台風により試合日程が順延し、ベスト64から決勝戦までを1日で行うこととなった男子ダブルス。早大からは8ペアが出場した。選手たちにとって体力面で厳しい状況となったが、その中でも長尾・松本組と内本・星野組はそれぞれ2位、3位に入賞。優勝こそ逃したものの、多くの選手が健闘しワセダの層の厚さを見せつけた。
団体戦で活躍したペアが次々と敗北していく中、レギュラーの中で準々決勝まで残ったのは内本・星野組だった。強敵である明大の中平・米澤組を5-2で撃破し準決勝へと進む。次の相手は同じく明大の本倉・丸山組。またしても最初に自身のミスもあり相手の好きなようにプレーさせてしまう。ポイントを許し続け1-4まで追い込まれる。もはや万事休すかと思われたが、「絶対に優勝したい」(星野)と、昨年度出場できず悔しい思いをした分簡単に諦めるわけにはいかなかった。星野は緩急つけたボレーや鋭いミドルへのスマッシュで相手を圧倒していく。内本も積極的にラインを攻めた。1セットでも取られれば負けが決まるという状況で、見事にファイナルまでつなぎきった。迎えた勝負のファイナルセット。一気に4ポイントを先取し、勝利は目前かのように思われた。しかし、相手も粘りを見せる。相手の後衛の左右に振るシュートボールに対応しきれずミスが出た。「勝ちを意識しすぎて攻めることができなかった」(内本)。畳み掛けるようにポイントを取られ、最後の最後で惜しくも決勝進出を逃し、思わぬ弱点が露呈した試合となった。
ボレーを決める星野
内本・星野組が惜敗した本倉・丸山組と決勝で対峙することになったのはワセダの2年生ペア長尾・松本組。準々決勝は明大の丸岡・金子組に対してゲームカウント1-3からの大逆転。準決勝の三好・高村組(関西外語大)戦では、シーソーゲームの大接戦を見事ファイナルゲームでものにした。大躍進の決勝戦。「決勝は割り切って行こう」(長尾)、「団体戦に出られなかった悔しさをぶつける」(松本)、自分たちのテニスを大舞台で披露したかった。しかし明大の大きく響く熱狂的な応援に包まれて始まると、その声援を背にコートを縦横無尽に駆ける丸山に次々と長尾の打球が捕まってしまう。あっという間に0-2。第3、第4ゲームでは松本がポーチに出てなんとかポイントに絡むものの、ゲームを奪取するには至らず。最終決戦独特の雰囲気も一因となり、自分たちのテニスがなかなか展開できぬままに0-5で完敗。ダブルスを2位で終えた。
得点を決めガッツポーズをする松本
王座にこそ届かなかったものの、レギュラー陣が次々と倒れて行く中で破竹の勢いを見せつかみ取った2位。「団体戦に出られないからといって、諦めずにくじけずに努力し続けてきた結果」(長尾)。ビッグネームの選手だけがワセダの強さを支えているのではない。チームを背負うことを本気で目指して切磋琢磨(せっさたくま)できる部員が多くいるからワセダは強いのだ。その層の厚さ、取り組みの質の高さが証明された個人戦となった。
(記事・写真 吉田安祐香、三佐川唯氏)
2位に輝いた長尾・松本組
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
長尾・松本組 2位
内本・星野組 3位
コメント
星野慎平(スポ3=奈良・高田商)
――お疲れさまでした。本日の意気込みとしてどのような思いがありましたか
同期の船水が優勝していた大会なので、僕も獲りたいと思って臨みました。絶対優勝したいなと思ってましたね。
――団体戦では悔しい試合もあったと思いますが気持ちの切り替えなどはいかがですか
団体は負けてしまったものはしょうがないので、切り替えて個人戦に入りました。切り替えはできていたと思います。
――準々決勝、中平・米澤戦を振り返って
0-2までは結構やられてしまう部分が多かったですが、そこからは自分の動きも良かったと思います。途中からもまだ頑張れば挽回できると思ったのであきらめずに自分らしくプレーしました。
――準決勝の本倉・丸山戦はいかがですか
1-4から挽回してそのままの流れで4-0まで行ったのでそのまま勝てるかなと思ったんですけど、そこからが少し受けてしまいました。1-4で負けてる時はもう攻めるしか道はないので割り切りましたが、4-0からは相手後衛を抑えることができませんでした。相手も自分のことを気にしててはくれていたんですけど、自分はもともと本倉選手との相性が悪いのでダメでしたね。
――3年生のインカレを総括して
去年は出ていなくて、今年出て難しさを感じました。1年生の頃も出ていたので雰囲気とかは分かっていたんですけど、やはりインカレで勝つことの難しさが分かりましたね。ことしが団体でも3勝3敗だったので、来年はもっといい戦績を残したいです。
内本隆文(スポ2=大阪・上宮)
――今の率直なお気持ちをお願いします
優勝を狙っていましたが、元から調子が悪かったので、仕方ないかなと思います。ベスト4に入ることができたのでよかったです。悔しいですけれど、シングルでもう一度頑張りたいです。
――準々決勝を振り返って
まずサーブの調子がよかったです。ボールが伸びてくるコートだったので、まずサーブで攻めて最初から仕掛けていきました。
――3ゲーム目から試合の雰囲気が変わったように感じました
星野さんが頑張ってくれていて、僕も頑張ろうという気持ちになることができました。本当に頼りになる先輩でよかったです。
――準決勝を振り返って
最初に結構離されてしまって、そこから追いついたのですが、最後にまたやられてしまいました。
――最初に相手に離されてしまった原因はご自身ではなんだとお考えですか
僕が相手の後衛に先に攻められてしまったからかなと思います。先にとられてしまったのが本当に痛かったです。
――粘ってファイナルまで進みましたが、勝ち切ることはできませんでした
そこは弱味ですね。あと2点で勝ちという場面でそれを意識しすぎて攻めることができなかったなと思います。そこをきちんと克服してこれからの試合に生かすことができるように頑張ります。
――あすのシングルスへの意気込みをお願いします
強い先輩たちはたくさんいますが、シングルスでも優勝は狙っているので勝っていけるように頑張ります。
松本倫旺(スポ2=熊本・済々黌)
――ダブルスにはどのような思いで臨まれましたか
団体戦に出られなかった悔しさをダブルスにぶつけようと思っていました。
――昨年のインカレは団体戦に出場されていましたね
団体戦は周りの応援があって自分の好きなようにできました。個人戦は自分との戦いという面があるのでプレッシャーを感じて少し固くなってしまったかなと思います。
――2位という結果についてはどう考えていますか
正直優勝はしたかったのですが、今までの自分からすればできすぎた結果かなと思います。
――準決勝を振り返って
個人戦で準決勝や決勝まで勝ち上がることが初めてだったので、プレッシャーでガチガチになっていました。思い通りのプレーはできませんでした。
――ファイナルまで進んで勝ち切ることができました
ファイナルに入るまでのゲームでマッチを2本しのぐことができました。そこで切り替えてファイナルに進むことができたのが大きかったと思います。
――決勝を振り返っていかがですか
各所で相手のボールをボレーするプレーもありましたが、それが続かずに結局相手にとられてしまうシーンが多かったので、そこがとても悔いが残りました。やっぱり相手の方が全然上だったということですかね…。
――ポーチに積極的に出られていました
相手の前衛がとてもうまいので、なるべく相手の前衛と長尾(景陽、社2=岡山理大付)が勝負しないように減らしてあげようと思ってやっていました。
――2年生として臨んだことしのインカレはいかがでしたか
団体戦も出たかったのですが、今出ているメンバーがベストメンバーだと思うのでそれは応援に集中していました。その出たい気持ちをダブルスにぶつけようと思っていましたが、それでこういう結果になれたことはとても嬉しく思います。
長尾景陽(社2=岡山理大付)
――お疲れさまでした。今のお気持ちを教えてください
そうですね、びっくりしています。決勝で負けて悔しくはあるんですけど、それでもまさかここまで勝てるとは思っていなかったので素直にうれしいです。
――準決勝はシーソーゲームを制しました
そうですね、ゲームカウント3-4の1-3まで追い詰められていたのでその時はやばいなと思いましたが決勝に行きたかったので絶対負けたくはありませんでした。相手も勝利を意識したのか、固くなってくれたのでそこから自分たちの流れにできたのが良かったと思います。
――決勝の本倉・丸山戦を振り返って
決勝は割り切っていこうと思っていたんですけど、相手にどんどん攻められて守りに徹してしまいました。先に自分たちから攻めて行けられなかったのが敗因だと思います。本倉が高校の後輩なので勝ちたかったんですけど(笑)、でも相手がガンガン攻めてきてそれを跳ね返そうとしたんですけど及ばなかったのでまだ自分の実力不足だと思いました。
――松本選手とのペアの感触はいかがですか
ことしから組み始めていて、最初は慣れなかったんで二人してぎこちない部分も多かったんですけど、だんだんと二人で試合を重ねて行くにつれてお互いの良さを分かってきてそれがうまくかみ合ってきたのかなと思っています。あとは、松本のディフェンスがすごく固いので、自分も相手と安心して駆け引きができます。そういう面では助かってます。本当に感謝しています。
――インカレで全国の強敵と渡り合った感想をお願いします
今まで一生懸命練習してきた結果が実ったかなあと思います。ワセダのチーム内に強い先輩や同期、後輩がいるけど、そこで団体戦に出られないからといってくじけずに先輩や同期、後輩についていこうと努力をしてきました。校内試合、練習試合を通して切磋琢磨(せっさたくま)する中で、外の試合でも強い選手と当たった時に名前で怯んだりはしなくなったので、ワセダで頑張ってきたことが通用してうれしいです。
――2年生のインカレが終了しました。来年はどういった3年生となりたいですか
インカレに出れる機会っていうのは他の大学よりも少ないんですけどそれにめげず意識を高く保って、かつ後輩にも頼ってもらえるような3年生になりたいです。
井山裕太郎(基理4=埼玉・松山)
――団体戦で優勝した時のお気持ちをお願いします
優勝したら泣けるかなと思っていたんですけど、団体戦6連覇というものがすごくプレッシャーだったのでそれよりもほっとした気持ちの方が大きくて涙も出なくて(笑)。とにかくほっとしました。やっと終わったみたいな感じです。
――実感はいつから湧いてきましたか
でもやっぱりOBさんたちが電話をくれたりメールしてくれたり喜んでくれたので本当に優勝したということは感じたんですけど、まだふわふわした気持ちはありますね。
――主務の1年間を振り返って
しんどいことも沢山ありました。もちろん僕以上に高倉の方が辛かったと思うんですけど、やっぱり自分たちの代にレギュラーがいないのでプレーで見せずに後輩を引っ張っていくということがすごく難しかったです。何でもかんでも上からガミガミ言われると後輩としては反発したくなってしまうんじゃないかとか、マネジメントの部分にすごく気を使って1年間やってきたのでそういった部分が大変でした。
――主務をやってきてうれしかった経験は
大変でしたが自分が主務をやった一年で最後勝つことができたことです。また、自分は今まで人のために何か尽力するということをあまりやってこなかった人間なんですけど、主務はチームのことが最優先なのでみんなのためにマネジメントをしますし。そういった側面は主務をやることで初めて得られた部分なので良い経験をさせてもらいました。
――6連覇を決めてくれたレギュラー陣にはどういった思いがありますか
ありがとう、本当に感謝ですね。一人ずつ頭撫でまわしたいです(笑)。インカレの前日にも、僕たち4年生は出ていないのに「4年生のために」と言ってくれる後輩がたくさんいました。1年生の上松が手を挙げて発言してくれたんですけど「このチームで日本一を目指せる最後の試合なので、明日は悔いのないようにがんばりましょう」と言ってくれました。半年間しかまだ一緒に過ごしていない上松にもそういった言葉を言ってもらえてすごくじーんとしちゃいました。
――個人戦は振り返っていかがですか
個人戦はチームのためにというよりは、親がずっと応援してくれていて親にすごくお世話になったので感謝の意を示すためにも頑張ろうと思っていました。最後ももっと勝ち進みたかったんですけど調子が良くなくて悔いはありますね。でも親に感謝の気持ちを伝えられましたし、親からも「ありがとう」って言われたのでそれで少し泣いてしまいました。自分は理工なので勉強の方もすごく忙しくて、勉強と部活の両立が難しかったのですがこの1年間は特に親が協力して支えてくれたからこそやり遂げることができました。そういった親への感謝を胸にこの個人戦は臨んでいましたね。
――ペアとしても、主将主務としても表裏一体の関係であった高倉(悠輔主将、商4=東京・早実)選手にはどういった思いがありますか
まずは調子が悪くてごめんねと(笑)。僕がボレーをいつも通り決められたら勝てた試合だったので。でも、2年間2人でやってきて去年とかベスト8に東一般で入れましたし、良い思い出もたくさんできたのですごく感謝しています。周囲から「仲が良すぎる」という声もあるんですけど(笑)、主将・主務としても高倉とだからやって来れたと思っています。
――最後のインカレを振り返って、どんな夏になりましたか
1番熱い夏でした!本当に色々な人への感謝の気持ちが4年生になると芽生えてきます。去年までは感謝の気持ちというよりは自分が勝ちたいという気持ちが大きかったんですけど、4年生になるとOBさんや後輩だったり本当に関係者の方々多くの人が応援してくれているのが分かるので本当に感謝の気持ちでいっぱいですし、そういった意味で皆さん全員に6連覇という形で恩返しできて良かったです。