WASEDA ON ICEから1週間。その余韻が残る中、大阪で行われた東西私立交流戦に早大フィギュア部門の選手が出場。4人が試合に挑み、課題や収穫を得られる演技を見せた。エキシビションでは引退生の高浪歩未(国教4=ケイ・インターナショナルスクール東京)が華麗な舞を見せた。
★競技会
早大勢トップバッターで中村華(人3=群馬・高崎女)が3・4級女子の競技に出場。明るく楽しげな雰囲気とチャーミングな振り付けが見どころの『I got rhythm』を披露した。冒頭の1回転アクセルを決めると、2月の大会では2本揃えて降りることができなかった2回転サルコウと2回転トーループを着氷。疲れが出る演技後半に挑んだコンビネーションジャンプも大きなミスなく降りた。中盤のスピンが0点になるミスは出たものの、全体的に課題を改善したまとまった演技を見せた。得点は34・79点。前戦から大幅に点数を上げ、出場した25人中9位に入った。
演技をする中村
7級女子の競技には馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)が登場。Evanescenceの『Never go back / My immortal』に合わせて演技を行った。冒頭の2回転ルッツは流れるように降りるも、最近やや苦戦している3回転サルコウは2回転に。続けて跳んだ3回転トーループは着氷したが、後半には2本のジャンプで転倒してしまった。回転速度が安定したスピンではレベル4を獲得したものの、ジャンプで精彩を欠いた演技に少し悔しげな表情を浮かべた。
演技をする馬場
5日に行われた6級女子の競技。第1グループに妻鹿愛(政経1=大阪桐蔭)が登場した。演技直前までコンビネーションジャンプや2回転アクセルを丁寧に確認し、演技に臨んだ。2月の大会では綺麗に着氷していた2回転アクセルは回転不足で転倒してしまい、その後もジャンプが乱れる。しかし、『Beethoven's 5 secrets』の壮大な調べに乗り、長い手足を生かして伸びやかに演技を行った。
演技をする妻鹿
最終グループでは千葉紫織(文構2=東京・筑波大付)がリンクに立った。関東学生選手権ではミスに悔し涙を流し、「練習と試合をどう結びつけるかにフォーカスして練習していきたい」と意気込んでいた。練習の成果を発揮したい今大会。冒頭の2回転アクセルはダウングレードの判定を受け、続く2回転ルッツでは着氷でやや詰まったものの、1回転トーループをつけてなんとかコンビネーションに繋げる。その後も順調にジャンプを決めて大きなミスなく演技を終えた。
演技をする千葉
★エキシビション
今季限りでの引退を表明している高浪が、ついに現役最後の演技の場を迎えた。競技会終了後、にぎやかな雰囲気で行われたエキシビションに出演。常に笑顔で温かな演技を見せる高浪は今回も、「気持ちよく、気持ちを込めて滑ろう」と臨んだ。プログラムはWASEDA ON ICEでも披露した『Fantasy for violin and orchestra』。ラベンダー色の衣装に身を包んだ高浪は、美しい弦楽器の調べに合わせしっとりと氷上を舞う。数々のスケーターが滑ってきた名曲を高浪のスケート、表現で見事に演じ、会場を優しく包み込むような滑りで魅せた。ジャンプもミスなく着氷し、後半にかけて盛り上がりを見せる曲に合わせて伸びやかなスケートを披露すると、リンクサイドで見守っていた仲間たちの目の前でフィニッシュ。演技後は笑顔で挨拶をし、リンクを後にした。
演技をする高浪
全選手の演技が終了した後にはアンコールが行われ、高浪は『Unchained melody』を披露。ゆったりとしたラブソングに乗って、想いが伝わる美しい演技を見せた。
引退を決意してからの数カ月、高浪は数々の試合やエキシビションに出演してきた。その一つ一つの演技の場、普段の練習の時間を大切に過ごしてきたという。今回もスケートの美しさだけではなく、演技に込められた想いやスケートを大切に思う気持ちが観客席まで伝わってきた。演技から伝わってくるひたむきさ、インタビューを通してわかる聡明さ。それらを持った高浪が今後歩んでいく新たな道も応援したい。
(記事、写真 吉本朱里)
結果
▽3・4級女子
中村華
9位 34・79点
▽7級女子
馬場はるあ
5位 69・25点
▽6級女子
千葉紫織
5位 61・88点
妻鹿愛
14位 56・14点
コメント
※今回は引退生にのみインタビューを行っております
高浪歩未(国教4=ケイ・インターナショナルスクール東京)
――最後の演技にはどのような思いで臨みましたか
引退を決めてから、自分自身は最後まで笑顔で頑張ろうと思っていたので、それを心に持って、気持ちよく、気持ちを込めて滑ろうと思っていました。
――演技を振り返っていかがですか
ミスなくできましたし、気持ちよくできて、自分なりに心を込めて滑ることができました。また、今回はアンコールがあって自分の過去のプログラムを一つ滑ることができたので、そこに関しても嬉しく思っています。良いスケート人生の締めくくりだったと思います。
――引退を決意されてから、たくさんの場で演技されてきました。この数カ月を振り返っていかがですか
自分自身が引退を決めてからも、自分のスケート人生では変わらずに一つ一つの試合や演技を大切にし、練習も大切にして臨んできました。今回も最後までそのようにできたかなと思います。
――いつも衣装がすごく素敵でした。こだわりなどはありますか
衣装を決める際に母がインスタグラムなどで見ていたらすごい方がいて、自分もそれを見て、そこから(その方に)合計3着作っていただきました。それにあたって自分のイメージや、どういう衣装が良いかというのをピンタレストというアプリで検索しながら「こういう組み合わせでお願いします」とお伝えしていました。あとは、やっぱり自分はアイスダンスをやっていたので長めのスカートとか、(生地の)透明感とかがあるスカートを意識して選んで、それをお伝えしながら作っていただいていました。