新年早々、北海道の地で、全国から集結した大学生スケーターが氷上の戦いを繰り広げる。早大から日本学生氷上競技選手権(インカレ)に出場するのは四名。これが最後のインカレとなる男子Bクラスの礎良輔主将(基理4=東京・早大学院)、今季そろって全日本選手権出場を果たした女子Aクラスの松嶋那奈(スポ3=東京・駒場学園)と中塩美悠(人通2=広島・ノートルダム清心)、女子Cクラスのルーキー安藤美裕(教1=東京・早実)だ。学部も学年も練習場所もばらばらの四人だが、この大会はエンジを背負って全員で臨む。今回は、関東を拠点にする三人にスケートに関する様々な話を伺った。
※この取材は11月22日に行われたものです。
早大スケート部との出会い
唯一の男子部員ながら主将として部をまとめる礎
――まずフィギュアスケートを始めたきっかけについて教えてください
礎 家の近くに、ずっとホームリンクとして使っているシチズンプラザがあるのですが、小学2、3年生くらいのある日、父親に「滑りにいってみない?」と誘われて行ってみたらはまってしまいました。冬の2日間だけ開かれている短期スケート教室で、今も習っている瀬尾(妙実)先生と出会って声をかけられて、今につながっております。
松嶋 私はイタリアで小学1年生の時に初めて学校の先生に連れて行っていただいたのですが、その時は何も思いませんでした。小学2年生になってお母さんと散歩に行ってリンクをのぞいた時に上手な選手を見て、こんな風になりたいなと思って始めました。
安藤 幼稚園の友達がスケートを始めて、滑っているのを見にいったりしていました。その時に、スケートの衣装がきらきらしていてスカートもきれいで、私もかわいい服を着たいと思ったことと、母親がスピードスケートをやっていて、スケートと関わりがあったので始めました。
――早大のスケート部に入った理由を教えてください
礎 大学生はスケート部に入らないと試合に出ることができないので、スケート部に入るのが前提のような感じで入部しました。僕は早大学院出身なので、大学にはエスカレーター式で進みました。コンピューターなどに興味があって、近くで一番そういうものをたくさん勉強できるのが理工キャンパス、じゃあそこを目指して頑張ろうということで早大学院に入学しました。
松嶋 高校3年生の時に私のスケートの先生の(佐藤)久美子先生に勧められて決めました。
安藤 小学校から早実だったのでそのまま早稲田大学には行くつもりでした。今滑っているスケートリンクの先生に福原(美和)先生がいまして、ずっと「どう?」って言われ続けてきていたので、じゃあ(スケート部に)入らせていただきますと言って(笑)。大会に出たいというのもあって入部しました。
――安藤選手は、学部はどのように選ばれたのですか
安藤 学部は自分の興味で選びました。メディア関係の仕事をちょっとやってみたくて、実は文化構想学部と迷っていたんですけど、私の高校の校長先生が教育学部の複合文化学科を作られたというのもあって、じゃあそこにしてみようということで入学しました。
――普段はばらばらの場所で練習されていますが、どうやって早稲田大学スケート部としての意識を高めていますか
礎 今のところ部練とかは全然実施されていませんが、試合の時とかは必ず全員集合して、リンクサイドにそろって応援しようと1年生の頃からしっかりと言うようにしていました。北海道とか遠いところのインカレは難しいですけど、日光の時とかはみんなで泊まって集団で行動して、といった最低限必要なことはしっかりとやるようにしました。お互いに応援してそういった部分の意識をするようにしています。
松嶋 本当に応援とかもすごくしてくれていて、やっぱり早稲田として頑張らなきゃというのが一番スケート部として感じているところです。練習はばらばらなんですけど、試合になるとみんな気持ちは一緒なので、そういう所がいいのかなと思っています。
安藤 お二人がどんとまとめてくださって(笑)。
礎 言うことがなくなっちゃうね(笑)。
安藤 本当に応援の時はみなさんがリンクサイドに並んでくれて、始まる時に「頑張って」とか言ってくださるので、それで早稲田っていう意識が出ます。部活の集まりにOB、OGの方が来てくださるタイミングもあって、そこであいさつをさせていただいて早稲田なんだなと思ったりします。
――春頃に部練を行ったということでしたが、そこではどのような練習をされましたか
松嶋 普通にみんなで(やりました)。3人くらいしかいなかったんですよね?
礎 いや、なんだかんだOGの(林)渚さん含めて5、6人いた気がする。
松嶋 普段の練習と一緒な感じでして。曲かけを順番に回して、ジャンプ練習してって感じでした。お互いに教え合うといったことはあまりなくて、普段の練習って感じでした(笑)。私試合前でしたし。
礎 このタイミングで実施した理由としましては、ちょうど僕らのシチズン(シチズンプラザ)とか新横(新横浜スケートセンター)とかのリンクが同じタイミングで工事していまして。関カレ(関東学生フリースケーティング選手権)直前なのに工事していてあまり練習ができない、どうしようというのがきっかけでじゃあ部練をやろうということになったんです。
――部練などで交流されたりとかはありましたか
礎 試合の前後とかでは試合終わった人たちでご飯行ったりとか全員終わっていたら福原先生にごちそうしていただいたりとかですね。練習の外とかでタイミングがよく集合した時にはみんな仲良く過ごしています。それこそ今留学に行っている子たちの送別会をしたりしました。
――福原監督とはどういった話をされるのですか
礎 僕は二人でご飯とかそういったことはあまりないですね。基本的には試合が終わったあとにみんなでご飯に行って「最近どうしてる?」みたいな他愛のない話とか、新しく入ってくる子について聞いたりとかしますね。
松嶋 そのくらいですかね。
礎 あとは「学校どうしてる?」とか、他愛のない話ですけど楽しくやっています。
――大学の部活ということで、環境など大変なことはありますか
安藤 大変に感じることはないですね。それぞれやっているところもありますし、みんなで集まるところもありますし、すごく縛られているわけではないと私は思っています。
松嶋 私は大学が遠くて、片道1時間半とか、2、3時間かかるのでそこは練習時間も削られてしまって大変です。でも自分で決めたので、そこは試練だと思って頑張ってやっています。あと勉強も全然分からなくて、理系じゃないのに理系のことやったりして、私どうしてこんな授業取ったんだろうと思ったり。分からないところは友達に聞いています。友達大切だなと大学に来て思いました(笑)
礎 僕はこのスケート部に関して負担に思うことは何もなくて、先輩たちもとても良い方で、自由に練習に専念させてくれて良い部活だったなと思います。
――他大の方などとの交流はありますか
松嶋 ホームリンクの人が一番一緒にいるのですが、同期とかも仲良いので一緒にいます。それ以外でも遊びに行こうとかあるので、むしろ同じ大学の人たちの方が会うことは少ない気がしますね。
――長くやられている中で、中学や高校の頃からの知り合いの方と交流があるということでしょうか
松嶋 ホームリンクが一緒だと練習時間も一緒で、休みも一緒で遊びに行く予定が立てやすいですね。
安藤 私は中学高校とずっと(スケートを)やってはいたのですが、離れている期間がありました。その間にスケートから離れてしまう人もいたので、現在あまり交流はないんです。でも、スケートリンクが宮下真梨子先輩(国教4=米国・ミルバーン高)と一緒なので、お話しさせてもらったりとか、先輩方と会った時にお話しさせていただいたりというのはありますね。ただ、私の場合は遊びに行くというのはなくて、プライベートはスケートじゃない、中高の友達と遊びに行きますね。
礎 僕も那奈ちゃんと一緒で、ホームリンクの人とかとですね。男子の場合は男子の人数がそもそも少なくてかたまる傾向にあるので、同じリンクや、Bクラスの男子とよく遊びに行きますね。
――東日本選手権の時に、松嶋選手が樋口新葉選手(日本橋女学館高)さんとすごく仲良くしているのが印象に残っているのですが、そのきっかけはありますか
松嶋 たまに(樋口選手が)新横に来るのですが、東京ブロックの頃からしゃべるようになりました。その前から仲良かったんですが、その頃からLINEとかもするようになって、そこからずっと話したりしていますね。同じクラスでやっていたので話しやすいというのもありますし、新横でも結構仲良くさせてもらっていますね。
――アイスホッケー部門やスピード部門の方との交流はありますか
松嶋 スピード(スケート)の子は、槙ちゃん(巻島槙、スポ2=埼玉・川越女)は学部も一緒で、ゼミも一緒なので、しゃべったりするんですけど、ホッケーは先輩に会ったらあいさつするくらいですね。
礎 僕はキャンパスも違えば、練習場所も違うので、年度初めとか終わりの部員総会や予餞会でしかお会いする機会がなかったですね。
松嶋 総会とかでも部門ごとにかたまってしまうことが多いのでほとんど話さないです。
安藤 私は高校の同期がホッケーに何人かいますね。マネージャーも友達で、今度の早慶戦エキシビションを担当する人も友達で、そういうところでの交流はありますね。
スケーターとして、大学生として
明るい口調で話す早大のエース松嶋
――三人それぞれの印象をお伺いします。はじめに礎選手に対しての印象はいかがですか
松嶋 理工学部で頭も良くて、本当にしっかりしているなと思っています。すごく頼りになる先輩で、素晴らしい方です。
安藤 1年生で入ったばっかりですが、本当に頼りにさせてもらっています。入部した当初から優しくしていただいて、頭が上がらないというか、絶対的存在ですね。
礎 そんなに持ち上げてもなにも出ないよ(笑)?
安藤 ちょっと出るかなと思って(笑)。ウソです(笑)。
――松嶋選手はどのような印象ですか
礎 1年生で入ってきた時からうちのエースとして試合でも非常に盛り上がって。僕のあとを任せられるのは松嶋さんだ、というくらい頼りにしています。
安藤 すごい方じゃないですか?それなのにしゃべりやすくて、本当に良い先輩…それしか言葉が出てこなくて。存在が柔らかくて、落ち着きます。
――お二人から見て安藤選手はいかがですか
松嶋 二回くらいしか会ったことないね。
安藤 そうですね。
松嶋 演技とか見ているとすごく堂々としているし、すごく積極的だと思っています。これからまたどんどん後輩とかも入ってくると思うので、頼りになる後輩になるんじゃないかなと思います。
礎 早慶戦のエキシビションを引き受けてくれたり、積極的にやってくれて頼りにしているし、期待もしているので、頑張ってください。
安藤 ありがとうございます。
――礎選手にお伺いしたいのですが、主将として大変だったことはありましたか
礎 主将として大変だなと感じたことはなかったですね。今までに先輩たちがこういう風にやるという流れを作ってくれていました。だからそれこそ試合の時はこういう風に集合をかけようとか、こういう風に連絡しようとかいう流れがあったので、僕は負担なくそれを引き継ぎました。後輩もついてきてくれたので、特に大変なことはなかったです。このまま主将のお仕事ができればいいなと思います。
――主将となってよかったことはありますか
礎 これまでリーダーシップを取るような役職に就いたことはなかったので、スケート部の主将としてリーダーシップを発揮するような機会をいただけたことは感謝していますし、貴重な体験だなと思います。
――主将のお仕事というのはどのようなものなのですか
礎 試合のエントリーとかは主務が取り仕切っているので、何時集合にするとか、選手の人は何時からだとか、当日細かい指示を出したり最後に音頭を取るとかそういったことをまとめる仕事ですね。細かいところは主務にお任せしています。
――安藤選手にお伺いしたいのですが、高校までと変わったことはありますか
安藤 練習自体とかもそうですけど、中高と、スケートリンクには所属していましたが、バッジテストを優先していたので、試合にちゃんと出るという機会がありませんでした。あとアイスダンスもやっていて、そちらを優先していたので、シングルの大会に出場するというのがあまりありませんでした。大学になってシングルの練習が増えたということと、ちゃんと試合に出るようになったというのが変わったところですかね。
――アイスダンスの練習とシングルの練習での違いなどはあるのでしょうか
安藤 一人でできるところもあるのですが、二人でやらなくちゃ分からないという部分もあるので、先生がいる時は先生と組んでもらっています。
――松嶋選手にお伺いしたいのですが、小さい頃から第一線で活躍していらっしゃいますが、大学に入ってから意識の変化などはありましたか
松嶋 特にはなかったですね。体力がなくなりました。すぐ疲れちゃったりしたので体力つけなきゃなって思いました。
――そのような体の変化は二十歳くらいから来るのでしょうか
松嶋 先輩たちから二十歳になったら急に疲れが来るよと言われていて。まあ大丈夫だろうと思っていたんですけど、やっぱり来ますね。こんなところで疲れるのかっていうところに疲れが出てきて衰えを感じますね(笑)。
——―みなさん学年、学部が違いますが、学業の両立という点でそれぞれいかがですか
礎 僕の場合はどちらかというと学業の方を優先してしまっている部分はありますね。最初の方にもお話しした通り、スケートを続けるということはもちろん考えてはいたのですけれども、理工学部に行くというのを優先して大学を選ぼうと思っていて、その中でスケートと両立できるのが距離のことも含めて早稲田だろうと思って選びましたし、本当にぎりぎり続けていて、スケートよりは勉強優先でずっとやってきたかなという感じですね。
松嶋 私は高校までは本当にスケート、スケートという生活で、スケートが終わって練習がない時間に学校に行くという感じだったのですが、大学では特に1、2年生で単位を取らないと卒業ができないので、ほとんどスケートは諦めて大学に通って、合間に練習してという感じでした。今はだいぶ単位も落ち着いてきたので、今は良い感じに両立できていると思います。
――スポーツ科学部では、実技の授業もあると思うのですが、そういったトレーニングがスケートに活きたということはありますか
松嶋 ないですね(笑)。合気道とかフィットネスとかを取りましたが、特に活きたことはないです。
――安藤選手はいかがですか
安藤 私も勉強あってのスケートという感じではあります。勉強と相談しながらスケートも続けていくという感じなので、スケートを犠牲にするまでではないですけれども、若干スケートがおざなりになってしまうことはあります。単位はやはり取らなければならないので、大学の勉強は大事にしています。
――みなさんスケート以外に得意なスポーツはありますか
礎 何もないです。スケートを始めた理由にも関わるのですけれども、僕は球技全般が本当にだめです。
松嶋 スケートやっている人って球技は苦手なんですよ。
安藤 私も苦手です。
礎 投げるのも蹴るのも本当に全然できなくて、じゃあスケートだったらボール使わないし、できるんじゃないかなという感じではまっていった感じですね。
――スケートの選手は腕力がないということでしょうか
松嶋 腕力は意外とあるかもしれないです。ただ単にボールを扱うことができないという感じです(笑)。
安藤 ボールと戯れられないです。
松嶋 言うことを聞いてくれない。
――なるほど。スケートはご自身の体を使う競技ですので、そこが違うということですね。松嶋さんは得意なスポーツはありますか
松嶋 特に得意なスポーツはないですが、小さい頃スケートを始める前は、走ったりとか、徒競走とかは得意でした。今はそこまで得意ではないですね。のんびり折り紙を折ったり、パスルをしたりすることが好きなので。スケート以外のスポーツはあまりしないです。
――安藤選手はいかがですか
安藤 私は松嶋さんと逆で、走るのがものすごく苦手なので、学校の先生に「えっ、スケートできるの?」って言われたくらいです。ただ、冬季スポーツが好きでずっとやっていたので、スキーは得意分野に入るのかなとは思っています。
――スケートの話に戻りますが、みなさん選曲や衣装選びはどのようにされているのでしょうか
安藤 曲はとりあえず先生と話し合います。どんなイメージの曲がいいかを話した上で、先生がいくつか持ってきてくれて、そこから選んでいます。実際に私がこれがいいと主張した場面はあまりないです。衣装は曲のイメージをお伝えして、衣装師さんにデザイン画を出していただいて、仮縫いしてという感じです。先生や母の意見も取り入れて作っています。
――安藤選手自身が衣装作りにおいて、特にこだわっている部分はありますか
安藤 好きな色はあまりなくて、私はゆったりとした曲が多いので、そのイメージに合わせてワンピースになることが多いです。大体白や黄色などの淡い色はよく選びます。ただ、ものすごく日焼けしているので、白とかはあまり着られないってなりましたね(笑)。なので、ことしは赤になりました。
――松嶋選手はいかがですか
松嶋 私は大体毎年4月くらいにこの曲をやりたいということで先生に持って行ったりします。ただ、却下されることも多いので、これ以上出ないとなってしまった時には先生の好きな曲を選んできてもらいます。衣装は先生が衣装師さんにイメージを伝えて決まるので、私が口出しする場面は一切ないです。口を出しても却下されることが多いので(笑)。口出ししないようにしています。
――曲が却下されるというのは具体的にどういった場合ですか
松嶋 最初から最後まで一定の曲だと聴き飽きちゃいますし、難易度が高すぎる曲は「こんなのできるの?」って感じで却下されますね。大体先生が選んでくれたら先生も文句は言わないので、曲に関しても、自分からあまり口出ししない方がいいかなという感じです。ただ、来年は最後なので、フリーはやりたい曲が決まっていて、ちょっと前の曲に戻そうと思っています。
――そうなのですね、楽しみにしています。礎選手はいかがですか
礎 僕は初級の一番最初の1曲だけは先生に選んでもらっていたのですけれども、それ以降はずっと自分から持って行っていたんですね。小さい頃からテレビゲームが大好きでして、中でも今でも使っている『メタルギア』というゲームのテーマを2分の時からずっと使っています。ただ、同じではなくて、そのゲームはシリーズものなのでメインテーマを編集してつないだりして多少変えながら今もずっと使っています。大学に入った直後だけ少し大人っぽい曲を使おうと思い、一時期クラシックを使ったりもしましたが、友達などから「なんか違くない?」と言われることが多くて(笑)。自分自身も、踊るなら自分の好きな曲にしようと思ったので、また戻して衣装も変えて今の曲で滑っています。衣装は、僕は本当に衣装師さんと先生にほとんど全部任せていて、ブラウスはちょっと違うかなとか、黒のパンツがいいなとか、大枠だけを伝えて、あとはお任せで作っています。
――試合前で一番緊張度が高まるタイミングはいつですか
松嶋 試合直前はないですね。アップの前くらいが一番ですかね。ただ、私はあまり緊張しないタイプなのですが、一番そわそわしているのはアップの前くらいかなと思います。
安藤 私は体が動いていない状態から動かすまでの公式練習が一番緊張します。この前ガチガチだったので。
礎 僕は6分間練習の時が結構緊張しているかもしれないですね。僕はあまり全部跳べる状態に持っていくのが早い方ではないので、6分中にたまに「このジャンプ練習するの忘れた」とか間に合わなくて焦るというようなことは時々あります。
――試合後の楽しみはいつもどのようなものがありますか
松嶋 美味しいご飯(笑)。
安藤 うんうんうんうん(笑)。
――試合前には食事制限や体重管理をされるのでしょうか
松嶋 あまりしないですね。
礎 僕は全くないですね。
松嶋 勝手に試合前は落ちてくれるので、意識はしていないですね。でも試合直前がお昼前だと、ちょっと軽めのご飯にしないと体が重くなってしまうので、気にしているのはそのくらいです。
――普段からスポーツ選手として健康管理のために意識していることはありますか
礎 特別やっていることは何もないです。
松嶋 私もないです。食べることが大好きすぎて、我慢したら逆にストレスになってしまうので、食べたいものは食べますね。
――好きなスケーターや憧れのスケーターはいますか
松嶋 真央ちゃん(浅田真央、中京大)は今よく一緒に練習しているのですが、他の人には出せないステップとかをやっているのですごく憧れています。今すごく強い選手が国内外でたくさん出てきていて、みなさんジャンプも踊りもすごいんですが、真央ちゃんにしか引き出せないものがあって、それが見ていて伝わってくるので、とても憧れています。
安藤 私も単純に浅田真央選手が一番好きというか憧れていますね。女子フィギュア界で一番存在感がある方なので、いろいろな面ですごく好きです。あとは、鈴木明子さんの演技を観ると大体泣きそうになります。『シルク・ドュ・ソレイユ』の曲が使われた時に、演技が終わって泣きそうになりました(笑)。
礎 僕の場合、小学生の頃はまだまだうまくなくて、6年生くらいでやっとアクセルを跳べるくらいだったんですけれども、名古屋の合宿にうちのチームで行った際に、鈴木明子さんや無良崇人くん(洋菓子のヒロタ)がいて、僕はジャンプがすごく低いんですけれども無良くんはすごく高く跳んでいて、すごいなと思いました。鈴木明子さんも遅咲きと言われていますけれど、本当にすごく努力家なので尊敬しているスケーターです。
――スケーターのみなさんから見て、今のレベルが高いと言われている日本フィギュアスケート界はどのような印象ですか
松嶋 本当に高すぎて、ちびっこがすごいですね(笑)。本当に若々しいなという感じですね。
礎 どんどん競技レベルが上がっているなというのは感じています。特に2006年のトリノ五輪あたりを境に一気に競技人口が増えてレベルもかなり底上げされたのかなと僕は思っています。
――みなさんが考えるフィギュアスケートの魅力を教えてください
松嶋 やっぱりジャンプで迫力があり、ステップとかでは穏やかな部分もあるので、観ていても楽しめますし、やる側としても、ジャンプを降りると拍手や歓声を浴びることができるので、そういったところが魅力だと思います。
安藤 スケートはかなりちゃんとしたスポーツで、意外と体力も使うんですけれども、観るだけだとそういった部分が見えないので、そこが面白いかなと思います。あと、選手一人一人の個性がものすごく出るスポーツなので、ジャンプの跳び方もそうですし、演技や曲もですし、そこが面白いかなと思います。
礎 観る側からの魅力は二人が言ってくれた通りですね。やる側からの魅力ですと、僕はチーム競技よりも個人でやる方が好きで、自分が練習した分だけ結果が返ってくるという意味で、自分がやったものをそのまま結果につなげられるというところがわかりやすくて僕にとっては魅力的です。そこに個人の個性が出せるので。
それぞれのインカレへ
初めての大舞台に向けての意気込みを語る安藤
——インカレについての質問に移ります。北海道の印象はいかがですか
礎 遠いです。
一同 (笑)。
松嶋 あと、寒い。やっぱり衣装着るとすごく寒いんですね。感覚がなくなるので、あまり北海道は行きたくないです。
――インカレでの具体的な目標をお聞かせください
礎 僕はことしになってようやくダブルアクセルを降りられるようになったので、最後の公式大会で何としてでもクリーン判定で成功させたいなというのが一番具体的な目標です。
松嶋 私は今調子がいいので、このままショート、フリー共にノーミスで終えたいです。中塩さんもいるので、できるだけ2人で上位に上がって、入賞したいなというのはあります。
安藤 私はインカレが初めてで、初めての大舞台なので、とにかく平常心を意識して、自分らしくやってきたことを出し切れるようなことが目標です。
――インカレで観て欲しいところ、自分の武器を教えてください
礎 やはりアクセルを綺麗に降りるというところを是非観てほしいのと、あと最近スピンとステップも細かい部分を見直して練習しているので、その辺りを観て欲しいです。
松嶋 私はジャンプはもちろんですが、毎回試合を重ねるごとに表現力を少しずつ高めていこうとしているので、そっちの面も観ていただけたらうれしいなと思います。
安藤 私はジャンプ、スピンもそうですけれども、とにかくきれいで速くて伸びのあるスケーティングを目指しているので、そこを観てもらえたらいいなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 糸賀日向子、井上莉沙、川浪康太郎)
それぞれの思いを胸に戦います!
◆礎良輔(いしずえ・りょうすけ)(※写真左)
1994(平6)年10月9日生まれ。171センチ。O型。東京・早大学院高出身。基幹理工学部4年。どんな質問に対しても丁寧な受け答えをしてくれた礎選手。後輩たちから尊敬される、頼もしい主将です。多忙な学生生活と両立してきた4年間の集大成を、北海道の舞台で見せます!
◆松嶋那奈(まつしま・なな)(※写真中央)
1995(平7)年7月28日生まれ。149.5センチ。B型。東京・駒場学園高出身。スポーツ科学部3年。大舞台を何度も経験してきた松嶋選手は「緊張しないタイプ」だそう。昨年末に出場した全日本選手権のフリーでも、1番滑走を狙って引き堂々たる演技を見せました。インカレでは中塩選手とのダブル表彰台入りを狙います!
◆安藤美裕(あんどう・みゆう)(※写真右)
1997(平9)年7月29日生まれ。164センチ。A型。東京・早実高出身。教育学部1年。シングルとアイスダンスを両立している安藤選手。二つの種目で磨かれた表現力でこれからどんな活躍を見せてくれるのか注目です。この日は先輩の二人と、テンポの良い和やかなやりとりを交わしていました。