15日、東大和スケートセンターで行われたバレンタインカップ。多くの大学生スケーターが集い、楽しげな雰囲気で競技が行われた。3級女子に出場した土屋凜菜(国教1=東京・頌栄女学院)が3位に、谷川栞理(人3=岡山一宮)が4位に、東真子(法3=東京・早大本庄)が位に入った。5級女子に出場した正村瞭子(文構1=東京・早実)は位につけた。
笑顔を絶やさず演技した土屋
3級女子の第1グループには土屋が登場。『ドン・キホーテ』の音楽とともに、メリハリよく演技を開始した。フリップジャンプとアクセルジャンプのシークエンス、さらにダブルサルコーをしっかりと着氷。単発で組み込んだ2度目のシングルアクセルは、大きく流れの良い出来だった。スピンを終えて次に見せたスパイラルでは、3つのポジションを美しく見せる。ダブルトーループでは転倒があったが、それを引きずることなく、最後のジャンプとなるシングルルッツ-シングルループ-シングルループの3連続ジャンプは確実に成功させた。「6分間から感覚がおかしくて」と不安を抱えながらの演技となったが、「とりあえず笑顔で楽しく滑ろう」と気持ちを切らさなかった。レイバックスピンで演技を締めくくり、熱い歓声を浴びる。36.26点で3位に輝いた。今後に向けて、「ダブル(ジャンプ)を全体的に、来季の関カレ(関東学生選手権)に向けて頑張れたらなと思います」と意欲的にコメントした土屋。来季の活躍も楽しみだ。
スピードにのって観客を楽しませた東
第2グループでは、まずは東が演技。プログラムの滑り始めからもうすぐ1年になり、自身も「多少落ち着いて滑れるようになったかな」と笑顔で語る『Jumpin’ jack』を披露した。リズムにのって演技を始めると、会場からすぐに手拍子が沸いた。「アクセル1本とスピン2個」を決める目標を立てて臨んだ今大会。はじめのシングルアクセルを降り、良い流れで連続ジャンプにも成功した。もう1つのアクセルジャンプがやや詰まってしまったが、続くシットスピンでは安定感のある回転を見せた。脚を後方にあげるスパイラルでは、手の位置を変えてポジションに表情をつけた。振り付け部分は細かい手の動きをまとまり良く見せながら、明るく表現した。羽生結弦でお馴染みの脚を「へ」の字に開いたランジも組み込み、観客を盛り上げた。最後の連続ジャンプも降りきり、スピンに入る。曲の終わりにしっかりと合わせ、最後のポーズを決めた。28.03点で17位だった。今季が終われば、とうとう引退の文字が見えてくる。「惜しんでもらえるような引退の演技ができる選手になりたいなと思います」。来季、どんなラストシーズンを見せてくれるだろうか。
難度の高い構成で実力を見せた谷川
東と入れ替わるようにして、次は谷川がリングに登場した。曲は『9to5 the musical』。1つ1つのポーズを音に当てた振り付けで、観客の注目を集めながら滑り出した。まずはダブルサルコー-シングルトーループ-シングルループ。ダブルジャンプからの3連続となる難易度の高いこのジャンプを、安定して成功させた。ダブルフリップを終えると、シングルルッツ-シングルアクセルのシークエンスを決めた。レイバックスピンではスムーズに脚を掴み、すっきりと美しい姿勢のビールマンポジションに繋げる。後半のダブルサルコーは、音楽にぴったりとはめて心地よく着氷。最後のスピンは、脚を前に高く上げるなど高い柔軟性が光った。前戦の日本学生選手権では悔しい演技となったこのプログラム。今回、「前のインカレ(日本学生選手権)での演技に比べて、少しは成長できたかな」と笑顔が戻った。35.87点の4位で競技を終えた。東と同じく、谷川も来季がラストシーズンだ。「来シーズンも自分の気を引き締めて練習に取り組んでいきたいと思います」と、最後まで全力で走り抜ける。
(記事 犬飼朋花、写真 岡田理佳子)
明るい滑りを見せた正村
5級女子には正村が登場。『パリのアメリカ人』の明るい曲に合わせ軽やかな滑りを披露した。冒頭のダブルフリップで転倒したものの、その後は基礎点の高いシングルアクセル―オイラー―ダブルサルコーのコンビネーションを着氷。ダブルループも美しく決めた。ステップでは笑顔を見せながら細かいターンで曲を表現。後半のジャンプではダブルルッツの転倒こそあったものの、ダブルサルコー―シングルアクセルのシークエンスやダブルトーループ―シングルトーループといった連続ジャンプに成功。最後まで堂々と滑り切り、課題だという体力面の不安を感じさせなかった。得点は39.36で全体の10位。練習で調子が上がらない中で挑んだ今大会。「自分では満足いっています」と振り返った。大学から競技に復帰し、9月から練習し始めたという正村。全種類のダブルジャンプを構成に組み込み、成長を実感するシーズンとなった。今後の目標としてはダブルジャンプ同士の連続ジャンプ。正村のさらなる成長に注目していきたい。
(記事 小出萌々香、写真 岡田理佳子)
結果
▽3級女子
土屋凜菜 3位 36.26点
谷川栞理 4位 35.87点
東真子 17位 28.03点
▽5級女子
正村瞭子 10位 39.36点
コメント
土屋凜菜(国教1=東京・頌栄女学院)
――演技を振り返っていかがですか
6分間から感覚がおかしくて、あ、これやばいやつだな、と思いながら滑りました。案の定自分の今まで練習して来たことが出せなかった演技ではあったけど、こういう日もあるのかなと思って、次に向けて課題をどんどん探していければなという演技でした。
――何か不調の原因はありますか
足が浮いている感じがして、大和(東大和スケートセンター)でも滑ったことはあるのですがいつもと感じが違って。あと6分間練習ではスピードが出すぎました。とりあえず感覚がいつもと違いました。
――良い表情でした
全てがうまくいかなかったので、とりあえず笑顔で楽しく滑ろうと思って。笑うしかないな、と思って全力で笑いました。
――今練習で取り組んでいることは
新しくダブルループとダブルルッツを練習していて、まだ全然プログラムに入れられる状態ではないのですが、今回もダブルサルコーもダブルトーループもあまりうまくいかなかったので、ダブル(ジャンプ)を全体的に、来季の関カレ(関東学生選手権)に向けて頑張れたらなと思います。
東真子(法3=埼玉・早大本庄)
――演技を振り返っての感想をお願いします
3年生の後半になって就職活動などもあって、なかなか今までと同じ練習量を取ることができなくてきょうも結構不安だったのですが、不安なりには楽しくもできました。全部ではないですが、目標だったこともいくつか達成できたのでよかったと思います。
――例えばどんな目標でしょうか
スピン3つとアクセル2つがやはりどうしても曲の中で全部はまることがなかなかなくて。ただ、一気に0から5みたいにするのは難しいから、その中の半分でいいから頑張ろうと思いました。アクセル1本とスピン2個、耐えたのもありますけどとりあえず入ったので、ここからラストシーズンに向けてステップアップはできたかなという感じです。
――今回までにブラッシュアップした箇所は
来月でこのプログラムにしてから1年経ちます。先生とかにも言われたのは自分の演技ってジェットコースターみたいなところがあったのですが、そのジェットコースターの波が若干狭くはなったよね、というのは言われますし、自分も多少落ち着いて滑れるようになったかなと思います。
――羽生結弦選手がやるような、脚を「へ」の字にする振り付けがありました
あれは結構難しくて、勢いをつけると転ぶので先生にやめなさい!と言われて(笑)。違うものをやっていたのですが、前回の(秋季)交流戦からやっています。最近意識しなくてもできるようになってきたというか、手をここ(伸ばしている脚の腿あたり)に置くと少し安定するのですが、それだと氷上の伸脚みたいになって格好悪くて。きょうは少し余裕があったので手を前に出せそうと思って、出したらいい反応をもらえて嬉しいです。
――今季の振り返りと来季への意気込みをお願いします
今季は、一番は目標だった準3級を取得して東インカレ(東日本学生選手権)に出るということが達成できたのですごく嬉しかったです。ですが取得する、とか出場する、という目標が達成できた代わりに、その出場した場で何かいい演技ができたかとか、普段練習していることが出せたかというとそうではないなと思う部分が残っているのが事実です。気づけばあっという間にラストシーズンが目の前に見えていて、あと1年、あるような気がするのですがすぐ終わってしまうなと思います。今度はその東インカレに出る、というところは校内選考がなければ出られるので、代わりに、出た場で私が何ができるかということを自分の中で考えて、惜しんでもらえるような引退の演技ができる選手になりたいなと思います。
谷川栞理(人3=岡山一宮)
――演技を振り返っての感想をお願いします
――前のインカレ(日本学生選手権)での演技に比べて、少しは成長できたかなというのが率直な感想です。
――インカレ後から特に練習してきたことは
ダブルサルコーでよくパンク(回転が開いてしまうこと)することが多かったので、そこの点においてパンクをなくすことと、スピンを何も考えなくてもちゃんと自分の軸足に乗ってきちんと奥まで入れるようにということを意識して練習してきました。
――きょう良かったと思う点は何ですか
自分ではあまり思わなかったのですが他の友達に、この振り付けをやった最初の方の試合より自分の曲を自分のものにできていたねと言われたので、そのことが特に印象に残っています。
――来季に向けてコメントをお願いいたします
東インカレは良かったのですが、その後の試合から結構順位が落ちていて。もっと自分にとって、ちゃんと練習しなきゃいけないと思うような試合が多かったので、来シーズンも自分の気を引き締めて練習に取り組んでいきたいと思います。
正村瞭子(文構1=東京・早実)
――きょうの演技を振り返っていかがでしたか
今の試合が始まるまで、練習で全部跳べないとかジャンプが全然跳べてなかったので、今回2個転んでしまいましたが回転は全部足りていたし、自分では満足いっています。
――特に意識した点はありますか
ジャンプを跳ぶ前に前傾姿勢になってトージャンプなどがトーが滑ってしまって綺麗にトーがつけないことがあったので、きょうは上半身を立てることを意識しました。
――体力面についてはいかがでしたか
それが課題で、毎日結構走ったりしていたのですが、やっぱりそんな1ヶ月では(体力は)上がらなかったのですが、ここ(東大和スケートセンター)で練習していたこともあり、慣れていたリンクというのもあって体力面はあまり疲れなかったです。
――きょねんの入部から今までを振り返っていかがですか
(スケート部に)入ったのは、同期は3人いたのですがその中では一番遅くて、練習し始めたのは9月からなんです。それでダブル(ジャンプ)最初は3種類しか跳べなかったのですが、今は全部跳べるようになったので結構成長できたかなと思います。
――今後に向けての意気込みをお願いします
ダブル-ダブルとか、連続でダブル(ジャンプ)を跳ぶことが難しいので、それをダブルトーループ、ダブルループを後ろにちゃんと付けられるようにしたいと思います。