シングルス日本一を決める戦いが高松の地で開催された。ワセダからは9人の選手が出場し、2日目に進出したのは平久保安純(社4=和歌山親愛)と草野絵美菜(教4=群馬・高崎健康福祉大高崎)だ。2人ともソフトテニス人生最後の全日本シングルス選手権(全日本シングルス)と位置付けて臨んだ大会であったが、強敵を前に草野はベスト16、平久保は準決勝で姿を消すこととなった。
2日目の初戦の相手を1で振り切った草野は8強決めの5回戦へと駒を進めた。序盤ゲームカウント2−1とリードしていた。しかし強風や相手の前後の揺さぶりを受け、ストレートで2ゲームを一気に連取されてしまう。もう後がない6ゲーム目では最後の全日本シングルスを終わらせまいとする草野が意地を見せる。前半サーブで得点を重ねて主導権を握り、強弱を使い分けたショットで相手を翻弄(ほんろう)した。アドバンテージを何度も握るが、そこからあと一本がなかなか取れず、試合はシーソーゲームに。しかし沈黙を打ち破ったのは相手だった。カットボールでジュースにされるとそこから2連続でポイントを献上してしまい、相手の勝利が決まった。「無理矢理攻めようとして自分からどんどんミスしてしまった」と草野。「出来るならもう一度挑戦したい」と悔しそうにしながらも笑顔で全日本シングルスを終えた。
粘りを見せた草野
5回戦、対戦相手である高校生を4−1で圧倒し8強に名乗りをあげた平久保は、次の4強決めで昨年の皇后賜杯全日本選手権の優勝者である志牟田智美(神戸松蔭女大)と顔を合わせる。ゲームカウント2−2で迎えた5ゲーム目を奪取したことが勝利の鍵となった。相手に何度もジュースにされるが積極的な攻撃で流れを相手に渡さない。前後の揺さぶりやサイドライン際にクロスを打ち込むなどしてこのゲームをなんとかものにした。そのままの勢いで6ゲーム目をストレートで決め、志牟田を下す。準決勝の相手は昨年の全日本シングルスで4強入りを阻止されてしまった徳川愛美(ヨネックス)との対戦となった。「バックが苦手そうだったので、バックを中心に攻めた」と平久保。平久保の強力なバックハンドが炸裂しゲームカウント3−2と最初に王手をかけた。しかし、次の6ゲーム目は徳川の強力なストレートボールやショートクロスなどのプレーに苦しめられる。また自らもダブルフォルトなどの簡単なミスが出でしまい、このゲームを落としてしまう。勝敗の行方はファイナルに持ち込まれた。優勝を目標に掲げていた平久保にとって、同じ相手に負けることは許されないが、やはり徳川の壁は厚かった。後半になるにつれてどんどん調子を上げてきている徳川は際どいコースにボールを打ち込む。左右に大きく振るプレーに平久保は受け身になってしまった。反撃の隙を見出せずファイナルカウント3−7で昨年同様またも徳川に優勝を阻止されたしまった。「最後は思い切って、やることをやって負けたのでよかった」と全日本シングルスを晴れやかな笑顔で振り返った平久保は堂々の3位に輝いた。
バックハンドが冴えた平久保
全日本シングルスは最後となってしまったが、ワセダの選手としては8月に行われる全日本学生シングルス選手権が残っている。きょねんは準決勝で平久保と草野の同士討ちになり会場を盛り上げた。これからも二人でしのぎを削り合い、ことしの全日本学生シングルス選手権では決勝で同士討ちが見られることに期待がかかる。
(記事、写真 栗林桜子)
平久保と小野寺監督
コメント
草野絵美菜(教4=群馬・高崎健康福祉大高崎)
ーー今大会の具体的な目標はなんでしたか
今年で全日本シングルスは最後かなと思っていたので賞状を貰える順位まで頑張ろうと思っていました。
ーー関東学生春季リーグ戦(春リーグ)の個人戦シングルスに出場されていましたが、そこからなにか修正してきたことはありますか?
そうですね、むしろ春リーグの方が調子が良かったです。香川に来てからの方がボールの感じとかもあまり良くなくて、どうしようかなって思っていました。けれど、なんとか2日目に残ることが出来たので、今日もなんだかんだいけるかなと思っていたのですが、自分からのミスが原因で負けてしまったのでとても悔しいです。
ーー最後の榎本選手との対戦、6ゲーム目での粘りがすごかったですね
自分的にはそれより前の ゲームカウント2-1とリードしていたのにも関わらず、そこから2ゲーム連続0で落としてしまったのでそこが勿体無かったかなと感じています。
ーー相手のどこに苦しめられましたか
横風がすごく吹いていて、風に乗ってくるボールを返すのがやっとになってしまいました。そこから無理矢理攻めようとして自分からどんどんミスしてしまいました。相手がどうこうより、自分のミスからの失点が苦しかったですね。
ーー最後の全日本シングルスを振り返っていかがですか
楽しかったですけど、悔しい気持ちが大きいのでもう一回出来るのなら挑戦したいです!
平久保安純(社4=和歌山親愛)
ーー今大会への意気込みと具体的な目標は
そうですね、春リーグでも調子はいい方だったので、その勢いで今大会もあまり勝ちを意識しすぎずに、一試合一試合次につながるようにしたいなと思っていました。それが結構結果につながっていったのでよかったなと感じています。
ーー志牟田智美選手(神戸松蔭女大)との試合を振り返っていかがですか
やはり負けるわけにはいかないと思っていました。全日本大学王座決定位戦でも当たることになるので、それに生かせる試合をしたいと思いながらプレーしました。
ーー徳川愛美選手(ヨネックス)との試合を振り返っていかがですか
社会人の選手で、何回も試合したことがあった選手だったので逆に攻めていけました。気持ち的にも思い切っていけました。
ーー何か作戦などはありましたか
バックがやはり苦手そうだったのでバック中心に攻めて、切り返しでフォアの方で打ったりとかしていけたらなと。
ーー最後ファイナルで勝ちきれなかった要因は何でしょうか
やはり大事なところでファーストサーブが入りませんでした。それで相手に先に攻められて、守りに入る形がすごく多かったのでそこが敗因かなと思います。
ーー最後の全日本シングルス振り返っていかがですか
結構3位って微妙なところだったんですけど、最後の年で、それまで調子悪かったので最後思い切ってやることやって負けたのでよかったなって思います。