【連載】インカレ直前特集『Keep it Real』【第5回】小出拓実×中内俊太朗×渡邊幸太

男子ソフトボール

 第5回に登場したのは、3年生外野手の小出拓実(人3=東京・杉並)、中内俊太朗(スポ3=東京・筑波大付)、渡邊幸太(人3=千葉・市川)の3人。チームを引っ張る3年生に1年間の振り返りや全日本大学選手権(インカレ)への意気込みを伺った。

※この取材は8月22日に行われたものです。

「(同期は)自分も頑張らなきゃと刺激を与えてくれる存在」(中内)

分析班としてもチームを支える中内

――他己紹介をお願いします

小出 中内俊太朗君です。外野を守っていて自分と同じ出塁組として、バンバス(バント、バスター)に取り組んでいます。練習も真面目に取り組むし、外野からの送球も肩が強くて、そういうところがすごいなと思っています。

中内 渡邊幸太君です。みんなからはなべちゃんと呼ばれていて、途中入部ですがめちゃくちゃバッティングが良くて、公式戦初打席で本塁打を打ったとんでもないバッターです。愚直に努力出来て、冬のトレーニングで体も強くなって、インカレでは1打席目に本塁打を放ってくれるのではないかと思います。

渡邊 小出拓実君で、みんなからはデックスと呼ばれています。チーム1の脚力の持ち主で、とりあえずデックスが打席に立てば何か起こるだろうと、安心して見させていただいております。

小出 ありがとうございます。(笑)

渡邊 脚力を生かして守備範囲も広く送球も安定しているということで、不動の1番打者兼不動のレフトだと感じています。

――お三方の中でまとめ役のような存在はいらっしゃいますか

渡邊 問答無用で中内です。

小出 俊太朗かなと。外野ノックをした後、毎回反省点を言ってくれているので、そういうチーム全体を見ているというか、リーダー的存在に近いのかなと思います。

渡邊 彼は分析を担当しているのですが、その分視野が広いというか、技術的な分析だけではなく精神的なところも幅広く見えているので、助言してもらったりしています。

――外野の連携で意識していることはありますか

中内 コミュニケーションです。試合中でも一球ごとに、例えば、「このバッターはタイミングが遅れているから寄ってみよう」というように、常に話をしています。今までは外野手がそれぞれのエリアを守るというような認識でしたが、最近は外野全体を3人で守るという意識に変わってきました。

――お三方とも3年生ですが、同期はどのような存在ですか

渡邊 僕は途中入部で昨年の12月に入部しましたが、入部を決めた理由の一つとして、仲間と一緒にいて本当に楽しかったというのがあります。冬場の練習はきつく、今の夏の練習も大変ですが、お互い励まし合える仲間がいるというのは非常に大きいと思います。

中内 同期とは普段から一緒にいることが多くて、盛り上がれる人たちが集まっているので、一緒にいて楽しいというのが一番です。また、みんな試合に出ているので、自分も頑張らなきゃと刺激を与えてくれる存在だなと思います。

小出 自分も入部したのが1年の7月で途中入部でしたが、それでも快く受け入れてくれて、同期は縁があって集まった人たちなので、すごく大切な存在です。

「春季リーグ戦は冬にやってきたことの成果が出た大会」(小出)

リードオフマンとして出塁が期待される小出

――昨年の東京都大学連盟秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)を振り返っていかがですか

小出 昨年の秋季リーグ戦は、リーグ戦首位打者を獲得したこともあって、一番成長したというか、昨年のインカレの悔しさをそこにぶつけて初めて試合で結果が出たという感じなので、率直にうれしかったです。

中内 自分は昨年の秋季リーグ戦は全く打てなくて、1年の秋のときの方が結果が出ていたので内心とても焦りがあったという大会でした。4年生が引退し上級生として自分たちも主体となっていくという中で、周りは試合に出て活躍して、自分は結果が出せなかったので、悔しさが一番大きかったです。

――秋の試合を踏まえて、冬の期間で重点的に取り組んだことはありますか

小出 週6日練習する中で、3日くらいはずっとウェイト室でトレーニングをして自分たちの体を追い込んでいました。秋季リーグ戦は5位だったこともあり、春以降のためにみんな必死に体力強化に取り組んでいた期間でした。

中内 ウェイトをしていなくても、走っているかバットを振り込むかだったのでめちゃくちゃきつかったです。でも、みんなでやり遂げたのでそこは達成感がありました。

渡邊 僕は高校野球を引退してから3年間くらいのブランクがあったので、まずは高校のときくらいの体に戻すというのを目標にして、無理をしないように徐々に強度を上げてやっていました。

――東京都大学連盟春季リーグ戦(春季リーグ戦)と全日本総合選手権(全総)東京都予選会を振り返っていかがですか

小出 春季リーグ戦は冬にやってきたことの成果が出た大会かなと思っています。まず、本塁打の数が昨年までと全然違っていて、今までコールドで勝てなかったような相手にコールドで勝てるようになれたので、冬に体力強化してきて良かったです。

中内 本当に長打力がついてきたなとチームを通して感じられたのが春季リーグ戦だったと思います。その中で、全総も含めて少しレベルの高い投手を相手にしたときに、なかなか結果が出ないというところで、冬の取り組みの成果と新たな課題の両方を得ることができた春の公式戦でした。

渡邊 自分が部に入って初めての公式戦という中で、結果的にビギナーズラックみたいな本塁打もあり、打率5割という成績を収められたのは自信になりました。しかし、途中で腰を痛めて最終戦も出られなかったり、その後も肺を手術したりなど体のマネジメントに苦戦しているので、しっかりしていきたいと思います。

――東日本大学選手権(東日本インカレ)ではバントやバスターを多く取り入れていましたが、手応えはいかがでしたか

小出 自分はあまり結果が出せなかった大会で、バントとバスターの精度がまだ足りなかったかなと。春季リーグ戦が終わってからずっと取り組んでいましたが、2か月のその期間で標準を合わせられなかったというのは悔しさが残っています。

――1年間の中で印象に残っている試合はありますか

中内 春季リーグ戦の国士館大戦です。畠山(陸、スポ3=高知西)の本塁打で0対1で勝った試合ですが、自分は分析班で大坪投手(大坪優也)の分析を担っていて、大坪からチームがどうやって得点できるかということをメインに考えていた中で、畠山の本塁打1本のみというところで。プレーヤーとしてなかなか結果が出せずにいて、それ以外にできることは分析だけで、その後の東日本インカレも(国士館大戦で)0対1で負けたというかたちで、チームに貢献できていないと感じるところがありました。(春季リーグ戦では)勝ちはしましたがかなり悔しかったので、とても印象に残っています。

渡邊 春先に埼玉県庁と練習試合をする機会があって、それが自分にとっては初めての実践的な試合でした。そこで2試合に出て7打席くらい立った中で4三振か5三振して、どれだけ自分のイメージとずれているのかを明確にすることができました。初めての試合でこのままではダメだという気持ちになれたのが良かったと思います。

小出 東日本インカレの国士館大戦は悔いが残る試合でした。春季リーグ戦で3三振した国士館相手に、東日本インカレでも3打席無安打と、チームから出塁を求められているのに1回も出塁できなかったので悔しかったです。また、バント・バスターで相手の内野を動かして塁に出ようと思っても、全然うまくいかず、練習試合でうまくできていたことが公式戦で全く発揮できなかったというところで、自分を見つめ直す機会になりました。

――1年間を通して見つかったチームとして課題はありますか

中内 ソフトボールは打つだけではやはり厳しいんだなと。監督さん(高杉聡監督、平10人卒=群馬・前橋育英)や吉村先生(吉村正総監督、昭44教卒=京都・平安)にもよく言われるのですが、「点ではなく打線、さらには打円」という途切れない攻撃をしないと日体大やIPU(環太平洋大)には勝てないということを、強打でやってきてその後バント・バスターを取り入れてやってみて、身をもって感じられました。

「先輩方に恩返ししたい」(渡邊)

強みはバッティングだと語る渡邊

――続いてインカレの話に移ります。インカレまで3週間を切りましたが現在の調子はいかがですか

小出 今はバント・バスター以外にもしっかりと打って内野の間を抜くということも頭に入れて、様々な攻撃バリエーションを駆使して相手チームの内野だけではなく全体と勝負するということを心がけています。調子はだんだんと上向いてきたのかなと思います。

中内 なかなか結果が出なくてチームに迷惑しかかけてないですが、最近は稲井さん(稲井宏平副将、法4=埼玉・早大本庄)に厳しいことを言われながら練習に付き合っていただいたりしていて、まだ結果は出てないですけど、チームにどう貢献していくかというかたちは見えてきているので大丈夫だと思います。

渡邊 先月に肺気胸になってしまい、手術をして、今週から練習に復帰するようになりましたが、体重も大幅に減り体が全然動かないという状態が続いてしまっています。あと3週間でどれだけ戻せるかというのは厳しいものがありますが、一つずつ徐々にやっていけば何か見えてくるものもあると思うので、腐らず焦らずやっていきたいです。

――選手ご自身の強みと課題を教えてください

小出 強みはやはり足だと思うので、どれだけ塁に出てチームに勢いを持ってこられるかだと思います。課題としては外野の守備で、ランナーが2塁にいるときに安打が出ると点を取られるという状態になってしまっているので、そこをあと3週間でランナーを刺せるようになるかというところです。

中内 自分が結果を出せば周りは盛り上がってくれると思うので、

小出、渡邊 間違いない。

中内 チームを勢いづけられるかなというところが強みで、課題は結果を残すことだけだと思うので、特に攻撃で1打席1打席集中して結果を出したいと思います。

渡邊 自分の強みはバッティングだと思っていて、逆に経験が浅い分怖いもの知らずという感じでどんどん振っていけて、フルスイングすることで結果は出なくてもチームは盛り上がると感じているので、そこは継続してやっていきたいと思っています。課題として経験の浅さから野球とソフトボールの違いに戸惑うことがあって、試合で思うように動けないことが起こり得るので、練習からみんなの動きを参考にして1個ずつ学んでいきたいと思います。

――インカレの組み合わせをご覧になっていかがですか

小出 すごい組み合わせですねとしか言いようがない。(笑)

中内 エグいよね。(笑)

小出 とんでもない組み合わせなので、見た瞬間驚きました。

――今年は日体大に2連敗しているということで意識しているところはありますか

小出 どうしても強打のチームのイメージがあるので、守備から流れを作っていって、自分や出塁組がしっかり塁に出れば勝てるんじゃないかなと思います。

中内 昨年のインカレでああいう勝ち方をして、日体大は今年も早稲田を倒しに来ると思いますが、昨年勝ったことを自信にして、強い相手ですが今年もぶちかましたいと思います。

渡邊 技術的なことは置いといて、気持ちで押し負けないで入りからどれだけ集中していけるかというところが結果に繋がってくると思うので、自分たちのやれることだけやればいいと思います。

――意識している他大学の選手はいますか

小出 日体大の野本さん(野本誠士)で、今回も早稲田戦で投げてくるんじゃないかなと思っていて、自分が1打席目にどれだけ集中して入れるか、狙った1球を仕留められるかどうかがチームの勝敗に関わってくるので、そこは誇りと責任を持って頑張ります。

中内 IPUの影山投手(影山蓮)です。昨年自分はサードコーチャーからしか見ていなくて、今年の関西遠征で初めて対戦してみましたが、ライズボールがすごいボールだと感じました。今年のインカレの打席で影山投手と対戦できれば、と思っているのでまずはそこを目指してやっていきたいです。

渡邊 僕も野本投手です。春季リーグ戦では3打席とも打ち取られているので、リベンジしたいという気持ちがあります。

――チーム内でインカレにおけるキーマンだと思う選手はいますか

渡邊 中内が塁に出ればチームが明らかに盛り上がるし、バント・バスターの技術も日に日に向上していると感じるので、やっぱり一発かましてくれると思います。

中内 1人目は小出です。自分と同じ外野手で同じ左バッターとしていろいろ頑張ってきた部分もありますし、小出が塁に出るとチームも勢いに乗れるので、初戦の1打席目から出塁してほしいです。2人目は稲井さんです。誰よりも強い気持ちを持っているのはみんなに伝わっていて、昨年はレギュラーとして出ていた選手ではないので、最後の雄姿というのを見せてくれればと思います。

小出 自分で言うのもアレですが、自分がキーマンになると思います。チームが勝てるかどうかというのは、完全に自分が出塁できるかどうかに関わってくるので、自信を持ってインカレに臨めるようにあと3週間頑張りたいです。また、稲井さんとは昨年の冬の練習からずっと一緒に練習やトレーニングを励まし合いながらやってきたので、稲井さんが出ることでチームがさらに盛り上がっていくんじゃないかなと思います。

――最後にインカレへの意気込みをお願いします

小出 一球も無駄にしないように、一球一球真摯に取り組みたいと思います。

中内 一番は4年生と監督を日本一にしたいという思いがあるので、試合に出ても出なくてもチームに貢献できるように、自分にできることは一つずつ全力でやりたいと思います。

渡邊 途中入部を温かく迎えてくれた先輩方に恩返ししたいという気持ちが強いので、自分の出来ることを模索しながら取り組みたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 沼澤泰平)

◆小出拓実(こいで・たくみ)(※写真右)

2002(平14)年4月1日生まれ。東京・杉並高出身。人間科学部3年。外野手。ドラマを見ることにハマっているという小出選手。最近見ているドラマは日曜劇場『VIVANT』だそうです!

◆中内俊太朗(なかうち・しゅんたろう)(※写真中央)

2002(平14)年9月12日生まれ。東京・筑波大付高出身。スポーツ科学部3年。外野手。お笑いコンビのオードリーが好きで、よくラジオを聴いたりYouTubeを見たりしているという中内選手。来年2月に開催される東京ドームライブを心待ちにしているそうです!

◆渡邊幸太(わたなべ・こうた)

2002(平14)年2月4日生まれ。千葉・市川高出身。人間科学部3年。外野手・内野手。試合前のルーティンは全て左から始めること。スパイクは左足から履き、バッティンググローブも左手からはめるそうです!