永井、堂々の2位 石塚も次につながる演技で6位入賞を果たす

フィギュアスケート

 大会最終日となり、前日のショートプログラム(SP)から駒を進めた永井優香(社2=東京・駒場学園)がシニア女子フリースケーティング(FS)に、石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)がシニア男子FSに出場した。

 はじめに登場したのは、昨日首位と4.55点差で3位につけた永井。力強いSPから一変し、FS『シンデレラ』はやわらかな雰囲気だ。演技冒頭に練習で何度も確認していたトリプルルッツからの連続ジャンプを決め、波に乗る。トリプルループ-ダブルトーループ-ダブルループの三連続ジャンプをはじめ、次々と決まる高くて迫力のあるジャンプに会場の温度が上がった。ステップでは、ゆったりと伸びやかな動きの中にターンを入れこんだ繊細な滑りが際立った。その後も柔軟性を活かしたコレオシークエンス、美しいポジションのスピンなど様々な要素を優雅にまとめあげる。永井らしさを存分に発揮した演技で、108.74点というFSではトップの点数を叩き出した。ジャンプに少しミスはあったが、それを忘れさせる素晴らしい演技に、観客はひときわ大きな歓声と拍手を送った。

フィニッシュポーズをとる永井

  続いてシニア男子FSに登場したのは6位からの発進となる石塚。『ポエタ』に合わせ片膝をついたポーズから、しなやかな動きであっという間に観客を演技に引き込んだ。ひと蹴りでよく伸びる美しいスケーティングがよく光る。怪我の影響もあり課題となっていたジャンプだが、SPでの反省を生かして転倒をゼロに抑えた。演技中盤、手拍子が印象的なシックな振り付けでさらに雰囲気を作り出し、観客を唸らせる。つなぎの部分でも隙を見せず、キレのある動きと大人っぽい表情で魅せた。気持ちよくリズムを取りながらステップを踏み、最後は回転が速く質の良いスピンで締めくくった。ジャンプを中心にいくつか不安要素は残るが、完成に期待が高まる演技となった。

特徴的なポーズで演技を始める石塚

 今大会を終えると、いよいよ迫ってくるのは全日本選手権をかけた地区予選大会だ。永井・石塚両選手共に出場を目指し、注目が集まっている。地区大会に向けて「SPもFSもまだまだ完成していないので、一歩でも良くできるように毎日自分の滑りを見直していきたい」(永井)「もっとジャンプを安定させて、いつでも決められるジャンプにしたい」(石塚)と意気込んだ両者。予選前の貴重な体験となった今大会での収穫を活かして、最善の状態で全国への一歩を踏み出していく。

(記事 犬飼朋花、写真 糸賀日向子)

結果

▽シニア女子

永井優香 2位 161.13点(FS 108.74点)

▽シニア男子SP

石塚玲雄 6位 144.52点(FS 97.64点)

コメント

永井優香(社2=東京・駒場学園)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

後半のアクセルがただ一本跳べば良かっただけなのに飛び損ねてしまったので、すごくもったいなかったなというのはあります。でもまあまあという感じで、前よりは良くなったかなという風に思います。

――アクセルは得意なイメージがあるのですが、きょうの飛び損ねてしまった原因は何ですか

その後のサルコーのことをすごく気にしてしまっていて、アクセルはサルコーのために体力を残せるようにと思ってしまいました。全部全力でやらないといけないなというように思いました。

――その他のジャンプについてはいかがですか

前回に引き続き得点源のアクセル―トーループのトーループが付けられなかったので、そこはもっと練習しないとなと思いました。あと、少し回転不足を取られてしまいそうなジャンプがあったので、そこを1ヶ月後までに改善していきたいなと思いました。

――スピンはいかがでしたか

スピンは大体落ち着いて自分で回転数を数えてできたかなと思います。最初のレイバックスピンで曲に間に合わなくなってしまって8回転回れなかったので、そこについては少し工夫しなくてはいけないなと思います。

――ステップはいかがでしたか

ステップはきのうみたいにつまづかなかったんですけど、ちょっと体がまだまだ動いていないなと思います。9月の途中にブラッシュアップしてもらう予定なので、そこでしっかりと自分のものにしていけたらなと思います。

――今回の衣装はどのように決められたのですか

いつも衣装さんにおまかせなんですけど、イメージは振付師のあっこさん(鈴木明子氏)に淡いラベンダーピンクとかが良いんじゃない?と言われてすごく綺麗だなと思ったので、色だけ伝えてあとはお任せにしました。

――衣装が出来上がってきて、気に入っているところはどこですか

またピンクにしてしまって、デザインが可愛かったので選んだんですけど、自分に似合うかというのが不安で。でもやっぱり可愛い衣装を着ると気持ちも上がるので、衣装に負けないような演技ができるようにしたいです。

――それでは最後に東京選手権に向けての意気込みと、1ヶ月でやりたいことを改めてお願いします

ショートもフリーもまだまだ完成していないので、一歩でも良くできるように毎日自分の滑りを見直してやっていきたいです。あとは1ヶ月の間で体力面もそうだし、表現の部分やスピン、ステップ、あとはジャンプはもちろんなんですけど、できる部分はたくさんあります。だから氷に乗っている時間も乗っていない時間も時間を大事に使っていきたいなと思っています。

石塚玲雄(スポ1=東京・駒場学園)

――今日の演技を振り返っていかがですか

まず体力が足りていないなということを一番思いました。あとは気持ちの問題で、結構ジャンプが決まる、決まらないがはっきり分かれるなと分かりました。

――昨日よりジャンプの調子は良かったように思うのですが、その辺はどうですか

昨日の演技の時に少し余計なことを考えすぎていたので、今日はあんまり変なことは考えずに、シンプルにジャンプを跳びに行きました。

――昨日の演技を受けてそこから修正したり、気をつけたりしたことはありますか

やっぱりショートは3つしかジャンプがないので、ひとつ失敗すると大きい点数差に響いてしまいますし、ショートがジャンプが跳べないっていうのが課題だなと思って、そこを修正したいと思いました。

――表現面では、今日は観客の歓声も大きくて良かったと思うのですが、ご自身ではいかがですか

結構力強い振り付けなので、自分も力強く演技して、お客さんにも後押ししてもらって、それはすごく良かったと思いました。

――今日の演技を踏まえて、これから全日本に向けてどのように練習していきますか

やっぱりもっとジャンプを安定させて、いつでも決められるジャンプにしたいと思います。