船水が地元で2連覇達成

軟式庭球

 全日本シングルスが青森県青森市で開催された。日本一のシングラーを決める今大会。早大からは男子部から8名、女子部からは2名出場した。予選である1日目は悪天候の中、試合が進められ選手にとってきつい状況となった。
 

 快晴となった2日目に駒を進めたのは船水颯人主将(スポ4=宮城・東北)、安藤優作(社4=岐阜・中京)、上松俊貴(スポ2=岡山理大付)、高倉和毅(社1=東京・早実)の4名。安藤と高倉は惜しくも4回戦で敗退となった。4回戦まで相手を圧倒し勝ち上がってきた上松は5回戦で船水雄太(平28スポ卒=現NTT西日本)と対峙する。何度か敗戦経験がある相手であったが、序盤は安定したストロークやツイストなどを駆使し3−1と突き放す。しかし、地元開催ということもあり一段と気合が入っている相手は、驚異のカバーリング力を見せ上松のミスを誘う。じわりとじわりと追いつかれ、勝敗の行方はファイナルに持ち込まれた。「最後の最後で疲れが出てしまった」と上松。ファイナルは終始相手のペースで進み、2−7で負けを喫した。「楽しくやれた」と大会を振り返るも、「マッチポイントとの取り方とか決め方をもっと極めればもっと勝ちあがれるなと感じた」(上松)と今後の課題をあげた。

粘りを見せた上松

 今大会一番の盛り上がりを見せたのが船水と船水(雄)の兄弟対決である準決勝。アジア競技大会の予選でも対戦し、その際は船水に軍配が上がり今大会でも注目の一戦となった。序盤から強気の船水(雄)に左右に走らされ強烈なスマッシュを決められる。ジュースを重ねるが勢いのあるプレーに押され1ゲーム目を取られてしまう。流れは船水(雄)に向いたと思われたが、そこで船水の迅速な対応力が発揮される。船水らしい攻めの姿勢を崩さない試合展開に持っていき、そこから4ゲームを立て続けにとり白星を収めた。「すぐにゲームを取り返せたのが勝因。もう1ゲーム取られていたらやっぱり流れは持って行かれて勝つことはできなかったと思う。皆さんの声援のおかげでやりやすかった。」(船水)と語るように観客の応援に背中を押されたようであった。昨年同様の長江光一(平22スポ卒=現NTT西日本)との決勝戦。相手に前後に揺さぶられるが、丁寧なリターンを重ねゲームカウント3−2。強風の影響か相手のミスが目立つ場面もあり、最後はバックアウトとなり、船水は全日本シングルス二連覇を決めた。

前に出て仕掛ける船水

 船水が地元青森で二連覇を達成。アジア競技大会で日本代表となった船水は日本一のシングラーにふさわしい試合展開で結果を残した。しかし本人は「本来であれば自分の理想に近いゲームをしたかったです。」(船水)と話し、まだまだ精度を高めていきたいと語った。主将として、選手としての船水に今後も期待だ。

地元で2連覇を果たした船水

 

無念の結果に

 全日本シングルス選手権1日目は季節外れの気温に加え、午後から雨が強くなる最悪ともいえるコンディションの中開催された。女子部からは上原由佳女子主将(社4=群馬・高崎健康福祉大高崎)と小山舞(スポ3=和歌山信愛)が出場。1回戦目をファイナルで勝ち切った上原は、2回戦目の坂本茉梨乃(アドマテックス)戦に臨んだ。相手に3ゲームを一気に取られてしまい、後がない4ゲーム目ではマッチを握られるたびに意地でジュースに戻し食らいつく。しかし、攻撃を凌ぐことに徹する他なく、反撃の狼煙を上げることはできずに2回戦敗退となった。小山は山田優菜(松阪興山)との3回戦でファイナルにもつれる接戦となるも、前後左右に揺さぶる相手の攻撃に最後は足が追いつかず、惜しくも敗戦。両者、2日目に駒を進めることは叶わなかった。

(記事・写真 山浦菜緒、栗林桜子)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

コメント

船水颯人(スポ4=宮城・東北)

――どのような意気込みでしたか

地元開催というので見に来てくれる人は絶対兄弟対決を楽しみにして来てくれてると思います。自分自身ももちろん優勝は狙ってたんですけど、目標は準決勝進出でした。結果的に勝つことができ決勝に進めたので、応援に来てくれた地元の人たちのためにも優勝しなきゃいけないと、いい意味でプレッシャーを自分にかけて気持ちを入れ直すことができました。

――全体を振り返っていかがですか

今回は足もボールも止まるコートだったのでボールも吹きやすかったので、結構ハードコートに近い戦い方になりました。でも終始ディフェンシブな戦い方になってしまい、準決勝までは受け身で戦ってしまいました。勝たなければいけないというプレッシャーがあったのですが準決勝からは吹っ切れて、兄との対戦という一つの目標をクリアしたので自分のやりたいようにやろうと思いましたね。決勝でも勝てたんですけど全然自分から攻めていけなかったですし、本当にそれは課題ですね。

――決勝戦を振り返って

おそらくサーフェイスのせいもあり決勝の長江さんは前に出てきて意欲的に仕掛けてきました。
攻撃的な長江さんに完全に崩れされてましたが、そのなかで、お互い前々になった時、運も味方し僕の方に良いところにボールが来たり、長江さんも風が強いのでスマッシュが難しいと思いボールを上げたりし、結果的には僕が勝つことができました。しかし、自分の中ではまだまだ全然できたかなと思います。

――長江さんは他の相手とは違うから揺さぶりをかけないといけないといつもはやらないことをやったらしいですが

今日も含め長江さんの試合は空いた時間ずっと見ていました。大きな相手として長江さんが勝ち上がってくると思っていて、去年は僕が一方的に攻める形で4−0で勝つことができたんですが、今年は同じはずはないじゃない、何かしてくるだろうと思ってました。それが前後の揺さぶりだったんですけど、風が強かったから打ちにくかったと思いますし、僕も打たれたら対応できたので、僕が決めたというよりは長江さんのミスもあった感じでした。地元の応援の力も大きかったです。

――準決勝の兄弟対決について お兄さんは策に溺れたとおっしゃってましたが

 長江さんと兄の試合はずっと見ていて本当にめちゃめちゃ攻めているなという印象でした。その中でどうしようかなと、1ゲーム目がとても長かったんでそれを落としてしまってすぐにゲームを取り返せたのが勝因かなと思います。あれでもう1ゲーム取られていたらやっぱり流れは持って行かれて勝つことはできなかったと思います、皆さんの声援のおかげでやりやすかったです。

――次の目標は

本来であれば自分の理想に近いゲームをしたかったです。これもいい経験ですしよりいっそう強くなってまたパワーアップして精度を高めてアジア競技大会に挑みたいです。

上松俊貴(スポ2=岡山理大付)

――直前まで関東学生春季リーグ戦(春リーグ)があり、連戦となりましたがこの大会に向けて調整してきたことはありますか

連続して大会があったのですが、全日本シングルス選手権に標準を合わせて調整していました。けど、どうしても春リーグでも頑張ってしまって連戦の疲れがありました。体は動いてたんですけど最後の最後で疲れが出てしまったなという感じです。今後の反省点として、もっとトレーニングをしてバテないようにしたいです。

――船水雄太(平28スポ卒=現NTT西日本)との戦いを振り返っていかがですか

今まで雄太さんに何回か負けていたのですが、今回は自分的に結構いいように崩してやれていました。けど、後半最後の締めがうまいことできなかったです。そこはちょっと勿体無いなと思いました。マッチポイントとの取り方とか決め方をもっと極めてやればもっと勝ちあがれるなと感じました。

――船水雄選手のどこにやり辛さを感じましたか

カバー力が高いのと、声もすごい出してくるので押されてしまいました。地元開催(船水雄太選手の)というのもあって雰囲気にもやられましたね。でも、僕も楽しくやれたのでそこは良かったかなと思います。