個人戦でも関東王者へ、夏関始まる

庭球男子

 関東大学リーグ(リーグ)から早1週間。少し肌寒さが感じられるようになった天候の下、関東学生選手権(夏関)がことしも秩父で幕を開けた。団体戦から程なくして迎える、個人戦の舞台。前日の雨の影響により、この日は男子シングルス3回戦、男子ダブルス1回戦、女子シングルスの2・3回戦が行われた。早大からも多くの選手が翌日の試合に駒を進める活躍を見せた。

 男子部からはシングルス3回戦に11名、ダブルス1回戦に7組が登場。エントリー数の多さゆえ同士打ちは避けられず、シングルスでは3試合が早大対決となった。中でも白熱したのが河野優平(スポ3=福岡・柳川)と小倉孝介(スポ3=神奈川・湘南工大付)の試合。序盤は小倉がドロップショットを織り交ぜて優位な展開に持ち込む。しかし「わざと打たせてくるようなボールが多く、我慢ができなかった」(小倉)と巻き返され、試合の中で立て直した河野がフルセットを制し、準々決勝に駒を進めた。その他では、関東大学リーグ(リーグ)でも上位で出場した島袋将(スポ1=三重・四日市工)、ダブルスで全勝した齋藤聖真(スポ2=神奈川・湘南工大付)が先輩を相手に意地を見せてストレート勝ち。他大選手と対戦した4選手はそれぞれが奮闘するも、強敵を相手にベスト8のカベを越えることはできなかった。

ドロップショットを多用した小倉

 ダブルスでは、リーグに続き安定したプレーを見せた齋藤聖真(スポ2=神奈川・湘南工大付)・髙村佑樹(スポ1=千葉・東京学館浦安)組や同高出身の岩崎歩(スポ3=神奈川・湘南工大付)・小倉組など5組が初戦を突破。4年生の岸田海副将(社4=東京・早実)、村松勇紀(社4=青森山田)はそれぞれ2年生とのペアで最後の個人戦に臨むも、1回戦で姿を消した。2回戦以降は、新鮮な組み合わせとなった河野・坂井勇仁(スポ2=大阪・清風)組や小堀良太主将(スポ4=東京・大成)・三好健太(スポ3=埼玉・秀明英光)組、慶大の全日本学生選手権(インカレ)優勝ペアと対戦する小林雅哉(スポ1=千葉・東京学館浦安)・島袋組の戦いぶりにも注目したい。

初戦敗退となった岸田(右)・町田組

 この日はシングルスのみとなった女子部。多くの選手が2回戦を順当に勝ち上がり、ベスト8入りを懸け3回戦へと進出した。1年生の大河真由(スポ1=千葉・秀明八千代)はインカレベスト8の実力者・村瀬早香(慶大)を、6-2、6-1で破る値千金の勝利。インカレ、リーグと場数を踏み経験を積んできたルーキーの活躍が光った。一方の金井綾香(社3=東京・早実)は、5月の早慶対抗試合でも対戦した江代純菜(慶大)をフルセットの末に下し、準々決勝進出を決めた。ダブルスでペアを組む選手同士の同士打ちも実現。細沼千紗(スポ3=東京・富士見丘)と大矢希(スポ2=愛知・名古屋経大高蔵)との一戦は互いに譲らない展開となる。インカレで2位と結果を残し、先輩としての意地を見せた細沼に軍配が上がった。この他、上唯希(スポ2=兵庫・園田学園)と辻紘子(教2=東京・早実)の2年生二人もそれぞれ白星を挙げた。次戦では、上と細沼による同校対決、さらには金井と大河は慶大選手との一戦となるだけに、戦いはますます熱を帯びるだろう。

仲間の声援にガッツポーズで応える大河

 インカレ、リーグからほとんど間を置かずに行われている今大会。疲労が残る中でもそれぞれが力を出し尽くし、頂点を見据えながら一戦一戦を戦い抜いている。男女共にあすはシングルスでベスト4を懸けたヤマ場を迎えるだけに、より一層の精神力や体力が要求されるに違いない。早大庭球部としても全日本大学対抗王座決定試合へ向け、まずは夏関の舞台で手ごたえをつかむべく、秩父の地で躍動してみせる。

(記事、写真 熊木玲佳、佐藤亜利紗)

結果

▽男子

ダブルス1回戦
●岸田海・町田亮4-6、7-5、9-11中村進之介・福田真大(ともに慶大)

○小堀良太・三好健太6-1、7-6(4)西脇一樹・池添克哉 (ともに明大)

●村松勇紀・古田伊蕗6-7(7)、7-5、4-10神田留尉・熱田友幸(ともに東洋学園大)

○岩崎歩・小倉孝介6-3、6-2井上智文・本玉圭(ともに慶大)

○河野優平・坂井勇仁6-3、3-6、10-8橋本大貴・恒末拓未(ともに亜大)

○齋藤聖真・高村佑樹6-4、6-2戸松昌伸・岩崎太一(ともに日体大)

○小林雅哉・島袋将6-1、7-5鈴木純・高畠寛(ともに立大)

シングルス2回戦

○古賀大貴6-2、3-6、7-6(3)堀切啓貴(日大)

シングルス3回戦

●巽寛人5-7、2-6西脇(明大)

●岩崎1-6、2-6逸崎凱人(慶大)

○河野5-7、7-6(4)、6-3小倉

○齋藤6-0、6-4森山颯太

●古賀1-6、2-6諱五貴(明大)

●高村3-6、5-7太田悠介(法大)

○島袋6-2、6-4三好

▽女子

シングルス2回戦

○金井綾香6-1、6-1梶川真利亜(駒大)

○細沼千紗6-3、6-1向井マリア(慶大)

○上唯希7-6(2)、6-1中村礼(慶大)

○大矢希6-1、4-6、6-2古川真実(駒大)

○辻紘子6-2、6-4並木友花(筑波大)

○大河真由6-4、6-3鈴木葵(専大)

●森川菜花6-7(4)、2-6岩井真優(筑波大)

シングルス3回戦

○金井6-0、4-6、6-4江代純菜(慶大)

○細沼6-3、6-4大矢

○上6-2、3-6、6-1齊藤佳帆(明大)

○辻紘6-2、6-3岩井(筑波大)

○大河6-2、6-1村瀬早香(慶大)

コメント

岸田海副将(社4=東京・早実)

――今大会にはどのような気持ちで臨まれましたか

この夏関(関東学生選手権)が自分にとって最後の学生大会ということで、ダブルスだけの出場ではありましたが、勝ち負け以上に自分の持ってるものをすべて出して楽しもうと考えていました。

――町田亮選手(スポ2=福岡・柳川)とペアを組まれて試合に出場されるのはこれが初ということですが、実際にペアを組まれてみていかがでしたか

町田はサーブがすごく良くて、ストロークも安定していて、素直なやつなので自分としてはすごかやりやすかったですね。今回夏関で組んでしっかり予選を勝ち上がって、本戦に来ることができました。あしたも試合をやりたかったんですけど、きょうは自分が引っ張りきれなかったのが町田には申し訳なかったかなと思います。

――試合内容を振り返って

ファーストセットはこちらのサーブから始まったのですが、40-0から取られてしまって、そこが最後まで響いたのかなと思います。そこからブレークされて相手を勢いづかせてしまって、0-3までいってしまったので。そういうところが甘かったかなと思うのですが、セカンドはうまく自分たちのプレーに持っていくことができたので、二人ともファイトしてできたのは良かったかなと思います。ファイナルスーパータイブレークに関してはマッチポイントがあっただけにすごく悔しかったですね。9-8からの、町田のリターンミス、自分のリターンミス、イージーミスで終わってしまったので、終わり方を見てもすごく悔しいなと。全体的には自分のプレーが出し切れたのかなと思うので、悔いが残っていないと言えば嘘になるかもしれないのですが、できることはできたかなと思います。

――これが最後の学生大会ということですが、4年間のご自身の個人戦での戦いぶりを振り返っていかがでしたか

自分の思っていた結果が出せなかったというのが正直なところで。インカレ(全日本学生選手権)や関東大会で上位にいきたいという気持ちで入部したのですが、インカレはシングルスで思うような結果が出せず、ダブルスはインカレインドアでベスト8にも入れて、それなりの結果は出せたかなと感じています。シングルスで結果を出せなかったというのは、今でも悔しいというかもっとやれたのかなとは思うのですが。いろんな経験ができて、強い選手とも対戦できましたし、4年間しっかりとテニス部で練習を積み重ねることができたのかなと思います。

――王座(全日本大学対抗王座決定試合)に向けては副将としてどのような意気込みで臨まれますか

自分はもう個人戦はないので、これからはチームのためにということで、行動していきたいなと思っています。リーグはギリギリだったので、王座では関西の大学も強いですし、明大と当たることもあるかもしれないので、油断はできません。ここからの1ヶ月、1日1日を大切にして自分がやれることをやっていきたいなと思っています。

村松勇紀(社4=青森山田)

――きょうはどのような気持ちで試合に臨まれましたか

引退したくない一心で、個人戦は生き残ろうと思ってやっていました。

――古田伊蕗選手(スポ2=静岡・浜松市立)とペアを組まれるのは初ということですが、実際に戦ってみていかがでしたか

正直、あまりコンビネーションは合っていなかったかなと(笑)。古田はシングルスでリーグに出ていますし、何とか良いプレーをしようと頑張りました。僕は今回が最後だったのですが、古田は先もあるので、ダブルスで少しでも経験を積んでほしいなと思っていました。

――ファースト、セカンドセットを振り返って

去年も夏関(関東学生選手権)も6-7、6-7で負けていて、ことしもファーストセット6-7で落としていて。チャンスが来ていたところもあったので、取り切りたかったのですが、きょねんはそこからメンタル的に崩れてしまったところもあったので、ことしはそこからも頑張ってやっていこうという感じで臨めていました。セカンドセットは少しずつ良いプレーも出てきて、リードもできていたので、何とか7-5で取れたかなという感じです。

――スーパータイブレークでは相手に押される場面もありました

最近スーパータイブレークでは勝てていなくて。あまり良いイメージを持ってできていなかったのかなと思います。二人でファイナルまで行くしかないと話していたのですが、あともう少しでしたね。

――秩父はクレーコートですが、やりにくさなどはありましたか

僕的にはクレーコートは好きなので、シングルスもやっていて楽しいです。まあでも結果がいまひとつ…という感じで。ちょっと調子が良くなってきたところで負けることが多くて、コート自体は好きなんですけどね。

――今大会を振り返って

インカレ(全日本学生選手権)が全国大会としては最後で。王座(全日本大学対抗王座決定試合)があるということもあって、夏関に出させていただきました。最後の試合でもあったので、一つでも多くの試合をしたいというのが正直なところでした。あまり勝ち星を挙げれず、悔しいですが王座もあるのでここからまたしっかりやっていきたいなと思います。

――夏関が最後の個人戦ということですが、4年間のご自身の戦いぶりを振り返ってみていかがですか

高校3年生の最後の大会が1回戦負けだったので、それに比べたらまずまずかなと思います。インカレでベスト8に行けたので良かったかなと思いますね。

――王座への思いをお聞かせください

4年間で最後の年の、自分たちの代の王座なので。テニス人生の中で一番大事な大会だと思っているので、そこで一番良い瞬間を迎えられたらなと思います。

小倉孝介(スポ3=神奈川・湘南工大付)

――今大会にはどのような目標を持って臨まれましたか

リーグ(関東大学リーグ)に出られなかった分、みんなが調整している中自分は優勝に向けてやってきたというのはあって。(シングルスは)負けてしまったのですが、同士打ちでよく知っている相手だったので、それは負けることもあるので仕方がないかなと思います。

――きょうの河野優平選手(スポ3=福岡・柳川)とのシングルスを振り返っていかがでしたか

練習試合でもことしの新進(関東学生新進選手権)でも勝ったり負けたり、いい関係で切磋琢磨(せっさたくま)しているライバルで、やはり負けたくない相手で。そのどちらにもつれるか分からないところで、あちらの方が経験というか戦略的にも上手で、そういう点で負けてしまったのかと思います。

――ドロップショットが効いていた場面も多くありました

そうですね。練習はしてきたので、特にクレーコートは効いてくるかなと思って多用していったのですが、それが逆に大事な場面であだになってしまったかなと。少し打ち過ぎたのもあるし、使い過ぎたというのもあると思います。

――先ほどおっしゃっていた、河野選手が戦略的に上回っていた部分とはどのあたりになりますか

ボレーに出てくる選手だったのですが、大事な場面で逆にボレーには出ずにこちらを誘ってわざと打たせてくるようなボールが多くて。それに自分も誘われてしまって、我慢ができなかったかなというところですね。

――ダブルスについてお聞きします。岩崎歩選手(スポ3=神奈川・湘南工大付)とは何度か組んだことがありますか

高校が一緒だったので、何度か違う試合でも組んでいて。初めてではなかったです。

――お二人の強みは

お互いにサーブがいいので、サーブからのポイントがいいかたちで取れるのかなと。その分リターンゲームでも気持ち的に楽な部分があって、それが強みだと思います。

――きょうのダブルスの試合を振り返っていかがでしたか

相手もなかなか強くて、何度も負けたことがある選手だったのですが、シングルスで負けてしまった分ここで負けるわけにはいかなくて、何としてでも二人で勝ちにいこうという気持ちを持って。技術的には負けているところはないと思ったので、自信を持ってやっていきました。

――あす以降に向けて意気込みをお聞かせください

シングルスは負けてしまったのですが、残りのダブルスは優勝するチャンスもあると思うので、二人で話し合って、勝利をもぎ取っていきたいなと思います。

坂井勇仁(スポ2=大阪・清風)

――今大会にはどのような目標を持って臨まれましたか

シングルスはベスト8、4、上位に食い込みたかったのですが、初戦の相手もそんなに弱くはなくて。(関東大学リーグの)早慶戦でも巽さん(寛人、スポ4=福岡・柳川)といい試合をしていた畠山(成冴、慶大)でした。ファーストセットはタイブレークでアンラッキーなポイントもあったのですが、そうなる前にもっと自分からいかないといけない部分があったので、シングルスはもう切り替えて、王座(全日本大学対抗王座決定試合)で使ってもらえるようにしっかり練習して、またもう一度テニスをつくり直していきたいなと思います。ダブルスは初戦(の相手は)リーグのときも僕と小堀さん(良太主将、スポ4=東京・大成)が負けた相手に勝ったりしていた力のあるペアでした。河野さん(優平、スポ3=福岡・柳川)とは初めてのペアだったのですが、最後は次につなげることができたので、もっといいペアになれるようにコミュニケーションをしっかりとって、結果的に優勝を目指してやっていきたいと思います。

――河野選手とはダブルスの練習はできていましたか

あまりしてないのですが、何度も対戦はしてるいので。試合数をこなすうちにどんどんかみ合えばいいんじゃないかなと思います。

――お二人のダブルスの強みは

サービスゲームをリズムよく取って、リターンゲームで相手にプレッシャーをかけやすいペアなのではないかなと僕は思っています。きょうもファーストセットはリズムよく僕のサービスゲームも河野さんのサービスゲームも取れたのですが、リターンゲームでもう少しプレッシャーをかけたかったなというのはあります。

――そこは今後への課題ということですね

そうですね。リターンミスがきょう二人とも多かったので、もっとコートの中に強く、相手に決められてもいいので、こちらのミスで終わらないポイントを増やしていきたいと思います。

――あす以降に向けて意気込みをお聞かせください

本当にもうダブルスしか残っていないので。河野さんはシングルスがあるので(ダブルスは)午後からになると思うのですが、一戦一戦集中力を切らさずにしっかり準備していきたいなと思います。