『エネルギッシュで攻めのテニス』、木村日奈(社4=群馬・高崎健康福祉大高崎)・草野絵美奈(教4=群馬・高崎健康福祉大高崎)組を表すとしたらそんな言葉がよく似合う。高校時代のアクシデントを経て、大学4年でペアを再結成。東日本学生選手権では持ち味の勢いを全面に出し1位を奪取した。2年時からチームの主軸として戦ってきた草野、マネージャーとして選手として、ワセダを支える木村日。二人の最後の夏に懸ける熱い思いを伺った。
※この取材は7月29日に行われたものです。
『真価』を示すための『進化』
再結成された木村日・草野組
――今季のチームの始まりから振り返ってもらおうと思います。チームスローガンは『真価』ですが、どういった思いでつけられましたか
草野 毎年キャッチフレーズのようなものを考えていて、新年の絵馬に書くのが伝統なんです。それをみんなでずっと考えていた時に、木村理沙(スポ4=徳島・脇町)が出してくれたものにみんながそれいい!と乗った感じです。
木村日 特に木村理沙がつけるということは決まってなかったんですけど、みんなで話し合ってる時に理沙が「実は私いいなと思ってるのがあるんだよね」って。で、私たちも「なになに!?」って盛り上がって(笑)
草野 本当の日本一をという意味での『真価』と、だんだんと成長をしていこうという意味での『進化』をかけているんです。ワセダでの三連覇は達成できたらことしが初めてなので、その三連覇に向けて私たちも進化していこうっていう覚悟が含まれてます。
――チームとしての思いは今伺いましたが、個人的なモットーや4年生としての在り方などはありますか
草野 私がいつも4年生としてというか、上に立つ人としてこうありたいっていう考えはあります。例えばいつも明るくいるだとか、ちゃんとやるだとか。ちゃんとやるだとあんまり伝わらないですね(笑)。私の理想像として、お手本にしたいと思ってもらえるくらい、誰よりもしっかりとやるというのがあります。誰よりも声を出すとか、トレーニングを誰よりも愚直にやるとか。
木村日 本当にストイックにやるんですよ。トレーニングはさ、フィジカルが人の3倍くらいあるんだから(笑)、そんなにやらなくてもいいよと思うけどね。
草野 違う、それは日々の積み重ね!(笑)
木村日 いやいや、絶対持ってる筋肉量元から人と違うからね?
草野 結構、人と比べてもエネルギー値が高い方なんで(笑)。
木村日 普段の生活から、常になんかしてるよね。遊ぶこととか、練習とか毎日予定が詰まってる。
草野 みんながダラけてる時こそ自分は元気だって言い聞かせてしっかりとやるだとか、声を出してはっちゃけるタイプではないんですけど、雰囲気とか行動とかは誰よりも元気よく心がけています。オンの時は最初から最後までダラける瞬間を作らないようにしようとか、そういったふうにやっています。
――そういった行動とかは、歴代の先輩の姿を見て形作られたものですか、それとも昔からのものですか
草野 うーん、やっぱり妥協とかするのが嫌なので。弱い自分が嫌です。昔からのそういった思いはあるかもしれません。
木村日 本当にストイックだなー!
――木村日選手は個人的なモットーはありますか
木村日 主務としてというかチームのマネージャーとしてなら、私は1年の夏からずっとやっているので、選手としてもだけど主務としても本当にラストの一年、集大成だと思って始めてきました。去年、主務だった安保さん(利里那、平29スポ卒=岩手・盛岡女)とペアを一年間組んできて言葉でも姿でも教えてもらってきたことがあって、それは『主務だけ頑張る、選手だけ頑張るということは誰でもできるんだよ。両方ができて始めてみんながついてくる主務なんだよ、そういうことに挑戦できるのは、主務だけだからそれができるってことはすごくラッキーじゃない?』というふうに言われていました。確かに、と思いましたし、りりさん(安保)が卒業してから教わったモットーに加えて、去年の2月にペアで草野と組むことが決まったんです。小山・草野で去年は組んでたんですけど、上原・永井が卒業で解散しちゃったので、小山・上原っていうペアになったんです。草野の後衛を決める際に、大きな舞台を経験してきた後衛がいない中で「絵美奈のペアとして頑張れるよ」ってチームのみんなに推されて私が草野の後衛に決まりました。だからこそ、去年までのマネージャーも頑張る・選手も頑張ると言っていたのとはまた違うんじゃないかと思っていて、選手として頑張る在り方に、ただ頑張る姿を見せるだけでなくて結果を追求する姿勢も必要になってくるのではないかと考えています。今まで自分の試合では、勝ち負けを気にしたことがないタイプで「負けたら仕方ないまた次!」のように切り替えていくのが私だったんですけど、今季に入ってからは負けたら落ち込みました。だから、りりさんに教えてもらった「選手も主務も」という部分に更に結果を意識するようになったっていうのがことしの私のモットーですかね。
――やはりその意識の差は草野選手と組み始めたきっかけが一番大きかったんですか
木村日 そうですね、勝てなきゃ絵美奈に申し訳ないという気持ちももちろんあるけど、結果でみんなに示していきたいということを自分で決めたっていうのが大きいです。私は絵美奈とは対照的で(笑)、練習も残るんじゃなくて17時に終えたいし、トレーニングも好きではありませんでした。やる時はやる、やらない時間はやらないっていう短期集中のスタンスでやってきたけど、ことしに入ってからは(草野選手が)誘ってくれるのもあって自主練するようになりました。
草野 私たちは本キャンなので、喜久井町のコートで普段は合同練習をやっているんですけど、所沢の方は自主練習なので二人でこっちまで来てね。
木村日 そう、どちらの方が質が高いとかはないんですけど、より自分にあったレベルアップや課題克服のためなら所沢の方がいいんじゃないかと思って、四年間で初めてこっちで練習してます!(笑)
草野 私も!(笑)
木村日 もちろん4年になって授業が少なくなってきたからできるっていうのがあるんですけど、昔は午前練習だけで終わっていたのが、ことしは木曜に所沢コートでずっと二人で練習をしています。そこで話し合いながら練習して二人でペアを作り上げていってるということが、結果にも示されてきてるんじゃないかなって。
――普段から二人で練習することが多いんですね
木村日 絵美奈は私のことが大好きだから!(笑)
一同 (笑)
草野 でも本当は逆で、日奈が私のことが大好きなんじゃないかって思うんです(笑)。
木村日 やだよ、ストイックすぎて!(笑)まるでお買い物一緒に行こっみたいなテンションで、一緒にトレーニングしよう♡て言うんですもん。ちょっと練習しようって言われて一体いつ終わるの?って思うことが何度あったか!
――部一番のストイックなんですね
木村日 絶対そうですよ!
草野 いやいや、多分わたしドMなだけなんです(笑)。トレーニングもキツイってなるのが達成感があるし!自分を追い込むスペシャリストだと自分でも思います。テスト勉強も常にギリギリだし。
一同 (笑)
――少し質問をチームのことに戻します。『真価』を掲げて始まったことしのチームですが、春リーグ(関東学生春季リーグ戦)は日体大に破れ厳しいスタートとなりました。振り返っていかがですか
草野 他の大学に比べて、ワセダのテニスって綺麗だし勢いがないなとずっと思っていました。やっぱりナショナルチームに入っている子たちが綺麗なテニスだけど、相手はとにかくラケット振って前衛もとにかく動いてすごく激しいテニスで果敢に挑んでくるんですね。このままじゃダメなんじゃないかなと思いつつも自分が強く言えない部分があったんですけど、やっぱり春リーグで負けたことでこのままじゃダメなんだと言うことがチームの身に染みて分かりましたし、私も改めて強く感じました。後衛はしっかりとラケット振って、前衛もちゃんと足を動かして攻めるということに立ち返ってやらなきゃって。今までは勝てたかもしれないけど、それだけじゃ三連覇は厳しいということを痛感した春リーグでした。
木村日 私たちの代の杉脇・佐々木だとか草野もそうですけど、木村・平久保とかが下の学年の時からずっとチームの主軸でやって来ていたので、客観的に見ても、「ワセダはこのメンバーで行くんだから優勝するでしょ」と去年の夏が終わった時点では思っていたこともありました。でも監督や大平コーチからはそんなことはないよってずっと言われてましたし、下の代も入って来て実際に4年になって、「ワセダは伸び幅がない選手」って言われて来た意味がわかったんですね。私たちの主力はずっと下級生時代から試合に出ているから、それこそ攻略されるし、自分の伸び幅がトップに到達してるというわけではないけど、ずっとトップレベルを担ってきた選手たちだから。そんな中でどうやって勝っていくかということに、4年生もまだはてなマークがついたまま迎えてしまった春リーグだったんだと思います。それが実際に結果にも現れて、このままじゃだめなんだっていうチームを見直すきっかけになった大会でした。
――春リーグの後にその認識をチームで持てたという一体感はありましたか
木村日 ミーティングもしましたし、結構タイプがそれぞれ違う自由なチームなのでチームを見直さなきゃいけないってなった時に技術面で見直す子と、チームの方向性を軸に考える子にわかれたんですけど、逆にそれが良かったかなって。王座までの時間が短い中で、レギュラーたちは自分の技術面ややらなきゃいけないことを明確にしてそこに集中して取り組んでいました。応援の方は応援の方で、草野や私は方向性をしっかり定めてチームを引っ張ることができたから、個人の取り組みとチームの思いが噛み合って王座には臨めたのかなと思います。
――ではその王座を振り返っていかがですか。草野選手は昨年の小山舞(スポ2=和歌山信愛)選手と組んでたことも含めて後輩の戦いぶりの感想もお願いします
草野 そうですね、でも小山・上原(由佳、社3=群馬・高崎健康福祉大高崎)は6ポイント連取っていうのは確かにすごいんですけど、あの状況になる前に勝たなきゃいけなかった試合かなって観てる側としては思いました。3ー0や3-1で取れるゲームが何個もあったのに取れなくて、ファイナルに入ってしまいましたし、入ってからも攻めきれなくて2ー6になってしまったというゲームだったので。そこからは感動的な大逆転があったからそれはドラマだなと思ったんですけど、その前に勝たなきゃいけない試合だったと思います。
木村日 結果は優勝で、もちろんその結果を求めてやってきたので主務としても最上級生としてもすごくうれしかったです。春リーグで勝てなかったぶんなおさらに。けど、内容としては本当にぎりぎりで首の皮一枚繋がった状況にまで追い詰められたんだっていう、紙一重どころでなくそれよりももっと厳しくて差のない世界だということを実感しました。
――7連覇したけれども同時に厳しさの方を思い知った大会だったということですか
木村日 そうですね、あの状況でむしろ6ポイント連取できたことの方が奇跡的なので。逆にそこで取りきれなかったのは相手の弱さだと思いますけど、そこまで追い詰められてしまったというのが私たちの課題であると思っています。でも結果としては本当に目指していた7連覇ですし、あの時は素直にうれしかったです。春リーグで負けたこともあったので、そこで諦めずに各自がもう一度自分の取り組み・チームの取り組みを考え直してこの結果を取れたことが良かったです。
「私たち二人なら、ワセダに今までいなかったペアになれる」(草野)
いつも明るく後輩からの信頼も厚い草野
――では東インカレ(東日本学生大学対抗競技大会)に関して振り返っていただきます。まずは二人で組むに至った経緯を教えてください
草野 とりあえず、ずっと私とは組みたくないって言われていて(笑)。高校が一緒なのでちょっとだけ組んでたんですけど、それからは大学1年の時に組んで以来だよね。
木村日 あ、組んでたね!
――高校1年生の時から組んでいたんですか
木村日 いや、1年生の時は草野が3年の先輩と組んで大将をやっていたので、その先輩が卒業してから組んだんだよね。
草野 そうだね、秋からだったかなあ。で、色々あってね(笑)
木村日 草野がケガをしたんですよ。ペアを組み始めてから、春の選抜の前に私学っていう私立の全国大会のようなものがあって、その個人戦で草野が靭帯を切ったんです。
草野 前十字靭帯っていう靭帯を試合中に!ゲームカウント2ー2のアドバンテージ向こうで。
木村日 そう!アドバンテージ取られてて、私があの時にストレートちゃんと打ち込めばよかったんだよね。私がロブ打ったからいけなかったんだよ。
草野 いやいや、全然いいんだよあれは(笑)
――そのあとどうなったんですか
草野 担架で運ばれました。救急車きて。私学の本当に接戦だったんだけどね(笑)
木村日 そう、音もせず前に倒れ込んで。あれ、切り替えそうとしたの?
草野 うん、左に動こうとしてたんだけど、「あ!右だ!」と思って。足は左を向いてるのに、上半身だけぐるっと向いちゃったんです(笑)
木村日 いや、あれはもう倒れてる足の向きとか本当におかしかったもん…。本当に本当にあの時は怖かった!!もうその光景とかその経験が私にも焼きついちゃったんですよね。それで1年間草野はテニスができなくて。2年半のうちの1年間がそのケガで。
草野 そう、靭帯なんで手術しなきゃいけなかったんですよね。
木村日 それが春の選抜っていう全国大会の直前だったので、何日か前にペアを変えることになりました。私も出られなかったのでぼろ負けして、春からは別のペアになったんです。
――復帰はいつごろでしたか
草野 戻ってきたのが2年の1月だったかな。復帰試合したのが。
木村日 そこで組んだんですけど、その復帰試合がインドアだったんです。ケガしたのもインドアだったので、本当に怖くなってしまって。本当にフラッシュバックってするんですよ!これだ!!って(笑)
草野 (笑)
木村日 草野が倒れこむ瞬間とかが蘇ってきちゃって怖くなって私が自分のテニスができなくて。団体戦だったのに先生からシュートを打つな令が出たんですよね(笑)。もう、全部ロブを上げろって。
草野 シュート打ったら怒られてたよね、あの時は(笑)
木村日 草野が駆け引きがうまいので、ロブであれば駆け引きができるので全部ロブでした。シュート打って入らないんだったら全部ロブ打て!って言われて。
草野 あれ、辛かったね、本当に…(笑)
木村日 でも、自分のテニスが崩れてしまってできなくなってしまうくらい草野ともう精神的に組めなくなってしまって。ちょうどそのタイミングで草野の妹が入ってきたので草野は妹と組んで、私は上原と組んだんです。それで、最後は草野が関東3位で私たちがベスト8だったんだよね。
――上原選手と組まれてたんですね
木村日 そう(笑)。でも今となっては、あの時は本当に組みたくなかったですって言われます(笑)
一同 (笑)
木村日 だから、高校では結局最後まで草野と組むことはなかったんですけど、仲は良かったというか、寮生活だったからずっと一緒にいたんですよね。草野が「日本一になりたい」って下級生の頃から言ってたんですけど、取らせてあげられなかったので、私はもうテニスはできないと思って、高校引退した時に「私はもうやらない」って言ったんです(笑)。
草野 ね、意思が固かったよね(笑)ずっと私がやらないの??って誘ってたのに!
――それでもワセダに入学して今テニスを続けているきっかけはなんですか
木村日 国立に落ちたからっていう理由が、シンプルにそれですかね(笑)。浪人も考えたんですけど、社学に受かって、親がせっかく受かったんだしいけばって言ってくれたので。でもワセダに入ったからといって、もう一度ソフトテニスをしようとは思ってなかったです。
草野 そう、私は軟式庭球部には入らないからって。私、いっぱい誘ったのに、断固遮断されて(笑)。もう本当に超拒絶!(笑)
木村日 草野はワセダの軟式庭球部に入ることが決まっていたので毎日テニスの練習してて、その頃私たち同じ部屋だったので誘われてたんですけど、私は寝てるっていう(笑)
草野 なにを言ってもその頃はシャットアウトされていたので、これ以上言っちゃいけないと思って誘うのも最後は辞めました(笑)
木村日 でも2月くらいにジュニアの先輩だった住吉さん(住吉優征、平28スポ卒=長野・吉田)に軟式庭球部に誘われたのと、あと井山(井山裕太郎、基理4=埼玉・松山)も当時から仲が良かったんですけど、お互いに部に入るの迷ってたんですよ。「庭球部めっちゃきついらしいよ、どうする?」って(笑)
一同 (笑)
木村日 それで、井山が一緒に悩んでる感じだったのに急に井山が「俺入るわ!」って。私からしたらえー!?って感じですよね(笑)。でも、よくよく考えた時に、今まで小学校1年生からテニスやってきて、テニスがない人生があんまり考えられなかったですし、これから大学四年間ある中で希望していた国立にも落ちた時に「何を返せばいいんだろう」って振り返って、やっぱりテニスを通してお世話になった人たちに返していきたいと思ったんですよね。
草野 本当にある日突然すぎて!「私テニス部入るわ!裕太郎も入るって言ってるし!」って言われて(笑)。私としては、いや裕太郎って誰だよ!!って感じで本当に(笑)
一同 (笑)
木村日 それで、春合宿の直前の一週間前くらいに入部しました。合宿で草野に「久しぶり!」って(笑)。それで春先から一緒に組ませてもらったんですけど、秋に草野が祐佳さん(加瀬祐佳、平28スポ卒=東京・文化学園大杉並)のペアに抜擢されて、私もりりさんとペアになってって感じで、ずっと組んでいませんでした。
――草野選手とはことしの2月に再結成ということですが
木村日 ペアが決まらない中で、団体戦で小山の前衛をどっちにする?今日は調子がいいからこっちだ!のような感じで草野と上原のどちらかから選ぶようなのは、4年生の総意で良くないとなって。でも、私はどうしても組みたくなかったんです。草野の最後の一年を任されるじゃないけど、草野は教師になる夢を来年から叶えるので本当に選手人生としても最後の一年間なんです。その一年のペアを私が務める自信がなくて本当に嫌だったんです。組んで一ヶ月くらい経ってもその思いは拭えなくて。
草野 どうするんだろうな、と思ってました。
――そういった気持ちが払しょくされたのはいつごろですか
木村日 最初は同期からの言葉もありましたし、絵美奈にも「日奈ならできるよ、一緒に頑張りたい」って言葉をもらってそれに押されてなんとかやってる部分が強かったです。けどやっぱり、去年のりりさんの伝えてくれたもので「選手として頑張る」というのがありましたし、絵美奈と二人で練習したりだとか、春合宿を乗り越える中で、絵美奈のためにも自分のためにも、やるなら結果を残したいっていう明確な目標・モットーができて、自然と絵美奈とやっていきたいと思えるようになったのかな。絵美奈は宇宙人みたいなんですよ(笑)。本当にストイックだし、引きずらない。ケガをしたのは絵美奈の方なのに、むしろ私の方が引きずってる、「私のせいでケガをしてしまったんじゃないか」、「私のせいで1年間テニスできなかった」とか。それは今もで「私のせいで絵美奈の最後の一年間勝てなかったらどうしよう」って。けどそういった私とは絵美奈は本当に反対で、「どうにかなるでしょ!」って(笑)
草野 うん、どうにかなるよ(笑)
木村日 絵美奈がこういうスタンスでずっと居てくれたし今もいてくれてるから、こうして組めるようになったのかなって思ってます。
――草野選手としては木村選手と組むことにどのような思いがありますか
草野 え、なんだろう。日奈となら何か面白いことができるんじゃないかって毎日わくわくしてます(笑)。今まで小山と作ってきたテニスもあるけど、また日奈と組んで生み出すテニスとかプレーは全く違うものになるので、ワセダに今までにいないペアになれそうと思って!日奈もラケット振れるし、ボール走るし、私も自分でポイント取りたいって気持ちが強いから、なかなかそういったパワフルな感じのペアがいないので面白いかなって自分でも思ってます(笑)日奈とだったら、絶対これからもまだ成長できるなって!
――木村日・草野ペアでなりたい理想像はありますか
草野 点取れるペア!テニスは点取るスポーツだけど(笑)。自分から点を取りにいけるペア。そういう熱さを持ったテニスの方が絶対に面白いと思うし、高校時代からの教えでもあります。
木村日 私は安保さんも結構そっちのプレーヤーだったので。「スマッシュしたくて、ボレーしたくて、ツイストしたくて、自分で決めたい前衛!」みたいな(笑)。そういったテニスを今まで2年間近くで一緒に作ってきたから、良さもわかったし動き方にも磨きがかかったし、よりそういった気持ちの強い絵美奈と組んでもうまくかみ合うことができてるのかなって思います。
――そういった背景がありつつ迎えた東インカレでの出場でしたが、振り返っていかがですか
草野 体動かない!(笑)私は教育実習もあって練習が充分にできていない中での出場だったんですけど、もう本当に体が動かなくて。私は結構コート上だったら走り回れる自信があるんですけど、本当に団体の時とか動かなくて!気持ちに体がついてこなかったです。今までは出来てたプレーだとか、このボールは走りきって届いてたというボールだとかが、イメージにはあるのにそこまでついてこないから「あれ?あれ?」ってなってしまいました。
――教育実習中での両立はやはり大変でしたか
草野 自分で調整はしていたんですけど、やはり運動量が全く違ったので、そこの部分ですかね。二人で団体戦に出ることも、出て勝ちたいねということもずっと話し合ってきていたし、私自身も木村草野で出れたら面白いなと考えていたので気持ちは強く持っていました。日奈と新しい風を吹き込みたいと思っていたその気持ちに体がついてこなかったのが悔しかったですし、勝たなきゃいけない中で団体戦に久しぶりに出れて本当に楽しいなと思っている反面動けなくて悔しくてっていう悔しい気持ちが残る団体戦でした。
――木村選手は初めて出る団体戦でした。いかがでしたか
木村日 一言で言うなら、本当に団体戦の厳しさを知りました。「あの時あの一本が」と言う単純なミスの大きさや一本の大切さというのも感じましたし、団体メンバーがチームを代表して出ていて、応援側からすれば簡単に勝っているように見えていたし勝つのが当たり前のように見えるくらいのプレーをしていても、実際はなかなか簡単には勝てないし、1つの負けがチームを厳しい状況に持っていってしまうということが本当に苦しいことなんだなって。自分たちが勝てなかったから、こんなにもチームが苦しみながら戦っているんだということを実感すると、団体メンバーになるという相応の覚悟が要るということを痛感しました。もちろん今までも「草野と組んで団体戦でやってみたい」という気持ちはあったし、言葉にもしていたんですけど、実際に本当の覚悟を持って戦うという気持ちの準備ができていなかったなって感じました。
――草野選手は団体・個人多く経験してきましたが、やはり全く違いますか
草野 はい、私は団体の方が楽しいです!(笑)私は個人戦本当に嫌いで!
木村日 嘘でしょ!?団体やった後の個人戦すごく楽しかったよ!(笑)
一同 (笑)
草野 団体戦は応援してくれる人がいるから、自分の中で割り切れるんです。自分の中で腹くくって攻めなきゃいけないと思えるというか…。個人戦だと、逃げ道があるから。
木村日 あ、でもそれは確かに感じたな。苦しい時に、やるかやらないかの選択肢があると思うんですけど団体だとそれが確実にやらなきゃいけないにギアがかかるというか、応援が後押ししてくれるので。うん、それは確かに少し楽しかったかも。
草野 ミスすると、やっぱりそういった迷いっていうのは多少は出てくるので、応援でみんなからやる方に背中を押してくれる団体の方が楽しくできます。だから、逆にちょっと個人戦は嫌い。
――団体戦は決勝戦、三次戦までもつれた上での逆転優勝でしたが振り返って
木村日 杉脇麻侑子・佐々木聖花組(ともにスポ4=東京・文化学園大杉並)のプレースタイル的に良い意味でも悪い意味でもああいった形が多いので勝ってくれるなとは思ってたんですけど、あそこまで競るとは思ってませんでした。でもやっぱり団体メンバーだな、キャプテンだなって感じましたね。私も試合に出ていた身なので、勝つことが難しい場面でも勝ってくる、それが強さなんだなっていうふうにいつも以上に感じました。
草野 あの時は本当にこんなこともあるんだなって思いました。相手のペアも正規ペアとは違うペアで出てきてたのであそこまでやるとは思っていなかったですし、実力的に見ても杉脇・佐々木があそこまでやられるとも思っていなかったので。杉脇・佐々木はダブル後衛得意としてますし、分があると思っていたけど、試合始まったら普段ミスしないボールをミスしていたり、杉脇も相当背負っているものがあるなと見ていて思いました。そこに佐々木もうまく絡めなくて。こんなことになるんだなって。インカレは三連覇がかかりますし、もっと気持ち的には追い詰められているはずだからこれよりも、さらに厳しい状況はやってくるなって。同時に、でも相手も勝ちビビりしたなと思います。普通にいったらあれは相手の勝ちだったけど、勝ち方を知らないなと思いました。
木村日 日体大も春リーグは優勝しているけど、明大には負けているので。今のチームはトーナメントで勝ち進んでいって決勝は勝ったことがないっていうチームだと思うんですね。そういった意味では、こっちが本当にぼろぼろの形というか首の皮一枚繋いで勝った優勝でしたけど、今回日体大にその優勝を体験させなかった意味は大きいと個人的には思います。
草野 今回は私たちがラッキーというか、本当に助けられたって形での優勝だって言っても過言じゃないので。
木村日 もしあそこで日体が、優勝して優勝の喜びだとかがこんなに良いものだということを体感させてしまうと、それもモチベーションになるだろうし、こう頑張ればいいという方針も明確になってくると思うので。けど私たちもこのまま優勝をとらせなかったことに甘んじていてはいけないという危機感を持っていなければならないと思います。
――お二人は個人戦では優勝されました。先ほど木村選手は楽しかったと言っていましたが詳しく振り返っていかがですか
木村日 それは、団体戦と比較してってことですけど(笑)、やっぱり個人戦がやっときた!と思うくらい団体戦が初めてというのもありましたし結果を求められるっていうので、個人戦は比較的に自由に自分たちのテニスができるので楽しみにしていました。
草野 個人戦は良い意味で欲がなかったです。個人戦と団体戦は違うってよく言われますけど、私は個人戦も団体戦だと思って、団体戦で勝てなかった分、個人戦では他の大学に負けてはいけないっていうという思いがありました。それでも本当に良い意味で「絶対勝ちたい!」というような欲がなくて。いつもは逆に勝ちたがってびびってしまうところもこれで攻めてダメだったらいいやくらいの気持ちでいられましたし、そのことが結果に結びついたかなと思っています。
木村日 いつもそんなに勝ちたくて空回りしてるイメージないけどな、「ちょっとこれやってみるね~」って感じじゃん(笑)
――決勝戦は杉脇・佐々木組(ともにスポ4=東京・文化学園大杉並)との同士討ちでした
木村日 でも絶対やりにくいのは向こうなので。私たちが組んでから校内戦では勝ったことがなかったですし、周囲から見たら絶対10人が10人杉脇・佐々木が勝つよねという中での試合だったので、向こうがやりにくい中私たちはやるべきことをしっかりできたのかなって思います。
草野 普通にシンプルに日奈はラケット振って、シンプルにわたしは相手が打つところ攻めて取りに行って、やるべきことをしっかりやったという感じです。
木村日 特にキーポイントがあったわけでもないよね?
草野 でも、やっぱり3ー3のゲームかな。最初0ー2で負けてて、「あ、これやばいな」って(笑)。決勝同士討ちで盛り上がる中で0であっけなく終わっちゃうんじゃないかってなったんですけど(笑)。でも1ゲーム返せて、3ー2でリードしたんですけど、またチェンジサイズで3ー3に戻されて。ずっと風下取ってたけど、風上になってしまってちょっと苦しいなと思っていた中で、ゲームカウント3ー3の2ー2のレシーブで日奈がアタックして決まってから私の時もセカンドサーブになったんですね。ここで、私がアタックしなかったら人生終わるかもしれないって思って(笑)。自分を追い詰めながら、打ったら決まってゲームをとれたので、その攻撃したプレーで二本決まってからは、風下では落とす気がしなかったです。自分たちで流れを作り出せたっていうのが良かったですね。
木村日 そうだね、向こうが風下だと大胆なプレーをしてくるというか、杉脇・佐々木はすごく絵美奈のプレーを見てかわしてくるので私たちが風上で得点するのは難しい状況だったんです。そこで先行できたから、最後はもうそのまま勢いに乗って自分たちのテニスができたよね。
――優勝した時のお気持ちは
木村日・草野 「あ、勝っちゃった」って(笑)
草野 でも本当にうれしかったですよ!
木村日 最後のゲーム、カウント3-1でリードしてて勝てるかもと思ったんですけど結局そのマッチポイント二本とも取れなかったんです。私は去年の六大学の個人戦もマッチポイント取れなくて優勝できなかったりというのがあったので、あ、またこの惜しくも勝てないパターンかと思ったんですけど、絵美奈は「私のサーブになったらいけると思う」というふうに後からいってたよね。
草野 そう、なんかいける気がした(笑)。私がサーブの時の方が、ラリーになる気がしたのでそしたらこっちの方が勝機あるなって。3-1になった時もあと4点あるからいいやって。本当に良い意味で力が抜けていました。気持ちがしんどくなかったです。
木村日 今回気持ち的に追い詰められた試合は振り返ってみるとないかも。
――トーナメント上がって行く中で杉脇・佐々木組以外にも他校の主力と当たっていた印象があります
草野 関東選手権の1位と2位に当たったね、でもそんなに苦しくはなかったです。
木村日 準決勝は苦しかったかな、気持ち的には苦しくないけどカウントでは結構競り合ってたから。風があったから、私はもう絵美奈に頼んだ!って感じで(笑)。そうすると絵美奈は「ちょっとやってみるね~!」て感じなんで、楽しくなっちゃうんですよね。
――二人のペアリングを振り返ってみてどう思われますか
草野 私は苦手な相手とかあまりいないので、自分がミスしなければ結構いけるなと思っちゃうタイプなんですけど、でもそこで日奈が打ってくれるから相手より有利な立場で駆け引きができるんですね。そこがやりやすいなとはいつも思ってます。
木村日 私は高校の時から組みやすいとは思ってました。絵美奈がスマッシュもできるしボレーもできるし、何でもやれるので。私がどのプレーを選択しても、絵美奈がポイントに繋げてくれるっていうのは私自身のプレーへの自信にもなってます。何をしても絵美奈となら大丈夫だっていう。
――一言で表すと木村・草野というペアはどんなペアですか
木村日 難しいな~、『変』かな?
草野 でも私たちいつも変化球じゃなく直球勝負じゃん。
木村日 変化球の変じゃなくて、絵美奈が変わってるっていう意味での『変』!(笑)
草野 それ木村・草野ペアじゃなくて、私だけになってるじゃん!私たち二人は王道を行くよね。
木村日 うん、王道を行く一方で、他のペアにはできないことをしたいっていう気持ちがあるな。
草野 健大の教えがしっかり染み付いてるよね。攻められる前に攻めなさい、攻められている時点でもうだめなんだみたいな。そうだな、だから『勢』ってどうかな?
木村日 それだ!私たちを表してるね、さすが国語国文学科!(笑)
――前主務の安保さんの『選手としても主務としても』という言葉を体現した個人戦優勝の結果だったと思いますが、その点はいかがですか
木村日 りりさんは優勝の結果見てすぐにおめでとうという連絡をくれたんです。ずっと速報とかでも気にしててくれたようで。りりさん自身、主務でありながらもプレーヤーとして頑張っていて、何よりも結果が欲しいと思っていた人だと思います。だけど結果が出せなくて、そういった背景もありながらもりりさんと組んでいた私が草野と組んで優勝してくれたことが本当にうれしいって連絡をくれました。それで、本当にやって良かったなと私も思いが込み上げてきて。東インカレ当初はすごく苦しくて、チームに対して申し訳ない思いもした中で、最後まで頑張ってきて良かったなと思いました。
草野 OBさんが喜んでくれたのもうれしかったよね。
木村日 インカレ前にOBさんから激励会を開いていただくんですけど、やっぱり今でも応援してくださる方々はマネージャーなどをやっていた方が多いので。当時はやっぱりマネージャーは部の運営に徹することが多かったようなので、そういった意味ではすごく喜んでくださって、そういった姿を見ると頑張ってよかったなと感じますね。
――両立は難しくないですか
木村日 難しくないですよ。それこそ、男子部・女子部で二人の主務がいて、男子部の井山がすごく優秀なので、助けられてます。真面目にいつも連絡事項や期限をしっかり守ってくれますし。井山もそうですし、チームのみんなが主務の仕事をしているときはそっちを優先させてくれて、他の面をカバーしてくれますし、確かに大変かもしれませんが比較的に主務がやりやすい環境が整っていると思います。ペアも私の仕事が終わった後に、練習を一緒にやってくれたり、みんなの支えがあるから主務も頑張れるし選手も頑張れます。
草野 井山とビジョンが一緒なのもいいよね。
木村日 そうだね、彼も関東学生選手権で個人戦ベスト8に入っていて、選手でも頑張りたい、主務でも頑張りたいって人だと思います。そこが互いに違くてどちらかの負担が大きくなってしまうと、もしかしたら私ばっかり・俺ばっかりっていう風に気を置けない関係になってしまったかもしれません。井山も頑張ってるし、私も頑張るっていうようにお互い切磋琢磨(せっさたくま)しあえる主務であるというのも1つの大きな要因だと思っています。
――草野選手には木村選手の主務の姿はどのように映りますか
草野 なんだろ、あんまり考えたことなかったけど…、キャリアウーマン?(笑)でも本当にすごいと思います。私はやっぱりぎりぎりになって追い詰められてしまうこともあるし、結構計画的にスケジュールを立ててこなしていける人じゃないと主務はできないので。私だったらどうしようどうしようって言ってそう(笑)。
――お二人は対照的な部分が多いですね
木村日 反対すぎて昔は嫌いだったんです(笑)。
草野 もう、高校時代は半分くらいケンカ。3年間で!(笑)
一同 (笑)
木村日 絵美奈は穏やかだけどストイック。あと素直な子なんです。まっすぐに気持ちを伝えられる子なんですけど、私にはできない!
草野 頑固なんだから(笑)。
木村日 私は合わせて欲しいし、自分から素直な気持ちを言えないし、伝わらないなら我慢しちゃう方なので。絵美奈が人と向き合える人、私が人となかなか向き合えない人みたいな感じです(笑)。でも、高校の時にそんな時代があるから今二人でやっていけてるのかな。
――高校の時と再結成をしてからとで気持ちに変化はありますか
木村日 高校の時も絵美奈に日本一を取らせてあげたいっていう気持ちはあったんですけど、彼女の頑張りに私がついていけていないというのが悔しくて。その悔しさというのは負けているのが悔しいという訳ではなくて、彼女と一緒のレベルでできていない自分が情けないという意味ですごく悔しくて、最後の夏も素直に頑張ることができなかったんです。一緒のレベルでできていないのに頑張るというのが何だか失礼な気がしてというか、そういった自分のひん曲がった部分がマイナスに出てしまって素直に頑張れなかったんです。もちろん頑張るには頑張ったんですけど、結果として頑張れなかったという結果になってしまいました。そういう意味では、ことしは、まだ絵美奈の頑張り度に追いつけていないけど追いつけるように努力をして頑張れているって素直に認められるので、1回目の最後の夏と比べたら成長してるなと思います。
草野 大人になったなあ(笑)。
最後の夏
主務として、選手としてチームに貢献する木村日
――では直前に控えたインカレに向けて現在のチーム状況を教えてください
木村日 そうですね、勝ってきた大会も全部紙一重の結果なので、本当にやるまではどういった結果になるかわからないと思っています。だからこそ、チームとしてはあまり余裕はない状況です。ただ、そのことをみんな分かっているし、まとまろうとしているのを感じています。下は下で先輩についていこうとしてくれているし、4年生も一人一人がチームのためを思って今は行動ができているんじゃないかなって。
草野 最近ここ何日か練習していて、後輩とかレギュラーではない子に引っ張ってもらってるという思いを強く感じていて、それは雰囲気とか態度とかの点についてなんですけど。今日も昨日も校内戦を今行なっていて、レギュラーでない子たちの方が元気よく思い切って試合をしていて、私はそういった姿を見てもっと頑張ろうと思っています。これから事前合宿に向けてもうちょっとレギュラーとか4年生が引っ張っていけるようにならなくちゃなって感じです。
――オーダーはどのように決められてるんですか
草野 まだ決まってないんですけど、4年生のキャプテンを中心に話し合って最後は監督やコーチと確認をとって決定します。
――まだ決まっていないとのことですが、同じく主力で戦っている3ペアの印象を教えてください。小山・上原組からお願いします。
草野 小山・上原は小山さんがとりあえずラケットをしっかり振っていけば絶対勝てると思います。去年の1年間の信頼もありますし。上原の方は後衛が誰でも相手が誰でも上原のテニスをするので、だからこそしっかり後衛がラケットを振らないと上原が活きないと思うし、本当に小山次第だと私は思っています。試合になると、小山はすぐに打点落とすので私がチェンジサイズのたびにいつも「打点上げてくよ」って毎回声かけてるんです(笑)
木村日 でも、本当に小山は草野のことを信頼しているので言ったことを素直に聞くんですよ。だから打点上げてくよって言われたらすぐ打点あげるし、すごくラケット振れるんですよ。
草野 言ったことをすぐにできる力があるのに、自信ないんですよ、自分に。「打ったら取られそう」とか!
木村日 取られる訳ないでしょ!!って感じだよねこっちからしたら(笑)
草野 小山さんのテンポでラケット振ったら相手は絶対取れる訳ないから、自信持ってラケット振ってほしい。
――上原選手はいかがですか
木村日 上原は度胸があるなと思います。私と組んでいた時も私よりはるかに肝座ってましたし、そう意味では結果どうこうでなくて上原のこと信頼してます。やってくれるだろうなって意味で。
草野 うーん、私とはタイプが違うんですけど(笑)。私はもっと走りたい!でも上原もレシーブで点が取れる子だと思うので、応援する立場としてはもっとレシーブで取りに行って欲しいし、もっと点取りに行って欲しいという気持ちがあります。もう、後輩二人には結果に気にせずどんどんやって欲しいです!
――木村・平久保(安純、社4=和歌山信愛)組はいかがですか
木村日 まだ、今季大きい大会で出場していないのでそういった部分では心配もありますけど、それ以上に楽しみでもあります。去年も団体戦では1日目にあんまり上手くいかない中で、割り切って2日目あれだけ頑張ってくれましたし、そういった、人を感動させるような勇気を与えるプレーができるペアなので、最後の集大成を見せて欲しいという同期の目線と主務の目線で思ってます。
草野 私も同期としてあのペアが、勝ててた時期と勝てなかった時期ずっと見てきたので、その勝てなかった時期を乗り越えて最後の夏にダブル後衛としてどういった形にしてくれるんだろうというのがすごく楽しみです。
――最後に杉脇・佐々木組をお願いします
木村日 そうですね、あのペアも私たちに負けず、ずっと高校からあの二人で組んでいて、ずっと組んでいることに加えてずっと勝ち続けなければいけないというポジションに居させてしまったことも申し訳ないじゃないけど、そういった気持ちはあります。でも、その中でも杉脇はキャプテンとして、佐々木はずっと1年生の頃から団体戦を出てるという点でも最後は絶対やってくれるって信じてます。あの二人が一番最後に向けてピリピリしてるしね。試合モードに常に入っているというか。
草野 私は杉脇・佐々木に関しては、負けてはいいとはいかないだろうけど、背負っている荷物を全部おろして戦って欲しい。そんなに背負わなくていいから。背負って苦しそうに試合してたら、応援してるこっちも苦しくなっちゃうし、やっぱりあの二人には思い切りやってもらえた方がうれしいです。キャプテンの杉脇に最後の夏を楽しんでやって欲しいという思いがあります。
木村日 あの二人の楽しそうな試合が見たいね。
草野 うん、最後は本当に心から楽しんで団体戦に出て欲しい。1年生の時のあの思い切りのよさに戻る訳じゃないけど、背負ってるものの重さもわかってるし、エースだしキャプテンという立場もあるだろうけど、でも最後は全部取っ払ってあの二人の楽しんで思い切りやる姿を見たいです。
――杉脇選手はどのような主将ですか
木村日 真面目!典型的なA型(笑)。本当に真面目で、だからこそ、こうした方がいいんじゃない?ということには一直線でそこに向かって走るという強さがあります。もちろん一人ではできないけど、その杉脇の真面目さがチームを引っ張ってくれているなと思います。
草野 杉脇は自分の中にこれ!っていう軸があるから、そこがぶれないのが杉脇の主将としての強さかなと思います。勝ちに対する執着心などは本当に誰よりも強い子だと思うので。
――同期に対してはどのような思いがありますか
草野 みんなで勝って、みんなで笑って、みんなで喜びたいね。
木村日 そうだね。レギュラーと試合に出れない子いるんですけど、レギュラーの子たちが試合に出ていない子をすごく大切にしてくれますし、そこで垣根がないのがこの学年の良さだと思っているので、そういう面でも団結力を発揮できたらなと思います。
――2年時に草野選手は団体戦に出場されていました。それの時の経験も踏まえて、インカレへの思いで変わった部分はありますか
草野 そうですね、日本一への覚悟ができました。当時は高校の時から日本一の決勝戦とか知らなかったですし、観客として見てるだけだったので、大学1年生の時も三連覇がかかっていたんですけど仕事で当時はいっぱいいっぱいだったので、これを勝ったら日本一なんだっていう実感もあまりなかったんです。それまで日本一ということに対する覚悟が全然足りなかったんですけど、あの2年生の時の自分が出させてもらって決勝で勝てなかったことやマッチ取られてからの小林(奈央、平28スポ卒=香川・尽誠学園)・佐々木組の逆転優勝とか、昨年の団体戦に出られなかったインカレとか色々なことを経験して、日本一になる覚悟は今はできてるなと思います。
――木村日選手は昨年は4年生を勝たせてあげたいという思いが強かったと思うんですけど、今年はどのような思いをインカレに抱いてますか
木村日 今年は1年の頃からチームを支えてきた同期の杉脇・佐々木、木村・平久保とかを勝たせてあげたいっていう気持ちが本当に強くて。もちろん私も主力としてやっていかなくてはいけない立場だけど、マネージャーとしては本当にその四人に勝たせてあげたいという気持ちが今は強いですね。小山・上原にはどちらかというと来年に繋げるためにも思い切りやって欲しいという思いがあります。ただ結果としては、あの四人に日本一をプレゼントしたいです。
――お二人のインカレの目標を教えてください
草野 私はことしは三冠とろうと思ってます!先に言っときますね、言うだけ(笑)。
一同 (笑)
草野 狙いに行くとなかなか取れるものじゃないって分かってるんですけど、最後の夏は楽しい夏にしたいです!インカレが毎日晴れればいいな(笑)。
木村日 私はできれば、毎日インカレは曇りがよくて(笑)。もちろん団体は三連覇と、個人戦はまだインカレ後もいくつか試合はありますが、目指している試合としては最後の試合になると思うので、後悔のない選択をしてプレーに繋げていきたいです。やってきたことをやれば勝てるということがこの前の大会で分かったので、そういう意味でも楽しみます!
――それでは最後にインカレへの意気込みを一言でお願いします
草野 私は本当に同期も好きだし、後輩も好きだし、このチームのみんなが大好きなので、みんなと一緒に楽しい夏にしたいです!
木村日 インカレはここまでやってきたこと、やってこれたことに対して周りの人に感謝を表す場であると思っているので、全力で、最後まで笑顔で、三連覇を取りに行きます!
――ありがとうございました!
(取材・編集 三佐川唯氏、吉澤奈生)
「勢」いのある木村日・草野組に注目!
◆草野絵美奈(くさの・えみな)(※写真右)
1995(平7)年8月24日生まれ。160センチ。群馬・高崎健康福祉大高崎高出身。教育学部4年。誰よりもエネルギッシュな草野選手。人一倍トレーニングに打ち込む姿勢や、はつらつとした雰囲気から後輩からの信頼も厚いそうです。2年生の時から主力としてチームを支えてきた草野選手にとって、最後のインカレ。ぜひ、石川の地でエネルギーを爆発させて欲しいです!
◆木村日奈(きむら・かな)(※写真左)
1995(平7)年9月11日生まれ。162センチ。群馬・高崎健康福祉大高崎高出身。社会科学部4年。1年時から副務の任に就き、チームへの想いは人一倍強く『主務も選手も』がモットーの木村選手。チームマネジメントもさることながら、選手としての活躍にも期待がかかります!