田川が敗北も、9連覇に王手

庭球男子

 全日本大学対抗王座決定試合(王座)。準決勝は前回大会と同じく関大との対戦となった。シングルスで田川翔太(教4=神奈川・湘南工大付)が敗北するも、残りの試合はすべてストレート勝ちを収め、8―1で関大を倒し決勝へと駒を進めた。

初の王座で堂々とした戦いを見せた岡村

 ダブルスはどのペアも快勝し、3-0とする。その後に組まれた円陣で多くの部員がある選手へのエールを送っていた。「行くぞ、岡村!」――。シングルス5で初の王座出場を果たした岡村一成(スポ3=岡山操山)。岡村は9月に行われた関東大学リーグ(リーグ戦)では4試合に出場し、成績は2勝2敗。何とかこの負けを払拭(ふっしょく)したいと思っていた。円陣での掛け声を聞いたとき、岡村は「しっかり勝ちたいという思いになった」という。チームメイトからの応援を力にして試合に挑んだ。緊張しながら迎えた第1セット、序盤から声を出し、1ゲーム内で相手に2ポイント以上与えない勢いのあるプレーで相手を圧倒。得意のフォアハンドも磨きがかかり、ウィナーも決まる。6―0で第1セットを終えた後も岡村は止まらない。第2セットでも変わらぬ勢いでポイントを重ねていく。終盤でわずかなミスが出て2ゲームを取られたものの、相手に圧倒的な差を見せつけうれしい勝ち星をあげた。

プレッシャーに負け肩を落とす田川

 一方、シングルス1の田川は苦しんでいた。前回大会の準決勝でも関大の選手に敗れた田川。試合前からその敗戦が頭をよぎっていた。それでも「ネガティブな部分は忘れて、前向いていた」(田川)という。しかしプレッシャーは大きく、向かってくる相手に消極的になってしまいミスを連発。第1セットで2―6と、相手の流れにのまれてしまう。第2セットでは4―1とリードするも、攻めきれず5―5に。その後第12ゲームでブレークし、7―5で第2セットを取り最終セットへ。最終セットでは親友でありライバルでもある遠藤豪主将(スポ4=三重・四日市工)がベンチコーチに入り、「意地を出して、最後まで頑張れ」と声をかけた。遠藤豪主将、そしてコートの外で試合を見守る仲間の声援を受け田川は必死に試合に臨むも、第9ゲームで相手にブレークを許しそのまま4―6で敗北。喜びを爆発させる相手に対し、田川は悔しさで顔をゆがめた。去年は決勝でも負けてしまった田川。しかし、ことしはもう負けられない。「(相手を)ぶっつぶす勢いで頑張る」(田川)と決意を固めた。

 決勝は2年ぶりにライバル慶大との一戦となった。慶大は準決勝で同大に苦戦していたとはいえ油断はできない。「泣いても笑っても最後あと1試合なので、全員で勝ちに行けるように全力で頑張りたい」(遠藤豪主将)――。このチームのすべてを決勝でぶつけてほしい。王座を手に入れるまであと一歩だ。

(記事 渡辺早貴、写真 井上雄太)

結果

○早大8-1関大

D1○田川・遠藤豪主将組6-2、6-4池川浩史・細川和希

D2○今井・古田組6-0、6-2新屋良介・中村侑平

D3○大城・小堀組6-3、6-0森田直樹・三輪大介

S1●田川2-6、7-5、4-6森田

S2○遠藤豪主将6-3、6-4中村

S3○今井6-1、6-1池川

S4○大城6-1、6-1染谷和隆

S5○岡村6-0、6-2新屋

S6○古田6-2、6-1槇勇輔

コメント

遠藤豪主将(スポ4=三重・四日市工)

――ご自身の試合を振り返っていかがでしたか

ダブルスは、田川といいプレーができて、しっかり勝ち切ることができたのでよかったです。シングルスに関しては、相手が1年生で関西の大会とかでも優勝していて、強い選手というのは分かっていたんですけれども、相手の第1セットの出だしがすごく良くて、僕が少しひいてしまった部分もありました。でも最後はチームのために、しつこくやるだけだと自分も思っていたので、それが最後までやり切れて、しっかり勝ち切れたのが、よかったかなと思います。

――岡村選手は王座初出場でしたが

相手も弱い選手ではなかったので、それにしっかり勝ち切れたことは、岡村自身にも自信になったのかなと思います。あした、出るかどうかはまだ分からないですが、出ることになったら、春の早慶戦(早慶対抗試合)で岡村は負けてしまっているので、リベンジというかたちでしっかり、きょうみたいなテニスをやってくれればと思います。

――田川選手の試合を振り返っていかがでしたか

ワセダに対して、他の大学がむかってくるというのは当然で、きょうの田川の相手にしてもすごくいいプレーをしていて、調子がいいなと思いました。田川は去年も(王座準決勝で)負けていて、本人も絶対負けたくないとは言っていたので、そういう気持ちがあったのに、最後は負けてしまったというのは残念ですけれど、まだ後あした1試合残っているので、意地を見せてほしいなと思います。

――田川選手のベンチコーチに途中から入られましたが

特に何か話したわけではないのですが、土橋さん(登志久監督、平元教卒=福岡・柳川)から言われたことを、チームのためにエースとしてシングルス1に出ているので、意地を出して、最後まで頑張れとは伝えました。あとは、あいつ自身がしっかり頑張れるように、アドバイスをしたっていう感じですね。

――決勝に向け、チームの状態はいかがですか

チームの状態は悪くはないので、今まで1年間このチームでやってきたことを最後に出すだけだと思います。良くても悪くてもチームが勝てるように、選手もそうですけど、サポートも全員が全力を出して、頑張ってもらえれば、負けるチームではないと思うので、あした最後全力を出し切るだけだと思います。

――決勝への意気込みをお願いします

泣いても笑っても最後あと1試合なので、全員で勝ちに行けるように全力で頑張りたいです。

田川翔太(教4=神奈川・湘南工大付)

――ご自身のシングルスを振り返って、どんな試合になりましたか

また勝てなかったっていう思いでいっぱいです。去年もここに負けて…。あぁまたか、と。

――第1セットを落としたときの心境はどんなものでしたか

んーまぁ去年のことはよぎったんですけど、それは正直試合前からあって。でもそういうネガティブな部分は忘れて、前向いていたので…。皆の応援のお陰でファイトできてはいたんですけど。

――敗因は何だと思いますか

消極的でした。押されていましたし、自分から攻められなかった。そこだと思います。

――相手のやりづらかったところはありますか

。エースとかとられていましたし、やりづらいところとかは無かったですね。

――途中で遠藤(豪)主将がベンチコーチに入られましたが、何を話されたんですか

監督からの伝言と、意地でも勝てっていうことですね。でもあの時はあんまり頭に入ってきませんでした、正直。

――決勝戦への意気込みをお願いします

本当に学生としてするテニスは最後なので、ぶっつぶす勢いで頑張ります。

岡村一成(スポ3=岡山操山)

――きょうの試合の感想は

最初は緊張があったんですけど、全力でやるしかないと思って最初から声を出してできて。最終的にそれが結果につながったので良かったです。

――初めての王座出場でしたがどのような心境で試合に臨みましたか

初の王座というよりもリーグ戦の延長戦というか、(リーグ戦での敗戦の分を)何とか取り返したい、この大会でいままでの負けを払拭したいと思っていたので、気合を入れていきました。

――それは「これ以上負けられない」という思いだったのでしょうか

負けられないというよりは乗り越えたいという気持ちでした。あとは(準決勝、決勝とこのチームでの試合が)残り2試合という中で何とか結果を残したいという気持ちでした。

――プレッシャーはありましたか

監督から「フォアハンドが良いんだから打てるときは打って、決まりきらなかったらしっかりつなげて」というアドバイスをいただいて。それだけを心がけて試合に臨めたので、緊張はしたんですけどプレー自体は硬くならずに思いっきりできました。

――ダブルス終了後に組まれた円陣で、多くの部員の方から「行くぞ、岡村!」といった言葉をかけられていましたが

それほどたくさんの人に心配してもらっているというか、心配をかけていたというか…。すごく嬉しいという気持ちもあり、迷惑をかけているんだなという気持ちもあり、しっかり勝ちたいという思いになりました。

――差をつけて勝つことができましたがその理由は

自信を持って自分の良いフォアハンドを打ちきれたことと、打ってはいけないところでしっかりつなげることができて、しっかりメリハリをつけられたのでそれが大きかったと思います。

――サーブ、フォアハンドの調子が良さそうに見えましたが

サーブはここのところずっと調子が悪かったんですけどきょうは良くて。それのお陰でリズムを掴むことができました。フォアハンドも打てると思ったら思いっきり打つことができたのでそれが良かったと思います。

――きょうの試合で今まで調子が悪かったサーブがよく決まっていた理由は

サーブが悪くてもとしてでも勝つという思いだったので、サーブのことを意識せずにリラックスしていけたからだと思います。

――最後に決勝に向けての意気込みを

このチームでやる最後の試合でもありますし、個人的には早慶戦での負けもあるので、それこそ倍返しじゃないですけどやり返すという気持ちで頑張りたいと思います。