本戦4日目を迎えた全日本学生選手権(インカレ)。この日行われたシングルス4回戦には5名の選手が、ダブルス3回戦には3ペアが出場。シングルスは出場した全員が勝ち進み、ダブルスでは2ペアが準々決勝に進出した。
第4シードの小野からポイントを奪い叫ぶ岡村
長く、つらい試合を耐えた。岡村一成(スポ3=岡山操山)の対戦相手は明大エースの小野陽平。岡村は約2週間前に行われた関東学生選手権でも小野と対戦。そのときは2―6、2―6と見せ場をつくることができないまま、あっけなく敗戦を迎えた。今試合でも第1セットは3―6、第2セットでも早々にブレークを許し、5ゲームを終えた時点で1―4。このまま前回と同様、ストレート負けを喫するかと思われた。しかし、今回の岡村は違った。相手の弱点を攻める作戦で、劣勢の状態から4ゲームを連取し逆転。相手の粘りによってタイブレークにもつれ込むも、果敢に攻めセットを奪取した。最終セットに入っても岡村の勢いは止まらない。得意のフォアハンドで攻め続け、相手のミスを誘う。迎えたマッチポイント、相手のボールがサイドアウトになった瞬間、岡村は小さくガッツポーズ。苦しみながらも目の前の試合に必死で挑み、インカレで初のベスト8を手に入れた。
続けて中島啓(スポ4=佐賀・龍谷)とともに挑んだダブルスでは、古田陸人(スポ3=愛知・名古屋)・今井慎太郎(スポ2=神奈川・湘南工大付)組との同士討ち。練習試合では何度も対戦しており、その度接戦を繰り広げてきた両者。第1セット、中島・岡村組は堅実なプレーで相手に付け入る隙を与えない。その半面、中島と岡村も相手の強力なサーブに苦戦し、ブレークの糸口がつかめない。決定打がないままタイブレークを迎えるも、相手の猛攻を防げず、このセットを落としてしまう。続く第2セットでは、不本意な形でブレークを許すと、そのまま相手のペースに飲み込まれ、2―6で敗退となった。岡村はインカレダブルス初出場でベスト16。「今出せる力を出し尽くしての結果なので、後悔はしていません」と、この結果を受け止めた。
ワセダ対決に惜しくも敗れた中島・岡村(左)組
本戦5日目のシングルス準々決勝では岡村と今井がワセダ対決に臨む。また、大城光(スポ3=埼玉・秀明英光)は慶大エースの志賀正人と対戦、インカレ初のベスト4を目指す。後半戦を迎えた今大会。果たして何人の選手が上位に食い込むか。
(記事 渡辺早貴、写真 高橋千秋)
結果
▽男子シングルス4回戦
○遠藤豪6-1、6-0塚越雄人(法大)
○田川6-1、6-3森田直樹(関大)
○大城6-4、7-5近藤大基(慶大)
○岡村3-6、7-6(5)、6-3小野(明大)
○今井6-2、6-0小村拓也(法大)
▽男子ダブルス3回戦
○田川・遠藤豪組6-2、6-1浦上武大・増尾玲央楠組(ともに同大)
○古田・今井組7-6(3)、6-2中島・岡村組
コメント
中島啓(スポ4=佐賀・龍谷)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
相手のサービスゲームがすごくよくて、自分たちのリターンが中々うまくいかなかったので、特に(自分たちが)悪いというわけではなかったんですけど、自分たちのペースにつながらなかったのが敗因かなと思います。
――第1セットはお互いにキープしてタイブレークまでいきました
とりあえず自分たちのサービスゲームはキープして、先にこっちがブレークしてセットを取ろうという考えだったんですけど、すごく(相手の)サーブが良かったので、タイブレークに持ち込まれて先にポイントを取られてしまって、タイブレークでもうまくいかなかったなというのがあります。
――古田・今井組と対戦して改めて感じたことは何かありますか
二人とも大きいので、正直いるだけでプレッシャーになるので、僕たちからするとすごくやりにくいです。特に僕がパワーがある方ではないので、あの二人を崩そうとするともっと一発の威力が僕には必要かなと思います。
――最後のインカレとなりましたが、今大会全体を振り返っていかがでしたか
シングルスは予選からで、本戦にも上がることができて自分の力を振り絞るだけだったんで、もうちょっと上に行きたかったんですけど…。残念です。
――最後にあと1週間後に控えた関東大学リーグ(リーグ)に向けた意気込みをお願いします
やっぱり僕はおそらくダブルス、出られてもダブルスだと思うので、自分のできることだったり、この試合でかなり課題も出てきたので、帰ってすぐ練習して、リーグでいつ出てもいいように準備していきたいと思います。
大城光(スポ3=埼玉・秀明英光)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
最初からブレーク先にしてっていうかたちの中で、ブレークバックされる展開が多くて、中々波に乗り切れないところがあったんですけど、最終的に大事なところでしっかり取れたので、悪くはなかったかなという感じです。
――いまお話しされたように終始競った展開となりましたが、その中でとりきれた要因は何かありますか
中々取れなかったことに関しては、へこむ部分があったんですけど、それは自分が緊張しているのも分かっていたので、「仕方ないかな」といい意味で楽観的に捉えることができて、次のポイント、次のポイントと先を考えることができたので、そこが一番良かったかなと思います。
――相手の近藤大基選手(慶大)は対戦してみてどういった印象を持ちましたか
同期なので昔から知っているんですけど、学生大会として(対戦するの)は初めてだったので、やっぱり大基もケイオーで相当練習してきているので、僕の中では少し怖さもあるという感じでした。
――3回戦では松崎勇太郎選手(スポ1=神奈川・湘南工大付)との対戦でしたが振り返っていかがでしたか
この会場に入ったときから、松崎(勇)もすごい集中しているというのが見受けられて、僕に対して向かってくる感じが試合前から伝わってきていました。なので僕も正直負けられないなというのがあったので、しっかり立ち向かっていこうという感じでした。
――きょうの勝利で2年連続のベスト8進出を決めました
去年も決してベスト8で満足していた訳ではないし、だからことしはもちろんここで終わるわけにはいかないので、去年以上の成績、最低限の目標としてはそこなので。そこをしっかりあした、またケイオーの選手なんですけど、しっかりと自分のプレーをして、ベスト4、それ以上という風に上がっていけたらと思います。
――準々決勝は志賀正人選手(慶大)との対戦となりますが、対策等はありますか
この1年で2回くらいは対戦していて、どっちも負けているんですけど、その中で自分がこれができれば(勝てていた)というのも結構あったので、そういったところを意識していきたいです。
岡村一成(スポ3=岡山操山)
――今の心境を
きょうの結果は、いま出せる力を出しつくしての結果なので、ダブルスに関しては後悔もしていませんし、また来年もあるので練習していきたいと思います。
――シングルスの相手の小野選手には夏関でストレート負けを喫していましたが、改めて対戦した印象は
すごくしぶとくて勝負強い選手で。今回は第2セットでたまたまツーブレークダウンして追いつけて、そこからチャンスがうまれて勝てたんですけど、本当に辛抱のいる戦いでした。
――序盤は劣勢でしたが
色々と作戦を考えて頑張って戦っていたつもりだったんですけど、相手もやっぱりしぶとくて、正直まだ実力が(相手に)及んでいないなと思いました。その後から戦い方を変えていきました。球が低い位置でのラリーだと相手の方が下半身が強いので分が悪かったんですけど、高いところでの打ち合いだと僕の方が強いと思ったので、まずスピンで相手のバックの高いところに球をやって、球を浮かしてそこから僕は躊躇せずにフォアハンドで打ち込んでいきました。
――フォアハンドでウィナーを取る反面、ミスも多くありましたが
フォアハンドで攻めていく上でミスが出るのは仕方のないことなんですけど、ミスの仕方が…。序盤は打つべきところではないのに打ってしまったりして。もっと流れをつくってから打ちたかったんですけど、焦ってしまってのミスだったのであまり良いミスではなかったですね。
――第3セットになってからファーストサーブの入りが良くなりましたが
集中力を上げたということもありますし、無理にフラットサーブに対応するんじゃなくて、相手のバックの高いところにスピンサーブをファーストサーブから入れていって。それがどんどん確率があがって良かったと思います。
――インカレのシングルスでは初めてベスト8になりましたが
一試合一試合でいっぱいいっぱいなので…。目の前の試合を頑張って出た結果だと思います。
――ダブルスは古田選手と今井選手のペアとの対戦でしたが
サービスが強くて前衛も堅いので、なかなかブレークするのが苦しくて。こちらの状態は悪くなかったんですけど…。強かったです。
――第1セットは競った展開が続きましたが、そこを落としてしまった原因は
ブレークのチャンスがなかなか来なくて。タイブレークになると向こうの方がサーブが良くて、そうなると自分たちのできるリターンと、僕ならラリー戦で中島さんならボレーのアタックとかが、うまく出し切れずにミスが出てしまって差が開いてしまいました。
――第2セットは相手に押されるかたちになってしまいましたが
不本意に先にブレークされてしまったので…。正直第2セットもタイブレークまでいけるとは思っていたんですけど、その後に引いてしまいました。
――ダブルスのベスト16という結果についてはどのように考えていますか
ダブルスはインカレ出場が初めてだったので、全然満足してはいないですけどいまやれることをやりきれたので、これから課題については頑張って生きたいと思います。
――シングルスの準々決勝では今井選手との対戦になりますが、最後に次の試合に向けての意気込みを
本当に強い選手で、持っている力以上のものを出さないと勝てないと思うので、気持ちだけは負けずに全力でチャレンジャー精神でぶつかりたいと思います。