松嶋、圧巻のノーミスフリー!逆転で2年連続の表彰台

フィギュアスケート

 大飛躍のシーズンを締めくくるにふさわしい2日間だった。全日本選手権(全日本)、日本学生氷上競技選手権(インカレ)と立て続けに自己ベストを更新してきた松嶋那奈(スポ3=東京・駒場学園)。しかし、連戦の疲れからかショートプログラム(SP)ではジャンプにミスが相次ぎ、まさかの13位スタートとなる。それでも、翌日のフリースケーティング(FS)で巻き返し8位入賞。団体でも神奈川県は3位に輝き、親友の鈴木美桜(慶大)と共に表彰台に上った。

 全日本、インカレでは50点台をマークし、自信をつけてきたSP。歯車が狂ったのは冒頭のコンビネーションジャンプからだった。今季高確率で決めてきたトリプルトーループ―トリプルトーループだったが、セカンドをつけられず。最大の得点源であるジャンプを失敗し、動揺を隠さずにはいられなかった。続くトリプルループは転倒。後半のダブルアクセルは降り、スピンはオールレベル4を獲得したが、得点は伸びず大きく出遅れる。自身最後の『サムソンとデリラ』は、悔いの残るラストとなった。

神奈川県勢の応援を背に滑る松嶋

 1年前の再現へ。昨季はSP16位からFSで挽回し8位入賞。「那奈ならできる」。神奈川県の仲間たちの言葉が松嶋の背中を押した。まずは、SPではミスの出たコンビネーションジャンプ。この日は完璧に決め、最高のスタートを切った。全日本では唯一決まらなかったジャンプであるトリプルループ、続くトリプルサルコーからのコンビネーションも降りると、会場のボルテージは最高潮に。中盤のステップでは、戻ってきた『那奈スマイル』が光り輝く。演技後半、単独ジャンプ3つ、そして今季途中から取り入れた3連続ジャンプを着氷し、全てのジャンプを成功させた。その全てが加点つきで、技術点は大庭雅、本郷理華(共に中京大)に次ぐ3位。自身初めて、FSで100点台に乗せた。両手で力強くガッツポーズをつくった松嶋を称える、割れんばかりのスタンディングオベーション。急成長を遂げた大学3年目シーズン、その1年が凝縮された4分間だった。

笑顔のガッツポーズで喜びを爆発させた

 国体は氷上を去りゆくものの場でもある。ことしも、後輩たちの大粒の涙を誘う感動のラスト演技を見せた吉野晃平(関大)をはじめ、男女共に多くのスケーターが惜しまれつつ引退を迎えた。スケート人生の全てを映し出すラストスケーティングは格別だ。今まさにピークを迎えつつある松嶋も、来季がついに最後の年。1年後、この場所で、最高の引退試合を――。その特別な1日まで続く松嶋の物語には、どんなエンディングが待っているのだろうか。

(記事、写真 川浪康太郎)

『2位以上』の目標には届かなかったが、僅差で表彰台に上った

結果

▽成年女子

松嶋那奈 8位 144.29点(SP 13位 42.45点、FS 5位 101.84点)

コメント

松嶋那奈(スポ3=東京・駒場学園)

SP

――ショートの演技を振り返って

落ち着きがなかったかなというのが印象です。

――珍しく冒頭のコンビネーションジャンプでミスが出ましたが

最初ちょっとタイミングが合わなくて、振り回してしまったというのがあって、失敗してしまいました。

――2つ目のループの感触は

普段跳べていなかったのが最近入るようになってきていて自信はあったのですが、最初(のコンビネーションジャンプ)で動揺してしまったというのもあるので、うまくいかなかったです。

――最近の練習での調子自体はいかがでしたか

そんなに悪くなかったので、いい時ほど気をつけなければいけないなと思いました。

――ジャンプ以外の要素については振り返って

ジャンプ二つ失敗してしまったので、他のところで魅せていかなければいけないということで、スピンは丁寧にして、笑顔で滑るということもできたのでよかったです。

――連戦の中で疲れはありますか

結構疲れは溜まっていて、たまに休んだりはしていました。今回も一週間前に疲れがあって1日抜いたのですが、その疲れが抜け切れていないというのがあったので、そこも原因だと思います。

――SPの『サムソンとデリラ』を演じるのはきょうで最後となりましたが

きょうで最後だったのですが、悔いが残るショートになってしまいました。すごくきれいな曲なので気に入っていて、全日本(全日本選手権)とインカレ(日本学生氷上競技選手権)とすごくいい演技ができたので、最後もいい演技ができたらいいなと思っていたのですが、悔しいです。

――フリーに向けた意気込みをお願いします

多分下に行くことはないので、何回転んででも全力を出し切ろうと思います。

FS

――100点台を出した今の気持ちはいかがですか

すごくうれしかったです。

――演技内容を振り返って

表現面もジャンプも安定していたのですが、最後のレイバックで少し斜めになってしまってレベルを落としてしまいました。それ以外の面ではよくできたと思います。

――きのう失敗したトーループ―トーループはフリーでは見事に決まりました

あれ以上変なことになることはないので、きょうは全体的に落ち着いていけました。

――2つ目のループはようやく決まりましたが

最近結構入るようになってきていて、公式練習でもきれいに入ったので、練習通り跳ぼうと思ったらできたのでよかったです。

――神奈川県の選手からはどんな言葉を掛けられましたか

「頑張って」のひと言でした。きのうがすごく悪かったのですが、「那奈ならできる」とみんなが言ってくれたので、応援してくれたから全力でやろうと思いました。

――今季のフリーのプログラムを振り返って

中と和で全然表現が違うのですが、今回最後の最後で演じ切れたと思います。

――来季のフリーの構想はできていますか

まだなにも考えていなくて、最初戻すつもりだったのですが、ショートを戻そうと思っていて、フリーは未定です。

――このあとは鈴木美桜選手(慶大)の応援がありますが、どんな思いで見たいですか

やっぱり表彰台、2位以上がいいので、美桜ちゃんを頼って全力で応援したいです。

――最後に、今季全体を振り返っていかがですか

今季は全体的にすごくいいシーズンになったと思います。よかった時と悪かった時で差があるのですが、全日本も出られたし、大きな収穫はたくさんあったので、最後の来季はさらに上を目指せるように頑張っていきたいです。