっていければなと思います。

――インカレインドアは新体制になってからの大会というイメージなのですが、選手としては年内でひとくくりという意識なのでしょうか

坂井 僕はそうですね、インカレインドアまでで一区切りで。一応王座からインカレインドアまで1か月空くので、王座が終わって緩い雰囲気のまま過ごしてしまうと、インカレインドアは去年(ワセダ勢は)シングルスが実際1回戦2回戦負けだったので、またそういう風になってしまうかなと思います。

――団体戦についてお聞きします。ことしのチームは対抗戦で関学に負けるところから始まり、リーグでも厳しい戦いが見られました。どう振り返りますか

河野 おととしとかも早慶戦で「ああ、負けそうだな」というのはあったのですが、それ以上に「ああもう負けるかもな」、と若干怖さもあって、応援側もがむしゃらに叫ぶシーンがあったと思うのですが。リーグでは5-4が2回ありましたが、4-5と5-4では全然違いますし、その後のチームの雰囲気が良くなかったかもしれませんが、やはり勝てて、かつリーグでもずっと負けていないと昔から聞いているので、5-4で良くなかった試合をしたのかもしれないのですが、貫けたというのはいろいろなものを守れたのかなと感じています。

齋藤 ことし4月に1年生が入ってきて、1回目の対抗戦には僕は出ていなくて、直接試合を見ているわけでもなかったのですが、負けてしまって。その時に僕はまだ結果を出していなくて団体戦に出られる位置ではなかったのですが、2年生にもなりましたし、坂井も去年王座で単複活躍していて、もっと自分も頑張らなきゃなという思いで今までやってきて。春の早慶戦(早慶対抗試合)に出させてもらって、対抗戦だとか団体戦に対する思いというのは確実にいい方向に変わった部分もあって、それも含めてリーグ戦に臨めたというか、テニスにおいては試合に出るという立場としては全力を尽くせたので。リーグであったり早慶戦であったり大きな団体戦に出るようになったのはことしからで、ジュニアや高校時代とはまた違う雰囲気だというのはすごく感じました。王座で勝つためにこの1か月間やれることをやるというのは変わらないのですが、今までの成績に満足せずに王座で勝つことが絶対なので、そこに向けてやっていくことが全てかなと感じました。

坂井 ことしは難しい年だったとは思います。下級生が強くて上にいる状態でどうやってまとまるのかなと思っていたのですが、最近になって逆にこのスタイルがこのチームなんだなと感じるようになってきました。僕自身、古田(伊蕗、スポ2=静岡・浜松市立)、齋藤と3人で4本、5本取れたらいいなと話していて。リーグの時は2年生だけで(出場した試合を)全部取れば4本取れる状態だったので、出たら全員で4本取ろうと、寮も一緒なので話しながらやって、できていたのが僕自身うれしかったのはあります。1年生の時から3人で団体戦に全員出ようと話していて、2年目でそれを達成したので、次は3人で5本取りにいこうと話していました。

――今のお話にもありましたが、ことしのチームはどのようなチームだと思いますか

河野 個人的には、1年生1年生と言われるのですが、そのチームに入ってしまえば学年はあまり関係ないと思っていたので。でも、そういいながらもやはり、3年生がポイントを取れないというのは3年生全体で悔しいという感じになりますし、1年生が取ることによって学年としてどんどん対抗心というか、仲間内でそういうのはおかしいかもしれないですが、1年生が取っているなら俺らの代も取るという風にはなれますし。今そうなってきているのはあるのかなとは感じて。夏関の時でもダブルスですが少し3年生を代表した気持ちになって、強い1年生が入ったことによってそういうことができて、パワーになるというのはあったので。いい方向に考えればプラスの要素というのはすごく多いと思います。

齋藤 まあ、上の2本に1年生がいたりだとか、その後シングルスで2年生が2人いて、さっき坂井が言っていたように下級生というか2年生で何本取ろうという話もしたのですが。ここ最近のワセダとしては珍しいチームだというのは、今までの戦績というか大会の結果を見たりしても自分は分かっていて。でもことしのチームはこれがベストで挑んでいると思っているので、1年生だからとか下級生だからとかは関係ないですし、さっき河野さんも言ったように3年生が出ている人が少ないというのであれば、出ている人が責任というか、何かしら重みを感じてプレーできると思いますし、1年生も入った年に出られるというのはすごくいい経験になると思いますし。それを感じながら試合に出て、シングルス1の小林(雅哉、スポ1=千葉・東京学館浦安)だったりというのもすごくいいプレーができていると思いますし、僕らもそれに刺激を受けながら2年生という立場で3人出ていたりして、全ての学年にいい影響を与えながら試合をしていけているチームだと思うので。そういう意味ではことしだけじゃなくてらいねん、さらいねんにもつながるようなチームになっていると思います。出ている人だけではなくて控えている人たちにも刺激を与えて成長していけるチームだと思うので、去年とは違う良さというか、自分的には魅力を感じているチームです。

坂井 僕はリーグが終わってからいろいろ全体で話し合ったりして、このチームはあと15日、王座が終わるまでですけど、まだまだ良くなれるところはあるなというのが正直なところで。リーグが終わってから話し合いをして、4年生で普段あまり何も言わなかった人が注意してくれたりとか、練習中に普段あまりアドバイスしなかったような人が声を掛けだしたりとか、そういういい方向にはちゃんと向いていて。そういうのはやはり僕らも感じていて、こちらからもそういうエネルギーを発信していかないといけないと思うので。もっといいチームができると思うので、自分自身も考えながら、最後までやり抜けたらいいなと思います。

――大きな大会としては早慶戦からことしの団体戦が始まりましたが、チームに変化はありましたか

河野 変化というよりは、関大に負けて、危機感を覚えて、早慶戦でいいかたちで終わって、ちょっと油断して、リーグでその油断がちょっと悪い状態になってという、少し同じことを繰り返した部分はあるのかなという風には僕の中で感じていますね。

齋藤 早慶戦では僕と髙村(佑樹、スポ1=千葉・東京学館浦安)の起用があって。ダブルス3はどこが出るか分からなくて、春関(関東学生トーナメント)でもダブルス3を任せられるような結果ではなかったと思うのですが、その中で早慶戦に出させてもらって、それを通しての経験がインカレ、夏関という風になって、そういう意味では今のダブルスの1、2、3としては早慶戦前よりは固まっているというか。みんなの意志というか、僕自身も不安があるというよりかは、出る場合はこのポジションは任せてという意味で。個人的なものになってしまいますが、ダブルスのポジションは春とは違うという意味で変化はしているのかなと思います。

坂井 齋藤が言っていたようにチームの底上げというものはできているのかなと思っています。ダブルス3もありましたし、あとはリーグでは(シングルスの)下で古田が初めて出て、負けた試合もありましたが大事なところで早慶戦で勝ったりとか、そういう意味で総合力は上がっているのではないかなと思います。あとは危機感を持てない時期があるチームだなとは1年の結果的には思って、ことしの経験を生かしてらいねんは常に危機感を持ってやらなくてはいけないなという風に思います。

――ことしは関東地区第2代表として明大が王座に進むことになりました。その他の出場大学のチーム状況などを踏まえて、ことしの王座はどのような大会になると思いますか

河野 去年の王座が終わって新チームができた時点でおそらく明大が来るというのはあって。もしかしたら慶大が経験を生かして明大を倒すかなというのはあったのですが、僕の中では明大だろうなと。戦力もすごく充実していましたし、それを思っていた人は多かったと思うので。でも特に王座に変化があるとしたら、明大が強くなって変化というよりは、個人的には関大が強いことによって変化があるのではないかなと思って。ドロー次第では準決勝で関大との対戦になりますし、そこで当たることになったらすごくタフな王座になることは間違いないですし、この前の対抗戦のリベンジということもあって。僕的には明大が来るというよりは関大の強さというのが今回すごく変わっているのかなと思います。

齋藤 僕も去年が終わった段階では明大の4年生は層が厚くてシングルスでもダブルスでもどこにでも出られるという状況で、らいねんは明大が来るんじゃないかなと思っていてことしのこの結果だったので。ただ慶大が来ようと明大が来ようと自分たちのやることは変わらないと思うので、そういう意味ではそこで気持ちの変化とか、変に慌てる必要もなくしっかりと準備をしていくことがチームとして全員がやっていくべきことだとはずっと思っていました。その点に限るかなと思います。

坂井 関大にまずリベンジしたいなというのと。決勝までいったらたぶん明大が来るとは思うのですが、僕自身(明大には)リーグで単複2敗したので、もう一度関大にも明大にもリベンジしたいなというのはすごくあります。

「すごく楽しい日々を送っている」(齋藤)

春の早慶戦、リーグでダブルス3として全勝の活躍を見せている齋藤

――大会が続きますが、息抜きはできていますか

齋藤 僕も、さっき坂井が言ったように寮内での同期3人というのはすごく仲がいいと感じていて、部活外での過ごし方というのは特にリラックスした状態で、夜だったり空き時間だったりはすごく楽しい日々を送っているので、そういう意味では毎日楽しいというか、わざわざ息抜きの時間をつくる必要はないという風に思います。不満もないですし。

坂井 僕はリーグが終わってから部屋をめっちゃきれいにしました、クイックルワイパー買ってきて。僕は髙村と部屋が一緒なんですけど、髙村の物とかも全部倉庫に投げ入れたりして、部屋の物減らして。めっちゃきれいになったよな?窓とか網戸とかも全部拭いて。あとは「君の名は。」を見にいきました。横にこいつ(齋藤選手)がいたのですが、トイレに2回行って。

齋藤 僕3回見にいったんですよ(笑)。その3回目に(坂井選手と)一緒に行ったのですが。

坂井 席が横で、トイレに2回行って。

齋藤 すごく面白かったんですけど、そのくらいからちょっとおなかの調子が良くなくて。

一同 (笑)

齋藤 ただまあ、3回見ても感動します。

――映画を見にいくのはオフの日が多いのでしょうか

坂井 はい。1年生のときは雑用とかあってあまり見にいったりしなかったのですが、新宿まですぐなので、最近はぱっと行ってぱっと帰ってきて。

――寮のことをお聞きしたいのですが、まず河野選手は2人部屋ですか

河野 はい。僕は松崎さん(勇太郎副将、スポ4=神奈川・湘南工大付)とですね。掃除機をいつの間にか買っていたり、いつも間にかごみ箱も空になっていたり、部屋のこと全部してくれるので、何も文句もないです。まあでも、最近ちょっと寮に不満というか、感じるのは二段ベッドの上だと柵がちょっとストレスかなと。

坂井 それ僕も分かります。

河野 柵がこう、がーんとあって。

坂井 狭いんですよ。

河野 がーんとあるんですよ。それがちょっとストレスだなと。ちょっとはみ出したいし、ぶら下げたいくらいのスペースが欲しいなって(笑)。

坂井 僕こうやって足かけて(はみ出して)ますよ。

――二段ベッドの上下はどうやって決めるのですか

河野 先輩が下の方が楽かなということで、僕はそのまま上に行きましたけど。

坂井 僕は部屋にいっぱい人が来るので。下のベッドにみんな座るんですよ。こいつ(齋藤選手)とかそこで寝たりするんですが、僕は古田とかにそれされたら切れちゃうので。だから上にして、寝る時は一人で寝られるようにしています。

――坂井選手もきれい好きですか

坂井 いや、そこまで・・・。松崎さんほどじゃないんですが、7割8割程度は。

齋藤 きれい好きっていうか・・・。去年は僕が(部屋が)一緒だったのですが、去年は・・・。

坂井 だって去年は部室の掃除してたから。家を掃除する気にはなれへんかった。

齋藤 去年とことし、坂井と同じ部屋になった僕と髙村が割と部屋のきれいさに固執しないというか。

坂井 違う、汚いんやろ。何、「部屋のきれいさに固執しない」って。

齋藤 汚いとは言わないです。こだわりを持ってない(笑)。なので、少し目を離すと・・・。

坂井 お前1回ベッドの下からペットボトル7本くらい出てきたやろ。

齋藤 空のね。そういう意味では、坂井が動かないときれいにならないので、別にきれい好きというわけじゃないよね。

坂井 きれい好きではない。

齋藤 汚いのが嫌いなんだよ。

坂井 汚いのが嫌い。・・・誰でもそうやろ。

一同 (笑)

齋藤 やるしかないので。

――皆さん紺碧寮ですか

坂井 はい。全員東伏見の紺碧寮です。

――庭球部の皆さんは大体そこに入ってらっしゃるのですか

坂井 そういうわけでもなくて。小林(雅哉、スポ1=千葉・東京学館浦安)とか島袋(将、スポ1=三重・四日市工)とか小倉さん(孝介、スポ3=神奈川・湘南工大付)とかはSquareにいるので。紺碧は選ばれた人だけですね。

一同 (笑)

――その基準は

坂井 基準、何なんですかね。

河野 まあ、元々はレギュラーで主力になりそうなメンバーとかはすぐ来られるように紺碧に入れられると聞いていたのですが、やっぱり小林、島袋は別格なので(笑)。あと、単純にその年に空いてなくて、紺碧が。1人しか空いてなくて、髙村が入って。まあSquareに入るっていうことになったのですが、やっぱりそれがきっかけでどんどん寮も分かれていくんじゃないかなと思います。

――齋藤選手のお部屋はどんな感じでしょうか

齋藤 僕は三好さん(スポ3=埼玉・秀明英光)と一緒なのですが、三好さんは僕が部屋に入ると基本ベッドで寝ているので。寝ているかガット張っているかの2つで、部屋の中であまり接点がないです。ただ、三好さんも割ときれい好きで、さっきも言ったように僕はあんまりそこに固執はしなかったんですけど、先輩にきれいにしようって言われたらするしかないので。きれいにするというよりかは、範囲を狭めて散らかしてます。

坂井 なだれが起きてる。

一同 (笑)

齋藤 なので、ぱっと見はこう・・・きれいです。

――皆さんには験担ぎでやっていることはありますか

齋藤 僕は一応あって、試合の時にラケットバッグの置き方だったり、飲み物、例えばクーラーボックスを置く場所だったり、それに対してジャグの位置とかは決まってるんですが。ダブルスだと髙村は先に入っちゃうことが多くて、僕はラケットバッグを右に置きたいんですけど、あいつが先に入ると大体右側に置いちゃうので、勝手に崩されるときはあります。

坂井 言わんの?それ。

齋藤 最初言っていたのですが、「これだけは本当に頼むから」って言っても夏関ぐらいで忘れて普通に右側座ってて。「勝ってるから関係ねえのかな」と思ってやめました。シングルスはやってます。

河野 そういうのは特にないのですが、相手がフィッチをやってきたときは全部自分のラケットを見て、自分のラケットだった方(自分のラケットで向いていた方)を言っています。

――当たることが多いですか

河野 当たる当たらない関係なしに、考えるのが面倒くさいので。結構言う方を決めている人が多いと思うのですが、ラフしか言わないとか。まあでも、僕は両方言いたいので。自分のを見て決めています。

――坂井選手には何かありますか

坂井 僕はあんまりそういうのはないですね。あ、でも、試合期間はずっと朝起きるのは早いです。試合がなくても、インカレの時とかは空き日でもずっと6時ぐらいに起きています。起きるタイミングを毎日一緒にしたいので、寝るタイミングとかも。

――生活リズムには気を遣っているのですね

坂井 何時ぐらいに寝るとかは決めています。23時までには寝て、いつも6時半ぐらいには起きて。朝ご飯食べてもう一回寝るとかはあるのですが、朝ご飯食べないでぶっ通しで寝るとかはやらないです。それぐらいです。

――ことしのチームのスローガンは『自覚』と『変革』ですが、個人的に自覚や変革があったことはありましたか

坂井 雑用面はちょっと変わりましたね。何時までに帰らないといけないとか、夜10時までには部室を出るとか。去年とか2年前とかは結構夜えぐかったですかね、河野さん?

河野 はい。まあでも、そこらへんに関しては他大もそういうかたちになってきていると思いますし、まあ世間的な流れで。やっぱりそこにはちゃんと流れにはついていかないと。

坂井 寝坊して掃除とかあるじゃないですか、部活だったら。慶大はそういうのが一切なくなったって聞きました。

――早大はまだあるのですか

坂井 早大はまだあるよな。

齋藤 一番多いのが部室の掃除機かけたり、シングルスポールを片付けたり・・・。

坂井 まあ部室の掃除やな。

齋藤 ここの掃除を大体いつも1年生が4、5人でやっているのですが、それをミスとかした場合は一日一人で全部やり切るというのがあって。それが一応ここでの罰で一番多いやつです。

――お互いの印象をお聞きしたいのですが、まず河野選手の印象はいかがですか

齋藤 印象、印象・・・。河野さんとはテニスに限らずいろんな話をするのですが、ある1つの話題に対してお互いに意見を言い合うというのが流行りというか、お互いに好んでそういう意見をぶつけ合うというのがあって、その時間帯が僕もすごく好きで。先輩として接している中で、なんかこう、波長が合うというか・・・。

坂井 はよしゃべれよ。

齋藤 難しい・・・。まあでも僕も好んで河野さんに接していくくらい、僕は河野さんのことが好きなんで。

一同 (笑)

齋藤 あまり言葉が出てこないんですけど。河野さんが好きです。

――坂井選手はいかがですか

坂井 そうですね、僕も河野さん好きです。

一同 (笑)

坂井 僕はダブルス組んでもらったりよく話したりするんですけど。エピソード・・・初めての印象は総体の表彰式で。これ言っていいですか?

河野 いいよ。

坂井 総体の表彰式で、初めて会って初めてしゃべったんですよ。その時に、「俺今ノーパンなんだよね」って言ってきて。

一同 (爆笑)

河野 高校の時の験担ぎ的な感じですかね。まあ、卓球の水谷選手もノーパンティじゃないですか。そんな感じで、高校の時は先輩がノーパンでやっていて。大学になって大人になっていくにつれて、それはやめた方がいいなと思って。高校引退した時からはいてます。

坂井 僕は第一印象がそれだったので、まあだいぶ変わりましたけど。優しい先輩です。

――齋藤選手の印象はいかがでしょうか

河野 ・・・異常ですね。

齋藤・坂井 異常(笑)?

河野 自分の管理ができない。いろいろありますけど、全ての行動において手助けされている感じはあるので、もう少しいろいろ自分でちゃんとできるようになってくれたらいいなと思います。まあでも自分でも分かっていると思うので、変わってくると思います。

齋藤 ・・・変わりたいです。

坂井 自分で自分を追い込むのが好きやろ?ある意味ストイックやろ。

――坂井選手は齋藤選手のことをどう見ていますか

坂井 マイペースですね。周りに流されないように見えつつ、気にするみたいな。な、気にするよな?言われると。で「あー」ってなって、部屋に帰ってきて2日間で「あー」ってして、元気になって。

――引きずるタイプなのでしょうか

坂井 引きずりはしないですね、全く。

――では切り替えられるタイプですか

坂井 切り替えるというか、切り捨てるよな。

齋藤 違う違う違う。違う違う違う。

坂井 でも記憶の片隅に追いやるの得意やろ。

齋藤 結局は切り替えなきゃいけないじゃん。たまに切り替えてるふりもするよ。切り替えてないときもあるよ。

坂井 でも面白いからいいよ(笑)。

河野 まあでも、長男っていう感じですね。性格的な面では。僕も長男で、(齋藤選手と)よく話すと言ったのですが、やはりそこらへんが気が合う部分もあるのかなと思って。齋藤は人の悪いこと全然言わないですし、そんな聞いたことないですし。家族とかをすごく大事にしているようなイメージがある。ザ・長男という感じです、僕的には。

坂井 確かに、お前家族大事にするよな。

齋藤 僕、妹がいるのですが。

坂井 妹大好きやもんな。妹かわいいんですよ。

齋藤 6個下なんですよ。思春期が怖いです。

一同 (笑)

齋藤 今中2なんですよ。まだ大丈夫なんですけど、思春期、反抗期が怖い・・・。

――河野選手も妹さんがいらっしゃるのですか

河野 僕は弟で。僕も6個下なんで、ことし高校受験で。少し心配ですけど、どうなんですかね、「ちゃんと勉強する」って言ってるので、そっちの方が正しいんじゃないかなと。まあ頑張ってほしいです。

――坂井選手にはご兄弟はいらっしゃいますか

坂井 僕は3つ上の姉と5つ下の妹がいて。姉ちゃんがもう就職して結構プレゼントとか送ってきてくれます、この間もスピーカーとか送ってきてくれて。妹は小さい時は結構いじめていたのですが。いじめたりしなかった?泣かせなかった?

齋藤 泣かせるっていうか、あれだよ。めっちゃ構ってたら、俺の中での愛情表現が嫌だったみたい。

坂井 僕は結構真面目にいじめてました。

齋藤 それはない(笑)。

坂井 今はまあ普通に、プレゼントくれたりします、マグカップとかくれたり。僕はたまにしかあげないんですけど。

――では最後に坂井選手の印象をお聞きします

河野 坂井は齋藤と正反対で、結構しっかりしてるような感じですかね。変な時間帯にラケバ持って帰ってきて、「今まで練習してたの?」って聞くこともあるのですが。テニスに対する気持ちがすごくあるなとは感じます。

齋藤 まあでも真面目だとは思います。あまり器用じゃないんで、僕が言うのもあれですけど、自分の気持ちに正直すぎるというのは今でも思ってます。

坂井 悪口言うな(笑)。

齋藤 悪口じゃない。そこに俺が割って入ることでうまくいくというか。うまく回る。

「4年生を優勝で送るのは僕らの使命」(河野)

先日の夏関では坂井とのペアで男子ダブルス優勝を果たした河野

――王座に向けてお話を戻したいのですが、夏関も終えて王座一直線になっている時期だと思います。今の心境としてはいかがですか

河野 4年生がリーグを終えてかなり苦しい思いをしているので、優勝して引退させてあげると言ったらおかしいですが、その力になることができればいいなという風に思っています。

齋藤 今はずっと11連覇していて、チームのためでもあり自分のためでもあり、やはり最後の王座である4年生のためでもあると思うので。途切らせないように絶対勝つというのがしっかり思ってやっていければ絶対勝てるかなと思います。

坂井 自分のためというよりは、小堀さん(良太主将、スポ4=東京・大成)とか平尾さん(優主務、スポ4=埼玉・早大本庄)とかお世話になった人たちのために頑張ろうと思って、4年生とやる最後の試合なので。なおかつ自分は単複全勝して、いいかたちで次につなげることができればいいなと思います。

――皆さんにとって王座とは、4年生を最高のかたちで送り出すという意識が強い大会なのでしょうか

河野 4年生を優勝で送るというのは僕らの使命かなと感じます、後輩として。

――チームとして、個人として強化している点はありますか

河野 チーム全体だと、チーム力チーム力といつも言っているのですが、全員が王座に向けて全力になれればいいのかなと。入学当時にもこの部で感じたことがあって。高校の時は大会の時だけ日本一になるために必死になるという、その時だけはすごい思いがありました。大会に限っての気持ちは高校の時の方が熱いものがあると感じていたので。チーム全員が全力で応援できる、全員が本当に心の底から優勝を目指せる、優勝を目指したいと思えるチームができればいいなと思います。

坂井 今までは気の抜けた時間帯が多かったというか、先ほど河野さんが言ったように一人一人がバラバラだったので、全員が残りの時間でどれだけ少しでも長い間集中して練習して、王座に臨めるかじゃないかなと思います。

齋藤 僕もチーム力という面で、自分も含めて一体感をこの人数で出していけると強みになるので、そこをもっと強化できたら確実にチームの力になると思って。そこを対象として今やっているという自覚はあります。

――王座におけるご自身のアピールポイントはどこですか

河野 個人的にというよりは、3年生が絶対勝つ、みたいな、そっちの方を見てほしいですね。それを目標に3年生で話し合ったりしているので。出す人数を増やすというのが目標にあるのですが、それはもしかしたら厳しいものがあるかもしれないです。あと2週間で、正直試合する機会もなくて、夏関が終わってアピールの場もないので、ここからというのはやはり難しくて。らいねんのためにもというのがあるので、全体の応援から、3年生に注目していただけたらと思います。

齋藤 僕はダブルスというと、泥くさいプレーというか。二人でたくさんラリーをして取るポイントが多いと思うので、そのポイントを取った後の応援に向けての二人のやってやった感というか。ワセダというと僕のイメージですけど、今まではクールだったり王者だったりがあったのですが、入ってみるとすごく泥くさくて何でも食らい付くというのがあって。そういうダブルスをしていると思っているので、そこがポイントですね。

坂井 3年生に対抗するように、2年生も学年対抗戦じゃないですけど、各学年の団結力が見どころなんじゃないかなと思います。それが一つになってより大きい力を発揮すると思うので、そこが見どころじゃないかなと思います。

――最後に、改めて王座へ懸ける思い、意気込みをお聞かせください

河野 僕は去年王座の決勝で負けていますし、表彰式でも少し悔いが残っていました。ことしは自分の力がチームに貢献できるように取り組んでいって、優勝までの道のりはことしすごく険しいものがあるかもしれませんが、全員で乗り切って、叫んで、活気あるチームで優勝したいなと思います。

齋藤 リーグで悔いが残ることがたくさんあったので、僕の中で。絶対にその失敗は繰り返さないようにしますし、良かったことは絶対に続けていかないといけないので、その自分の思いとか考えを王座の期間で、試合以外でも表現していけたらいいかなと思います。

坂井 ことしは1ポイント1ポイントがむしゃらに食らい付いてやっていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 熊木玲佳、藤原映乃)

※王座への意気込みを書いていただきました!

◆河野優平(こうの・ゆうへい)(※写真中央)

1995年(平7)7月1日生まれ。身長176センチ、体重68キロ。福岡・柳川高出身。スポーツ科学部3年。今季の主な実績は関東学生トーナメント男子ダブルス2位、全日本学生選手権男子ダブルスベスト8、関東学生選手権男子シングルスベスト8、男子ダブルス優勝。全日本学生ランキング男子ダブルス7位(2016年9月付)。第2紺碧寮がどこにあるか分からないとおっしゃっていた河野選手。東伏見の、柔道部の合宿所の隣にあるようです。

◆齋藤聖真(さいとう・しょうま)(※写真左)

1996年(平8)12月14日生まれ。身長177センチ、体重64キロ。神奈川・湘南工大付高出身。スポーツ科学部2年。今季の主な実績は、関東学生トーナメント男子ダブルスベスト16、全日本学生選手権男子ダブルスベスト4、関東学生選手権男子ダブルス2位、男子シングルスベスト8。全日本学生ランキング男子ダブルス16位(2016年9月付)。部屋のきれいさには固執しないという齋藤選手ですが、王座では勝利に固執して「泥くさい」プレーを見せてくれるはずです!

◆坂井勇仁(さかい・ゆうと)(※写真右)

1996年(平8)8月12日生まれ。身長175センチ、体重65キロ。大阪・清風高出身。スポーツ科学部2年。今季の主な実績は、関東学生トーナメント男子ダブルス優勝、全日本学生選手権男子シングルスベスト16、男子ダブルス2位、関東学生選手権男子ダブルス優勝。全日本学生ランキング男子シングルス13位、男子ダブルス1位(2016年9月付)。河野選手の色紙を見て、「団子が食べたい」と漏らしていた坂井選手。ご自身はインカレ前の「めんたる」という色紙に続き、「ふぃじかる」と大きく書いてくださいました。