【連載】インカレ全冠&天皇杯・皇后杯直前特集『FIGHTER』 第7回 船水雄太×九島一馬

軟式庭球

 ペアを組み始めてから約8年の歳月が経つ。母校・東北高校で初のインターハイ個人戦を優勝を達成し早大の門をたたいた船水雄太(スポ4=宮城・東北)・九島一馬(スポ4=宮城・東北)組。ワセダでも目覚ましい活躍を成し遂げ最後の4年目には早大軟式庭球部の精神的支柱まで務め上げた。チームの集大成である全日本大学選手権の全冠を振り返っていただくとともに、その栄光にたどり着くまでの二人が歩んできた道を伺った。

※この取材は10月3日に行われたものです。

新たな歴史を作り出す

部をまとめ上げた船水雄太前主将

――インカレ全冠を改めて振り返って

九島いやー。すごいですね。一番は団体で優勝して嬉しかったですが、ダブルスも連覇したいと思っていたので残念な結果ではありましたがダブルスに関しては後輩が勝ってくれたので。シングルスも船水が頑張って女子も気付いたら勝ってすごいですね。びっくりです。最初は全然気が付いていなくて、後から気が付いたときに「お~!」となりましたね。

船水全冠というのに僕も全然気が付いていなくて男子だけで三冠とかはあると思いますが男女で六冠はあり得ないと思ったので、結果的にすごいことをやっちゃったなと思いました。

――それはいつ気が付きましたか

船水男女でシングルスが最後にあって、時間差で交互であって、平久保安純(社2=和歌山信愛)がその前に優勝して、「てことは、あれ?」みたいな感じです。いつも他大もどこかで頑張って、絶対に負けてしまうのですが「僕のシングルスで勝てればこれあるな」と思っていました。

――プレッシャーは

船水いやもうだいぶありましたね。「これほんとに全冠じゃん」と思ってとても緊張しました。そこだけは結果だけを求めてしまって、これは一生ないなと思って緊張していました。

――九島さんから見ても緊張されていましたか

九島そうですね。いつもより朝から気合いが入っているなという感じはしました。

――全冠したことによる周囲の反響は

船水「すごいね~。どういうこと」みたいな感じですね。普段どんな練習しているのという反響が僕らの思っている以上にありました。

九島どんな練習しているのとめっちゃ言われますね。

――事前合宿でのチームの雰囲気は

船水チームとしても目標としている団体戦優勝にみんなで向かって行きましたが合宿から一人一人が苦しい時に声を掛け合っていて、四年間の中でも一番良くできたかなと思います。

九島合宿中二日間抜けちゃって、主務の住吉優征(スポ4=長野吉田)も抜けたりしていて、四年生にはすごく迷惑を掛けましたが、船水を中心に後輩もすごく声を出して付いてきてくれて良かったと思います。

――船水颯人(スポ1=宮城・東北)・星野慎平(スポ1=奈良・高田商)組はかなりプレッシャーを感じていたようですね

船水やはりあのプレッシャーは感じると思っていたので、僕らからしたら適当にやれよではないですが、結果はどうでも良いよと思ってやらせたつもりでしたが直前になるにつれて、調子を落としてしまっていたのでやはり考えることが多くてプレッシャーを感じているのかなと思っていました。

九島普通にやったら絶対負けないだろとか思っていたのですが、初めてのインカレでさすがに緊張する部分はあるのかなと思っていましたね。

――お二人とも一年時から出場されていますが当時を振り返って

船水すごく緊張しましたね。

九島もう具合悪くなりました。先輩もいっぱいいる中でまさか一年目から出るとは思っていませんでした。

船水選手層が厚くて、出ていない人でも活躍できたと思うので、いつでも代わるよではないですけど代わりの方も用意できているので負けられませんでした。

――でも結果は良かったですよね

九島四勝一敗かな。夢中でやっていたので結果はあまり考えませんでしたが、今振り返ると貢献できたのかなと思います。

――気持ちの変化は年々ありましたか

九島入った時はそこまでの思いがなくて、四年生と下の部分でどうしても気持ちの差があって、それはまだ分からないことが多いので仕方ない事ではあるのですが、がむしゃらにやっていくしかないなと思っていました。でも年が上がってきて後輩もできてきて、自分たちは試合に出ているわけなのでもうちょっとしっかり気持ちを持って、チームのためにという気持ちが出て来ましたね。下級生の時はそこまで考える余裕がなかったですね。

船水一緒なのですが、一年の時は自分のことで精一杯でしたが、学年が上がるにつれてコートに立っていない選手の分までという気持ちやワセダの伝統をつなぐためにということを思ってプレーするようになりました。

――負けを経験しない中での四連覇を目指した今季でしたがプレッシャーは

船水負けを経験していないからこそ怖いという気持ちはありましたね。試合に入ってしまえばもうやっちゃえという感じですが、その前の準備の段階では不安がありました。緩んでいないかなとかこれで大丈夫かなという葛藤がありました。

九島きょねんまでは上の学年に大将のペアがいたのでこの人たちがいたから良い意味で緊張感を持たずに試合に入ることができて、きょねんとかはそれがすごく良くて上手いこと勝てたと思います。自分らが今度そういう立場になったら、下手な試合はできないと考えると硬くなったりとか、やはり周りから四連覇はすごく言われるのでそこで意識してしまったりとかした試合もありましたね。自分らの代になって、自分らの代が大将として出るとなったらプレッシャーはすごかったですね。なおさらキャプテンの船水は感じていたと思います。

船水いえいえ、大したことないです。でも、その自分の年で勝てなかったら、というのもありましたね。

――この一年間大将としてチームを率いて

九島チームの中で頼られる存在だと思うのですが、一緒に出ているメンバーが強いのもあって、逆に僕らも気持ちの部分で颯人とか星野とかに支えられた部分は少なからずありますね。本当に助けられました。

船水大将でしたが、周りの下級生も良い子たちが多くて支えてもらったというのももちろんありますし、その分僕らも少しでもアドバイスとかをして、良い関係を構築して一年間過ごせたかなと思います。

――全日本大学王座決定戦(王座)で二位、春季関東学生リーグ戦(春季リーグ)では優勝したものの日体大に敗れましたが不安は

船水日体大に負けているというところでインカレの準決勝で当たりましたが不安はありましたね。王座は良い意味で海外のチームだったのでまだいいやと思いましたが、日体大に関してはインカレではここが山場だなと思いました。インカレでは、結果的に3-0でしたが、二番手の船水・星野組の勝負がどっちに転んでもおかしくない状況で勝てて、ちょっとした運でこっちの3ペアに勝ちがついたのではないかと思います。

九島インカレの時はそれまでの負けた試合はあまり関係なく試合をできたのではないかと思います。みんながどう思ったかは分からないですがインカレはインカレという気持ちで臨めたのが良かったかなと思います。

――決勝は同大戦でしたが優勝した時の気持ちは

九島正直、颯人たちがしっかり勝って僕らで決めたいなとは思っていました。でもそんなに上手くいかないので、安藤圭祐(スポ3=愛知・中京)が来年のキャプテンをやるということが決まっていたので、苦しい試合でしたが最後に安藤がボレーが決めて優勝した時は嬉しかったです。

船水自分で決めたいというのはもちろんありましたが簡単に勝つに越したことはないと思っていたので良かったです。そこでわざわざ負けて勝敗が分からなくなるよりはあそこできっちり決めてくれて良かったなと思いました。実はちょっとビビッていました。あれ負けたら最終戦だったので、これ負けたらいよいよだなと思っていました。優勝があるうちに勝ってしまった方が絶対に良くて、そこで決めてくれたのは良かったと思います。安藤が最後に決めたことも来年五連覇を目指すに当たって頑張ってもらう上でも良い要素になるのではないかなと思います。

――年間を通して下級生にかけられた言葉は

九島テニスとかではあまりないですね。でもテニスコートでは上下関係を気にして敬語を使ってきますがコートを出たらタメ語で話すくらい仲が良いので私生活の部分でチームワークや仲の良さを補ったかなと思います。学年を超えてご飯をいったりもするので仲は良いですね。

――九島さんのコメントにはいつも後輩の名前が出てきますよね

九島あまり意識したことはなかったですね。(笑)星野とかは同じアパートに住んでいて、きょねんまで小栗元貴さん(平27スポ卒=奈良・高田商)と高月拓磨さん(平27スポ卒=香川・尽誠学園)が同じアパートで、小栗さんが出たところに星野が入ってきました。安藤も一年の時から遊んだりしているので関係は近いっちゃ近いですね。僕が遊びメインで船水がテニスメインみたいなところはありましたね。(笑)

船水いやいやそんなことないよ。(笑)

――ではテニスメインからは

船水僕はキャプテンだったのでやはりそういう役目を果たさなければならないと感じていてそういうテニスメインでやっていたのですが、一年生とかに、大学と高校のテニスは全く違ってそこの変化に絶対みんなが苦しむのでそこをつまずきそうな時にアドバイスをしてあげたりとかですね。後は後衛なので安藤優作(社1=愛知・中京)とかとご飯とか行くのですが、コートを離れたところでちょっとコミュニケーションを取って、そこでインカレへの思いとかを伝えることで、「あ、四年生はこんなこと思っているのか」みたいな感じで上手いことやっていました。ちょこちょこ遊びで「インカレ頼むよ」みたいな感じでインカレに懸けている思いを出すことで一年と四年の間が開きすぎないように意識はしていましたね。

――お二人も先輩にご飯に連れて行ってもらったりとかはありましたか

九島そうですね。入った時から上の人に誘ってもらって行っていて良い関係が築けていたなと感じています。チームを作っていくうえで仕事とかの多い一年、二年は大事だと思うのでやはり四年生になって僕らだけが注意してではなくて下をしっかりと育てていかなければいけないなという思いはきょねんからありました。きょねんの四年生には一年の頃からお世話になっていて良い人が多かったのですが、個性が強すぎるがあまりバラバラになっていることも僕らは三年としてずっと見てきたので、学年で話し合った時からそういう会話はしたことがありますね。次の自分らの代を見据えた中でみんなで飲みに行ったり、話し合ったりはしましたね。

――今振り返ってことしはどのような代でしたか

九島言われたら全然分からないですね。

船水僕も全然分からないです。今までのワセダのキャプテンは結構注意したりとか結構言うタイプの人が多かったです。でも僕は何も言わないので、背中で語るというのが一番良いのでしょうけど、あれやれこれやれというよりも一人一人に任せていましたね。

九島船水とは高校の頃から一緒のチームで船水は高校の時もキャプテンでした。やっぱり船水が真剣に練習に打ち込んでいると雰囲気が締まるんですよ。勝手に周りもやらなきゃまずいなと思うんですよね。これだけ練習しているのにまだやるのみたいな。高校の時もこのままの主将でしたね。

船水僕らの高校のスタンスとして高校生らしいチームではなくて自主性を持って自分たちで考えろというチームで、それがワセダのスタンスともマッチしていてやりやすかったです。

――優勝してみんなでコートで抱き合う姿を見て学年を超えて一つになっているなと感じました

九島僕は三年間で泣いたことがなくて、自分らの代になったら泣けるかなとか思っていて、安藤の最後の試合を見ていてやはりこみあげてくるものがありましたね。やっぱ良いですよね。言葉は選べないですが優勝してみんなであのようになる感じが。あれを毎年経験できているからこそ、次の年もまた頑張ろうというモチベーションにもなりますよね。

船水普段からコート内外で接してきた後輩たちと一緒に日本一に向かって自主的に頑張ってきてしんどい時もほかの大学より頑張って練習して、最後それを証明して。苦しいことも全てが報われる感じがして涙が出て来ました。

――インカレのダブルスに関してですが、相手として見た時の安藤・安藤組はいかがでしたか

船水あの大会を通してコンディションが良かったので良いなとは思っていたらやられましたね。あまり普段負けないのですが試合の時は状態が良かったのでこれは負けても仕方ないなくらいの気持ちになりましたね。

九島優作は本当にミスがなかったですね。準決勝まで順当に勝ってきたけど、決勝は別物なのでコロッと負けるかもしれないとか思いましたがすごくしぶとく勝ち上がってきたので、試合をするのが嫌でしたね。

船水もう勢いをまとっていましたね。リードしても、これ勝っている気がしないなという気がしましたね。あっちの方が勢いがあるかつ冷静な判断ができていたのであいつらやばいなと思っていました。優作はタイミングがさえていましたよね。ちょうど嫌な時とかちょうど相手を攻める時に良い判断ができていたのかなと思いましたね。

九島前衛はずっと前見ているのでまだ良いのですが、後衛が動かされた後にというところまで考えるとしんどいですね。ゲームポイントを取られている時に前に来て、その一本でこのゲームを取られちゃうという状況になったら後衛も嫌だと思いますね。ラリーだったら展開でこっちに分があるので点を取れたのですが、一撃ではないですけどラリーをしないでポイントを取られると心を折られますね。粘り用がなかったです。

――後輩が優勝するというのは

船水嬉しかったです。同じチームで、ずっと校内戦でも船水・星野組、安藤・安藤組と競い合ってやってきていたのでその成果がそこで出て、優勝できたので良かったですね。この3ペアの内どこかが優勝すれば良いなともともと思っていました。3ペアでは磨き合いましたね。その後の飲みとかでも「安藤、あの時やばかったよな」と言ったら安藤・安藤も「あの時は自分らでも分からないくらい調子良かったです」とかのやりとりは良くしますね。あと僕らを倒した後の決勝で負けていたらと言う話にもなって、本当に勝ってくれて良かったです。

――さらに決勝は安藤・安藤組の相手が高校で同期の丸中大明・鈴木琢巳組(中大)でしたね

船水なんかね。

九島でもマルスズに勝たれる方が嫌です。練習している量も僕らの方が多いので負けて欲しくないという気持ちはありました。

船水ワセダは絶対他の大学よりも練習していますね

――続いてシングルスですが決勝はファイナルまでもつれましたね

船水そうですね。でも3-0からマッチ何本も取って「六冠あるぞ、六冠!」と思っていたら本当に手が震えてきて、そこからダメでした。勝ったから笑い話ですけど負けたら何やっているんだこいつはとなっていましたよね。いきなりボール入らなくなって動きが悪くなっちゃいましたね。

――事前合宿から疲労もかなり溜まっていると思います

船水そうですね。精神的にも疲労がピークですよね。もう記憶がないくらいしんどくて疲れていました。気力を振り絞りましたね。

――名取敬恩さん(スポ3=秋田・大館鳳鳴)との同士討ちは

船水あれも二回名取にマッチポイント取られて、もう終わったと思ったのですが名取がチャンスボールをミスしてくれて、そこから挽回して勝てたのですがそれを考慮しても何か持っていたなと思いました。名取からしたら本当にもったいなくて。本当にチャンスボールで、僕は走る気なくて諦めていたのですがそしたらネットして、「こんなことあるの、じゃあもう一本頑張ろう」と気持ち入れ直したら追いつきましたね。改めて思い出しても、サービスエースみたいなすごいのが来てフレームかなんかに当たってなんとか相手のコートに入ったので終わったと思っていたのですが、そういうこともあるんですね。でも、そこにも後輩の成長が感じられて嬉しかったです。

――優勝が決まった瞬間は

船水シングルスでインカレは終わりなので役目が終わったなと思うと同時に全冠のラストを自分で決められたという信じられない気持ちがありましたね。

九島すごいですね。気持ち的に船水は強すぎます。常人はここまで頑張れないです。

――やはり船水さんはストイックですよね

九島そうですね。それがどこから湧くのかがもはや分かりません。(笑)一種の病気ですね。(笑)

船水ことしは主将だったので自分が負けたら四年生とかも最後のテニス生活になる人もいて、ワセダに入ってやるというのは勉強との両立が必要でそうやっていけるものではないと思っていたので、その人たちのためにも、最後のテニス人生の思い出じゃないですけど絶対に日本一にさせてあげないと、と思ったら平常練習も帰って遊べないですよね。僕一人くらい背負って優勝できるなら良いかなと思っていたんですよ。僕一人が遊びとかで犠牲になって、遊ばずに練習してそれで最後みんなを日本一にできるのであれば僕一人くらい犠牲になっても構わないというかやり切ろうということを思っていました。それだけのモチベーションでやっていましたね。

――様々な思いを背負っていたのですね

船水全てを背負うというか仲間や応援してくれる人の思いを力に変えられたことが良かったかなと思います。

――話が戻りますが、全冠には女子部の三冠なくしては達成されませんでしたが、女子部の団体戦の熱戦は

船水いやもう鳥肌立ちましたね。マッチも相手に取られましたからね。

九島佐々木聖花(スポ2=東京・文大杉並)がボレーしてネットボレーになって、相手の前衛が焦ってくれて負けなかったですが相当ヒヤヒヤしましたね。

――女子部は昨年と展開が全く同じでしたよね

船水完全にマッチングしましたね。これやばいと思って。どうしようと思いました。

九島本当に言葉を失いそうになりましたが結果的に勝てて良かったですよね。

――見ていてどのような感想を持ちましたか

九島奈央ちゃん(小林、スポ4=香川・尽誠学園)がすごく頑張っていて、佐々木がもうちょっとやれば良いのにと思う時は何回もありましたが勝ち切ったというのは本当にすごいです。その次もまた試合してね。

船水二敗で回ってきて一回勝ってもまだ試合があるとか思うと僕は耐えられないですね。最終戦の最後で一試合頑張ったのに、マッチポイントしのいで勝ってもまた次の試合があるというのは気持ちが続かないのではと思いましたがすごいなと思いますね。

――ではワセダの強みは

船水他の大学よりは組織力というかチームでの役割も確立していますし、チームとしてしっかりしているところですかね。練習ももちろん一番やっているとは思います。一人一人のモチベーションの高さが違うのかなと思います。他大は一人二人が頑張って、後の人は遊ぶ感覚で試合に来たりとかありますが、ワセダは自己推薦とかでわざわざ熱意を持って入って来るので一人一人の気持ちというか熱意が日本一を目指す中で違うのかなと思います。ワセダはスポーツ推薦で一人二人しか取れないので、後の人は自力で入って来るんですよね。なので層は厚くないですがその分みんながチームに徹するのでインカレなどの勝負の試合は強いのかなと思います。

船水今船水の言葉を聞いていて一人一人のテニスに対する真剣さがあるのかなと思って、大会とかでも他大は負けてもヘラヘラしている人がいる中でワセダはそういった選手もいないし、次の大会に向けて考えているというかどうしたら良いのかという会話を良くペアでしている人が多いので、テニスに対して熱いと思います。

――ことしは特に四年生だけで一つのチームくらいのまとまりを感じました

船水やはり四年は四年で役割が決まっていたというか、一人一人が何をすべきかが決まっていた気がしていて、だからこそやって来られたと思います。

九島関係も良かったですね。近すぎず遠すぎず程良い感じで飲みにもよく言ったし、悪口も言えるくらいに気を使いませんでしたね。

――今季のスローガンが「総合力」でした。天内駿士さん(社4=青森・八戸第一)も「自分が応援することでチームが勝てたらそれで嬉しい」という言葉を以前インタビュー時に話されていました

船水やはり一人一人が自覚してくれていることが嬉しいですよね。天内も僕らが応援しろといったわけではなく、自分からやってくれていたので、本当に良いチーム作りにつながったなと思います。

九島一人一人がやるべきことを探して全うしてくれたなと思います。

最強集団ができるまで

――ここまで強いチームを作り上げるのに普段の練習はどういったことをされていますか

九島 時間は決まっているんですけど、2時半から5時までの間で授業入っていなかったら火曜から金曜までは自主練に参加するという形をとっています。だから別に誰と何をしても良くて、適当にペアを組んだり。自分がやりたいことができますね。

船水雄 土日にみんなで合同練習で、ゲームを多めにやって実践的な感じです。そこで見つかった課題をまた一週間持ち帰って、また土日の大会とか実践で成果を出すっていう形です。他の大学は平日も合同練習でみんなと一緒の練習で自分がやりたいことはできないこともあると思うんですけど、ワセダはこういった形を取っている分、自分がやりたい細かい部分や技術も追及していけるので、それがいい所かなって思います。

――通常練習では指導者がいないということですが、スランプのときなどはどのように立て直していますか

船水雄 僕実は2年間くらいスランプがあったんです。1、2年生の時だったんですけど、本当にその期間が長くて。でも他の人の試合を見たり自分で勉強しなきゃと思って動画を見たり、自分で追及しなきゃという気持ちでやっていました。高校の時も調子悪い時はありましたけど、アドバイスもらって直るのと違って、大学は長い期間かけて自分で考えて調子戻したり本当に自分の力でやるので、逆に自信にもなったしその分のメリットは大きいかなと。

――昨年のインカレで丸中・鈴木を倒した試合では調子がすごく良かったのが伺えました

船水雄 あそこから良かったです。前の年のインカレはもう、全敗で。あの丸中・鈴木との試合でどこか振り切れて、ダブルス優勝して、あれで負けていたらどうなっていたかわからないです(笑)。きっかけがありますね、やっぱり。

――九島さんはスランプなどは

九島 僕は大学の入りたての頃ですね。結果だけ見たら、コンスタントに結果を残せてはいたんですけど、1年生のころは桂さんと組んでいて、ペアを替わるのが高校からやってきて初めてだったので、加えて利き手も違うし、先輩にも気を使ってしまうしですごく緊張していました。高校から大学でのテニスも全く違いますし、動きたいように動けなくて、試合中に本当はこうしたいのに動けないということがすごくあって、本当に泣きたくなりましたけど、その時当時の前衛の先輩方に「こういったことってあるんですか」って相談乗ってもらって先輩に助けてもらいましたね。

――桂さんと組んだ後、また船水さんに戻りましたが、桂さんと組んだ経験というのは生かされましたか

九島 はい、1年間しか組まなかったんですけどいろんな相手とやる時に前衛としての引き出しを増やしてもらったというか、結構「こうしたらいいんじゃない」という会話もしてくれる先輩だったので自分にない考えや発想、取り方とかも気づかされましたし、すごくありがたかったです。

――監督が普段いらっしゃらない点でも、4年生の雰囲気がより大事になってくると思いますが意識していた点は

船水雄 そうですね、それが本当に重要だと僕らも感じていて。決められた時間にコートにいるまでは心を乱さないようにというか集中を切らさずやるようには心がけていました。4年生になって初めてコートに入ってから集中するというのは後輩からも違和感があるというか「4年生になってからやり始めたよな」って思われるのも嫌でしたし、そういった先輩も中には見てきたこともあったので、僕は入学した時からコートにいるときは、集中してやるように貫いてきました。

九島 僕もオンとオフの切り替えですね。決められた時間だけ集中して、僕ほとんど残って自主練とかはしたことがないんですけど、集中力が続く時間以外ははやっても無駄な時間を過ごしてしまう気がしていたので、その分決められた時間はしっかりやろうと心がけていました。

――何か言葉に出して言うのではなく、部員に自分たちがやっている姿で伝えるということは東北高校時代からしみついて来たものなのでしょうか

九島 先生自体もそんなに言う人ではなくて、試合とかも自分たちで模索しながらやっていかなければ意味がないという感じなので、実際入ったときにはすごくうまくても2年、3年って上がってきたら試合に出なくなっていく選手もいたし、やっぱり自分たちがどれだけ高い意識を持ってやっていけるかという環境でテニスをしてきたので、それはいまでも同じ気持ちです。

――やはりそのような意識で行ってきた練習を通してチームの雰囲気というのは変わりましたか

船水雄 はい、変わったと思います。あんまり僕らが言わないので、下級生みんな考えるようになって自発的な行動が増えたかなって思います。先輩たちにあれやれこれやれって言われるんじゃなくて、こうした方がいいんじゃないかなと自分たちで考えてやるという行動が非常に増えてきたと思います。うちのチームはそういった面の積み重なりでも強くなっていったなって。

九島 試合とかしていても結局は自分たちで積み上げてきたものしか残らないので。言われたことっていうのは意外とぱっと抜けてしまったり。捕り方とか打ち方とかもそうですけど、自分で研究を重ねてきたものしかやっぱり残らないです、自分の中には。

――新しいチームの印象は

九島 まだだいぶ初々しい感じは抜け切れていませんね。安藤もキャプテンをやることになってすごく大変なこともたくさんあると思いますし、安藤は性格的にも優しすぎる部分があるので。周りの3年生がしっかりカバーして、それに頼っていけたらもっと良いチームになるんじゃないかなと、きょうの段階では思いました。

船水雄 きょう、僕はあんまり見れていないんですけど(笑)。でも、ずっと一緒にいままでやってきて、高い意識を持ってテニスができる集団だと思います。しっかりと取り組んでいるチームなので、卒業しても結果がどうなっても応援したいなって思っています。

――弟である颯人選手とも1年間同じチームでやってきていかがでしたか

船水雄 颯人のことはもう、ライバルだと思っていて家に帰ったら一緒に住んでいるので兄弟なんですけど、お互いシングルスが得意っていうのとあってコートの中ではライバルです。

――今後ワセダのチームはどのようになってほしいですか

九島 応援されるチームになってほしいです。チームカラーはそれぞれだと思いますが、仲間のことを大切にして周りを巻き込むくらい良いチームになっていってほしいなって思いますね。

船水・九島とは

最初は仲が悪かったというお二人ですが終始笑顔があふれていました!

――チームの主軸という役割に加えて、日本代表やナショナルチームでの活動もあって、大学生活は多忙ではないですか

船水雄 めっちゃ大変ですね。インカレ終わった後からモンゴルとか行って、韓国も行きましたし(笑)。

九島 オフ、本当に1、2日くらいしかなかったし、そもそも日本にいないっていう(笑)。

船水雄 やっといま落ち着きました。やっぱりオンとオフの切り替えは非常に大事になってきますね、多忙なスケジュールの中でも。

九島 学校行けさえすればいいんですけど、もう疲れちゃって「本当に今日は無理だ」とか思う時もあって(笑)。大会行って帰ってくるのがぎりぎりの23時とかになった時とかは「あしたどうしよう」ってもう、本当にそんな感じです(笑)。でも僕はそれで授業に出ないこともあったんでいますごい後悔してますけど。

――単位の方は(笑)

九島 そうなんですよね、後期でもしっかり授業入っているので(笑)。それプラス卒論も書くってなって、本当につらいです、いま。

船水雄 僕はもう授業ないです。

九島 こいつ、本当授業取るの上手いんですよね!(笑)

船水雄 いやいや、上手いことかいくぐって(笑)。

九島 一緒に受けたりもするんですけど、僕はすごい1、2年生のころに遊んでしまって、つけがいま回ってきて。小栗さんとかと同じアパートだったんですよ、あの人もマジでぎりぎりで卒業したので(笑)。

船水雄 ぎりぎりです、本当にぎりぎりです(笑)。

九島 だからいまでも大会で会うと「お前、卒業大丈夫なの」ってよく聞かれるんですけど。まあ、実際大丈夫です、集中してます(笑)。

――二人とも教職も取っていたということでしたが実習はいかがでしたか

九島 実習生自体が全教科合わせたそもそも僕ら二人だけだったんです。すごい、異例のことらしいんですけど、そういったこともあってかわいがられたというかめっちゃ厳しくて(笑)。

船水雄 授業数も全部僕らが担当みたいな(笑)。結構うつになりましたね(笑)。いろんな話とかもしなきゃいけないし。

九島 かわいがられてといったらまあ聞こえはいいですけど、辛かったです。あの期間で4キロ痩せましたもん(笑)。全然ごはん食べれなくて。

船水雄 食べる時間とかも本当になかったですもん。次の授業の準備とか。

九島 ご飯食べるのも気まずくて。

船水雄 僕は逆に太りましたけどね(笑)。その期間はテニスしないって決めていましたし、できないっていうのも分かっていたのでその後、ビールとか飲みまくったらヤバいことになりました(笑)。落とすの大変でした。

――やはりソフトテニスの顧問として活躍されたのですか

九島 はい、先生にめっちゃ呼ばれて。行く時無いって言ってるのに「ちょっとだけ」って呼ばれて結局一番最後まで残されたりだとか(笑)。

船水雄 土日も全部大会だったので、宮城から千葉に出てきてまた授業して、次は国体予選で青森に帰って、休みがなくて、本当に詰め詰めのスケジュールだったんです。土日で休みはさめば、またそこで準備してちょっと休んで頑張ろうと思えるんですけど、その間「もういっそ早く負けて、準備してー!(笑)」と思ってた時に限って東日本一般決勝まで行っちゃって(笑)。

九島 いや、もう本当は出る気なくて。棄権しようと思ったんですけど、それ先生に言ったらちょっと怒られて(笑)。

――決勝は篠原・小林でしたよね

九島 そうです。いや、もう本当にあそこまで勝つと思ってなくて、ずっと二人で「授業ヤバい、授業ヤバい」って(笑)。でもあそこまで行って、あれは謎でしたね。

船水雄 謎でした。モチベーションもあんまりない状態で一応大きい大会だったので。逆に良かったなって、いい経験の一つです。本当に力がいい感じに抜けていて、相手は逆に勝ちたい勝ちたいって感じでやってきているので「あ、勝ちたがってんだな」って冷静な目で見ることができました。僕らは力んでないので(笑)。

――テニス欲もたまっていたのでしょうか

船水雄 たぶん、そうですね(笑)。すごい冷静に相手の嫌なところが見えました。インカレの安藤・安藤みたいな、そんな感じです(笑)。

――先生という体験はいかがでしたか

九島 生徒を扱うのは難しかったですね。やっぱりいろんな子がいるので。初対面でバリバリのため口で話しかけてくる人もいますし(笑)。僕いつもは怖いって言われるんですけど(笑)、そうやって来てくれる生徒がいてうれしい部分もあったんですけど、もういいやってなる時もありましたね。

船水雄 僕はすごく良かったです。非常にいい経験ができて、教師をやりたくなりました。

九島 でも船水は本当に、今すぐにでもやって欲しいって言われるぐらい評価が良かったらしくて。かたや、僕は相当苦しんで、「お前はダメだ」って言われて(笑)。

船水雄 何でしょう、僕は講習会みたいので全国を飛び回っていたのでオフシーズンとかに子どもたちに指導する教室に行くので、そういうのが授業とか、実技での声掛けとかに生きた気はしましたね。「みんな集合―!」みたいな(笑)。いろいろ講習会での段取りを思いだしながらやったら意外と評価が良くて、いい経験になったなって。主将のミーティングとかもそうですし、みんなよりも人前で話す経験が多い分、慣れていたのかなって思います。

――体育の先生ということでソフトテニス以外の競技もやられたと思うのですが、いかがでしたか

船水雄 僕はバドミントンですね。上手いことラケット競技をチョイスしていただいたので。一回、マット運動やるかみたいになったんですけど、それだけは本当に勘弁してもらって、バドミントンになりました(笑)。

九島 僕は硬式テニスだったんですけど、あれ全然別モノじゃないですか。打ち方も違うし。「ソフトテニスやっているから硬式できるでしょ」って簡単に言われて、僕教材研究とかもしてなかったんですごい怒られました。

――やはり、勉強も大変というのはワセダの特徴だと思いますが、なぜワセダを選ばれたのですか

船水雄 取り組みが外から見てもすごいことがわかりましたし、大学ソフトテニス界で1番応援されるチームだったので、やはりそこに行きたいという思いが強かったです。

九島 僕は大学は正直どこでもよくて、先生と監督さんが話をしてくれて「ワセダから推薦の話が来てるからどうだ」ってことで、行きますって返事をしました。いま振り返ってみたらテニスの面とか人間性とか色んなことを学べたのでワセダを選んでよかったなってすごく思っています。

――二人で一緒に選んだわけではないのですか

船水雄 僕が遅かったですね。最初に九島が決まっていて、僕は全然声がかからなくて。僕インターハイの日にベスト8に入らなかったら次の日が他大の願書提出日だったんですよ。で「ハンコもう押すから」って言われてて、ワセダに入りたかったので自己推薦でも、もう何が何でも(笑)。2泊3日の日程だったんですけど、初日終わった時に、監督に「ハンコ持ってるから、あした8に入らなかったらハンコ押すから」って言われて、ワセダに行きたかったから本当に嫌で。そしたら、ペアが頑張ってくれて(笑)、インターハイで優勝できて何とかワセダへの道が開けました。

――東北高校初の個人戦優勝ということでしたが、そのような裏話もあったんですね

九島 はい、いままで2位とか3位とかはあったんですけど。

船水雄 僕はもう気が気でなかったです(笑)。「負けたらハンコを押されてしまう」って(笑)。

九島 しかも船水の地元が青森なので船水のこと知っている人がいっぱい来るので、大変だったんですよ。自分がミスして負けたら、もう本当に合わせる顔無いじゃないですか。すっごい緊張していました。

船水雄 それがなかったら、僕本当に、いまこの場にいないすもん(笑)。

――オフの日は何をしていますか

九島 取りあえずすっきりするまでは寝て、起きたら部のみんなに連絡しまくって遊びに行きます。買い物が好きなので。

船水雄 買い物好きなんですよ。表参道によく行きます。

九島 忙しくてあまり買いに行く時間がないんですよ(笑)。これからが勝負ですね。

――お二人で遊びに行くことは

九島 いや、無いですね。ご飯はよくあるんですけど。

船水雄 遊びはしないですけど、きのうも一緒に飲みに行って。そういうのだけだったらたくさんしますね。

――高校時代から組んできたのもあって仲が良いのですね

九島 でも高校の時はめちゃくちゃ仲が悪かったんです。組みたての時とか特に。

船水雄 いやもう本当に、めちゃくちゃ仲が悪かったです。話したことなかったです。大学1年まで(笑)。

九島 私生活の会話がなくて、おはようすらないです。

――よく組まれましたね(笑)

船水雄 いやプレー面では必要としてたんですかね、お互いに(笑)。

九島 大学入って1年目はお互いのペアが変わって、そこからですね、ようやく話せるようになったのは(笑)。

――組まれていたのは高校1年生からですか

九島 いや中学3年の終わりからですね、別の学校でしたけど練習しに高校に行っていたので。だから、そんなに組んでるのにって相当仲悪かったですよ(笑)。

船水雄 いま二人並んでますけど、この距離ですら嫌でしたもん(笑)。

一同 (笑)

――何がそこまで嫌だったのでしょうか

船水雄 いやそれがなんか分からないんですよね(笑)。

一同 (笑)

九島 閉ざしていましたね、お互いに(笑)。

船水雄 なんかよく分かんないですけど、歩み寄ったら負けみたいに当時は思っていました(笑)。

九島 それに船水が中大の丸中とすごく仲が良くて僕が鈴木と仲が良かったんです。

船水雄 だからホテルも先生が船水・九島、丸中・鈴木で取っているのに絶対交代して(笑)。

九島 しかも、話さず暗黙の了解で(笑)。

――やはり、前衛・後衛の性格というのがあるのでしょうか

船水・九島 あー!それめっちゃありますね(笑)。

船水雄 後衛は結構真面目な人多いですね。真面目というか堅実な感じで。

九島 前衛は結構ちゃらんぽらんです(笑)。前衛はどっちが先に飛び出すか速いもの勝ちの度胸勝負なので。

船水雄 後衛は逆にリスクを冒さず繋げるという感じです。名取・加藤とかも僕らと一緒で分かりやすいですけど(笑)。後衛はそんな感じなんです。

九島 前も練習していて前衛が多かったんですけど、練習中雨が降ってきてみんなで「やばいやばい」って言って屋根のあるところに駆け込んだんです。5、6人はいたんですけど、それが全員前衛だったんです(笑)。

一同 (笑)

九島 後衛みんな普通に練習していて。笑えてくるくらいに、こうバッと分かれたんですよ。それ見て固まりましたもん(笑)。

――お二人はもう仲良くなられたんですか(笑)

船水雄 さすがに仲良くなりました(笑)。

九島 なりました、なりました(笑)。

一同 (笑)

――きっかけについて詳しくお願いします

船水雄 やっぱりまたペアを組み始めてですかね。1年間ペアが違ったので、2年で戻って本当にそこからですね。

九島 いろんな話をするようになりました。テニスの話から始まりいろんな話です。

――九島さんから見た船水さんの印象は

九島 いや僕は船水がうらやましいですね。こんなにテニスに取り組めるのが。いまになって思います。こんなふうに僕も取り組めていたら自分の実力が変わってきたかなって思うとすごいうらやましいです。

――船水さんのストイックさのエピソードは

九島 あ、こいつ炭酸めっちゃ好きなんですけど、炭酸禁止令を自分で出していて飲まなかったですよ。「俺飲めないんだよ」って周りに嘘ついて3年間我慢したんですけど、インターハイ前日にどうしても我慢できなくなって飲んでたんです。「飲めないんじゃないの」って聞いたら「いや、本当は我慢してたんだけどあしたのプレッシャーに我慢できなくて買っちゃった」って(笑)。

船水雄 いやもうほんとしょうもないですけど。あと1日我慢しろよっていう(笑)。炭酸好きなんですよ、でもプレッシャーに耐えかねて飲んじゃいました(笑)。

――3年間もすごいですね

九島 本当に、ジュース我慢するって相当ストイックですよね。

船水雄 いや、でも僕天然水がすごく好きなんですよ。僕実家が青森なので湧き水がめちゃくちゃ美味しくて、いつも入れて飲んでたので(笑)。湧き水本当に美味しいですよ!

一同 (笑)。

――逆に九島さんの印象は

船水雄 いや、もう本当にかっこよくて、テニスもうまくて、頭もよくて、非の打ち所がないというかすごいやつです。高校のころすごく九島はモテたんです。僕が彼を嫌いになったエピソードでもあるんですけど(笑)。高校は結構女子も試合に見にきているんですけど「あの子かっこいいよね〜!」って女子が九島のこと話していて、で僕がミスした時に「頼むからあの後衛ボール入れてくれないかな」って!(笑)

一同 (笑)。

船水雄 僕は「こいつのためにボール繋げてるんだぞ!」って(笑)。その時から嫉妬というか、「もう、九島はむり!」ってなりました(笑)。

九島 それ俺何もしてないのに嫌われてるんですよ(笑)。何も悪くない!(笑)

船水雄 いや、悪いよ!かっこいいのは罪なんだよ(笑)。高校の時は本当に九島は囲まれて、黄色い歓声がすごかったんです。

――組まれてお二人は長いですが、お互いしか知らない点というのはありますか

船水雄 あ、でも僕は思ってる以上にコート離れたらコートで見せる面と違うかもしれないです。

九島 確かに全然違いますよ。身内に見せている面と多分外から見る船水は違います。

船水雄 たぶん、会場で見る僕には固いイメージを持たれてると思いますけどオンとオフではっきりしていると自分でも思います。

――インカレに向けての意気込みの旗に「ラスト船水スペシャル」っと書いてあるのは意外でした

九島 そうです、そんな感じです(笑)。

船水雄 いや、ラストなんで、スペシャルなので(笑)。

九島 「情熱」とか、「一球入魂」とか書きそうですよね(笑)。

船水雄 いや、ラスト船水スペシャルです(笑)。

――九島さんの意外な点は

船水雄 根は真面目なんです。たぶん真面目にやっているところを見られるのが恥ずかしいんです。実はだれも見てないところで努力するんですよ。

九島高校の時からそうでしたね 。自分が頑張っているところは見られたくないです。

船水雄 いつもは「俺適当だし」とか言ってるけど、本当に裏では頑張ってるんですよ。影の努力家です。

――4年間で成長した部分は

船水 人間力です。OBの方と接する機会も多かったので、考え方とか社会性とかが身につきました。

九島 自分も一緒で、学年が上がるにつれて監督やOBの方と接する機会が増えて言葉遣いだったり学ぶことが多くありました。ここじゃなければここまで成長できませんでしたね。

二人の瞳に映るもの

天皇杯での活躍を誓った九島

――今後重きを置いている大会は

船水雄 天皇杯ですかね。

――天皇杯での目標は

船水雄・九島 優勝です。

船水雄 天皇杯だけは僕たち苦手なんですよね。時期が悪くて。

九島 10月11月はインカレが終わった余韻もあって抜けてしまうのが反省点なんです。

船水雄 逆に社会人の大きい大会は1ヶ月くらい後にあるので、ちょうどそれが天皇杯の直前くらいまでですね。だから集中力が切れずに迎えられるというか。そういうこともあって、社会人を倒すのは毎年なかなか難しいんですけど、ことしは頑張ります。

――天皇杯までに調整したい部分は

九島 でも、確実に練習する機会というのは代替わりしてから減っているので体が動かないっていうのだけは避けたいなって思っています。トレーニングに力を入れなければなと。

船水雄 僕はストロークとか、最低限のところですが自分の長所に的を絞って練習をメインにしていきたいなって思ってます。

――二人で組まれるのは

船水雄 それが別々の進路なのでまだ分からないんですけど、とりあえず確定しているのは今シーズンまでです。

――それでは、かける思いもことしは一番強いのではないでしょうか

船水雄 はい、強いですね。勝ちたい気持ちも大きいんですけど、やはりそこが難しいところで意識しすぎると体が硬くなってしまうので。自分たちの良いところを最大限に出し切れればと思います。

九島 そうですね、僕自身も勝てるとしたらことしだというのは感じてますし、いままでもそんなに力の差があって負けたわけでは無いと思います。ちょっとしたミスとか、後一本というところなのでとりあえずは3日目の壁を越えたいです。

――二人で出た試合で一番印象に残っている試合は

船水雄 僕はインターハイもですが、3年目インカレでのダブルス優勝です。復活というか、自分がいままで本当に勝てなくてスランプから脱却できた試合なので。それまで、もう僕のことを終わったと思っていた人もいたでしょうし、そこでやってやったぞというのが強く印象に残っています。

九島 僕は完全に高3のインターハイです。その時は仲が悪かったですけど、もう優勝した瞬間に抱き合うくらいだったので(笑)。相当うれしかったです。個人戦で初めて獲ったタイトルだったので格別でした。

――天皇杯で意識したペアは

船水雄 いやでも、普通にやれば勝てるくらいには自分たちのレベルが上がってきていると思うのでそこまでは意識していないです。

――ダブルフォワードの篠原・小林(日体桜友会・ミズノ)はいかがですか

船水雄 そこはまた別ですね。でもそろそろ倒したいです。

九島 若い世代が倒して行かなければとは思っています。僕らがミスをしなければ対抗できるところまでは来ていると思うので、あまり考えすぎないようにという感じです。

――最後に今後の意気込みをお願いします

船水雄 世界チャンピオン目指して頑張ります。

九島 船水が日本代表に選ばれている中自分はナショナルチーム四年目で、一般の企業を受けてテニスをやめようと思ったこともあったんですけど、ペアが第一線で戦っているのを見て悔しくて続けることを決意しました。僕も船水と同じ舞台に立って世界チャンピオン目指します。

――ありがとうございました!

(取材・編集 和泉智也、三佐川唯)

意気込みを一言で書いていただきました!

◆船水雄太(ふねみず・ゆうた)(※写真左)

1993年(平5)10月7日生まれ。身長178センチ、体重72キロ。宮城・東北出身。スポーツ科学部4年。何式庭球部の大黒柱を務めた船水雄太前主将。とにかくテニスに関しては熱くストイックな面を持つそう。主将として部を背負う覚悟を語ったコメントには、軟式庭球部への情熱と頂点の座を獲るという確固たる意志がありました!船水雄主将のその熱い思いがあったからこその全冠という偉業だったのでしょう!

◆九島一馬(くしま・かずま)(※写真右)1994年(平6)1月22日生まれ。身長183センチ、体重74キロ。宮城・東北出身。スポーツ科学部4年。取材中、明るく場を盛り上げてくれた九島選手。しかし、ソフトテニスの話になると表情が一変。真剣に語る様子から4年間ワセダの一戦で戦ってきた経験が伺えました!