暑い夏を彩るフィギュアスケートの地方競技会。8月初頭に行われた北九州オープンフィギュアスケート競技会には早大から馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)と木南沙良(人通2=東京・日大一)の2名が出場した。
ショートプログラム(SP)8番滑走で登場した木南は、緊張感のある面持ちで、最初のポジションについた。冒頭から体をしなやかに使い、『Courage to Change』という曲の持つ独特な世界観に引き込んでいく。惜しくも最初のコンビネーションジャンプは着氷が乱れてしまう。しかし、その後は素晴らしい演技をみせる。曲の盛り上がりでは、歌詞にあわせた力強い演技を披露。スピード感を保ったまま3回転フリップを見事に着氷した。さらに、続く後半での2回転アクセルをきれいに決める。ステップでも全身を大きく使い、曲を表現した。得点は46・11点をマーク。昨年の大会のSPの点数を大幅に上回った。キス・アンド・クライでは笑顔も見せた木南。SPを5位で終え、好発進した。
翌日のフリースケーティング(FS)では、木南は着物を基調とした美しい衣装で登場。和の曲調に合わせたゆったりとした動きで演技が始まった。2回目の披露となった今シーズンのフリープログラム、『SAYURI』。出だしからうまくリズムに乗ることができなかった。冒頭の3回転トーループと3回転フリップを続けて転倒してしまう。「足が動かなかった」とキスアンドクライで本人も振り返っていたように、その後もジャンプではミスが続いてしまった。しかし、スピンやステップでは伸びやかで美しいスケーティングを披露。最後まで芯の強い女性を演じきった。FSの得点は64・21点。最終順位9位で大会を終えた。演技後には悔しそうな表情も見られたが、今大会出場の意図を「課題点を把握するため」と語っていた木南。次戦に向けて、さらにプログラムの完成度を上げていく。
SP15番滑走で登場し、落ち着いた表情でリンク中央に向かった馬場。SPは昨シーズンから継続の『Within/Nero』。重厚な和音に合わせて滑り出した。演技冒頭に挑んだルッツジャンプは、回転が抜けて2回転になってしまう。しかし、切り替えて堂々とした滑りを見せていく。続く3回転+2回転のコンビネーションジャンプや演技後半の2回転アクセルは、回転不足などの細かいミスがあったものの着氷する。プログラムのクライマックスでは丁寧で繊細なステップを刻み、感情に訴えかけるような壮大なピアノ曲を表現し、演技を終えた。「緊張が動きに出てしまい、浮いているような滑りになってしまった」と振り返ったように、ミスが響きSPの得点は35・18点で12位。しかし、演技を終えた直後から、SPの演技で見つかった課題を踏まえ、次を見据える姿が見られた。
翌日のFS、馬場は『Never Go Back』の力強い曲調によく合う赤い衣装を身にまとって登場。落ち着いて滑り出したものの、冒頭の3回転ルッツで転倒。続く3回転サルコウもステップアウトしてしまう。その後の3回転トーループは綺麗に決まったものの、全体的にジャンプに乱れがあった。しかし、力強い女性ボーカルの曲調に合った、ダイナミックで力強さがありつつも、エレガントさが伝わるステップを見せる。ミスは見られたが、最後まで強い気持ちが伝わる演技だった。試合後は、SPの浮いた滑りを改善できたと振り返った馬場。「公式戦に間に合うよう努力していきたい」と今後への意気込みを語った。
おのおのが課題や収穫を得た今大会。両選手ともに、続く夏の地方競技会に出場予定だ。次戦、そして秋に開幕するブロック大会に向けて、今回得た経験を存分に活かし、さらに磨かれた演技を披露してくれるだろう。
(記事 濱嶋彩加、吉本朱里、佐伯栞)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
▽選手権女子
木南沙良
SP 5位 46・11点
FS 12位 64・21点
総合 9位 110・32点
馬場はるあ
SP 12位 35・18点
FS 10位 68・80点
総合 11位 103・98点
コメント
木南沙良(人通2=東京・日大一)
――まず、今大会に出場された意図を教えてください
課題点を把握するために出場しました。
――今大会での目標は何でしたか
3回転トーループを降りること、次回の試合やブロック大会に向けて改善点を把握することが目標でした。
――SPの演技についてお伺いします。演技を振り返っていかがですか
ほぼ練習通りの演技ができたと思います。スピンのレベルを取りこぼしてしまった所と、3回転トーループ+2回転トーループのコンビネーションジャンプが回転不足だった所で2点ほど下がってしまいました。
――『Courage to Change』という曲を表現する上で何か意識していることはありますか
この曲は何度も「私は変わる勇気があるのだろうか」と繰り返して苦しみの中で彷徨う所から、自分を信じて立ち上がるという歌詞なので、歌詞と振り付けを照らし合わせて自分なりに表現しています。
――FSの演技についてお伺いします。演技を振り返っていかがですか
前半のジャンプで3回転倒し、後半の2回転アクセルまで引きずってしまったことが、FSの練習不足が出てしまったと思います。ステップやスピンは目指していたレベルが取れたので良かったです。
――点数、順位に関してはどう捉えていますか
FSが足を引っ張る結果になってしまったので、次回までにSPもFSも自信を持って挑めるよう練習したいと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
8月20、21日に新潟でMGC三菱ガス化学アイスアリーナトロフィー、8月末のSAPPOROCUPに出場予定です。目標達成できるように、練習がんばります。
馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)
――まず、今大会に出場された意図を教えてください
緊張に慣れるため、場数のために出ました。あとレベルチェックのために出ました。
――今大会での目標は何でしたか
緊張しても自分の演技をすることと、新しい規定の中でスピンのレベルをしっかりとることでした。
――SPの演技についてお伺いします。演技を振り返っていかがですか
緊張が動きに出てしまい、しっかりと滑ることが出来ず、浮いてるような滑りになってしまいました。そこからさまざまな失敗につながったと思います。
――ミスがありながらも笑顔で演技を終えたように見えましたが、演技後はどのようなお気持ちでしたか
緊張をほぐすため笑顔は常に心がけようと思っていました。この時は課題がすでにたくさん見つかった時なので、「これからどうしていこう」など色々考えていました。
――FSの演技についてお伺いします。演技を振り返っていかがですか
ショートの浮いた滑りを改善できたと思います。集中して挑めました。それと同時に力不足を実感しました。公式戦にどうにか間に合うようこれから努力していきたいと思います。
――点数、順位に関してはどう捉えていますか
点数はたくさん失敗してしまったので妥当な点数だと思っています。今回は順位はあまり気にしてないです。
――次戦への意気込みをお願いします
次の試合は滋賀県で行われるサマーカップ!1週間しかありませんが、できる限り改善してリラックスして挑みたいと思います。