氷上においてチームで息を合わせ、演技を行うシンクロナイズドスケーティング(シンクロ)。2000年から世界選手権が開催されており、2022年北京五輪での新種目採用を目指している競技である。日本での知名度は高くないが、シングル競技ではできないダイナミックな技が魅力だ。都民体育大会で、早大スケート部フィギュア部門の斎藤聖果(商1=東京・早実)が所属し、昨季日本代表の神宮IceMessengersが今季初戦に臨んだ。
この日はリンクサイドでコーチや別カテゴリーのチームが見守る中、12人が白と淡い青のグラデーションの衣装で氷上に登場した。各自がスタートポジションに着くと、合図が送られ音楽が始まる。一斉に動き出すと、始めに行うのはグループリフトである。片足をつかんだ状態の1人の身体がリンクと水平の状態になるように、3人の選手が持ち上げ滑っていく。また、ムーブエレメンツ(※1)+フリースケーティングムーブでは、それぞれがイーグルやペアのスパイラルを披露した。すると突然音楽が激しい曲調に変わる。次に予定されているのはノーホールドエレメンツ(※2)+ステップシークエンス。チームが回転や動きを揃えながらプログラムの表現をしていく。そしてペアエレメンツ(※3)ではデススパイラルを披露し、観客からは歓声がわいた。
ペアエレメンツのデススパイラル
ウィールのような体系で動きのそろったつなぎを経ると、後半の見せ場の一つである二つ目のグループリフトでは、上に乗る一人が下の三人に両足と両腕を支えられた状態でポジションを保つ。斎藤は、「練習では方向が上手く合わないこともあったのですが、試合では良かったと思う」と振り返った。ラインでは十二人が一列に並びホールドを変えたり、二列に隊列を変えながら滑ると、インターセクション(※4)+ポイントオブインターセクションやクリエイティブエレメンツで再び会場を盛り上げ演技を締めくくった。
大人数での演技は圧巻だ
今大会では12人で演技を行ったが、本来は16人でプログラムを演じる。そのため来年2月の全日本選手権、そして4月の世界選手権には人数を増やしさらにレベルを上げた構成で挑む。神宮IceMessengersでは毎年選手の入れ替わりがあるため、選手のシンクロの経験は様々だ。しかし経験の差を埋めるため、またカナダやロシアといった強豪国に少しでも近付くためにそれぞれがスキルアップを目指し技を磨いている。今季の目標は「昨年より世界選手権で順位を上げる事」。チーム一丸となって練習を重ね、珠玉のプログラムを作り上げていく。
※1 ムーブエレメンツとは、スパイラルやイーグルなどを行う演技要素。
※2 ノーホールドエレメンツとは、腕をつながずにブロックに並んで演技を行うこと。
※3 ペアエレメンツとは、二人組でペアスピンやデススパイラルなどを行うこと。
※4 インターセクションとは、選手どうしが間を通り抜けること。
(記事 糸賀日向子、写真 川浪康太郎)
※コメントのみ文面取材を行いました
結果
▽シンクロナイズドスケーティング(シニア)
神宮IceMessengers 1位 72.36点
コメント
斎藤聖果(商1=東京・早実)
――試合を終えての感想をお願いします
今シーズン初戦ということで、とても緊張しました。
――試合前にチームで話したことや、コーチから言われたことは何ですか
試合前に言われていたのは表情ですね。どうしても真剣な表情になってしまって曲の変化を表現できないので。
――プログラムはどのようなイメージで滑っていますか
曲調ががらっと変わるので、めりはりをつけて演技をするようにしました。
――演技冒頭のグループリフトはいかがでしたか
他の隊と回転を合わせるように意識しました。
――曲調が変わってのノーホールドエレメンツはいかがでしたか
ノーハンドは大きなミスはなくできて良かったです。でもまだカーブが浅かったり、ツイヅルが止まってしまったりしてしまっているので、練習しなくてはいけないなと思いました。
――ペアエレメンツについてお願いします
デススパイラルはつい最近の練習までは両足でないと起き上がれなかったのですが、片足で起き上がれるようになって良かったです。
――ウィールについてお願いします
ウィール的なものですが、あれはリフトの前のつなぎですね。ウィールはSPでやります!
――二回目のリフトはいかがでしたか
練習では方向が上手く合わないこともあったのですが、二つ目のリフトは試合では良かったと思います。これからレベルを上げないといけないので頑張りたいです。
――インターセクションはいかがでしたか
インターセクションはウィップの半円をもっと見せないといけないと思いました。
――ムーブエレメンツについてお願いします
ムーブエレメンツはスパイラルのポジションをもっと良くしなくてはいけないので、これから改善したいです。
――昨季は1年目の選手が多かったと言うことでしたが、今季になってチームに変化はありましたか
長くシンクロをやっている人もいる中、私を含めまだ経験の浅い人もいるので追いつけるように頑張っています。
――最後に今季の目標をお願いします
チームとしては世界選手権で昨年より順位を上げることですね。そのためにはレベルを上げないといけないので、自分にできる事を、できる限り努力したいと思います。