ルーキー島袋、強敵下して関東を制す!

庭球男子

 この日の関東学生選手権(夏関)では男子シングルスの試合が行われた。早大から出場したのは、ただ一人ベスト4に勝ち残っていた島袋将(スポ1=三重・四日市工)だ。明大の4年生選手を準決勝、決勝と続けて撃破し、1年生ながらシングルス優勝を果たした。

 準決勝の相手は今大会第1シードの諱五貴(明大)。全日本学生ランキング男子シングルス1位(2016年9月25日現在)の強敵ではあったが、この日はファーストセットの序盤からミスが目立った。島袋は「そこ(相手のミス)でポイントを取るしかないと思っていて、ラリーをしつこくやっていった」と、前後や左右に振られても食らいついてラリーの中でポイントを重ねていく。第9ゲームではリターンエースも飛び出し、ラブゲームでブレーク。6-4でこのセットを先取した。セカンドセットでは積極的に打ってくる諱に対してストロークで押し勝つポイントも増えてくる。「最終的には相手が崩れて勝つことができた。あまりいいテニスはできなかったが、勝ちは勝ち」。相手のミスを引き出してセカンドセットも6-3で奪い、決勝へと駒を進めた。

揺さぶられても食らいつく粘り強さが光った島袋

 決勝戦は西脇一樹(明大)との一戦となった。ファーストセットは「リターンゲームで何もできず、向こうのペースでやらせてしまった」と一度もブレークできずに先取を許してしまう。そこで、セカンドセットでは「(相手の)ファーストサーブからでも前で前で勝負していった」と作戦を変更。それが功を奏し、第4ゲームをブレークすることに成功する。西脇の強烈なショットを拾いつつもバックハンドで打たせてミスを誘い、6-3でセットを奪い返した。突入したファイナルセットでも、島袋の狙いがうまくはまる展開に。フォアに回り込んだ相手のオープンコートに打ち込むなど、相手の得意なかたちを逆手に取ってポイントを重ねる。「気が抜けないということは常に思っていた」と冷静にラリーで相手を揺さぶり、6-3でこのセットを制した島袋。強敵を次々と倒してきたルーキーが、夏関のタイトルを手にした。

ラリー戦を制し、ガッツポーズを見せた

 「インカレ(全日本学生選手権)、リーグ(関東大学リーグ)とあまり勝てていなくて、悔しい思いをしていた中でこの大会を迎えた」(島袋)。これまでの個人戦では勝ち進めず、団体戦でも1勝を挙げるにとどまっていただけに、島袋は「本当にうれしい」と喜びをあらわにした。今大会での結果を自信に変え、次は団体戦で勝利を重ねるルーキーの姿に期待したい。

(記事 熊木玲佳、写真 佐藤亜利紗)

結果

▽男子

シングルス準決勝
○島袋将6-4、6-3諱五貴(明大)

シングルス決勝
○島袋3-6、6-3、6-3西脇一樹(明大)

シングルスで関東王者に輝いた島袋

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コメント

島袋将(スポ1=三重・四日市工)

――シングルス優勝おめでとうございます!今のお気持ちをお聞かせください

ありがとうございます。準決勝、決勝と自分より格上の選手に勝って優勝できたというのは正直本当にうれしいですし、これからの自信にもなると思うので、これを機に王座(全日本大学対抗王座決定試合)ではしっかりと勝っていけるように、またここから練習していきたいなと思います。

――今大会は雨での中断も多くありましたが、難しさはありましたか

そうですね。やはり試合がずっと続いていたので、緊張感の維持という点で変に気が抜けなくて、そのあたりの調整は難しかったですね。あとはクレーでずっとやっていて、今回はハードコートで全然サーフェスが違う中でもしっかりと対応して勝てたのかなと思います。

――きのうのダブルス準決勝はいかがでしたか

ワセダのダブルス3として出ているペアにあそこまで競れたというのは、負けてしまったのですが自信になりました。インカレ(全日本学生選手権)でもあまり結果を残せず悔しい思いをお互いしていたので、勝ちたかった思いもあったのですが、ここまでできるのだなというのを今回改めて感じたので、シングルスだけではなくてダブルスでも活躍できるようになりたいなと思います。

――きょうのシングルスは準決勝が諱五貴選手(明大)との一戦になりました。どのような意気込みで臨みましたか

相手は4年生で僕より全然実績もあって格上の選手だということは分かっていたので、変に気持ち的に下がる必要はないと思ったし、思い切りやるだけかなと思っていて。自分のテニスをしっかりできればどんな相手でも勝つチャンスはあると思っているので、とにかく自分のテニスをしようと、思い切りやろうと思っていました。

――諱選手にはミスが目立ちましたが、準決勝を全体的に振り返っていかがでしたか

諱さんがミスが結構多くて、エースもあったのですが同じくらい、それ以上にミスも多くて。そこでポイントを取るしかないと思っていて、ラリーをしつこくしつこくやっていきました。応援もこちらがたくさんいて向こうも結構イライラしていたと思うので、気持ち的に崩していかないといけないなと思っていて、ラリー戦でもしつこくしつこく相手のコートに返して最終的には相手が崩れて勝つことができて。いいテニスはあまりできなかったのですが、勝ちは勝ちなので、それはよかったです。

――決勝は西脇一樹選手(明大)との対戦になりました。試合のプランなどはありましたか

相手は回り込みのフォアがよくてサーブもよくて、自分と結構プレースタイルが似ているので、逆に自分の苦手なところが苦手なのかなと思っていて。回り込みだったらこちらの(右側の)フォアが空くので、そこをうまくラリー戦で突きつつ、向こうのサービスゲームのときはリターンだけしっかり返してラリー戦に持ち込もうという風に試合前に考えていて。実際にそれを試合ですることができたのでよかったと思いますし、そのプランがうまくいって勝てたのだと思っています。

――相手のバックも狙っていましたね

そうですね。(西脇選手は)バックの高いところが苦手だったので、そこをしつこくしつこく狙っていきました。

――ファーストセットは3-6で落としてしまいました

ワンブレークで取られて、リターンゲームで何もできなかったというのがファーストセットを落とした原因だと思っていて。サーブが思った以上に入ってきて、リターンで引いてはいないのですが何もできなくて向こうのペースでやらせてしまってファーストを落としてしまいました。

――セカンドセットは逆にワンブレークで取ったかたちになりました

2-1のときにブレークをしたのですが、その時は(まだ)一度もブレークしていないので、今までしてこなかったプレーをしていこうと思っていて。実際やったのは、(それまでは)結構リターンを下がってやっていたのですが、ファースト(サーブ)からでも前で前で勝負していくという風に作戦を変えて。それがうまいこといって、セカンドセットはワンブレークで取れました。

――ファイナルセットは振り返っていかがでしたか

最初はブレークされてまたブレークバックされて、まあよくある展開なのですが(笑)。気が抜けないということは常に思っていましたし、その中でも最後の最後またブレークバックして、最後キープして勝てたというのは良かったです。

――今大会はどのような大会になりましたか

インカレ、リーグ(関東大学リーグ)とあまり勝てていなくて、悔しい思いをしていた中でこの大会を迎えて。逆にチャレンジャーでもあるので、常に前向きな姿勢で今大会に挑みました。2回戦で(ダブルスの)ペアでインカレ優勝の雅哉(小林、スポ1=千葉・東京学館浦安)とやることになって、そこを勝てたのが一番大きかったかなと。あそこで勝って自信をつけて、三好さん(健太、スポ3=埼玉・秀明英光)や逸崎さん(凱人、慶大)、きょうの諱さんと、格上の人にどんどん勝てたのかなと思います。

――これから3週間ほどで王座を迎えます。どのように調整していきますか

この3週間はたぶん今まで以上に追い込み期間だと思うので、この夏関(関東学生選手権)優勝の喜びにあまり長いこと浸らずに、またすぐ切り替えて王座に向けて優勝できるよう、自分に何ができるかとか、チームに何が必要なのかとか、1年生でも何かできることがあると思うので、それを全員で考えて協力して、よりよい強いチームをつくりつつ王座を迎えられたらいいなと思います。