いよいよアジア選手権が開幕した。シングルスには早大からは男女合わせて3選手が出場。内本隆文(スポ1=大阪・上宮)が冷静なプレーで展開をつくり、破竹の勢いで強敵たちを蹴散らしていく。快挙となる日本人最年少での国際大会シングルス制覇。笑顔で表彰台の頂点に立った!
★内本がアジアの舞台で躍動!
頂点に立った内本(中央)
内本にとって初のアジア選手権。しかし緊張の色は全く見られなかった。1回戦は圧倒的な力の差を見せつけて2回戦へと駒を進め、韓国のキム・ジェボクと対戦。ジェボクはかつて国際大会で個人タイトルを3つ獲得したベテランの優れた選手だ。敵国の大きな歓声などの国際大会独特の雰囲気に「のまれるような感覚があった」とは言うものの、落ち着きを失わず1で振り切った。3回戦では日本代表のキャプテンを務める長江光一(平22スポ卒=現NTT西日本広島)を2で抑えるという、飛ぶ鳥を落とす勢いで4回戦進出。続く相手も同様に日本代表、そして昨年度の早大主将の船水雄太(平28スポ卒=現NTT西日本広島)。船水雄の気迫のプレーにも一切自分のペースを乱すことはない。ファイナルにまでもつれ込むも攻めの姿勢を貫いて11-9でメダルを確定させた。2日目は日本代表の増田健人(和歌山県庁)との対戦。序盤から淡々と正確なショットを打ち込み、リードを保つ。攻めの体重が乗ったボールとしのぎのボールを使い分け、見事ことしの全日本シングルス選手権の覇者に白星をつけた。決勝では海外ならではのテニスに困惑する場面も見られたが、歓声を力にしてプレーする。そしてその瞬間は訪れた。ファイナルの激戦を制し、見事快挙を成し遂げ喜びにコートにしゃがみ込んだ。日本人では史上2人目、最年少での国際大会のシングルスタイトルを獲得。日本の内本が世界に名を轟かせた。
★惜しくも強敵の牙城崩せず
集中して大舞台に挑む船水
2度目の日本代表として国際大会に臨む船水颯人(スポ2=宮城・東北)は得意とするシングルスでの金メダルを見据えていた。8強決めで「この人に勝てたら本当の強さが得られる」と語った強敵のキム・ドンフン(韓国)と対戦。ドンフンの力強く、かつ正確なショットに序盤から苦しめられ、2ゲームを一気に連取される。左右に振られて持ち前のカバーリングで応戦するも、攻撃の手は緩まない。しかしここで終わる船水ではない。コーナーに鋭いサーブを打ち込みリズムを作ると、ベースラインぎりぎりを積極的に狙っていく。1ゲーム取返し1-2とするが、続く4ゲーム目は1ポイントも取れずに落としてしまう。そこからは反撃及ばず、敗退した。あす以降にメダル獲得の望みをかける。
★世界のカベに阻まれる
冷静にコートを支配した平久保
平久保安純(社3=和歌山信愛)もシングルスでのメダル獲得はならなかった。2回戦で同じく日本代表の深澤昭恵(東芝姫路)を冷静なプレーでファイナルの末に破り続く3回戦。第一シードの鄭竹玲(中華台北)に粘りのプレーを見せるも攻めあぐねてしまう。ことしの全日本王座決定戦では勝利した相手に2-4で敗退する結果となった。この雪辱は国別対抗の舞台で果たしてみせる。
(記事、写真 吉澤奈生)
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【連載】 アジア選手権直前対談 『日本一のその先へ』(11/13)
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コメント
▽1日目
内本隆文(スポ1=大阪・上宮)
――アジア選手権直前の調子はいかがでしたか
調子は正直なところあまり良くはなかったのですが、良くなかったからこそ吹っ切れてきょうはできたんじゃないかと思います。
――国際大会の空気感をどのように感じられましたか
国内開催ということで応援して下さる方も多いので、他国には負けないようにと思うところで、少し緊張したりはしました。独特の雰囲気というか、そこら辺に海外の選手たちが歩いているだけでも普段の大会とは全く違うので、それにのまれるような感覚はあります。
――韓国を始めとした外国選手の印象はいかがでしょうか
第一印象としては、やはり何を考えているのかが分からないということがありますね(笑)。こちらの意表を付いてくるプレーが多いので、それに動揺してしまい自分のテニスが崩れてしまうことがあるだろうと思ってはいました。でもきょうはそれも無くこっちがプレーすることができたので、良かったです。
――準々決勝のファイナルを勝ちきれた要因を振り返って
最初は相手に攻め込まれてそれにやり返すという形で3-0までいくことができたのですが、そこから相手がしのぐ形で全部つなげてラリーに持ち込んできたので、それに自分が合わせてしまい、ファイナルになってしまいました。でもファイナルからは切り替えて、キツいボールが来た時にはきちんとしのいで相手がつなげようとしている時にはそれには合わせないで自分から攻めていくように心がけて戦いました。
――ことしの全日本シングルス選手権でも対戦し、破れた相手です。そこからご自身で成長されたと思う点はありますか
あの時は先に自分から攻めていって先にミスをしてしまっていました。その時に比べて些細なミスが減ったのが良かったところだと思います。
――目標のメダルが確定しました、あすへの意気込みを教えてください
もうここまで来たからには、絶対に優勝を目指して明日も頑張っていきます。
▽2日目
内本隆文(スポ1=大阪・上宮)
――優勝おめでとうございます!金メダルを首にかけてみて率直な感想を教えてください
はい、いやあもう全然実感が無いというか(笑)。ほんまに自分がアジア選手権優勝したのか!?という感じなのですが(笑)。
――入学当初「日本代表に入ってチャンピオンになる」という目標を教えてくださいました
僕はやはり1番下っ端の立場だったので、向かっていくしかないなと思っていました。自分から先に仕掛けていくテニスをしたので、あまり狙ってやったという訳ではなく、その姿勢が今回は上手くいったのかなと思います。でも今回の優勝でそのテニスの仕方も変えていかなくてはいけないだろうなとは感じます。もうこれからは向かっていくだけの立場ではいられなくなるかもしれないので、狙っていくテニスも覚えなくてはならないなと。その立場にいても、逆に相手に立ち向かっていけるような強いメンタルと技術をこれからも上げていきたいと思っています。
――準決勝はとても良い展開でしたがご自身で振り返って
準決勝はめっちゃ上手くいきましたね(笑)。相手の方がすごくバックが上手な選手なので、角度をつけていくとさらに相手も角度をつけてきたりしました。なので、しのぐボールは基本的にミドルに打ち込んで角度をつけられないように意識していましたね。自分が攻める時には角度をつけたり、短いボールでカットしたりなどと攻め方に工夫をしたのが結果に出て良かったです。バックを狙われて、バックの打ち合いに持ち込まれると勝てないと思ったので、そうなったらすぐにコース変更をするようにはしていました。
――決勝は日本にないテニスを体感されたと思いますが振り返っていかがですか
いや…あの雰囲気には本当にのまれましたね(笑)。
――日本の観客の声援を聞いてプレーする感覚はいかがでしたか
本当にみなさんのたくさんの応援がありがたかったです。でも逆に「勝たないといけないんだ」というプレッシャーにも同時になったりはしました(笑)。その気持ちは決勝が終わるまでずっとあって、安心はできませんでした。
――このタイトルは今後に向け自信になっていくと思います、これからのさらなる目標があれば教えてください
僕はもともとダブルスをメインでやっているので、あしたのダブルスでも結果を残して頑張っていきたいです。優勝できるように一生懸命プレーします!