今回登場するのは、河野優平（スポ３=福岡・柳川）と三好健太（スポ３=埼玉・秀明英光）の３年生コンビだ。 ダブルスで存在感を見せている河野とシングルスで春関（関東学生トーナメント）ベスト８入りを果たすなど活躍を見せている三好。上級生となり迎えるインカレ（全日本学生選手権）への思いとは――。
※この取材は７月３１日に行われたものです。
上級生として
ストロークが持ち味の三好
――ここまでのシーズンを振り返って
河野 このチームは関大に対抗戦で負けるというところからスタートしました。（取られた）５本のうちの１本が僕のダブルスで、単純に考えるとそこで勝っていれば逆の立場になっていたな、と。負けていけないということを改めて実感して、絶対に負けないダブルスになろうと思いました。それ以降の対抗戦や紅白戦では負けていないですし、その面においては強くなって、結果だけ見るとチーム状況的にも良くなっているのかなと感じています。
三好 河野が言ったように、新体制になって初めての対抗戦で関大に４－５で負けたのですが、僕が早大に入ってから、リーグ（関東大学リーグ）や王座（全日本大学対抗王座決定試合）、その他の対抗戦で負けたことがありませんでした。負けた瞬間の悔しさがすごくあって、それから練習もそうですが、チーム力を上げていかなければいけないという話も出て、危機感を持ってやってきました。自分自身、トレーニングをやっていくことで、テニスにもつなげる自信にしていこうということを意識していました。上級生になったので、自分だけでなく、チーム全体にも教えていかなきゃいけないという気持ちもあって。リーグや王座で優勝するためにも、個々じゃなくて全体でできるように上級生として引っ張っていけたらいいなと思っています。
――３年生に上がり、意識の面で変化があったということでしょうか
三好 そうですね。下級生から上級生に上がることで雑用も減って、自分の時間も増えました。１年生の時は練習も雑用もきつかったのですが、それをやりきってきたからこそ試合の時も苦しい競った場面で、他大とその差が出るのではないかと感じています。
河野 個人的には上級生らしいことは全然できていなくて。三好のほうがチームに貢献しようという意思が強いなと感じています。それについていかないといけないなというのはあるのですが、僕自身あまり危機感を覚えることがなくて、周りの人たちの行動に目を行き届かせる感じでもないので。ですが上級生になったら自然とそういう気配りをしていかなければいけないのかなと少しずつ感じる場面もあります。高校の時も最上級生というのは経験しましたが、後輩の行動には興味ないという感じで。１年間チームをまとめる役目でもなく、役職に就くわけでもなくやってきました。そこから年齢も上がりましたし、社会に出ていくうえでも、自分でも全体を見ていくことが課題かなと思っていて。学年でそれをしてくれているのが三好で、そこについていけたらなと思っています。
――昨年のチームと比べて変化はありましたか
河野 周りに気を遣うことが減ったかなと思います。 下級生も馬鹿にしてきますし、４年生にもどんどん絡みに行きますし。学年のカベが少しなくなったかなと思っています。そういったメリットが出てくると、やはりデメリットも出てくるので。各学年での役割がはっきりしない、チームをまとめきれない、テニス以外の面での隙が出てくる。そこが今の課題であり、リーグや王まで残り期間は少ないですが、上級生である僕らからどんどん発信していく必要があるなと思います。
三好 生活面では河野が言ったことで、テニスの面では去年まで今井さん（慎太郎、平２８スポ卒＝現東通産業）栗林さん（平２８スポ卒）がいましたが、ことしはいないという点かなと。僕らの学年では毎回出ているのが僕と河野だけで、僕的にはこの学年から一人でも多く試合に出てチームに貢献できたらいいなと思っていて、河野だったらダブルスは絶対にとってほしいというのがあって、僕だったらシングルスの下の方で出ているので、絶対一本取りに行くという気持ちでやっています。絶対的なエースがいない中で自分たち一人一人がチームのことを考えて、勝ちにこだわるということを意識してやってほしいなと思います。
――チームにおけるご自身の役割とは
河野 団体戦の面では絶対ダブルスで一本取ってくるということで、そこに関しては去年と変わっていません。僕個人としては、まだ慣れていない１年生とかにどんどんコミュニケーションを取っていって、少しでもサポートできればいいなと思っています。寮には１年生が一人しかいなくて、２年生が優しくしているので、最近は友達感覚になっているのかなと思います。その中でもできる限り支えていけたらいいなと考えています。
三好 僕は今、役職とか何もないので、気づいたことがあれば伝えていければいいかなと。団体戦ではシングルス４、５、６で出ていて、一本取ってくるという役割ですが、ことしはもうちょっと上の方で出て強い人を倒したいという思いがありました。それはまだかなっていないので、インカレで結果を残して上の方で戦えるといいなと思います。
――個人戦での振り返りをお願いします
河野 ダブルスは２位でしたが、正直シングルスでももう少し勝ちたかったな、と。春関では優勝が上杉（海斗、慶大）だったのですが、僕らの学年にも強い人が二人いるので、ついていけたらいいなと思っています。ダブルスは決勝戦で良くない試合をしてしまって２位だったので、できればインカレ（全日本学生選手権）で同じペアと対戦して、優勝したいです。
三好 春関ベスト８ではありましたが、最低でもベスト４に入りたかったという思いがありました。優勝を狙っていただけにベスト８という結果は悔しかったのですが、ずっと強いと言われている上杉と対戦できるという楽しさはあって。実際対戦してみて実力差を感じましたし、このままじゃダメだなというのをすごく感じました。ある程度のレベルでは勝ててはいても、上の方では通用しないな、と。自分のテニスを変えていかなくちゃいけないと思い、今取り組んでいるところです。すごくいい状態でできているので、インカレでどれだけできるのか、楽しみな部分もあります。インカレは優勝を狙っていきたいと思います。ダブルスもベスト８が目標なので、ペアと頑張っていきたいです。
――具体的にはどのようにプレースタイルを変えられたのでしょうか
三好 中学、高校の時は自分から攻めてテニスでしたが、ワセダに入って、勝たなくてはいけないポジションになり、振り回しといったディフェンスのテニスが多くなっていました。ディフェンスの中でも攻撃的なテニスで勝ちにいけるように、という感じです。
――河野選手は昨年今井選手と、ことしは松崎選手とペアを組まれていますが、ペアが変わったことによる変化はありましたか
河野 去年は引っ張られてやっていましたが、自分の実力は全然分からなくて。できれば自分が引っ張れる人と組みたいなと思っていましたが、松崎さんと組むことになりました。結構松崎さんには甘えさせてもらっていて、僕がリードするかたちにさせてもらって、ダブルスをしているなというのはありますね。少しずつ自信はついてきているのですが、まだ安定力がなく、波があります。誰にでも勝てるかといわれれば、そんなことはないと思います。もっとしっかり力をつけて、来年は必ず後輩と組むことになると思うので、引っ張っていきたいです。
「元気がある学年」（三好）
和やかな雰囲気での対談となった
――３年生のカラーというのは
河野 ４年生とは対照的かなとは思いますね。まともなミーティングをしたこともないですし、いつも部室で騒いでいるのは３年生なのかなと。人数が多い分、影響力も大きいと感じています。テニスの面でもパッとする人がいるというより、こまごまいるという感じで。二人だけよく試合に出させてもらっていますが、華のあるところで出ているわけでもないですし。どちらかというと支える側に回っている人が多いのかなという気がします。
三好 元気がある学年ですね。僕らが１年生の時も、先輩にどんどん絡んでいって、先輩にご飯に連れて行ってもらったりしていました。良い学年といえば良い学年なんですけど、やりすぎてしまうところもあって。上級生や社会人になっていくことを考えて、自分の行動にもっと責任を持たなければいけないという学年だと思います。僕と河野であったり、試合に出ているほかのメンバーであったり、もっとしっかりして同期に対してももっと言っていかなければいけないなと感じています。
――お互いのプレーの印象をお聞かせください
三好 河野とは高校の時に団体のシングルスで対戦したのですが、ダブルスがうまいというイメージが全くなくて。大学に入ったらいきなり春関で栗林さんと組んで春関ベスト４に入っていて、見ている中でダブルスがうまいなと感じました。見習う部分があって真似しようとしてもやはり難しい部分もありますが、少しでもダブルスでついていけるように頑張りたいですね。
河野 ストロークだけって考えたら、多分ワセダで一番だと思います。腹筋を故障してから、思うようにテニスができていないのかな、と。そこからサービスも腹筋をかばいながらになって、サービスが弱点になっていたと思います。試合を見るたびに、もしそのサーブでサービスポイントを取れる選手だったらもっとすごいだろうなと感じます。全部リターンゲームスタッツみたいな感じなので。
三好 高校の時にケガをしてしまって、ずっとサーブの練習ができなくて、ここ１、２年すごく悩んでいました。最近少しサーブが良くなって、サーブで崩せるようになりました。それがインカレでできるかは分からないですが、試すことができるのですごく楽しみですね。
――テニス以外でのお互いの印象はいかがですか
河野 寮も一緒ですし、関わる時間も多いですね。高校での話を聞いていて、すごくやんちゃなのかなと思っていました。正直大学に入るときは、不良系なのかなと思っていましたが、全然そんなことはなくて。とにかく優しいという印象が強いですね。多分誰に聞いても優しいっていうんじゃないですかね。それ以外何もないです（笑）。
三好 河野は雑学をよく知っていますね。あとは、頼んだことに対して嫌がらずに取り組みます。
――雑学というのは
三好 とりあえず何でも知ってます（笑）。
河野 高校が高校だったので、しゃべることしかなかったというか。いろんな人の情報を…（笑）。
――最近何かハマっていることはありますか
河野 特技って言われたらルービックキューブって答えることにしているのですが、最近ハマっているわけではないです。ハマっていると言われれば、ポケモンＧＯをすることってなりますかね（笑）。レベル１１しかないですけど。下級生中心にやっていて、４年生はあまり参加してこないですね。
三好 ハマっていることはあまりないんですが、最近時計を買ってもらって、いろいろネットで調べたりしています。ちょっと高いのを買ってもらったので、普段つけれるくらいの安いのがほしいなと思います。
河野 テニスウェアにつけてますけどね。
一同 （笑）
「良いプレーをして、恩返しをしたい」（河野）
闘志あふれるプレーが印象的な河野
――インカレが近づいてきましたが今の心境はいかがですか
河野 ランキングも更新されて、一回戦勝てばこの人と当たるのではないかと、ある程度予測がついてきました。この人と対戦してみたいというのもありますが、とりあえず去年の戦績を超えたいというのが一番ですね。一番しなきゃいけないのは体調管理で、風邪をひかないのはもちろんですが、体も軽くモチベーションの高い状態でインカレに臨めたらいいなと思っています。
三好 春関は単複で思ったような成績を残せなかったのですが、今は状態も良くなってきていてインカレに合わせてきています。インカレへ向けて気持ちを入れて、 残りの時間を無駄にしないようにやっていきたいと思います。相手が誰とか関係なく、はやく試合がしたいですね。
――これまでの２年間のインカレでの戦いを振り返って
河野 １年生の時にとても不甲斐ない試合をしてしまったのですが、暑い中でボールの遅いコートで、っていう岐阜の環境は結構好きですね。そういった取りこぼしだけはしたくないなと思っているので、１回戦集中でやっていきたいです。
三好 シングルスでベスト３２、ダブルスでベスト６４とかで全然ダメで。１年生の時は雑用も多くて自分のテニスに取り組む時間というのもあまりありませんでした。今は時間も増えましたし、良い状態できていると思います。１、２年生の頃は勝たなければいけないという感じでしたが、今は試合をやりたいという気持ちが強いです。１回戦、２回戦と誰が相手であろうと自分のテニスをしていきたいと思います。
――先ほどもお話にありましたように、岐阜の暑さやコートは独特だと思いますが
河野 去年は自分の中でも良い結果が出せましたが、一つ不安な点があって。ダブルスの時にサーブが遅くなってしまって、サービスキープがより難しくなります。去年そこで苦しめられたので、そこは工夫していく必要があるなと思います。
三好 岐阜のコートはほかのコートとちょっと違っていて、ボールが遅くて跳ねるので。フォアでしっかり打っていけるので、逆に今の自分のプレースタイルにはいいのかなと思います。岐阜は暑いので、僕の課題でもある集中力が切れてしまってイライラしてしまうことも多いです。今は練習でもイライラせず、自分のプレーに集中することだけを考えながらやっているので、それが試合で出せればいいかなと思います。
――勝ち進んでいくうえでポイントとなってくる点は
河野 一番は体調管理ですね。連戦になるので、フルセットの試合をしたら筋肉痛にもなりますし、いかに良い状態で臨めるかというところだと思います。あとはさっき三好が言ったように、暑くて集中力が切れやすいので、モチベーションを高めていく必要があるなと思います。
三好 疲れがたまってくる中で、試合期間のトレーニングが大事になってくると思います。毎日やっているトレーニングを怠らず、長い試合をやっても試合後のリカバリーもしっかりやっていきたいと思います。
――３年目のインカレとなりますが、どのような思いで臨まれますか
河野 毎年インカレは親が来てくれて、それがすごく楽しみです。良いプレーをして、恩返しをしたいなと思います。
三好 特に何も考えてないですけど、試合がしたいという気持ちだけです。
――インカレに向けて現在強化している点は
河野 僕はサービスの強化ですかね。自分のフォームがあまり良くないかなと感じていて、ちょっとフォームを変えてサービスの練習に取り組んでいるところです。
三好 試合が中盤になってくるときつくなってくるので、インカレまでトレーニングを一番大事にしてやっていきたいなと思います。やはりプレースタイルを変えることで 、攻撃的なテニスにはフットワークやパワーが必要になってきます。一球でも多く、自分の得意なショットを打てるように、トレーニングやフォアハンド、サーブの強化を重点的に取り組んでいきたいと思います。
――インカレで注目してほしいところはありますか
河野 同期の小倉くん（孝介、スポ３=神奈川・湘南工大付）がどれだけ台風の目になれるかというところに注目してほしいです。
三好 僕自身だったら、どれだけ攻撃的なプレーができているかというところに注目してほしいですね。河野が言ったように予選に同期が結構出ていて、ダブルスでも何人か出ています。僕もダブルスは予選からなので応援もそうですが、一緒に頑張っていきたいと思います。
――他大の選手の印象はいかがですか
河野 どの大学も１年生が強いなと。あの学年は高校の時からレベルが高くて、高校の時に成績を残せていなくても強い選手がたくさんいるので、怖いですね。シングルスは上位のシードがほとんど他大で、８シード以内にワセダの選手はいないと思います。そこでワセダがどれだけシードを破ってできるかというところで、三好や小林（雅哉、スポ１＝千葉・東京学館浦安）、島袋（将、スポ１＝三重・四日市工）あたりに期待しています。しっかり勝ってリーグにつなげて、流れを良くしてほしいなと思います。
三好 強い人はいっぱいいますが、上の方で当たったときには自分のほうが強いという気持ちで戦っていきたいなと思います。
――改めて、インカレでの目標や意気込みをお聞かせください
河野 ダブルス優勝とシングルスベスト８です。単純に去年より上の成績を目指しています。プレーにはこだわらず、がむしゃらにやっていきたいと思います。上位がいないのは寂しいので、チームに貢献できるように頑張ります。
三好 勝ち負けも大事ですが、インカレはあと２回しかないので、自分のテニスができたらいいなと思います。最高のパフォーマンスをしたら勝てると思うので、毎回毎回試合のスタートからそういうプレーをしていきたいと思います。とりあえず自分のテニスを貫くことを意識してやっていきます。ダブルスは予選からなので、みんなと同じ舞台に立てるようにやっていきたいなと思います。ダブルスはみんな僕よりうまいので、チャレンジャーの気持ちで思いっきりいければいいなと思います。
――ありがとうございました！
（取材・編集 佐藤亜利紗）
※インカレへの意気込みを書いていただきました！
◆河野優平（こうの・ゆうへい）（※写真右）
１９９５（平７）年７月１日生まれ。身長１７６センチ、体重６８キロ。福岡・柳川高出身。スポーツ科学部３年。今季の主な成績は関東学生トーナメント男子ダブルス２位。全日本学生ランキング男子シングルス２８位、男子ダブルス３位（２０１６年７月６日現在）。岐阜の暑さは気にならないと話していた河野選手。暑さを跳ねのける、気迫のこもった熱いプレーを展開してくれることでしょう！
◆三好健太（みよし・けんた）（※写真左）
１９９５（平７）年５月２４日生まれ。１７９センチ、６３キロ。埼玉・秀明英光高出身。スポーツ科学部３年。今季の主な成績は関東学生トーナメント男子シングルスベスト８。全日本学生ランキング男子シングルス１３位、男子ダブルス３４位（２０１６年７月６日現在）。攻めのプレースタイルへ転向中だという三好選手。どれだけ攻撃的なプレーができているかに注目してほしいとのことです！