【連載】インカレ直前特集『Keep it Real』【第6回】佐藤貴一×斎藤向陽×田中宏二

男子ソフトボール

 第6回は三遊間トリオのお三方。学年の差を感じさせないほど仲の良い3人。常に明るく、笑顔の絶えない対談にしてくださった佐藤貴一(国教4=東京・早稲田)、斎藤向陽(社3=群馬・新島学園)、田中宏二(人3=大分・大分舞鶴)の3人に一年間の振り返りと全日本大学選手権(インカレ)への意気込みを伺った

※この取材は8月22日に行われたものです。

――他己紹介をお願いします

齋藤(向) (私が紹介するのは)田中宏二です。大分県の大分舞鶴高校出身で、アピールポイントは肩の強さでメジャーリーガーのデラクルーズ選手(エリー・アントニオ・デラクルーズ、現シンシナティ・レッズ)を彷彿とさせるようなスローイングの強さ。送球でも140㎞/h位出ているんじゃないですかね(笑)。肩の強さが一番のアピールポイントだと思います。

田中(宏) (私が紹介するのは)佐藤貴一です。早稲田高校出身です。出身は市川市で、遠くから通学しているため、よく疲れています(笑)。アピールポイントは肩の強さとギャラクシーな走塁です。味方をも混乱させるような意外性が持ち味だと思っています。

佐藤(貴) (私が紹介するのは)斎藤向陽です。群馬県の名門、新島学園の出身です。ポジションはサードをやっています。アピールポイントは肩の強さとパンチ力のある打撃です。どちらもギャラクシーで、特にパンチ力のある打撃は、背番号からも分かる通り、マイク・トラウト(現ロサンゼルス・エンゼルス)のような素晴らしいバッティングセンスで大活躍をしています。

――4年生から見た3年生はどのような存在でしょうか

佐藤(貴) 自分たち4年生だけでなく、下級生とも積極的に交流をしていて、チームの雰囲気を良くするのに欠かせない存在だと思います。

――3年生から見た4年生はどのような存在でしょうか

斎藤(向) いい意味で4年生らしくない、下級生とも距離が近く、チームの風通しを良くしているところが4年生のいいところで大好きです。

田中(宏) 4年生はそれぞれの個性を存分に発揮していて、4年生面白いなって思っています。個性強くて面白いんですけど、やるときはやるっていう、メリハリがあって人間的にすごいと思います。

「(秋は)試行錯誤の毎日だった」(田中宏)

笑顔で質問に答える田中(宏)

――東京都大学連盟秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)、関東大学選手権(関カレ)を振り返っていかがでしたか

斎藤(向) 秋を振り返ると、個人的には、全然打てなかったなという感想で、自分に足りないものを見つけて、取り組もうというきっかけを与えてもらった季節だなと感じました。チームとしても秋リーグで5位、関東インカレでは2回戦で敗退した中で、勝ち癖がなくなっていた部分があったので、チームとしても自信を失いかけてたのではないかと思っています。

佐藤(貴) 自分は試合にそこまで出ていたわけではないのですが、チームとしても、個人としても新チームになってからの準備期間が短く、チームとしてまだ固まりきれていない部分があって、個人的にも最高学年の仕事や勉強もあって不安定な期間だったのではないかなと思います。

田中(宏) 自分は向陽と一緒で、2人で45打席0安打くらいの勢いで打てなかったので打撃面で課題が残る秋季リーグになったなという印象で、関カレもまさか、国際武道大にコールドで負けるとは思ってませんでしたし、稲垣拓朗(スポ3=群馬・新島学園)頼みのチームだったんだなということを痛感させられた時期でした。自分は、昨年度外野として出させてもらっていたのですが、新チームになって、遊撃手で出ることとなって、守備的に改善しなければいけないところが多くて、試行錯誤の毎日でした。

――冬の期間で重点的に取り組んだトレーニングはありますでしょうか

斎藤(向) チームとしてもフィジカル面での強化を重点的に行って、シンプルにスイングの強さや飛距離を伸ばすだとか、スローイングの強さを上げられるような、体を強くするといったことを重点的に行えたのではないかなと思います。

佐藤(貴) 向陽が言ったように、関カレが終わったあたりから、春休みが終わるくらいまでチーム全体で筋トレなどをして、力を付けていこうということだったのですが、個人的にも、その期間は筋トレを繰り返して、筋力がついたのではないのかなと思います。

田中(宏) チームとしてトレーニングを重点的に行ったのはもちろんですけど、自分は(斎藤向陽を見ながら)斎藤先生に弟子入りして、ベンチプレスをたくさんしました。高校の時は筋トレをがっつりやるタイプではなかったので、初めて、筋トレを本格的に行う機会を頂いて、体力的にも身体的な強さが身についたかなと思える期間だったのではないかなと思います。

「チームとしての成長と課題が両方見えた」(佐藤貴)

春のリーグ戦を振り返る佐藤(貴)(写真左)

――東京都大学連盟春季リーグ戦(春季リーグ戦)、全日本総合選手権大会(全総)東京都予選会を振り返っていかがでしたか

斎藤(向) 春はチームとしてはリーグ戦2位、全総は準決勝で日体大に敗退したという形で、チームとしての成績は伸びたのかなと思います。春リーグでは国士舘大に勝てましたし、勝つべき相手にはしっかりとコールドで勝利することが出来たという点でチームとして取り組んだことがしっかりと結果に結びついたのではないかなと思います。個人としてはあまり打てなくて打撃面で新たな課題が見つかったなと思いました。

佐藤(貴) 結果面では向陽が言ってくれた通りで、個人的には自分も春はあまり打ててないと思って、正直春休みから春リーグに入るまでの期間は個人的に一番調子が良くて、打率的にも4割5分を超えていて、

田中(宏) ちょっと盛ってませんか(笑)。

佐藤(貴) いや、本当に(笑)。高打率を維持していたので、春リーグ打てるかなと思ったのですが、そこまで打てなくてそこから調子が悪いなと感じた時期でした。

田中(宏) 個人としてはケガをしてしまい、試合に出られなくて、体の固さといったプレー以前の問題を課題として挙げられたので、柔軟性を身につけなければいけないんだなと認識する機会になりました。チームとして、秋ずっと勝てなくて嫌なイメージがずっと残っていたのですが、春のリーグ戦で国士舘大に勝って、少しは払しょくできたのではないかと思います。ただ、日体大にコールド負けしてしまって、まだまだ力が足りないんだなという良い面と悪い面両方見られた時期だなって思いました。

――東日本大学選手権(東日本インカレ)を振り返っていかがでしたか

斎藤(向) 東日本インカレでは春のリーグ戦で勝った国士舘大に準決勝で敗れて3位ということで、6月くらいから重点的に小技を使うようになって、ほぼそれだけで、大会に臨んだので、小技だけの割には得点が思ったより入って、良かったのではないかなと思います。ただ、国士舘大の大坪優也(4年)のような好投手になると、それだけでは厳しいことが分かって、良かった大会なのではないかなと思います。また、内野のエラーもなくて守備面で見ても良かったのではないかなと思います。

佐藤(貴) チームとしてのプレースタイルを変えて、そこまで期間がない状態での大会だったので、正直うまく勝てるようなイメージはしていなかったのですが、国士舘大にも負けてはしまったのですがあと一本というような状態で、チームとしての成長と課題が両方見えた良い大会だったんじゃないかなと思います。

田中(宏) 小技をやるようになってからPGという一本決めるポイントゲッターの役割をする組と、つなぎ役の組で役割分担をして、自分はつなぎ役の方だったのですが、繋ぎ切れない部分があって国士舘大戦では繋げなかったことから自分の力不足を感じました。春は出られなかったので、東日本では内野がノーエラーでしたし、勝つことは出来なかったのですが、ある程度チームとしての目指すべきものを感じられたのでそういった意味では、それなりに良かったのではないかなと思います。

――1年間の中でターニングポイントになった試合はありますか

斎藤(向) 東日本の国士舘大との試合がターニングポイントかなって思っています。冬の期間は強く振ることをテーマとしてやってきて、全総までは強く振ることを意識して、6月からは小技を重点的に行って、国士舘大との試合で小技だけでは勝てないなって感じて、この試合をターニングポイントとして今は、どう使い分けるかという部分に繋がっているので東日本での国士舘大との試合はターニングポイントではないかなと個人的に思っています。

田中(宏) 自分もその試合(国士舘大戦)が一番印象に残っていて、力不足を感じただけでなく、これからどうしていくかという話をミーティングの後で斎藤、畠山(畠山陸(スポ3=高知西))、中内(中内俊太朗(スポ3=東京・筑波大付))と自分そして、高杉さん(高杉聡監督(平10人卒=群馬・前橋育英))やコーチの方々と話し合って、自分たちが感じていることと、首脳陣の方々が考えていることのすり合わせの場をいただいて本音で語り合えたというか、その語った経験があるから自分たちの役割を全うしなければならないという自覚が芽生えたのが大きいのではないのかなと思います。

佐藤(貴) 国士舘大戦だけでなく、東日本インカレ全体で、チームとしての成長や課題点が見えてきて、国士舘のようなレベルの高い相手だと、まだ力が足りていないことが分かって、チームとしての意識も成長した大会かなと思います。

――ご自身の強みと課題を教えてください

田中(宏) 自分は守備の点では、遠征をおこなった際に左のスラッパーに対して、アウトを取り切れない場面があってポジショニングでしたり、一歩目の出だしを先輩方に聞いて大幅に変えているところです。打撃面では、小技に加えて、フルスイングを100とした時の70~80くらいの打撃を組み合わせていくために場面での状況判断と、どういうスイングをしたらいいかという技術的なところをすり合わせているところです。

佐藤(貴) 守備の面でいうと、レギュラーは正直彼ら2人(斎藤、田中)なので、練習中の質を高めるという意味で、自分としてもバント処理のスピードを早めたり、守備範囲を広げて、よりチームメンバーの練習がはかどるように自分の技術を上げていきたいなというところです。打撃面では彼ら(斎藤、田中)ほど、与えられる打席数が多くないので、限られた打席で、一球必打で決められるよう、気持ちで負けないように頑張っていきたいです。

斎藤(向) 強みでいうと、今年になって守備は安定して守れるようになったことだと思います。大学1年まで守備に自信なくて、そこから自分で考えて守備をするようになって、1年生から試合に出してもらい、経験も多く積めたので、試合の中でパニックになることがなくなって、守備の面で落ち着いてできるようになったことですかね。課題としては打撃だと思っていて、打率や出塁率を安定して残すというところで、チームとしての計算できる選手になれていないと思っているので、安定して出塁したり打率を残したり、できるよう頑張りたいと思います。

――チームとしての強みや課題は何でしょうか

斎藤(向) チームとしての強みは、守備が思ったよりいいなと思いました。何故かといいますと、色んな社会人のチームを見ても年齢を重ねるごとに守備がよくて、守備範囲の面などで社会人チームと比べても実はうちのチームかなり守備いいんじゃないかなと思います。ただ、ソフトボールの試合に慣れていない部分や緊迫する場面でのプレーはまだ課題があると思います。自分たちのポテンシャルを100%出し切れば、守備はかなりの強みだと思いますし、逆に自分たちの力を出せないという時があればそれが大きな課題なのかなと思います。

佐藤(貴) 自分も守備力が高いかなと思っていて、東日本インカレでエラーがなかったり、大きく試合を崩すミスが一年を通じて守備では出てないと思います。そういった面では目立たないかもしれないですけど強みだと思います。課題としては、東日本インカレの国士舘大戦で象徴されるように、あと一本が出ないことだと思っていて、決定力という面では課題があるかなと思います。

田中(宏) チームの強みはここぞという場面での集中力だと思っていて、守備力に関しても当たり前のアウトを当たり前に取れるという点では強みかなと思っています。これから練習しなければならないのは1点を争う場面でのプレーで、例えば外野を抜かれた時のカットプレーであったり、走者が三塁にいるときのバックホームでのインプレーでのアウトを取っていけたら、日体大や国士舘大といった強敵相手でも勝ち切れると思うので、そういった詰めの部分を鍛えていきたいと思います。

――三遊間の連携で意識していることはありますか

斎藤(向) 走者二塁の場面での三盗のケアというのは意識しています。あとは、サードがゴロを取りに行くときにショートに遠慮して、引くということはしないでサードがカットできる打球はすべて取りに行くということを意識しています。

佐藤(貴) 向陽と比べるとそこまで守備範囲が広くないので、守備位置の面で宏二をはじめとしたショートに声掛けをしっかりして、お互いに守りやすくなるよう心がけています。

田中(宏) 僕は守備位置が結構寄るタイプなので、サードの二人にはカバーしてもらってて、マメに声を掛けているかなと思います。外野に打球が行った時にお二人のことを信用していて、貴一さんと向陽の声は周りがいろいろガヤガヤしていてもはっきり聞こえるので、仲の良さを感じます。

「優勝しちゃいますよと……。ただ、それだけです」(斎藤向)

力強く意気込みを発表する斎藤(向)

――インカレに向けて今のコンディションはいかがでしょうか

斎藤(向) 最高です!

佐藤(貴) 最高です!

田中(宏) 最高です!……と言いたいところなのですが、自分、今腰をケガしてしまって、今週は練習ができないので、来週から今週練習できない部分をカバーできるように2人と同じく調子を上げていきたいと思います。

――インカレに向けてキーマンとなる人物は誰でしょうか

斎藤(向) やっぱり、貴一さんだと思います。と、言いますと貴一さんは、インカレは最上級生として学生スポーツ最後の舞台で存在感を発揮してほしいというのと、しないとダメですね(笑)。貴一さんはチームの雰囲気を和ませる存在で試合に入り込んでしまう場面でも貴一さんはの一声で落ち着ける選手がいると思いますし、貴一さんは打撃がいいので、代打で一発決めてくれることを期待しています。

田中(宏) 自分は本当に貴一さんと晴さんだと思っていて、学生スポーツはワンプレーで流れが大きく変わるので、例えば日体大相手に、晴さんがリリーフで抑えたら、それだけで流れは変わりますし、貴一さんも同じで代打で塁に出たら一気に流れが変わって、打線がつながることが考えられるので、あまり試合に出られていない4年生がインカレの舞台で活躍して、チームが良い方向に向かうことを期待しています。

佐藤(貴) キーマンは自分かなと思っていて、

一同 (笑)。

佐藤(貴) というのも春の試合では主に一塁コーチャーをして、一塁からランナーに声をかける。守備の間ではベンチから選手に声をかけ続けるということで、ベンチにいる4年生は試合を俯瞰して見ることができていると思うので、試合に出ている4年生が考え過ぎて大変になっているところを声をかけることで、みんながやりやすいような空気を作りに行けると思うのと、確かに代打で結果を出すとチームの雰囲気も上がるので1日目でしっかり安打いや、本塁打を放ってチームの勢いをガツンと上げていきたいなと思います。

――インカレのトーナメント表が発表されましたが、今のお気持ちはいかがでしょうか

斎藤(向) 何もないです。

一同 (笑)。

斎藤(向) ただ、自分たちのプレーをすればどこが相手だろうと関係ないので何もないですね。

田中(宏) 本来は斎藤向陽のように鬼のメンタルを持たなければならないと思うのですが、流石に日体大とIPU(環太平洋大)を見た瞬間はやばいなと思いました。けど去年の日体大戦では斎藤向陽の劇的な、ギャラクシー本塁打で勝ったので、そこまで嫌なイメージはなくて、IPUに関してもこの間練習試合をして、もしかしたら行けるのではといった手ごたえを感じているので日体大に勝てれば、それ以降も上手くいくのではという期待を持っています。

佐藤(貴) 相手がどこだろうと、一試合、一試合勝っていくだけなので、組み合わせは関係ないです。優勝するぞ!

――インカレで意識している相手はいますか

斎藤(向) 同志社大学の選手なのですが、自分の高校の同期や先輩後輩が多く、いい選手が多いので上位に食い込む驚異的な存在なのではないかなと思います。

田中(宏) 自分は国士舘大の安池(安池陸(3年))と佐藤さん(佐藤麻揮(4年))で、安池に関しては同学年で打撃がすごくて参考にしている部分が多くて、佐藤さんに関しては左のスラッパーの守備位置だったり、守備に関していろいろなお話を聞かせていただいて、インカレでまた会おうという言葉をいただいたので、国士舘大と試合ができるのを楽しみにしています。

佐藤(貴) 自分は日体大の有働(有働隼(4年))を意識していて、学連で一緒なので、よく連絡を取る関係なので意識していますし、日体大と2回戦で当たるので、サードコーチャーは11人目の選手ということで、試合のカギを握っていると思うので意識しています。

――最後に力強く意気込みをお願いします!

斎藤(向) 優勝しちゃいますよと……。ただ、それだけです。

佐藤(貴) 優勝しか考えてないです。

田中(宏) 優勝はもちろんなんですけど、あれこれ考えると本来の力が出せなくなってしまうので、『不動心』で!

――ありがとうございました!

(取材・編集、写真 橋本聖)

仲の良さが対談からも浮かび上がった3人。インカレでも活躍に期待です!

◆佐藤貴一(さとう・きいち)(※写真中央)

2001(平13)年4月11日生まれ。167センチ65キロ。東京・早稲田高出身。国際教養学部4年。内野手。斎藤選手と田中選手の好きなところは後輩というより友達みたいな感覚で接してくれるところとのことです!

◆斎藤向陽(さいとう・こうよう)(※写真左)

2002(平14)年12月26日生まれ。166センチ、69キロ。群馬・新島学園高出身。 社会科学部3年。内野手。佐藤選手の好きなところは羽振りの良さ。田中選手の好きなところは強いスローイングとのことです!

◆田中宏二(たなか・こうじ)

2003(平15)年2月23日生まれ。178センチ、75キロ。大分舞鶴高出身。人間科学部3年。遊撃手・三塁手・外野手。佐藤選手の好きなところは羽振りの良さ。斎藤選手の好きなところはグラウンドでも笑わせてくれる意味の分からないワードセンスとのことです!