昨年は中止となった東日本学生選手権大会(東インカレ)が今年は無事に開催された。様々なバックグラウンドを持つ人が所属している早大のスケート部フィギュア部門らしく、3級部門から7、8級部門まで、様々な部門で総勢11人の部員が躍動。3人が表彰台に立った。
競技1日目には主務としても部を支える2人と、前週の東京選手権にも出場した廣田聖幸(スポ1=千葉・東邦大東邦)が登場。最初の種目である3級女子部門に登場したのは土屋凜菜(国教3=東京・頌栄女学院)。笑顔で登場すると、クラシックの曲に合わせて優美なスケーティングを見せる。「今自分ができる精一杯は出し切れた」とこの部門で1位。早大勢を勢いづけた。この日の最後に行われたのは男子5、6級部門。第2グループの2番滑走で登場した廣田は、連戦の疲労もあったと、ややジャンプミスが目立ったが、「大会自体はとても楽しめた」と初のインカレを2位で飾った。続いて登場した岡島右京(商2=東京・早大学院)は、冒頭、音響トラブルに見舞われながらも落ち着いて滑り出す。しかし「もったいないミスがたくさんあった」と順位、点数以上に悔いの残る結果。1月のインカレを見据え、更なる鍛錬を積む覚悟だ。
3級女子部門で優勝を飾った土屋
2日目は5級、6級の女子部門がそれぞれ行われた。この日早大1番手で登場したのは5級女子部門の正村瞭子(文構3=東京・早実)。プログラムの構成ミスもあり点は伸びなかったが、手足を大きく使った正村らしい演技を披露。練習通りの結果は出せたと17位で競技を終えた。続く6級女子部門には佐々木風珠(政経4=東京・早実)と、千葉紫織(文構1=東京・筑波大附)、原中優梨子(人通1=東京・四谷インターナショナルスクール)の3人が出場。最後の東インカレとなった佐々木はダンサブルなナンバーに乗せてキレのある滑りを見せたが、ジャンプの回転不足など細かいミスが重なり、「もっとできた」と悔いが残る25位。続いて氷に上がったのは、初の東インカレとなった千葉。昨週のブロック大会では披露することのできなかったフリースケーティング(FS)のプログラムを、大きく崩れることなく演じきり、14位でインカレへの出場を決めた。この日早大勢ラストを飾ったのは、同じく初出場の原中。『ロミオとジュリエット』の音楽に合わせて、丁寧な滑りを見せたが、ジャンプミスが重なり、「実力不足を感じた」と39位で競技を終えた。
6級女子部門でインカレへの出場を決めた千葉
競技最終日は男女それぞれの7、8級部門が行われた。この日輝きを放ったのは男子7、8級部門で3位に入った石塚玲雄(スポ4=東京・駒場学園)。ジャンプのミスが複数あり、前週の東京選手権よりも点数は伸びなかった。しかし、ステップシークエンスは今シーズン初のレベル3を獲得。本人も「気持ちよく回れた」というスピンで演技を締めくくると、リンクサイドの他の選手や関係者から大きな拍手が送られた。出場者総勢37人の7、8級女子部門では、早大の選手たちは第6グループでの演技。午前に演技を終えた石塚がリンクサイドで見守る中、前週の東京選手権でFSに進むことができなかった3人がFSのプログラムを披露した。まず登場したのは、木南沙良(人通1=東京・日大一)。音に合わせて手の動きを次々に変えるスピンや流れのある2回転アクセルを見せ、細かいミスはあったが「現状の点数を知れて良かった」と初の東インカレは充実の内容に。滑り終わった木南もリンクサイドに残って見つめる中、次に氷上に現れたのは小室笑凜(スポ3=東京・開智日本橋学園)。伸びのある滑りで小室らしさは見せたが、ミスの多さに「情けないという言葉に尽きる」と肩を落とした。早大勢最後の演技者馬場はるあ(社2=東京・駒場学園)はチームメイトとハイタッチしてスターティングポジションにつく。けがもあり、「思うようにいかなかった」とジャンプのミスが目立ったが、「リンクサイドにチームメイトや監督がいてくださったことは大変心強かった」と振り返った。
7、8級男子部門で3位に入った石塚
女子競技は2年ぶり、男子競技は3年ぶりに開催された東インカレ。初出場となった選手も多く、大学生の試合らしさを味わいつつ、それぞれが課題や収穫を得た。レベルや、目指すところも様々な早大スケート部フィギュア部門の部員たちであるが、これからもそれぞれが、お互いに刺激し合いながら、それぞれの目標に向かって邁進する。
(記事、写真 及川知世)
結果
▽3級女子
土屋凜菜 1位 41・69点
▽5、6級男子
廣田聖幸 2位 70・14点
岡島右京 9位 57・59点
▽5級女子
正村瞭子 17位 46・40点
▽6級女子
千葉紫織 14位 59・81点
佐々木風珠 25位 54・06点
原中優梨子 39位 44・28点
▽7、8級男子
石塚玲雄 3位 108・39点
▽7、8級女子
木南沙良 19位 77・61点
小室笑凜 24位 74・02点
馬場はるあ 26位 73・40点
コメント
▽3級女子
土屋凜菜(国教3=東京・頌栄女学院)
――まずは1位おめでとうございます!試合を終えての率直なお気持ちをお聞かせください
ありがとうございます!2年ぶりの東インカレだったので緊張しましたが、優勝できて素直に嬉しいです!
――今日の目標は
そうですね、今日は今自分ができることをミス無くやり切ることでした!
――今日の演技内容を振り返ってみて、いかがですか
細かい反省点はたくさんあるのですが、今自分ができる精一杯は出し切れたのかなって思っています!そして、何より楽しく滑れたのがよかったです!
――今後に向けての意気込みをお願いします
1月のインカレに向けて細かいところをブラッシュアップして、他のダブル(ジャンプ)もプログラムに入れられるよう頑張りたいです!
▽5、6級男子
岡島右京(商2=東京・早大学院)
――久しぶりの試合だったと思います。滑り終えた感想としてはいかがですか
自分の演技がどうこうというより、周りの選手のレベルの高さに驚きました。みんなトリプル(ジャンプを)2種類以上を演技に組み込んでいて、7級を取れるんじゃないかという選手が半分以上いました。格の違いと同時に自分の力不足を痛感しました。本当に悔しいです。
――今日の目標を教えてください
エントリーが出たときに、自分は頑張ってもある程度下の順位になってしまうと想定はしていました。結果よりも、リリーカップにノーミスに近い演技が出来たので、それを継続できるようにすることを目標にしました。しかし、練習で良い内容の演技をすることがここ最近できていなかったので、それが今日の内容に繋がったと思います。そう簡単に上手くはいきませんね…(笑)
――今日の演技内容を振り返ってみて、いかがですか
ダブルジャンプの失敗やスピンが0点になるなど、もったいないミスがたくさんありました。練習での調子があまり良くなかったことからの不安が出てしまったと思いますが、直前の6分間練習はそこまで悪い内容ではなかったので、余計悔しいです。5級として出ているので、少なくとも2A以外の技は完璧に決めないと…本当に力不足を感じました。
――順位、点数に関してはいかがですか
点数は全体的に僅差ですが、レベルの高さは遥かに他の選手のほうが高かったです。全日本でもみんなもっと点数を上げてくると思うので、自分も必死についていきたいです。
――今後に向けての意気込みをお願いします
本当に自分の力不足を体感した悔しい試合でした。1月のインカレでは何が何でも3回転を演技に取り入れて成功させることを目標に頑張ります。直近では、ウィンタートロフィーで初めてシニアの大会に出場します。今回と同じように、7級レベルの選手たちと一緒に出場するので今回の経験を活かせたらいいなと思っています。必死に練習します!!
廣田聖幸(スポ1=千葉・東邦大東邦)
――ブロック大会から5日での試合となりました。疲労の具合や調子はいかがでしたか
練習の時点でかなりの疲労が溜まっていて、なかなかその疲労も抜けなかったので、本番はかなり辛かったです。調子もブロックからは少し落ちていた気がします。
――今日はどのような目標で臨まれましたか
ブロックのリベンジをとにかくしようと思っていました。具体的にといっても1つだけですが、トリプルルッツだけでもきっちり降りようという目標だけ立てました。
――今日の演技を振り返ってみて、いかがですか
ルッツをきれいに降りられたのですが、疲労もあり、普段は絶対に失敗しないダブルフリップでヨレヨレになったり、トリプルトゥループで痛い転び方をしたりとダメなところが多かったです。ステップもレベル1しか取れなかったので、それも悔しいです。その一方で、ブロック終わってから少し練習時間を多めに取っていたスピンでは加点がついていたので、成果が出ていてよかったです。
――初めてのインカレを終えた感想としてはいかがですか
自分のカテゴリーが今まで一緒に試合に出たことのある選手が多く、試合前も試合後も楽しく過ごせたので、とにかく楽しかったです。体力的にはとても辛い2週間ではあったけれど、インカレ自体は本当に楽しめたので、これからも楽しみです!
――今後に向けての意気込みをお願いします
ひとまず大会が終わったので、今後の練習では、トリプルジャンプの確率を上げること、3+3の練習を始めるためにジャンプを降りた時の姿勢を直すことを重点的に頑張ります。そして、来年のブロックまでに7級を取ること、インカレと国体で自己ベストを出せるようにこれからも頑張ります。
▽5級女子
正村瞭子(文構3=東京・早実)
――今日の目標を教えてください
ノーミスの演技、インカレ出場が目標でした。
――今日の演技を振り返ってみて、いかがですか
練習通りの結果でした。今まで以上に練習してきていたので自信もありましたし、緊張もしなかったです。転倒はありましたが、これが私の現段階での実力で自己ベストだったと思います。
――順位、点数に関してはいかがですか
自分もコーチもプログラムの構成ミスに気づいておらずキックアウトになってしまったジャンプがあるのでとても悔しいです。それがなかったらもう少し順位を上げられたのかなと思っています。
――今後に向けての意気込みをお願いします
スピンでレベルを取れていないので、今後はスピンを重点的に練習してプログラムの質を上げていきたいと思います。
▽6級女子
佐々木風珠(政経4=東京・早実)
――最後の東インカレでした。滑り終えた感想としてはいかがですか
まず、2年ぶりの公式戦が開催されたことにとても感謝しています。先シーズン、試合がほとんど中止になってしまったので、最後に新プログラムで滑ることができて良かったです。
――今大会の目標を教えてください
「インカレ出場資格を獲得すること」でした。
――今日の演技内容を振り返ってみて、いかがですか
「もっと出来たな」と思う場面も多くて非常に悔しいです。
――順位、点数に関してはいかがですか
自分の出来から、予想通りの点数でした。
――今後に向けての意気込みをお願いします
公式戦は今大会で最後になってしまいましたが、まだ引退までに試合は残っているので悔しさを晴らせるよう、練習に励みます!
千葉紫織(文構1=東京・筑波大附)
――ブロック大会から一週間ほどでの試合となりましたが、今大会にはどのような思い出のぞまれましたか
ブロックは不完全燃焼で終わってしまったので、その悔しさを東インカレにぶつけようという気持ちで臨みました。
――今日の演技を振り返ってみて、いかがですか
ブロックの後からジャンプの調子が上がっていたのですが、それを本番でのせることが出来ず、まだまだ練習が足りないなとまずは思いました。しかし、本番で出せたものが良くも悪くも自分の実力なので、ここからまた頑張っていこうと思います。
――順位、点数に関してはいかがですか
順位としてはインカレに進むことが出来たので、一安心でした。正直自分のプログラムの出来として、インカレへ進むのは厳しいと思っていたので、ただただ良かったと思いました。しかし、点数としてはもっともっと伸ばせたなと思うところがあるので、インカレまでに改善していきたいです。
――初の東インカレでした。出場した感想としてはいかがですか
これまでの試合は大体自分よりも歳下の子達と戦うことが多かったので、周りが自分と同世代の人達がいる安心感は(東)インカレならではなのかなと思いました。あと3回しか出場出来ない東インカレ、大切に滑ろうと思います。
――今後に向けての意気込みをお願いします
まずはインカレに出場出来ることに感謝をし、インカレでは自己ベストを出せるようエレメンツもプログラムもブラッシュアップしていこうと思います。
原中優梨子(人通1=東京・四谷インターナショナルスクール)
――今日の目標を教えてください
プログラムを最初から最後まで綺麗に滑り切ることです。
――今日の演技を振り返ってみて、いかがですか
実力不足を実感しました。試合でミスの出ないように練習していく必要があると感じました。
――順位、点数に関してはいかがですか
実力通りの順位、点数だと感じました。
――初の東インカレでした。出場した感想としてはいかがです
同じ早稲田大学の選手、他大学の選手たちと同じリンクで試合ができ、滑れたことは私にとって良い経験になりました!
――今後に向けての意気込みをお願いします
試合でミスが出ないような練習をしていきたいです。
▽7、8級男子
石塚玲雄(スポ4=東京・駒場学園)
――最後の東インカレでした。大会を終えてみての感想はいかがですか
去年はコロナの影響で中止に。一昨年は台風の影響で男子が中止に。ということで、実は2回目の東インカレでした。そのため、最後の東インカレでしたが新鮮な気持ちで滑ることができたと感じています。
――今大会の目標は
演技自体を楽しんで、後で映像を見た時に自分にも他の方にも楽しさ、ワクワクが伝わる演技をしたい。というのが目標でした。
――東京選手権から1週間ほどでの試合でした。疲労などはありましたか
多少の疲労はあったかもしれないです。でも、今日は疲労を感じなかったですしとても良い状態でした。疲労には負けたくありません(笑)
――今日の演技内容を振り返ってみて、いかがですか
3+3が入らなかったのが悔しいです。あとは、2Aでパンクしてしまったのが痛かったです。でも、東京選手権の時に悪かった部分が今日は上手くできたという箇所もありました。ステップが3を取れていたのと、ラストのコンビネーションスピンでほぼ場所がブレることなく気持ち良く回れたことが良かったです。
――順位、点数に関してはいかがですか
あまり深くは気にしていないのですが、もう少し伸ばしたかったです。
――2週間後に東日本選手権となります。意気込みや目標を教えてください
目標はやっぱりお客さんに楽しんで頂ける演技をすることです。今までの練習を信じて頑張ります!
▽7、8級女子
小室笑凜(スポ3=東京・開智日本橋学園)
――今日の目標は
練習でできていることを落ち着いて本番でも再現すること。インカレ出場を決めること。この2点を掲げていました。
――今日の演技を振り返ってみて、いかがですか
前回の東京選手権大会の反省が生かされていない演技になり、情けない限りです。技術的な部分の仕上がりと本番での精神的な部分の乖離を改善できませんでした。
――順位、点数に関してはいかがですか
情けないという言葉につきます。
――リンクサイドにチームメイトがいたりと、他の試合とは違った雰囲気があったと思います。大会を終えてみて感想をお聞かせください
コーチが不在で不安だったのですが、リンクサイドで仲間が応援してくれるあたたかさををとても感じられました。その温かさを久しぶりに味わえて、スポーツを一緒に頑張れる仲間って大切だなと改めて思いましたし、それを力にしたかったです。
――今後に向けての意気込みをお願いします
自分が何のために競技をやっているのか、から考え直したいと思います。正直、今のままだと練習で時間をかけてやってきたことが何も還元されず、何のためにやっているのかわからなくなっている状況です。特に、協力してらっている両親を最後は笑顔にさせられるような結果にできるよう努力したいと思います。
馬場はるあ(社2=東京・駒場学園)
――今日の目標は
自分の演技をすることです。
――ブロック大会から1週間ほどでの試合でしたが、疲労などはありましたか
怪我の治療に専念し練習があまりできなかったので、あまり疲労は感じませんでした。
――今日の演技を振り返ってみて、いかがですか
自分の演技ができなかったです。自分ができる全てを試合にぶつけたかったのですが、ブロック大会直前に左太腿の肉離れと右足の甲を怪我してしまったため、思うようにいきませんでした。
――順位、点数に関してはいかがですか
演技が散々だったので当然の順位であると思います
――リンクサイドにチームメイトがいたり、他の試合とは違う雰囲気の試合だったかと思います。東インカレを終えた感想をお聞かせください
演技が思うようにいかなかったので、なんとも楽しい試合だったとは言えないのですが、リンクサイドにチームメイトや監督がいてくださったことは大変心強かったです。
――今後に向けての意気込みをお願いします
まずは怪我を治して、自分の演技ができるよう頑張りたいです。 怪我のない体を目指します。
木南沙良(人通1=東京・日大一)
――今日の目標を教えてください
練習通りを100%で出すということを目標にして試合に臨みました。
――今日の演技内容を振り返ってみて、いかがですか
サルコウが2回転になってしまったこと、トウループの回転不足、スピンのレベルを落としてしまったことが反省点です。次の試合に向けて1個ずつ直していこうと思います。
――順位、点数に関してはいかがですか
現状の点数を知れて良かったです。ジャッジスコアを見ても改善できる点がたくさんあったので、次の試合に活かそうと思います。
――フリーのプログラムの気に入っている点や見所を教えてください
曲調が変わってからのコレオシークエンス、最後に曲が盛り上がるステップが見所です。
――初の東インカレを終えての感想をお聞かせください
演技後に先輩達の演技をリンクサイドから応援することが今までになかったので、新鮮で、すごく楽しかったです。
――今後に向けての意気込みをお願いします
今回の反省点を修正して、自信を持って次の試合に臨めるよう練習を積みたいです。