東日本リーグ戦最終日、ワセダは社会人チーム・三建との試合に挑んだ。A1リーグ残留のためには決して負けることは許されない戦いだったが、「大差をつけて勝つべき相手」(武田望、スポ3=富山県立北部)に苦戦。試合は終始互いに点を奪い合う、せめぎ合いとなる。一時は逆転を許したが、ワセダは最後まで諦めなかった。最終ピリオド残り8秒、エース戸張真寿主将(スポ3=埼玉・秀明英光)がシュートを決め、15-15と引き分け。土壇場で踏み止まり、残留を決めた。
試合は序盤から手に汗握る展開となった。第1ピリオド、先制点を奪われたワセダは、岩井雄太郎(文構1=東京・城北)のパスから深川幹徳(スポ1=福岡工)がシュートを決めすぐに追いつくも、なかなかリズムをつかむことができない。点を取った直後にミドルシュートを許してしまうなど、3-3と勝ち越すことはできなかった。続く第2ピリオドでは若手が躍動。深川のパスから岩井が技ありのループシュートを決める。さらに終了間際には深田隼輔(スポ2=鳥取中央育英)が得点を挙げ、7-6とリードを1点奪い前半戦を終えた。
攻守でチームに貢献した武田
第3ピリオドに入っても互いに譲らない状況が続く。速攻で点を奪われると、相手にペースを持っていかれ、ミドルシュートで逆転を許してしまう。だが、武田が好アシストを見せチームの雰囲気を立て直し、再びワセダが逆転。試合はそのままこう着状態が続き、1点差のまま最終ピリオドを迎えることとなった。
いよいよ明暗が分かれる最終ピリオド。序盤、退水のチャンスを生かしワセダが先に得点を挙げると、ペナルティシュートのチャンスを戸張が着実に決める。これで勢いに乗ると思いきや、退水のピンチから一気にペースを崩され、試合時間残り18秒で相手にリードを奪われてしまう。残りワンプレーで試合が決まる場面、ワセダはタイムアウトを要求。「最後はエースがシュートして終わろう」(武田)の確認通り、残り8秒でエース戸張がゴール左サイドからシュートを決める。「最後の最後まで諦めないで戦う姿」(戸張)を示すプレーで会場を沸かした。15-15と引き分け、A1リーグ残留が決まった。
戸張主将は重要な局面でシュートを決めてみせた
「1点必要だったので、せめて引き分けで」(深川)とあるように、最後まで諦めない強いチーム力で残留を決めたワセダ。接戦を落とさずに次へとつなげられたことはチームにとって非常に大きいだろう。次の戦いは中嶋孝行監督(平13年教卒=福岡工)が「一つのヤマ」と語る、関東学生リーグ戦(リーグ戦)。今大会で見えてきたチームとしての課題、個人としての課題を踏まえ、リーグ戦でさらにパワーアップした姿を見せてほしい。
※重大なファウルを犯した選手は、20秒間ディフェンスに参加できない。
(記事 河野美樹、写真 森健悟)
結果
早大 15-15 三建
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コメント
中嶋孝行監督(平13年教卒=福岡工)
――きょうの試合を振り返ってください
競り始めて攻防がある程度続いたときに、うちは慌てたプレーが増えるなという雰囲気はあります。シュートを早撃ちしてしまう場面もありましたし、シュートを撃つなと言っている訳ではなく、流れの中でそこで撃ったらやられるだろう、というのがあって。うちはカウンターのチームで、ある程度カウンターは出ているのですが、そこで状況を見てカバーに入っていなかったり。5試合を戦いましたが、そこの上手さというのはないなと思います。
――試合にはどのようなゲームプランで臨みましたか
基本的には守りでプレスをかけてカウンターを出して、無理に攻めない。向こうは点を取れる選手が何人かいるので、そこをきっちりケアしていこうというオーソドックスなものでした。そこができていないということで、やはりまだゲーム巧者ではないなと。
――今大会を通じてディフェンスを課題に挙げられています。これからどのような点を修正していきますか
ボールゲームで相手がいることなので、ただ自分が泳いでボールを投げるだけでは勝てない。それが球技だと思っているので、個人がゲームの状況を判断できるようにして欲しいと思います。そこの判断は、ただ練習すれば身に付くものではないので、詰めていって欲しいと思いますね。
――大会全体を振り返って、結果としては入れ替え戦に回り残留。1勝3敗1分で終えましたが、この結果については
単純な比較でいうと、昨年より順位が悪いというのは力が落ちているということだと思います。これからシーズンを過ごす中で、私は毎年関東学生リーグ戦(リーグ戦)が一つのヤマだと思っていて、リーグ戦の順位はほぼ日本学生選手権の順位と近いものがあるんです。そこまでにある程度チームを作れるかというのは大きいですね。
――リーグ戦に向けて一言お願いします
リーグ戦は各チームが新入生も入った新しいチームで出てきます。一度負け癖がつくと治りにくいものがあるので、今大会で悪い癖をつけないように。負けても仕方ないや、と思わないように。しっかり勝って、常勝チームにしたいと思います。
戸張真寿主将(スポ3=埼玉・秀明英光)
――きょうは接戦となりましたが、振り返ってみていかがでしたか
毎週毎週同じような課題が見つかって、やっぱりディフェンスが全然改善できていないので、点をいっぱい取られてしまいます。関東学生リーグ戦(リーグ戦)に向けてしっかりとしたディフェンスができるチームにしていかなくてはいけないなと改めて感じました。
――途中なかなか点を取ることができなかった場面は何か気持ちの切り替えなどありましたか
点が決まらなくなってくるとみんな焦ってシュートを撃って攻撃にばかり意識が向いてしまうのですが、クォーター間でもしっかりディフェンスから守って攻めるんだという意識は絶対に無くさないようにはしていました。
――第3、4ピリオドでペナルティスローを決められましたね
絶対外せない状況だったので。何というか、決めないといけなかったので当たり前という感じですね。
――そして、試合残り8秒で同点シュートを決められましたね
あれはそれこそ負けるっていう風にみんな思っていたと思うのですが、最後の最後まで諦めないで戦う姿、戦えばこういう風に点も決められる、ノータイムでも得点が入るということが証明できたというか、諦めないことは大切なんだなという風にみんな感じてくれたらいいかなと思います。
――その前のタイムアウトではどのようなお話をされましたか
「俺決めるわ」という感じの話をしました。
――東日本リーグ戦を振り返っていただいて
昨年より2つ順位を下げてしまったのでなんとか上位のリーグに残留できて最低ラインかなという。本当に沢山課題が見つかりましたし、センターバックの瀧川(峻也、スポ2=京都・鳥羽)が不在だった時もあったのでこれまで出られなかった選手も出たり、個人個人も課題が見つかって良かったかなとは思います。
――最後に2ヶ月後のリーグ戦に向けてお願いします
とりあえずいつもは日体大倒して優勝ということしか考えてなかったのですが、ことしは日大、筑波大の選手も結構力があるので、一戦一戦確実に勝てるようなチーム作りでやっていきたいと思います。
武田望(スポ3=富山県立北部)
――きょうの試合を振り返ってみて
社会人チームなのでパワーを相手のほうがあるんですけど、スピードと体力で上回れなかったのが課題かな、と思いました。
――競った試合となりましたが
もっと大差をつけて勝つべき相手なので、これじゃいけないですね。
――自身の出来は
自分自身はミスもそんなになかったんですけど、もっと回りに冷静にアドバイスできたらよかったと思います。
――OBである醍醐選手(三建)とのマッチアップもありました
やりづらかったですね。やっぱりうまいですね、先輩は(笑)。
――最後のタイムアウト時はどのような作戦でしたか
最後はエースがシュートして終わろう、と決めてました。
――東日本リーグ戦全体を振り返って
課題がいつも以上に多いかなと思います。例年だともっと余裕で上位に入っていたので、これじゃ関東学生リーグ戦で負けてしまうと思いますね。
――関東学生リーグ戦に向けてどのような練習をしたいですか
4年間で一番厳しい練習をしようと思います。
深川幹徳(スポ1=福岡工)
――きょうは競った試合になりましたが、振り返っていかがですか
振り返ってみると5点差ぐらいで勝てる試合でした。失点が多く、15点取れる相手に同じ点数を取られたら勝てないので、その点をまた見つめ直していきたいと思います。
――引き分けという結果については
失点が多かったので、どういった失点が多かったかというのをビデオなどで見直して失点を減らしていきたいです。それが勝利につながると思います。
――ご自身の出来についてはいかがですか
まだ得点回数や退水を取ったりする回数が少なく、左サイドで求められるのはその2点だと思うので、退水と得点を取ってチームに貢献していきたいです。
――残り時間18秒で相手に1点リードされた場面では、残り時間どのように攻めていこうと考えましたか
スクリーンクロスという数的有利を作る作戦があるので、それを使ってキャプテンの戸張さん(真寿、スポ3=埼玉・秀明英光)とセンターフォワードの深田さん(隼輔、スポ2=鳥取中央育英)と絡んで得点につなげていくことをまず考えました。1点必要だったので、せめて引き分けで、という思いでやっていました。
――A1リーグ残留が決まりましたね
とりあえず安心ですね。でも上を目指しているので全然満足していないです。もう1回全部の試合を振り返って今からやれることをしっかりやって、シーズンインしていきたいです。
――今大会全体を振り返っていかがですか
全試合失点が多かったです。失点が多いということはそれ以上に得点を取らなければならないということなので、勝利がずっと遠のいていくような感覚で、「得点をとらなきゃ、失点をしないように」という悪循環になっていたので、失点を減らすことが上に上がるために必要なことだと思います。
――関東学生リーグ戦までの約2か月間、どのような調整をしていきますか
リーグ戦なので、負けないチームを作っていきたいです。負けないということは失点が減るということなので、失点を減らせば必然的に勝てる試合が多くなってくるので、失点の少ないチームを作りたいです。
――関東学生リーグ戦に向けての意気込みをお願いします
2年生になるので、後輩を引っ張って、チームに貢献するのが当たり前という選手になりたいです。