第197回早慶対抗庭球試合 6月16日 慶應義塾大学日吉キャンパス蝮谷テニスコート
前日ダブルスを2-1で勝ち越した早大男子だが二日目はシングルスでの対決となった。早慶戦優勝に向けてまずコートに立ったのは、森田皐介(スポ2=福岡・柳川)・鈴木蒼平(人4=大分・舞鶴)・游川大和(スポ1=岡山・関西)の3選手だ。
華々しい早慶戦デビューを飾ったのは游川だ。1年生ながら冷静な判断力を存分に発揮。長いラリーから生まれる相手のミスショットを逃さず、着実に点を積み重ねていった。スマッシュを決め、歓声に応えるガッツポーズを幾度となく披露するなど、自他ともに認める鮮烈なお披露目となった。一方で森田は苦しい試合展開となる。ストレートのレシーブをクロスに返され体勢を崩されると、その球をまた逆サイドに運ばれる。ライン上にエースショットを綺麗に決められることが多く、中々リードを奪うことができなかった。不意を突くショットを連続で決めるなど、その技術力を見せつける場面もあったが、思い通りにプレーされてしまい、その実力差以上に点差が開いてしまった印象だ。主将の鈴木も初戦を逆転負けしたことに端を発し、自分のペースに持ち込めず敗北。慶大と3-3となり、シングルス前半戦を終えてイーブンになった。
得点を決め両手を高く上げる遊川
早大男子の命運を託される形となったシングルス後半戦では、山口柚希(スポ4=鹿児島・鳳凰)・木原啓太(教4=東京・早実)・栗山晃太朗(社3=兵庫・相生学院)が登場した。
栗山は序盤は厳しいジャッジに泣いたが、しっかりと切り替えて勝利を収めた。ライン際に次々とストロークやサーブを決めるも立て続けにアウトと判定される。主審に抗議するも認められず、納得がいかないようだ。しかし、そんな栗山を周囲の歓声が後押しする。終盤はサービスエースを次々と決め、手が付けられない状態に。観客の期待に応え、早大に大きな一勝をもたらした。だがこれ以降、早大は厳しい戦いを強いられることになる。木原は初戦のタイブレークを10-12の接戦の末落としてしまう。すると2セット目も1-6で取られてしまい、相手を勢いづかせてしまった。ネット際の攻防で競り勝つことができない場面が散見され、第3セットも4-6で敗戦。早慶戦の勝敗は4年のエース山口に委ねられる展開となった。
山口は、昨日のダブルスで激戦の末競り勝った慶大の主将下村との対決となった。両者手加減なしの激しいストロークのラリーが序盤から繰り広げられる。一進一退の攻防を繰り返し、1セット目からタイブレークにもつれ込む。厳しいコースに打たれても拾う根性を見せるが、ここにきてアウトを連発してしまう。惜しくもタイブレークを落としてしまい、それを引きずってか第2セットもミスが目立つ。相手の強烈なサーブにも対処することができず、敢え無くセットを落としてしまう。休憩後、気持ちを切り替えることに成功した様子の山口はサービスエースを決め返し、会場を沸かせる。他の試合も終わり、駆け付けた部員たちが見守る中粘りを見せたが、勢いづいた慶大のエースを封じ込むことが出来ず無念の敗退となった。この試合によって、第197回早慶戦は4-5で早大の敗北が決定した。
相手のサービスモーションを前に、構える山口
早大は目標としていた早慶杯奪還を達成することが出来ず、悔しい結果となった。ダブルスでは慶大に勝ち越したが、シングルスは改善の余地が残る。次に早大全体で目指すのは王座優勝だ。この早慶戦での敗北を経て、フィジカル・メンタル共に成長した選手たちの姿をまたコート上で見られることを期待したい。
(取材・執筆・編集 大日結貴・中村由愛、写真 大日結貴 ) ※掲載が遅れてしまい、申し訳ありません
結果
●早大4-5慶大
●S1山口柚希0-3(6(5)-7、1-6、4-6)下村亮太朗
●S2木原啓汰0-3(6(10)-7、1-6、4-6)高木翼
〇S3栗山晃太郎3-0(6-3、7-6(4)、6-3)眞田将吾
●S4森田皐介0-3(2-6、3-6、0-6)菅谷優作
●S5鈴木蒼平0-3(4-6、3-6、4-6)脇坂留衣
〇S6遊川大和3-0(6-2、6-0、6-0)安藤凱
コメント
鈴木蒼平(人4=大分・舞鶴)
――今日シングルスの試合を振り返って感想をお願いします
もともと僕は早慶戦に出られるような実力はなく、1年生から3年生の間はずっとサポートの立場にいました。4年生になって、春関(関東学生テニストーナメント)などの大会で結果を出すことが出来るようになり、早慶戦のシングルス5に出してもらいました。実力的に拮抗している相手との対戦だったのですが、キャプテンとして結果を出すことができずとても悔しいです。全体の結果が4-5で、僕が勝っていれば5-4でスコアが逆だったと思うので、勝てなくて申し訳ないです
――早慶戦を戦い抜いたチーム全体を振り返っての感想をお願いします
チャンスが来たときやポイントを取りたい場面でいかに勇気をだせるかというところに慶應と早稲田にはすごい差があったと思います。慶應はチャンスが来たら勇気をもって自分を信じて攻めて、しっかりポイントを取っていました。早稲田はチャンスが来たときに勇気を持てずに、相手に期待してしまったり、緊張してミスが出てしまったりしていました。そういうところに勝てなかった要因があると思います
――チームの一体感がすごくあって、良い雰囲気が感じられたのですが、主将として意識したところはありますか
僕の一個前の代で王座の連覇が途切れてしまい、僕の代になった時、最初は今みたいにチームが一つにまとまっていませんでした。個人個人がそれぞれで頑張っていて、チームのまとまりはなくバラバラでした。その中で、僕が声をかけ続け、また練習では先頭で一番頑張っている姿勢を見せてきました。周りのサポートの力もあり、その結果みんながついてきてくれました。結果で恩返しできずに本当に申し訳ない気持ちなのですが、またリーグ戦でリベンジします
――早慶戦一日目に山口柚希選手が鈴木選手のために戦うとおしゃっていたのですが、逆に鈴木選手から山口選手へのメッセージはありますか
僕と山口は福岡県出身で、10歳くらいから知っている仲でした。高校は違ったんですけど大学でまた一緒になって、主将、副将という関係になりました。僕一人では主将も絶対に務まっていなかったと思うので、山口には本当に感謝しています。今日、シングルス1というすごいプレッシャーがかかる中で頑張ってくれて、ありがとうと伝えたいです
――今後の意気込みをお願いします
個人戦ではインカレ(全日本学生テニス選手権)があので、そこでまずしっかり結果を残したいです。リーグ戦では、また王座優勝という位置に早稲田を戻したいなと思います