松嶋、堂々3位!激戦区・東京ブロックで圧巻の演技

フィギュアスケート

 全日本選手権(全日本)への一次予選に当たる、東京選手権。日本最高峰の舞台へつながる熱戦が繰り広げられた。早大からは、松嶋那奈(スポ3=東京・駒場学園)が出場。去年あと一歩のところで逃した全日本へ――。松嶋の戦いはここから始まる。

 一番滑走で登場した松嶋。スカイブルーに金色の花柄をあしらった新しい衣装に身を包み、気持ちも新たにショートプログラム(SP)に挑んだ。まずは、得点源となる冒頭のコンビネーションジャンプ。6分間練習では転倒する場面も見られたが、本番では高さのあるジャンプでしっかりと着氷につなげると、勢いに乗る。演技中盤のステップでは、体を大きく使った動きと、持ち前の伸びやかなスケーティングで観客を魅了。課題としていたループジャンプは回転不足となったが、「一応片足で降りられたことは良かった」(松嶋)と言うように、前回の大会(関東学生フリースケーティング選手権)からの確かな進歩を感じさせた。演技後には集まった観客から大きな歓声が上がり、松嶋の表情にも笑顔が。46.81点で3位につけ、翌日のフリーに向け好発進を切った。

一番滑走ながら、安定感のある滑りを見せたSP

 強豪が出そろう最終グループに登場した松嶋は、引き締まった面持ちでスタート位置についた。最初の3回転-3回転の連続トーループは、自身も「最近あんなにきれいに決まることがなかった」という圧巻の出来栄え。持ち前の、高さのあるジャンプで一気に会場の空気を自分のものにする。その後、6分間練習でも苦戦していたループで回転不足を取られたものの、スピンやステップで観客の視線を離さない。後半はトリプルサルコー-ダブルトーループの連続ジャンプを決めるなどジャンプも立て直し、『ラストエンペラー』の世界を演じきった。他選手にミスが多く出た中、最小限のミスで抑え見事な演技を披露した松嶋。SPでは僅差だった後続の選手を引き離し、3位で表彰台に上った。

演技後、満面の笑みを浮かべ歓声に応える松嶋

 今大会は、今季からシニアに転向する樋口新葉(日本橋女学館高)や永井優香(駒場学園高)といった有力選手も出場し、ハイレベルな戦いとなった。次の東日本選手権は、全日本出場をかけた重要な大会となる。自らも課題と語る表現力をさらに伸ばし、全日本の切符をつかみ取る。

(記事 杉山睦美、糸賀日向子、写真 井上莉沙)

世界で戦う二人と並んで表彰台に上った

結果

▽シニア女子

松嶋那奈 3位 135.07点(SP 3位 46.81点、FS 3位 88.26点)

コメント

松嶋那奈(スポ3=東京・駒場学園)

SP

――関東学生フリースケーティング選手権からどのようなことを重点的に練習しましたか

リンクでの練習が少なくて、曲かけの練習もあまりできなかったのですが、新横浜での練習が始まって1カ月間、曲かけの練習をとことんやって、体力をつけジャンプの安定感を求めてきました。

――新しい衣装となりましたが、コンセプトやこだわりはありますか

私が衣装を決めているわけではないのですが、金色の花柄が入っているところが気に入っていて、曲にも合っていると思います。

――きょうは一番滑走でしたが、調整の面で気をつけた点はありますか

6分間練習の後に休憩する時間も欲しいので、急いで(練習を)やっていたのですが、慌てずにやることが一番だなと思いそれを重視していました。

――前回決まらなかったループジャンプを6分間練習でもよく確認していました

普段の練習ではループジャンプもすごく良くなってきています。曲ではなかなか入らなかったのですが、きょうは回転不足ではあったのですが、一応片足で降りられたということは、一番良かったと思います。東(東日本選手権)に向けてきちんと降りられるようにしていきたいと思います。

――冒頭のコンビネーションジャンプを振り返っていかがですか

今回は回転不足も取られなかったので、安定感も出てきて、とても良いと思います。

――表現の面を振り返っていかがですか

一つ一つ丁寧にやりつつ、動きを大きく見せられるように、滑らかに滑れたら良いなと思ってやっていました。先生にも演技後にきょうステップがよく滑っていたよと言われたので、結構良かったかなと思います。

――46.81点という得点はどのように捉えていますか

ループが決まらなかったということと、アクセルで少し詰まってしまったのですが、それなりには点数が出たのかなと思います。

――あすへ向けての意気込みをお願いします

あしたはフリーでジャンプがたくさんあるので、丁寧に焦らずにやって一つ一つのジャンプを決めていきたいです。表現でも大きく動けたら良いと思います。

FS

――きょうの試合の感想をお願いします

新葉ちゃん(樋口、日本橋女学館高)の次でしたが、落ち着いてやることはできました。最初のジャンプを決められて、次も頑張らなきゃという焦りもあって跳び急いでしまった部分もありました。でもその後は立て直すことができて一つ一つ丁寧にやることができたので、フリー全体では良かったかなと思います。

――6分間練習はいかがでしたか

ループがうまく決まらなかった部分もありましたが、練習をたくさんしてきたので「自分のできることをやろう」と本番には臨めるように練習できたかなと思います。

――氷の感触はいかがでしたか

新横浜がない期間に3カ月くらい東伏見で練習してきていたので、違和感とかは特になかったです。普段より氷がきれいでよく滑れる感じはあったかなと思います。

――ジャンプについてお伺いします。冒頭のトリプルトーループ-トリプルトーループの連続ジャンプがきれいに決まりました。

最近あんなにきれいに決まることはなかったですが、ちゃんと回転が足りて降りることはできていました。だからきょうは自信持ってやろうと思って挑めたのですごく良かったと思います。

――トリプルループについてはいかがですか。

跳び急いだりとか開いたりしてできませんでした。しかし練習してきたとおりにやろうと落ち着いてやることはできたので次の試合では決められるようにもっと練習できたらいいなと思います。

――トリプルサルコー-ダブルトーループもきれいに決まったことについてはいかがですか

本当は最初のトリプルサルコーで入る予定でしたが、詰まっちゃって入れることができませんでした。2個目で入れなきゃと思ったのですが、入れなきゃと思いすぎると1つ目で失敗しちゃうことが多いのでいつも通り丁寧にやろうと思いました。きれいに跳べたので今回は良かったと思います。

――表現面はいかがでしたか

私の後に滑った永井優香ちゃん(駒場学園高)とか(樋口)新葉ちゃんと比べると自分はまだまだだと実感しています。もっと次の東(日本)とか、東インカレ(東日本学生選手権)で点数を上げられたらいいなと思います。

――衣装はどのようなイメージで作られたのでしょうか

『SAYURI』と中国の『ラストエンペラー』なのでどっちに合わせるかというのもありました。ちょうど半分ずつだったので、赤にそろえて、最初は中国っぽく、ちょっと和も入れたような感じで交差させる部分もあって良いかなと思っています。

――次の試合への意気込みをお願いします。

東日本と東インカレ、それから国体の代表を決めるウィンターも今後あるので、表現面もすごく高めていって、ジャンプにもっと自信を持てるようにしてできたらいいなと思います。