全日本大学対抗選手権(インカレ)での悔し涙から2カ月。関東学生秋季リーグ戦(秋リーグ)が開幕した。インカレで主力であった4年生たちが引退し、新チームで臨んだ秋リーグの結果は4位に終わったが、若い力が躍動し光が見える内容となった。
1日目は1戦目の慶大戦に勢いよく快勝し、ことしのインカレ女王・東女体大と対決。インカレを通して技術的にも精神的にも大きく成長した小山舞(スポ2=和歌山信愛)・上原由佳女子主将(社3=群馬・高崎健康福祉大高崎)組が1番に登場した。キャプテンとして、大将としてこれから1年チームを引っ張っていく上原が強気にポーチに飛び出し、先行する。しかしことしの東女体大インカレ優勝の立役者となった4年生の那須・高杉ペアの完成されたプレーに攻めあぐねてしまう。「勝たなくては」という思いの強さのあまり流れを持ち込むことができず、3-5で敗戦した。続くシングルスには花園優帆(スポ2=東京・国本女)が登場。引退した平久保安純(社4=和歌山信愛)、草野絵美菜(教4=群馬・高崎健康福祉大高崎)らワセダを代表するシングラーの後継になる重圧もあったというが、ツイストを織り交ぜながら思い切ったテニスを展開する。しかし一歩及ばずに敗戦。続く村上紗莉奈女子主務(社3=愛媛・済美)・長内夏海(社3=北海道・札幌龍谷)組も最後まで悪い流れを断ち切れず、0-3で黒星をつけた。続く明大戦には小山・上原組が勝利するも、後続が続かず1勝2敗で折り返した。
積極的に攻めた花園
迎えた2日目。1、2年生中心のオーダーに変更して立大戦に臨んだ。立大戦では小山・上原組が相手を圧倒しシングルスにつなぐ。花園は初のリーグ戦出場で疲労もあったというが、ラケットをしっかりと振り抜き、「ひたすら攻める」という自身のスタイルを存分に発揮し、勝利した。3番に登場したのは山本沙奈(社2=和歌山信愛)・渡邊有希乃(社1=愛媛・済美)組。序盤こそ緊張から来る固さが見られたが、「途中からは自分らしくいこうと振り切ることができた」と渡邊。自分らしい元気なプレーでファイナルにもつれた熱戦を見事に勝ちきった。最終戦の相手はインカレで優勝への道を阻まれた日体大だ。小山・上原組は入りから集中して2人らしい粘り強いプレーで得点を重ね、勝利。安堵の表情を浮かべた。続く花園は日体大の日本を代表するシングラー、尾上と激突。1ゲーム目は相手のミスにも助けられ優位に立つ。しかし2ゲーム以降はやはり相手の力量を見せつけられた。徹底したバックへの狙い打ちや、力強いシュートボールにも必死で食らいつくが、防戦一方になってしまい、0で振り切られた。勝負の行方を託されたのは山本・渡邊組だ。「最後足がもつれたりするなどフィジカルの面でも課題を感じました」(渡邊)、最後まで山本、渡邊ともに懸命に足を動かしたが力及ばず敗北。日体大に一矢報いることはできなかった。
得点を決め喜ぶ山本・渡邊組
4位という結果。昨年まで女王の看板を背負っていた早大には満足のいかない順位かもしれない。自分たちがまだまだ通用しないと思ったことも幾度もあっただろう。しかし決して選手たちは悲観してはいない。初めてのリーグ戦出場となる選手も多かった下級生主体のチームでありながら、4年生が選手として未だ出場している強豪校に対しても良いプレー、良い展開があったことは大きな収穫だ。確かに光は見えている。冬に鍛錬、そして経験を積み、成長を遂げ、春にはどのような姿を見せてくれるだろうか。大きな期待がかかる。
(記事・写真 吉澤奈生)
結果
4位
▽第1戦
〇早大 3-0 慶大
○小山・上原 5-2 荒木・秋本
〇花園優帆 4−0 大久保京香
〇村上・長内 5-1 中井・花岡
第2戦
●早大 0-3 東女体大
●小山・上原 3-5 那須・高杉
●花園優帆 2-4 小野夏海
●村上・長内 1-5 羽渕・菊池
第3戦
●早大 1-2 明大
○小山・上原 5-1 宮下・鈴木
●花園優帆 1-4 上田理央
●村上・長内 1-5 高橋・西永
第4戦
〇早大 3-0 立大
○小山・上原 5-0 中山・中田
〇花園優帆 4-1 吉原花海
○山本・渡邊 5-4 加藤・泉田
第5戦
●早大 1-2 日体大
○小山・上原 5-3 橋本・斉藤
●花園優帆 0-4 尾上胡桃
●山本・渡邊 1-5 笠井・桑名
コメント
▽1日目
村上紗莉奈女子主務(社3=愛媛・済美)
――今大会は新チームになって初めての大会でしたが、主務としてチームをどうまとめようとしましたか
1〜3年生を通して、しっかりやるときはやるけれど基本的にワイワイした感じのチームです。その中でも厳しい人がいないと先輩が作り上げた厳しさや伝統が崩れてしまうので、そこだけは注意してキャプテンと協力してやってきました。
――選手として初めてのリーグ戦ですが、選手としてプレーすることで意識したことはありますか
今回は三番に出場しました。3番は1−1で回ってくることもあるので、チームの勝ちに一番近いポジションだと思います。自分の勝利がチームの勝ちに直結するので、自分がどれだけ勝ちに貢献できるかというのを意識してやっていました。
――きょうの試合内容を振り返っていかがでしたか
1試合目の慶大戦は、試合の入りも良くて流れも止めないで最初から最後まで勝ち切ることができました。2試合目と3試合目は試合の入りが悪くて、そのままずるずる悪い方向にいってしまいました。どこかで勝ちに切り替えられるポイントがあったら良かったのかなと思います 。
――あすへの意気込みをお願いします
オーダーがまだ決まっていないので、出るかわからないのですが、もし出るんだったらしっかり勝ちをイメージしてチームの勝ちに貢献できるように頑張ります。もし出なかったとしたら主務としてチームを盛り上げてチームの勝ちに貢献できるようにしたいです。
小山舞(スポ2=和歌山信愛)
――新チームになって初めての大会でしたが、どのような意気込みで臨みましたか
1番手として勝っても負けても後ろにつなげられるような試合をしようと思っていました。勝たなきゃいけないというプレッシャーが少しだけあったのですが、そういう気持ちを忘れて自分のテニスをしようと考えていました。
――東女体大戦を振り返っていかがですか
敗因として、競った場面で相手後衛よりも先にミスしてしまったり、割り切って打てなかったことが挙げられます。勝たなくてはと思いすぎてしまいました。
――きょうの反省として今おっしゃったこと以外にありますか
悪い流れを打ち切るようなポイントが打てなかったことです。
――上原選手(由佳、群馬・高崎健康福祉大高崎)と話したことはありますか
いつも通りやろうとだけ話しました。
――あすの意気込みをお願いします
きょう負けたことを忘れて、チームとしてあしたも全員で勝ちに行けるように頑張ります。
▽2日目
上原由佳女子主将(社3=群馬・高崎健康福祉大高崎)
――秋リーグに向けてはどのような雰囲気で練習を行っていましたか
(4年生が引退し)戦力的に厳しくなることは元々想定内でした。思い通りにならないということは分かっていたことだったので、とにかく受けないような、攻めるテニスを自分たちからやっていこうということをみんなで目標にしていました。でももちろん厳しい戦いになるということは分かっていても、やはり目標はもちろん優勝でした。今いるメンバーで最大限できることをやるしかないですが、そこを前向きに捉えてできていたのではないかなと終わって思います。
――インカレのメンバーで臨んでくる強豪校との対戦前にチームになにか声をかけたりはしましたか
やはりどうしても今までの先輩たちの流れだったりから、「勝たなくちゃいけない」「きれいなテニスをしなくちゃいけない」と思ってしまい、置きに行ってしまったゲームもありました。そのような中でも「受けないよ」、「自分たちから攻めていくよ」とコート外から応援の声をかけることができたのではないかと思います。
――キャプテンになり、オーダーを決める立場になりました、どのように今回のオーダーは決定されましたか
一日目は慶大戦から始まりました。初戦はチームを勢いづけるために1番大切だと思いましたし、4年生がいなくなってからの練習試合などを見てその時のベストメンバーを3年生で話し合って選びました。けれどそれがあまり上手くいかずに1勝2敗で折り返しました。それで二日目は1年生と2年生を多く出したのですが、それは経験を積むためとも捉えられる一方で、コートに入ってしまえばやはり学年は関係ないので、このメンバーで行けば勝ちにつながると思ってやったことです。なので自分たちが最も勝ちに近づけるメンバーを出したつもりです。
――下級生の活躍をどのようにご覧になりましたか
二日目は自分以外全員下級生でした。それぞれ負けたり、通用しないと感じたこともあったかもしれませんが、可能性が見えたと思います。もちろん勝ちたかったけれど、まだまだ始まったばかりなので、そんな風に可能性が見えて良かったと思います。みんなよく頑張ってくれていたなと感じています。
――個人として東女体大戦での敗戦も含めリーグ戦振り返っていかがですか
一番に出るということは、基本的にはダブルスで1番強いペアとして、相手の大将と戦うということです。そこを潰してこそ自分たちに流れが持ってこれると思っていたので、全勝したかったのですがそこで勝ちきれなかったことが悔いが残ります。まだまだ自分の甘さが出てしまったと思いますね。その中でも小山(舞、スポ1=和歌山信愛)ももちろんしっかり頑張ってくれましたし、自分たちの良い形がつくれたゲームもあって試合の中でもやりたいことができた場面もありました。インカレで負けてしまったすぐ後の団体戦でこのように良い面もあったのは収穫だったと思います。
――キャプテンとして臨む初の団体戦でもありましたが、精神面では違いはありましたか
今までのキャプテンの姿を見てきて、キャプテンとも組ませてもらってきたりして、私は多分3年間1番近くでキャプテンの姿を見てきたかなと思ってはいたのですが・・・やはり大変なんだなと改めて感じました。オーダーを決めなきゃいけないし、自分のプレーもしなきゃいけないし、チームに流れももたらしたいし、応援を通してみんなに声をかけたいし、次の試合に備えなきゃいけないし・・・(笑)。大変ですけど、その分同期が手伝ってくれて、後輩も助けてくれました。今回を通してそこが自分の目指す姿なのかなと思えてきました。今までのキャプテンたちとは違うかもしれないけれど、支えられるキャプテンでもいいのかもしれないと思います。チームの理想像もあるし、自分のプレーの理想像もあります。そしたらキャプテンの自分としての理想像も必要かな、と。
――これからの個人戦のシーズンに向けて意気込みをお願いします
これから基本的にはインドアのシーズンになっていきます。インドアはインドアのプレーを徹底して突き詰めれば、外でのプレーに良い影響を与えてくれると思うので、外につながるプレーをしたいです。そしてワセダ、そのキャプテンという二つのものを背負っているので、今まで以上に勝ちにこだわっていきたいと思います。
花園優帆(スポ2=東京・国本女)
――今大会にシングルスで出場しましたが、終えてみて率直な感想をお願いします
ワセダとして団体戦に出るのも初めてでしたし、シングルスで団体戦に出るのも初めてでした。なので、しんどいなあというのが率直な感想です(笑)。2番という順番は責任も重いですし、ちょっと力不足だったかなと思います。体力的にも精神的にもしんどかったんですけど、応援がいたから戦うことができました。後ろを振り向いたらみんながたくさん声をかけてくれて、心強かったです。
――先輩たちからアドバイスなどをもらいましたか
この大会までに、シングラーである草野さん(絵美菜、教4=群馬・高崎健康福祉大高崎)や平久保(安純、社4=和歌山信愛)さんが相手をしてくれました。技術的な面や気持ちの面でもたくさんアドバイスをもらいました。本番の試合の時も、後ろを振り向いた時や、チェンジサイズの時にコースの話をしてくれたりしました。二人がいたから今大会を戦いきれたと思います。最後の試合入る前に、草野さんが「最後だから楽しんでいきな」と言ってくれて、その言葉が楽にしてくれました。
――最後の日体大戦での戦いを振り返っていかがですか
自分のプレースタイルは泥臭く攻めていくテニスなのですが、セオリー通りの綺麗なテニスをしてしまいました。1ゲーム目を取りましたけど、相手のミスで得点を重ねていて、自分で取れた得点はほとんどなかったです。攻める場面は何度もあったのに、置きにいくテニスをしてしまいました。
――これからも団体戦のシングルスで出場することが多くなると思いますが
団体戦だから大事にいかないとと思ってしまうのですが、やっぱりひたすら攻めるという自分のプレーをできないと勝てないと思います。どんな状況で回ってきても、自分のプレーで勝ち切るメンタルを春までにつけたいです。
――やはりプレッシャーがかかるのですね
2日目の初戦は後輩が初めての団体戦で、絶対に1−1では回せないなと思い勝つことができました。毎回自分が勝って2−0で回すんだと割り切れたらいいのですが、それをプレッシャーと捉えてしまいました。どんな状況でも自分にプラスの方向に捉えられるようにしたいです。
――団体戦シーズンが終わり、個人戦のシーズンになりますが、どんなことに取り組んでいきたいですか
今の期間、シングルスではパッシングの練習をしています。シングルスの練習ももちろんやっていきたいですけど、山本(沙奈、社2=和歌山信愛)と組んで出場する大会も控えているので、まずはその大会を楽しんでやりたいです。
渡邊有希乃(社1=愛媛・済美)
――初の団体戦出場ですが、どのような意気込みで臨みましたか
一番下なので先輩の胸を借りるつもりで臨みました。今回ペアを組んだ山本さん(沙奈、社2=和歌山信愛)も仲がいいので気兼ねなく思い切ってプレーできます。新入生らしい元気なプレーをしようと意識しました。
――最初登場した時は緊張しているように思いました
勝ってる状態で回ってきたのですが、初めての団体戦だし、3年生の方がいる中で1年生の私を出してくださったのでとても緊張していました。途中からは自分らしくいこうと振り切ることができたので、立大戦では勝ちきれたかなと思います。
――山本さんと話されたことはありますか
自分は考えるのが苦手で、感覚で動いてしまうのでその分は山本さんが考えて、攻め方を提案してくれました。「もっと思い切っていこう」と声もかけてくださったことも自分の中では大きかったです。
――立大戦ではファイナルで勝ちました
試合自体を楽しむことができました。だから集中力が途切れず勝てたと思います。
――今大会を終えて収穫や反省はありますか
ワセダとしては個人戦でしか戦ったことがなく、団体戦に初めて出ました。プレッシャーがかかる中、あれだけ動けたのは自信になりました。反省としては最後足がもつれたりするなどフィジカルの面でも課題を感じました。あとは勝ちたい気持ちが強くて、変に緊張してしまうというメンタルの弱さもあったので今後強化していきたいです。
――これからチームでどのような存在になっていきたいですか
ムードメーカになりたいです!自分の決めた一点でチームを盛り上げたいし、流れも引き寄せられる選手になりたいです。