神奈川を拠点とするスケーターが集うリリーカップ。慶大の鈴木美桜など実力者が揃うなか、選手権女子部門の最終滑走としてリンクに登場したのは、松嶋那奈(スポ4=東京・駒場学園)である。昨季は全日本選手権出場、フリースケーティング(FS)の自己最高得点更新など、めざましい活躍を見せた早稲田のエースが今季初戦でも実力を見せつけ、2年連続の優勝を果たした。
今季のFSは『トゥーランドット』。たくさんの声援のなか集中した面持ちでスタート位置につくと、観客の注目を一身に集め、舞い始める。自身が得意とする冒頭のトリプルトーループートリプルトーループは2つ目のジャンプが回転不足となるものの、高さ、幅のあるジャンプで演技を勢いづける。続くトリプルループで転倒したが、その後のジャンプはプログラムを途切れさせるようなミスなくまとめた。また昨年から力を入れている表現面では、重厚な音楽に合わせ、ステップシークエンスやコレオシークエンスで、自らのスケーティング技術をいかしたなめらかな表現を披露した。
華麗なスパイラルで観客を魅了する
「まだまだ滑りこめていないので全然満足はしていません。」と語るように、スピンでレベルを取りこぼすなど完ぺきな演技とはいかなかった。しかしシーズン初戦で81.64点を獲得したことは、目標の全日本選手権、国民体育大会出場に向けて上々のスタートを切ったと言えるだろう。今季の目標を「笑顔で終えられるように、ひとつひとつの試合で悔いの残らない満足した演技ができるように頑張っていきたい」と語る松嶋。今大会で得た成果と課題からプログラムを磨き上げ、さらなる高みへ歩みを進めていく。
(記事 糸賀日向子、写真 川浪康太郎、本田京太郎)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
▽選手権女子
松嶋那奈 優勝(81.64点)
コメント
松嶋那奈(スポ4=東京・駒場学園)
――きょうの演技を振り返っていかがですか
まだまだ滑り込めていないので全然満足はしていません。でも初めて皆さんの前で披露したなかではまとめられたかなと思います。
――今季の『トゥーランドット』はどのように選曲されたのですか
なかなか曲が決まらない時に先生に「『トゥーランドット』滑る勇気ある?」と聞かれました。荒川(静香)さん(平16教卒)がトリノ五輪で金メダルを獲られているので、滑る勇気あるって言われました。でも曲自体好きだったので、選びました。
――プログラムはどのようなイメージで滑られているのですか
まだイメージは湧いていないです。でも荒川さんから「最初は強くやって、途中はなめらかに自分の好きなように動きなさい」と言われて、アドバイスももらったので、これからどんどん滑り込んで自分でこういうイメージで滑るというものを持てるようにしていきたいです。
――今日の試合のジャンプはいかがでしたか
水曜日からなかなか納得のいくジャンプが跳べなくて、不安も少しはありました。でも今までやってきた中で、昨年から自信もついてきたので、自分ならできると思ってやりました。ちょこちょこミスが出てしまったので、まだまだいける自信があるので次の試合からはもっと頑張れたらいいなと思います。
――表現面はいかがでしたか
表現面は昨年から頑張ってきていて、今年はまだ初戦で滑りこめていないのでこれからもっとうまく表現できると思います。一ヶ月ちょっとでここまでもっていけたので、いいかなと思います。でもスピンがちょっとレベルが全然とれていなくて、ここがだめだったよというアドバイスももらいました。なのでこれからもっとスピンも練習して、もっと回転を速くして滑りこんでいかないといけないなという印象はありました。
――今年の目標はありますか
今年はラストシーズンなので、全日本(選手権)にも最後出場したいですし、国体(国民体育大会)も行きたいです。笑顔で終えられるように、ひとつひとつの試合で悔いの残らない満足した演技ができるように頑張っていきたいと思います。
――次の試合への意気込みをお願いします
次の試合はたぶん関カレ(関東学生フィギュアスケート選手権大会)でショートプログラムを滑ります。まだ曲も決まっていなくてプログラムはできてないんですけど、ジャンプだけでなく、スピン、表現面も強化していって短い時間でうまくまとめられるように練習していけたらいいなと思っています。