選手たちの一年間の活躍を祝う

軟式庭球

 全日本大学対抗選手権(インカレ)で男子部は4連覇、女子部は2年ぶりの団体戦優勝を奪還。そして、個人戦でも次々と勝利を収めインカレ史上初の全冠を達成した。その快挙を祝し、OB、OGらが一堂に会して盛大に祝賀会が行われた。

インカレで活躍した選手たち

 男子部は『総合力』、女子部は『全勝』をスローガンに掲げて始まったこの一年。見事そのスローガンを体現してインカレでの全冠を果たしたことしを振り返り、小野寺剛監督(平元教卒=東京・巣鴨学園)、部を率いた船水雄太前主将(スポ4=宮城・東北)、小泉友梨恵女子前主将(社4=和歌山信愛)らが乾杯後に謝辞を述べた。男子部の滑り出しは決して順調ではなかった。春季リーグ戦では優勝は手にしたものの日体大の後じんを拝し、全日本大学王座決定戦では3連覇を逃す結果に。しかし船水颯人(スポ1=宮城・東北)、星野慎平(スポ1=奈良・高田商)、安藤優作(社1=岐阜・中京)らルーキーがチームに新しい風を吹き込み、そしてその新勢力が加わった軟式庭球部を船水雄・九島一馬(スポ4=宮城・東北)組がひとつにまとめ上げ、ついにインカレ4連覇という偉業を成し遂げた。一方女子部は、きょねんの悔しさを糧に、「ひとつひとつの試合を勝ち切る」(小泉前女子主将)との意味を込めて設定した『全勝』という旗印通り順調に滑り出した女子部。しかし、最も重きを置くインカレでは苦しまされる。3次戦にまでもつれ込み、絶体絶命の戦況まで追い込まれたがチームの柱、小林奈央(スポ4=香川・尽誠学園)・佐々木聖花(スポ2=東京・文化学園大杉並)組が気迫で勝ち切り、見事悲願の団体戦優勝を果たした。さらに、ことしの軟式庭球部を語る上で欠かせないのが世界大会である。日本代表には現役、卒業生合わせてワセダから9名が選抜され、男子は団体戦優勝、女子は団体戦2位という結果を残した。その場の代表選手たちへ喜びの表情を浮かべた小野寺監督から激励の言葉をかけられる場面も見られた。

丁寧に謝辞を述べる小泉

 男女共に『王者ワセダ』として頂点に君臨した軟式庭球部。勝つことが義務――。これから、より厳しい戦いになることは必至である。しかしきょう感じた周囲の支え、またそれに対する感謝を胸に、男子部は創部史上初のインカレ団体戦5連覇、女子部は連覇に向けて、選手たちはさらなる努力を重ねていく。

(記事 吉澤奈生、写真 三佐川唯)

※掲載が遅れてしまい申し訳ありません。

謝辞

小野寺剛監督(平元教卒=東京・巣鴨学園)

 ことしも祝賀会を開くことができたのも、平素より早稲田大学軟式庭球部にさまざまな形でご支援、ご鞭撻いただいている皆様のおかげです。心より御礼を申し上げます。ありがとうございます。全冠ということはインカレ史上初めての快挙であり、私も山形の地へ向かう途中で簡単には起こることではないと思っておりました。一昨年のインカレと同じ地で開催されましたが、その時を上回る厳しい暑さの中、インカレは始まりました。途中、早大で体調不良で棄権する選手もおりましたが、残る選手が懸命に努力してつかんだ六冠です。非常にうれしく思いながら帰路についたのを覚えています。ことしは4年生は就活のため、何回も山形と東京を往復して、中には直前に内定が決まる者もいるという非常に厳しい日程でインカレ本番を迎えました。他にも厳しい暑さに疲労がたまる者もいながらも皆頑張ってくれました。ここに出たインカレメンバーだけで勝ち取った優勝ではありません。平素から私が口にしているのは「結果の日本一ではなく、チームとしての日本一を目指す」ということです。ことし得た数々の優勝は実際に戦った選手だけでなく、応援やトレーナーを始め、選手がプレーに集中できる環境をつくり出してくれた部員のおかげだと思っております。自分が試合には出られないが頑張るということを早稲田大学軟式庭球部は実行していることに感謝します。改めてこの場で選手にも感謝させていただきたいです。ことしもこんなにもたくさんの方々に暖かい応援をしていただきありがとうございました。

船水雄太前主将(スポ4=宮城・東北)

 本日はこのような会を盛大に開いていただき誠にありがとうございます。私たちの最大の目標である、インカレ団体優勝という目標をことし達成し、4連覇を果たしました。このような結果を手にしたのも皆様のお力添えがあったからだと感じております。ありがとうございました。

小泉友梨恵前女子主将(社4=和歌山信愛)

本日は私たちのためにこのような会を開いていただきありがとうございます。またお忙しい中、足を運んで下さりありがとうございます。私たち女子部は、昨年の代交代の際に「一つ一つの団体戦をしっかりと勝ち切る」という意味を込めて『全勝』というスローガンを掲げて練習に取り組んでまいりました。リーグ戦を始め東日本インカレまでは順調に勝ちきりインカレを迎えました。インカレでは昨年と同様に三次戦にもつれ込み、マッチポイントを握られるところまで追い込まれましたが、そこで応援、選手、そしてチームが一致団結し戦うことができたので優勝をすることができました。このような結果になったのも平素からご支援、ご指導いただく監督方、先輩方、保護者の皆様のおかげだと考えております。今後は永井が中心となり、またインカレ優勝を目指します。これからも軟式庭球部をよろしくお願いいたします。簡単ではありますが謝辞とさせていただきます。ありがとうございました。

部を率いた4年生のコメント※代替わり時に収録したものです

船水雄太(スポ4=宮城・東北)

――早大の4年間を振り返って

本当に早稲田大学にはテニス面はもちろんですが人間的にも成長させてもらったと感じています。成績も最終学年に4連覇を達成できたので、大学に恩返しができたのではないかなと感じています。

――軟式庭球部で得たものは

テニス以外でも一流の社会人となることが僕の目標なのですが、一人の社会人として恥ずかしくないよう過ごしていくために必要なことを、OBの先輩方や監督から学ばせていただきました。そういった面が技術にも表れて、テニスでも大きく成長できたと感じています。

――1年間チームを率いて

最初はプレッシャーに感じることもありましたが、終わってみるととても寂しく思います。いまは寂しい気持ちでいっぱいですね(笑)。あれだけ日本一を目指して取り組んでいるのに、リーグ戦では優勝はしましたが日体大に負けてしまいました。王座でも台湾に負けてしまったり。やっていることをなかなか証明で<きず、苦しい時期にありましたが、そこでぶれることなく日本一を目指して来れてよかったと思います。

――逆にうれしかったことは

そうですね、やはり最後のインカレ優勝です。日本一の大学だということを最後の最後に証明できて、みんなで笑えたということが全てです。

――今季は『総合力』というスローガンを掲げられました

はい、本当にこのスローガン通りのチームだったと改めて感じています。大将ペアの船水・九島というペアという以外にも、船水・星野、安藤・安藤というそれぞれの組がお互いに無いものを補っていたように感じます。非常にスローガン通りだなと。それ以外でも、仕事や、トレーナーといったサポート面でも部員全員に助けられて過ごした一年間でした。『総合力』というスローガンに向けてみんなが一つになって頑張ってくれたと思います。

――それぞれ違ったペアだったということですがインカレメンバーそれぞれの持ち味は

安藤・安藤はしっかりと向かっていく、勢いのあるテニス、船水・星野は高い技術力があるので隙のないテニス、そして僕らはただ勝つだけではなく、チームに勢いをもたらす役割があったと思います。その3組が上手く大会でかみ合っていけたなと思いますね。

――四年間ともに過ごした同期に特別な思いは

本当に、勉強面でもスポーツ面でも同期に支えられた四年間だったと思います。同期がいなかったらここまで頑張ることもできませんでしたし、チームもこういった良いチームになることはありませんでした。本当に感謝しています。僕はテニスでしか示すことができないというか、上手く言葉で表すことはできないのですが、普段同期が後輩たちの面倒をよく見てくれて、チームの支えになってくれました。みんながいなければこの結果はありませんでした、本当にありがとうと伝えたいです。

――下級生にはなにか思いはありますか

インカレでも下級生が優勝を決めたり非常に持っている技術は高く、勢いもあると思います。取組みは日本一のことをしてきていると思うので、僕らの良い部分は残しつつ、さらに自分たちの色を出して行けば絶対に負けないと思うので頑張ってほしいです。僕らも引退してもしっかり支えていきたいです。

天内駿士(社4=青森・八戸工第一)

――早大の4年間を振り返って

高校まではレギュラーとして活躍してきた立場であったので、大学に入ってから大会に出ることができないという事実が受け入れがたい時期が最初は続きました。しかし『一人一点』というモットーが僕に軟式庭球部での居場所を与えてくれたような気がします。最後の4年目には、『総合力』というスローガンの下で、自分は応援団長としての役割が全うできたのではないかなと思います。

――応援団長として意識されていたことは

日ごろの練習から声を大きく出すことはもちろんのことですが、プライベートでも部員とのコミュニケーションをとることを意識していました。上下関係が良い意味でないようなチーム作りができたかなと思います。

――『総合力』というスローガンを振り返って

二年に上がる時まで一緒にいたチームメイトがこの言葉を残したのですが、その言葉を受け継いで、彼のことを忘れないぞという気持ちも込めてこの言葉を選びました。僕らの代では試合に出る選手は船水・九島だけで下級生が多かったですが、『総合力』というスローガンで僕らの居場所というか、僕らも一緒に戦っているんだぞという意識が芽生えました。

――四年間ともに過ごした同期に特別な思いは

僕はやめようと思った時期もあったのですが、それを話した時に小学校から同じ青森県出身としてテニスで顔を合わせてきた船水が泣いて止めてくれんたんです。四年間続けてきて、小中高とはまた違う、人生でこれからも大事にしていきたいと思える仲間ができたので感謝しかないですね。

――一言で表すとどういった学年ですか

一言か、難しいですけど(笑)。やっぱり、『総合力』ですね(笑)。一人一人が自分の役割を分かっていて、自分の役目を全うすることでチームの結束がさらに高まっていたような気がします。

――軟式庭球部で成長した点は

人間性ですね。僕はワセダの中ではテニスが強いわけでもないし、自己推薦のため勉強も抜きん出ているわけではありません。でもそんな僕でも社会に出た時に一流の社会人になれるよう、日々人間性を養うことを意識しながら生活してきました。

――下級生や今後のチームに向けってメッセージをお願いします

僕は結構先輩っこなんですけど、ここまで後輩と仲良くなれた一年は初めてで、すごく思い入れがあります。来年は前人未踏の五連覇を達成して、僕らのことを越えていってくれたらうれしいです。

住吉優征(スポ4=長野吉田)

――4年間を振り返って

一浪して入りたかった早稲田大学に入学できて、その大学での4年間も楽しかったので最高だと思います。

――今年の4年生はどのような学年でしたか

チーム思いで一人一人が意思疎通できているまとまりのあるチームだったと思います。また主将に関しては背中で語るタイプだったので、それもまたチームの一人一人が部のことを考えて行動する、いいきっかけだったと思います。

――4年生として最後の1年間は主務としてチームを支える立場でした。この1年間を振り返って

日本一のチームを主将と共に作っていくのは大変でした。しかし結果、優勝を手に入れ、とてもやりがいがあって自分自身の成長にもつながったと思います。

――やはり選手と主務の両立は大変でしたか。

主務としての仕事に時間を取られて、練習時間を確保するのだったり、その分練習の質をたかめたり、いろいろ大変な面はありました。

――後輩たちや同期にメッセージをお願いします。

同期には最高の仲間でありがとうと言いたいです。後輩たちには次の代にうまくタスキをつなげるように頑張れよと言いたいです。

水橋絢(教4=神奈川・桐蔭学園)

――四年間を振り返って

この四年間にいろんな苦労とか後悔がありましたが、インカレ団体4連覇や男女合わせて6冠を達成できたのは一生の宝になると思います。

――4年生はどのような学年でしたか

良い意味でみんな個性が強く、それをお互いがうまく理解しあっていた、さらにみんな良いところで自分の色を出すことができていて、チームワークが良いという印象のチームだったと思います。

――同期や後輩たちにメッセージをお願いします。

同期にはこれからお互い社会に出て別々の道を歩んでいくんですけど、4年間を共に過ごしたというこのつながりは消えないと言いたいですね。後輩たちには史上初の5連覇というプレッシャーに押しつぶされずに、優勝を目指して頑張れと伝えたいです。

九島一馬(スポ4=宮城・東北)

――四年間全体を振り返っていかがですか

良くも悪くも色々な思いをしてきましたが、4年間インカレに出してもらえてすごくよかったです。たくさん迷惑もかけたんですけど、自分が4年生として上に立って、王座(全日本大学王座決定戦)では負けてしまいましたが、インカレで勝って、韓国王座でも勝てて楽しかったです。

――最上級生としてことし特に意識されたことはありますか

前よりももっと一生懸命テニスをやるようになりました(笑)。そのくらいです。

――今後の目標や抱負をお願いします

ことしペアの船水が二回目の代表に選ばれていて、僕も船水と同じようにナショナルチームに入ってはいるのですが、まだ代表に選ばれたことがありません。来年から別の所属になってペアを船水と組めるか分からないですが、代表に入って世界大会でメダルをとりたいなという気持ちが芽生えてきています。この気持ちがなくならないうちに頑張りたいです。

武富光毅(スポ4=東京・早実)

――4年間続けてきた軟式庭球部を引退することになりますが、どのようなお気持ちですか

特に4年生とはやはり多くの時間を共有してきたので、これから会うことが少なくなったりするのかなと思うと寂しい気持ちはあります。

――ことしのスローガンとして総合力が掲げられてきました。この点についてご自身で意識されていたことはありますか

試合に出ているメンバーがどう思っていたかは分かりませんが、出ないメンバーでできることを見つけてできるだけ部に貢献していこうという話はしていたので、そういう意味で自分も少しずつできることを探してやってこれたかなと思います。

――競技を続ける上で原動力になったことはありますか

やっぱり続けてこれたのは、同期であったり、先輩であったり、後輩であったり、周りの人のお陰かなと思います。みんなに感謝です。

松岡裕次郎(社4=岡山・楊志館)

――この四年間を振り返っていかがですか

卒業するときに多くの人が言うことだと思いますが、最高の同期や後輩たちに囲まれたな、と思います。

――「総合力」というスローガンは達成できましたか

選手たちは試合に勝つのが一番ですが、応援の人たちも試合に出る選手をどうやったら盛り上げられるのかを一人ひとり考えて、チームがよりよくなっていくことを考えてやってきました。

――同期のメンバーへメッセージをお願いします

本当に単純な言葉何ですけど、同期には「ありがとう」としか言えないですね。

――後輩へ言葉をお願いします

インカレ4連覇して、周囲の人からのプレッシャーもより大きくなると思うんですけど、一番はテニスを楽しんで、さらに良いチームを作っていって欲しいです。

小泉友梨恵(社4=和歌山信愛)

――早大の4年間を振り返って

私は4年になってからレギュラーになったのですが、1年から3年の間はなぜ出られないのかと悩む時期もありました。しかし、いざその座についてみると、自分がやってきたことはまだまだ足りなかったのだなということにすごく気づかされました。それがわかったうえでレギュラーに入り、自分に足りなかったことを一つ一つ見つけながら戦えたことは、テニスとしても人間的にも成長できたと胸を張って言える四年間になりました。

――主将としての一年間を振り返って

いままでのキャプテンは技術的に長けていてチームに絶対的な勝利をもたらすというのが例年の形でした。私の場合は、同期の二人が日本代表だとかずっとレギュラーとして戦っていて、少し力が弱いと感じることもあった主将でしたが、やはり自分だけの力ではここまでできなかったと思います。振り返ると後輩に主務や副務の仕事をやってもらったり、普段の生活でも後輩が意欲的に練習に取り組んでいることを日々感じていました。やはり後輩ありき、同期ありきの一年間でした。みんなに感謝です。支えてくれてありがとうと言いたいです。

――『全勝』のスローガンを達成した気持ちを誰に伝えたいですか

個人的な話になってしまいますが、大学を機にテニスはやめようと思っています。まだ試合も残っていますが、ここまでテニスを続けさせてくれた親に感謝していますし、やはりつらいこともあったのですが乗り越えられたのは同期のおかげだと思っています。同期のみんなにも感謝を伝えたいです。

小林奈央(スポ4=香川・尽誠学園)

――四年間続けてきた軟式庭球部を引退することになりますが、どのようなお気持ちですか

学年関係なく皆でチームを盛り上げていくという面がワセダの良いところだと感じていて、最後のインカレ(全日本大学対抗選手権)もチームの皆と一丸となって戦えた結果が優勝となって結果に表れたのだと感じました。

――最終学年としてことし意識したことはありますか

特に意識したことはないですが、プレーで皆を引っ張っていけるようにしていけたらいいなと思っていました。

――今後、競技を続けられるご予定はありますか

いいえ、もう続けないです。

――今後、この軟式庭球部での成長をどのように活かしていきたいですか

テニスもそうなんですけれど、OB、OGの方と関わることも多くて、そこから学んだ色々なことを今後に活かしていけたらいいなと思います。

加瀬祐佳(スポ4=文化学園大杉並)

――最終学年として意識したことは

役職に就いていたわけではないですが、主将や3年生の主務をサポートして行こうと思って1年間やってきました。

――4年間を振り返って

技術的にも成長出来たし、また人間的にも成長出来る部活だったと思うので、ここまでやってきて本当に良かったです。

――卒業後も競技を続けますか

卒業後は続けないで、趣味としてやっていこうと思います。