34回目を迎えた全日本大学王座決定戦(王座)の決勝は、4連覇に挑む早大と関東学生春季リーグ戦(リーグ戦)を制した日体大がデッドヒートを展開した。準決勝で中京大を2-0で退け、波に乗った早大は果敢に攻める姿勢を貫く。序盤こそ、日体大のロブ展開に苦しむ場面もあったが、慌てることはない。ジュースになってもゲームを取りきる、まさに王者のテニスで4連覇の金字塔を打ち立てた。
予選トーナメントを良い形で勝ち上がってきた早大。1番手は永井里佳(スポ2=東京・文大杉並)・大槻麗女子主将(スポ4=広島翔洋)組。しかし、試合開始直後から力強く踏み込んだストロークを敢行してくる中京大に苦戦し、あっさりと第1ゲームを落としてしまう。第2ゲームもジュースが何回も続く白熱した展開に。だが、ここで崩れないところがこのペアの強みだ。アドバンテージを得ると、「どんなボールが来ても攻め、後衛同士で粘った方が勝つ」(永井)との言葉通り、きっちりと相手のフォアを封じ、キレのあるショットを絶妙なコースに決めた永井の活躍で、このゲームを取る。すると、第3ゲームからは終始早大のペースで進んだ。大槻がボレーを決め始めると、相手も前衛を警戒して思い切ったラリーを展開できなくなる。大槻は、その後も相手後衛の決め球をいとも簡単に無人エリアへと突き刺す見事なラケットコントロールを見せ、ボレーの威力、コントロール共に大学トップクラスであることを改めて証明した。続く2番手の小林奈央(スポ3=香川・尽誠学園)は貫禄のストレート勝ち。この時点で2-0となり勝負あり。決勝進出を決めた。
主将としての役割を全うした大槻
決勝の相手は、リーグ戦で早大に勝って優勝を飾った日体大。早大の選手たちが燃えないわけがなかった。1番手の永井・大槻組は決勝でも抜群のコンビネーションで日体大を寄せ付けない。6ゲーム中、3ゲームがジュースという接戦だったが、要所でポイントを奪ったのは永井・大槻組。冷静に戦況を見つめ、勝負所で鮮やかなスマッシュを決める判断力が日体大を上回っていた。そして、優勝を決定付けるべくコートへと飛び出したのは早大のエースへと成長した小林。小林は、予選リーグ、準決勝とスライスを有効活用し相手を翻弄(ほんろう)していたが、決勝では鋭いフォアを次々と打ち込んだ。「相手は1番が負けてきたので、自分から攻めれば勝てると思った」と照れながら話した小林。途中ピンチもあったが、ここでギアチェンジできるところはさすがエース。一段と鋭く、球威の増したショットをアウトラインのぎりぎりに打ち込み4連覇を果たすと、東京体育館に歓喜の輪が広がった。怪我を抱えている状態のなかで日体大のエースを全く相手にしなかった。
チームメイトから全幅の信頼を得る小林
実力はあるのに勝ち切れなかったリーグ戦。足りないのは、チームとしての一体感だった。実力とチーム力はイコールではない。従来の早大であれば、流れが悪くなると応援の声も小さくなっていたが、きょうは違った。応援する側はプレーする選手を信じ、選手は自分自身を信じた。敗戦から成長したこの2ヶ月間は間違いなく集大成となるインカレの団体戦へ向け、土台となるだろう。大槻は、「自由で明るいチームなので、練習で辛いことがあってもみんなで笑ってインカレまで過ごしたい」と笑顔を見せた。
(記事、写真 和泉智也)
4連覇に笑顔を見せる女子部
結果
▽準決勝
早大○ 2―0中京大
永井・大槻○ 5―1 大椙・北島
小林 奈央○ 4―0 吉井詩乃
▽決勝
早大○ 2―0 日体大
永井・大槻○ 5-1 奥村・黒木
小林 奈央○ 4-1 中野 愛美
コメント
大槻麗女子主将(スポ4=広島翔洋)
――決勝トーナメントを総括して
気持ちで向かっていくしかないと思っていました。1番で出てきたペアにリーグ戦の時に負けたので、気持ちで負けないで最初から攻め、弱気になるところがなかったことが良い結果につながったと思います。
――第2ゲームからはジュースが続きました
そうですね。ペアの人とも、ジュースになっても取られる気がしないと話していて、弱気にならなかった部分が非常に良かったです。2ゲーム目が非常に大きかったです。ジュースになってからも取り切れることが強みだったと思います。後輩もジュースになるまではしっかり打っていきますと言ってくれたので動きやすかったです。
――準決勝で、1-1からは圧勝でしたが
相手が同期で仲も良いのですが、知っているからこそ特徴を抑えて流し流しを抑えてということを最初から話していました。相手がすごく見てくれていて、相手が自分でミスしているという感じです。 こちらが自分たちのテニスを変えずにプレーすることが出来たという事が一番の勝因だと思います。
――日体大に勝てたポイントは
応援組です。リーグ戦で負けた反省として応援する側が、選手がミスをした時に一緒に盛り下がってしまうことが多かったです。なので、ミスした時こそ応援する側がより声を出して盛り上げてくれたという部分が大きかったです。
――インカレに向けてどのようなチームを作りたいか
今年のチームはすごく明るくて、1年生も人数が多いのですが自分のやるべき事をしっかりとやっています。早大は日体大のように厳しい環境という訳ではありませんが、自由に明るくやっているチームなので、練習とかで辛いことがあってもみんなで笑ってインカレまで過ごせればと思います。
――インカレに向けての意気込み
優勝を目指して、優勝しかないので、みんなで力を合わせて頑張りたいと思います。
小林奈央(スポ3=香川・尽誠学園)
――3日間を振り返って
いま怪我をしていて、不安な部分はありましたが自分たちのやる事ができたので良かったと思います。
――準決勝ではスライスを有効的に使っているように感じましたが
はい。やはり上に上がってくると打つだけではダメなので、スライスも入れてうまく組み立てていこうと思い使っていました。
――決勝では攻めの姿勢を強く感じましたが
相手は1番が負けていていたので、精神的にも追い込まれていると感じていました。なので、自分からどんどん攻めていけば勝てるなと思ったので攻めていきました。
――リーグ戦から王座に向けてどのような点を意識して取り組んできたか
今までずっと負けてきていまっていたのですが、王座はインカレの前哨戦ということで、自分たちのやることをしっかりとやれば負けることはないと大槻さんが言っていてそのことを頭に入れながらプレーしました。
――インカレに向けて一言
インカレでも全勝して、優勝できるように頑張っていきたいと思います。
永井里香(スポ2=広島翔洋)
――決勝トーナメントを振り返って
4連覇が懸かっていて、かつ4年生と組んでいたので4連覇させたいという思いが強くありました。どんなボールが来ても攻めていくことが2人で実践できたので、良い結果になったと思います。
――大槻女子主将とのコンビネーションは
組み初めの頃は難しい部分もあったのですが、互いを信頼するようになってきたのでそこが一番良かったと思います。
――ロブ展開が続きました
詰めることも大事ですが、後衛同士で粘った方が勝つと思っていたので最終的に粘れて勝てたと思います。
――インカレへの意気込み
インカレも4連覇が懸っていて、インカレはダブルスが3本なので思いをしっかりと持って、4年生を優勝させたいと思うのでまたあしたから頑張っていきたいと思います。