連日白熱した戦いが繰り広げられている早稲田大学フューチャーズ国際トーナメント2015。本戦6日目のこの日はシングルス準決勝とダブルスの決勝が行われた。これまでも並み居るプロたちを退けてきたワセダのエース、今井慎太郎(スポ4=神奈川・湘南工大付)はシングルス準決勝に登場。相手の強烈なサーブにひるむことなくストレートで勝利を収め、見事決勝進出を決めた。一方、河野優平(スポ2=福岡・柳川)とのペアで最後のカベに挑んだダブルス決勝。試合はどちらに転ぶか分からない熱戦に。しかしスーパータイブレークを10-12で落としてしまい、今井・河野組は準優勝という結果に終わった。
快進撃を続ける今井
これを勝ち抜けばシングルス決勝進出となる、期待のかかる一戦。今井は台湾のChu-Huan YIと対戦した。力強いサーブを武器とするYIに対して、「リターンをしっかりやろうと意識していた」と語る今井。第1セットから確実な返球で相手のミスを誘い、4-0とリードする。しかし、YIもファーストサービスが入り始めると流れをつかむ。今井は、回転のかかったボールやコートを広く使う巧みな技術に苦戦する場面も。だが自らも精度の高いサーブでブレークを許さない。そのまま6-4でこのセットを取ると、大きくガッツポーズを見せた。第2セットも好調を維持。相手サーブの力をうまく利用しリターンエースも奪う。後半からは腰の痛みも抱えたYIが気持ちを切らし、6-1と大差をつけて今井がストレート勝ちを収めた。
惜しくも準優勝となった今井(手前)・河野組
「ずっと勝てると信じてやっていた」(今井)と語るように、勝利の行方は紙一重だった――。ついに迎えたダブルス決勝の晴れ舞台。今井・河野組が対するは、井藤祐一(ライフ・エヌ・ピー)・Chu-Huan YI組。まずは第1セット、このハイレベルな選手層と比べると経験の少ない河野が2度のサービスをキープできず。第1セットを3-6で落としてしまう。しかし、続く第2セットでは「思い切りいけた」と河野はファーストサービスを改善。一度もブレークを許すことなく6-3とし、勝負はスーパータイブレークに持ち越しとなる。10ポイントを先取したペアが勝ちとなるこの制度。まさに互いが死力を尽くした戦いとなった。両者譲らぬ展開となるが、先に7-9とマッチポイントを握ったのは井藤・YI組。だが今井・河野組も気迫のこもったサーブや粘り強いコンビワークで3連続でポイントを奪い、逆に10-9とする。勝利まで、あと1ポイント。しかし、井藤の鋭いサーブにミスを誘われ、最後はそのまま10-12。栄光まであと一歩届かず。あっけない幕切れに二人は悔しげな表情を浮かべた。
ダブルス優勝はかなわなかったものの、プロとの戦いで得た収穫は大きい。「サービスとリターンの強化が課題」(河野)とするように、これから始まる本格的なシーズンに向けよいステップアップとなっただろう。そしてあす、今井はシングルス決勝で仁木拓人(三菱電機)と対戦する。「自分の出せる力をすべて出し切って臨んでいきたい」。大会最終日、今井の全力のプレーに注目したい。
(記事 吉原もとこ、写真 山本葵)
※記事中の学年は新年度のものです
結果
▽シングルス
準決勝
○今井慎太郎(6-4、6-1)Chu-Huan YI(台湾)
▽ダブルス
決勝
○今井慎太郎・河野優平組(3-6、6-3、10-12)井藤祐一(ライフ・エヌ・ピー)・Chu-Huan YI(台湾)組
コメント
今井慎太郎(スポ4=神奈川・湘南工大付)
――ダブルスで準優勝された今のお気持ちは
ダブルス決勝まで勝ち上がってきた中、勝ち進んでいる他のメンバーをみても僕らのレベルであれば決勝まで来れるなと思っていました。決勝の相手もかなりレベルは高かったですが、僕はずっと勝てると信じてやっていて。案の定、勝ちか負けか最後までどちらに転ぶか分からない状況になって、あそこで取り切れなかったのは本当に悔しいですね。正直ファーストセットからもっとうまくやっていればとかいろいろ考えることはありますけど、まあそれは結果として受け止めて、課題もたくさん見つかったので次の試合に向けて頑張っていこうかなと思います。
――ファーストセットは相手に取られてしまいましたが、振りかえっていかがでしたか
河野(優平、スポ2=福岡・柳川)のサービスゲームをどうしても落としてしまうということになって。先にブレークはしましたが、確か2回落としてしまって、彼自身もサーブに課題を感じたのではないかと思います。河野のサーブが悪いというわけではないのですが、このレベルになってくるともっと精度を上げていかなければならないですし、僕自身もサーブに関してはこういうところでやっていくためにはもっと良くしていかなければならないと思います。ただ、やっぱりサーブだけが問題なのではなくて、リターンに対しての反応だとか、一発ガツンと打ってきたりだとか、そういった点が相手の方が上回っていました。特にYI選手は相手の前衛の動きを見てから打ってきたりというリターンのバリエーションをたくさん持っていて。ファーストセットはそこに対しての反応が足りなかったのかなと思います。
――セカンドセットはいかがでしたか
河野に「ファーストサーブを思いっきりいけ」というふうに僕から言ったら、しっかりいいサーブを打ってくれて。やればできるじゃん、と思いました 笑。リターンもワンブレークで取ることができて、相手に対抗できる力を持っているなというのを感じました。その分、最初から思い切ってやって行くべきだったというのを感じたセカンドセットでした。
――タイブレークの時の心境は
タイブレークだけで考えるならば、あの河野のリターンが一本通っていれば勝ちだったかもしれないですが、ああいった攻める気持ちでいくことは大事だったと思います。向こうもサービスがいい選手で、お互いサーブの精度が高かったので本当にどちらに転ぶか分からなくて。心境としてはいろいろありますけど、固くやるところは固く、攻めるところは攻めるということがあまりはっきり意識できてなかったのかなと思います。
――シングルスはストレート勝ちでした。振りかえっていかがですか
本当にサーブの精度が高い選手で、それは事前に分かっていたのでリターンをしっかりやろうと意識していました。それが良くて4-0までいって。相手の技術の高さに翻弄(ほんろう)されて、一つブレークバックされて4-3までいきましたが、その後はキープで取り切ることができて良かったです。セカンドセットは途中から相手の気持ちが切れたのかなと思いますけど、そこで油断せずに最後までやり切ることができたのでこういう結果につながったのかな思います。
――あすのシングルス決勝は先週の亜細亜大学国際トーナメント2015でも対戦した仁木選手が相手です。どのように戦っていきたいですか
先週はこちらがリードしていたのにひっくり返されてしまって。本当に最初から最後まで気持ちを切らさずに戦っていかなければ勝てない相手なので、早稲田フューチャーズ(三菱電機・早稲田大学フューチャーズ国際トーナメント2015)最後の一戦ということで自分の出せる力をすべて出し切って臨んでいきたいと思います。
河野優平(スポ2=福岡・柳川)
――ダブルス準で優勝された今のお気持ちは
チャンスがある試合だったので、やっぱり勝ちたかったという思いがいまは一番強いです。
――きょうの試合をセットごとに振りかえっていかがでしたか
自分は4人の中で1人サービスが劣っていて。ファーストセットはとにかくファーストサーブを入れなきゃという気持ちだけで押し切っていたのですが、簡単に攻め込まれてしまいました。セカンドセットはそこを反省して思いっきりいけたのでキープはできましたが、スーパータイブレークの最後のポイントなどもサーブ力の差で取られてしまったという感じです。
――対戦相手のお二人にはどのような印象を抱きましたか
お互いにサービスがすごく良くて、さらにボレーのツーアップに入るのが速かったです。いつもはこちらが先にツーアップしてるんですけど先を越されてしまって、自分のかたちに持っていくことができなかったです。
――今大会を通じて得られた課題や収穫はありますか
やっぱりサービスです。サービスとリターンがダブルスでは重要なので、そこの強化が課題です。収穫の方は、いまはちょっと思い浮かばないです。
――春関(関東学生トーナメント)への意気込みをお願いします
もちろんダブルスは他大学には絶対に負けない、そして優勝するというのが目標です。シングルスの方もこの一年間は結果が出せていませんでしたが、ことしはシングルスもしっかりできるんだぞというのを証明したいと思います。