早大軟式庭球部の強さの理由
全日本大学選手権(インカレ)を目前に控えた軟式庭球部。ことしも優勝候補に名を連ねているが、その強さを生みだしている練習の様子をのぞいてみた。
★駆け引きする力を磨く
女子部の練習風景に注目した
相手が打ってくるコースを予測したり、自分が打つコースを試合の流れに沿って決める駆け引き。練習の中で駆け引きする力を身につけるのは難しい。ワセダでは、相手からの球出しに対してクロスに返球したあと、コースや打つ球の種類の縛りをなくし、相手と駆け引きをしながらゲーム形式で練習する。大会前には、駆け引きをする感覚を入念に確認し、試合に臨む
★サーブとレシーブの徹底
ダブルフォルトやレシーブミスは、試合の流れを変えてしまう。大会前に重視することとして永井里佳女子主将(スポ4=東京・文化学園大杉並)が挙げるのは、サービスとレシーブの精度を上げることだ。永井本人も言うように、確かに当たり前かもしれない。しかし、当たり前のことを徹底するということは、ある程度の努力が必要だ。選手たちは、時間をかけすぎることもなく、適当な時間の中で集中して練習に励んでいる。
★コミュニケーションが強みとなる
永井は私生活の部分でも、選手とコミュニケーションをとるように心がけているという。それがチーム全体に良い影響を与える。例えば、後輩は先輩に積極的にアドバイスをもらいにいく。あるいは、先輩に対して何かを提案することさえある。それは先輩後輩の壁を取り払い、練習内容の濃さにつながっている。1年生から4年生全員で、課題や反省を話し合い、次に活かしているそうだ。そしてなにより、このチームは雰囲気がいい。もちろん練習時は集中しているであろうが、練習が終われば笑顔が絶えない。そして、コーチや先輩へきっちりとみな挨拶して帰っていく。学年関係なく互いを高めあうために意見しあえるのは、この女子部の雰囲気あればこそだ。
★手テニスって?
練習前のアップ時に、選手たちは、重いボールを使って、「手テニス」というトレーニングをしている。サービスコート周辺で、ラケットは使わず、2回まで手を使って相手サイドへボールを返すというものだ。落としたり、追いつかなかったり、2回以上触ってしまうと、相手に点数が入る。これは、練習に入る前に体をあたため足を動かすためであるとともに、雰囲気づくりにも一役買っているのだ。
永井主将が強調していたのは、選手間でのコミュニケーションといい雰囲気をつくることだった。練習も、特別なことはあまりしていない。すべての選手が、自然体でテニスに励めるように、やりやすい環境を整えることが強さに結びついているのかもしれない。
(記事、写真 吉岡篤史)
コメント
永井里佳(スポ4=東京・文化学園大杉並)
――練習メニューは、毎回変わらないのですか
変えない部分もあるのですが、その時期の試合の課題や反省をみんなで話し合って新しいメニューを取り入れるようにしています。1年生から4年生みんなで話し合って決めていますね。
――では、逆に、いつもやる変えない練習はなんですか
前衛は、4コースのボレーアンドスマッシュです。後衛は、6本ランダムで打つ練習です。あと、駆け引きを意識する練習は結構しています。
――練習のなかで、駆け引きを身につけるには、どうしているのですか
最初はクロスに球出しをして、まず、その球を返球し、それからどこに打ってもいいという練習です。ゲーム形式のようにやっています。
――インカレ前なので、ゲームが多いとは思いますが、今の時期だからこそ重視している練習はありますか
サービスアンドレシーブやリターンの練習ですね。ここでミスをしないようにすることは当たり前なのですが、なるべく徹底して本番でしっかりできるように、再確認の意味も込めてやっています。やはり、サーブレシーブと駆け引きは、大会前に特に意識しています。
――監督が練習に来ないなど、練習は選手の自主性に委ねられている環境だとは思いますが、後輩に何かを教えたりすることはあるのですか
後輩自身から聞いてくることが結構多いので、それに対してアドバイスすることはあります。あとは、試合を見ていて、今のはこうした方がいいんじゃないかということを、アドバイスすることはあります。ワセダには自分から先輩に話を聞きに行くという選手が多いと思います。
――ことしの代をまとめてみると、どんな雰囲気で練習しているといえますか
私は、コートの中ではもちろん、私生活の中でもコミュニケーションをとるように意識しています。それが、試合の中での良い雰囲気につながっていると思います。また、先輩がアドバイスをして、後輩からも何かを提案してきたりと、お互いが話し合える環境を作ることで、試合にいい影響を与えていると思います。
――重いボールを使った「手テニス」とは、どんなルールなのですか
2回まで触っていいというルールで、2回目で返せなかったり、追いつかなかったり、ボールを落としたら点を取られるというものです。
――どんな意味のある練習なのですか
アップを長めにやっているのですが、初めに体をあたためたり、足を動かしたりする意味があります。あと、これをやることで、チームの雰囲気がよくなり、いい雰囲気になってから練習に入れるので、いいアップの方法になっていると思います。