「あゆしん」組デビュー戦で堂々2位

フィギュアスケート

 高浪歩未(国教3=ケイ・インターナショナルスクール東京)・西山真瑚(人通2=東京・目黒日大)のアイスダンスカップル「あゆしん」組が拠点を置くカナダでデビュー戦を迎えた。

 リズムダンス(RD)の演目は、『Daydreamin’/I Need You』。「アリアナをイメージした」という高浪の華やかなピンクの衣装が目を引く。ピアノの音の前奏が流れ、ボーカルが入るタイミングで動き出すと、「大人の素敵な女性を演じられるように」(高浪)という言葉通りの艶やかな動きで高浪のポニーテールがなびく。序盤のパターンダンスは丁寧に滑り切り、キーポイントも全てクリア。中盤のカーブリフトでもレベル4を獲得するなど、滑らかなスケーティングの中で、安定して技を見せていく。2曲目になり、「キャラクターがガラッと変わる」(西山)という後半には二人の表情もガラッと変わり一気に楽しげに。曲のキメに合わせた振り付けも織り交ぜつつのツイズルを、崩れることなくクリアし、レベル4の評価を得る。終盤のミッドラインステップでも息の合ったスピード感のある踊りを見せ、肩を組むようなポーズでフィニッシュ。ほっとした様子であゆしん組としての最初の演技を終えた。

 翌日のフリーダンス(FD)はお互い背中を向け合った立ち位置からのスタート。冒頭は上を向き両腕を広げてターンする、プログラムの始まりを告げるような振り付け。晴れやかな表情で一気に観客を『パリのアメリカ人』の世界に引き込むとそのままコレオステップシークエンスへ。ミュージカルらしい動きを、アップテンポな曲に乗せていきいきと見せる。続くツイズルでは西山がレベル3の判定になってしまうというミスがあったが、流れは損わずに曲の盛り上がり、そして1曲目のフィニッシュへ。曲がゆったりとした曲調へと変わると、二人の演技も一変。柔らかな表情になり、今度は手足を大きく使った、伸びやかなスケーティングを見せる。連続する二つのカーブリフトでは共にレベル4を獲得。曲の切ない旋律に合わせたローテーショナルリフトでもレベル4という安定感を見せる。終盤のブラス音が主役のナンバーではまた表情が明るくなり、動きにもキレが増す。曲が壮大になっていくと共にプログラムもクライマックスを迎え、二人向かい合って抱き合うような振り付けから腕を横に開きフィニッシュ。滑り終わった直後は疲れているように見えたが、氷を降り点数を確認するとうなずき、笑顔も見られた。点数はRD、FD共に目標を超える点数で、総合でも170点台。あゆしん組にとってのデビュー戦であり、また二人のアイスダンサーとしてシニアデビュー戦でもある大会を総合2位で飾った。

 3月の結成発表以降、待ち望まれた二人のデビュー戦。課題も多く見つかったというが、西山の言うように「高浪・西山組という存在をみなさんに認識してもらえる大会になった」に違いない。二人が目標として掲げるミラノ五輪、そして観客に愛されるアイスダンスチームへ。高浪・西山組の描く物語が今、幕を開けた。

記念撮影を行う高浪・西山組

(記事 及川知世、写真 本人提供)

結果

▽Sr Dance


高浪歩未/西山真瑚組

R D 2位 68・87点 

F D 2位 101・78点 

総合 2位 170・65点 


コメント

高浪歩未(国教3=ケイ・インターナショナルスクール東京)・西山真瑚(人通2=東京・目黒日大)

――あゆしんとしてのデビュー戦を終えた感想はいかがですか

高浪 緊張は少ししましたが、演技をまとめることができて、とてもよかったです。また、アイスダンサーとし競技に戻って来られたことが何よりうれしかったです。

西山 まずは、初戦を満足のいく形で終えることが出来てホッとしています。また高浪・西山組という存在をみなさんに認識してもらえる大会になったのではないかなと思います。


――今大会の演技を振り返っての収穫や、反省を教えてください

高浪 西山選手、コーチと話していたのですが、試合に出てみないとわからない課題点などもあったので、今大会に出場したことによってたくさん課題を明確にすることができてとてもよかったです。技術面でレベルの取りこぼしがあった他に、まだ新しいチームなので、細かい手足の動きがバラバラなのが試合後のスロー映像を見ていてもわかっていたので、ユニゾンをより強化しなければいけないと感じました。

西山 高浪選手と迎えるはじめての大会だったため、お互いがどのようにして試合に向けて調整していくのか、また試合直前のお互いの状態がどうなるのかということを知れたことは1つ大きな収穫でした。また今回試合をした事で、練習だけでは分からなかった緊張状態ではどのようにパフォーマンスが変化するのかということも学ぶことが出来ました。


――順位、点数に関してはいかがですか

高浪 今大会では順位はあまり気にしいないで、まずは試合に全力で望むことを目標としていましたが、2位になれたことはとても嬉しいです。点数の方はRDでは60点台は目指していたので、60点後半を取れたことはとても自信に繋がりました。フリーでも100点以上出たらすごく嬉しいなと思っていたのですごく満足しています。ただし、レベルの取りこぼしやまだまだ課題があることがわかったので、これからこの点数をさらに伸ばせるようにしていきたいです。

西山 順位、点数に関しては予想以上の評価をしていただけて驚きましたが、とてもうれしいです。このレベルをキープ、そしてさらにレベルアップしていけたらと思います。


――今季のR D、F Dそれぞれの見どころ等あれば教えてください

高浪 RDの前半はアリアナグランデの曲なので、私はアリアナになりきった大人の素敵な女性を演じられるように意識しています。後半はアップテンポの曲に変わるので、素敵な女性から観客に一緒に溢れるほどの笑顔を届けられるように楽しんでいます。特に今年の課題であるミッドナイトブルースとミッドラインステップを強みとしていて、ミッドナイトブルースでは上半身で表現しつつ、足元の正確さ、ミッドラインステップではアップテンポに合わせた振り付けを見ていただけるとうれしいです!
FDについては、出だしのコレオステップシークエンスです。最初からジャッジや観客の皆さんを『パリのアメリカ人』のミュージカルを見ているかのように演技に引き込めるよう意識をして踊っています。その他には、間ではゆっくりのテンポを挟んでから後半にまた速いテンポとなるので、速いテンポになった際の盛り上がりとスピードも見ていただけばうれしいです!

西山 RDは前半と後半でキャラクターがガラッと変わるので、そのキャラクターの変化に注目してもらいたいです。
FDはみなさんもよく知っている音楽だと思うので、お客さんと一緒に盛り上がっていけるプログラムだと思います。


――(高浪選手)衣装がとても素敵でした!こだわりがあれば教えてください

高浪 衣装はコーチや自分のイメージを衣装さんにお伝えして作って頂きました。RDでは何個かイメージがあったのですが、最終的に今回の衣装になり、ふんわりとしたスカートが大好きです。アリアナをイメージしていたのでピンクを選びましたが、今までピンクの衣装を着たことがなくて、最初は自分に合うかがとても不安でしたが今まで来た衣装でも一番と言えるほどとても気に入っています。
FDの衣装も初めて着る黄色の衣装で、パリのアメリカ人をイメージして黄色にしました。FDの方の衣装もスカートがこだわりで、他の選手とは被らないようなプリーツスカートなのでとても気に入っています。


――(西山選手)今シーズンの今後はシングル競技の大会にも出つつ、アイスダンスの大会にも出場していく形になるのでしょうか

西山 コロナ禍での日本入国の規制に変更があることを祈り、今シーズンの東京選手権にエントリーをしましたが、残念なことに未だ日本におけるワクチン接種者への隔離免除が行われていないため、東京選手権への出場は断念することになりました。
今後もシングルとアイスダンス、並行して競技していく予定です。来年はコロナが収まり、通常の世界に戻っていることを祈りたいです。


――今後に向けての意気込みをお願いします

高浪 初戦でこのようにスタートをきれてとてもよかったです。今大会について、コーチを含めて話した際、もう次に向けての課題が何個も見つかっているのでそこを改善し、次の試合ではより高い点数と良い演技ができるように練習を積み重ねて行きたいと思います。

西山 自分たちの課題を一つ一つクリアしていけば、素晴らしいパフォーマンスが発揮できると思っています。自分自身、早く日本の皆さんに自分たちの演技を見せたいと思っているので、今年の全日本選手権に自分のピークを持っていけたらと思います。